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うつくしいカーテン

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「価格ありきではなくて、商品自体のよさを感じて選んでほしいと思います。自分自身が魅力を感じて使っているカーテンだからこそ、お客さんにもその良さをきちんと伝えて、『クリエーションバウマンでカーテンがつくりたい』と言っていただけるようなブランドになりたいんです。」

そう話すのは、クリエーションバウマンジャパンの中島さん。

スイスに本社があるクリエーションバウマン(以下、バウマン)は、フリードリッヒ・バウマンが創業して今年で128年目。生地の製造はすべてスイスで行い、販売はヨーロッパを中心に世界40カ国で行っています。日本法人のクリエーションバウマンジャパンでは、オーダーカーテンにはじまり、生地やクッション、小物といったインテリアファブリックの販売を行っています。

今回は営業として働く人を募集しています。

自分が惹かれて、共感した商品を販売したいと思っている人にぜひ読んでほしいです。

この日は五反田にある本社兼ショールームを訪れた。話をうかがったのは営業部の中島さんと高橋さん、そして管理部の松下さん。営業先は、ハウスメーカー、百貨店、インテリアデザインの会社とさまざま。

本部長である中島さんは設計事務所を担当している。どんな経緯でバウマンに入ったんでしょうか。

「僕は転職を経てバウマンで働きはじめ、約20年になります。最初は大手建材メーカーに就職しました。その後、インテリア業界で働きますが、勤めていた会社が解散をします。そのときに実は、他の業界に行こうかなと思ったんです。」

そんな折、バウマンのカーテンと出会う。

「インテリアの展示会でカーテンを見て、びっくりしたんですよ。こんな素敵なファブリックがあるんだ、って。」

その感動がきっかけとなり、中島さんはバウマンで働きはじめる。

「美しさは、バウマンにとって大きなキーワードですね。」

「たとえば、いまヨーロッパで話題になっているのがALPHACOUSTIC(アルファコースティック)とBETACOUSTIC(ベータコースティック)という吸音生地です。室内の音を吸収するため、会議室、病院の待合室、レストラン、オーディオルームといった音の反響を抑えたい場所に適しています。吸音カーテン自体はこれまでも他社から発売されていました。ただ、かなり厚みがある上に重く、光も遮っていたんです。使う人の立場では、吸音効果には優れていても、採光やデザインで妥協せざるをえなかった。一方、ALPHACOUSTIC、BETACOUSTICはレース素材で光も取り入れることができます。デザインを楽しみつつ、従来品と同レベルの吸音効果がえられるんです。」

実際に生地を触ってみると、普通のカーテンと違いがない。説明を受けてはじめて、吸音カーテンということがわかった。

また、もともと機能性ばかりが追求され、住宅ではほとんど用いられることのなかったバーチカルブラインド。バウマンは、世界初の技術を開発することにより美しいスタイルを編み出した。その影響もあり、現在では住宅用インテリアの選択肢の一つとなっている。

このように、バウマンが一貫して取り組んできたのは、デザインを技術で実現することと言える。他にも遮光、防炎といった機能性をもった美しいカーテンが生み出されてきた。

バウマンにおける美しさの基準は、時代性と伝統の両方を追求すること。すぐに飽きられてしまうようなトレンドを追いかけた生地、あるいは単なる高級品を発表し続けることは考えていない。

そうした姿勢は、ファブリックのラインナップにも表れている。

「商品数は生地で600種類、色は6,000種類もあるんです。種類を絞って大量生産した方がコストは安くなるし、在庫管理や販売を考えても効率がいい。けれど私たちは、小ロットであっても美しいものを届けていきたい。もちろん効率性は重要ですし、スイスでは、日々生産プロセスを革新しています。けれど重視するあまり、本当にお客さんに届けたいものがつくれなくては本末転倒だと思うんです。」


今回入社する人は、どんな風に働くのだろう。

「法人営業を担当します。お客さんは、デパートやインテリアショップ、カーテン屋さんなどの小売店。そしてハウスメーカー、設計事務所、インテリアデザイン事務所などさまざまです。ファブリックが使われる場所も、住宅のカーテンはもちろん、オフィスや病院、美術館といった公共施設の実績もあります。」

「異業種から来ても面白いと思いますよ。プログラムを組んで一から教えます。2、3年後に自分で仕事をとってきたり、新しいことに取り組んでいるイメージです。まずはお客さんへの提案の仕方を学んでほしいです。ファブリックからの提案なので、お客さんの意向をきちんとくみとれるか。また、カーテンという完成形のイメージをお客さんにきちんと伝えられるか。その点が、カーテンの営業の難しいところだと思うからです。」

ハウスメーカー向けの営業を行っている入社6年目の高橋さんにも話を聞いてみる。

「ファブリックの種類が多いこともあり、慣れるまでは少し大変でした。ハウスメーカーには、インテリアコーディネーターという方がいます。その方にイメージをうかがったり、床材や壁の色、家具といった家の環境を聞きながら、まずはファブリックを提案していくんです。それから、カーテン、シェード、バーチカルブラインドといったタイプを決めます。最後に決めるレースとドレープの組み合わせは特に頭を使うところです。」

「なので、コンビネーションガイドをはじめとした営業ツールを作成しているんですよ。」

そう言って、管理部の松下さんがパンフレットを広げてくれた。実際に組み合わせた生地を取りつけた場面を見ることで、イメージはぐんと具体的なものになるだろう。

お客さんとイメージをきちんと共有することが営業のポイントとなりそう。中島さんが、普段の営業において心がけていることを話してくださった。

「丁寧にやりとりをすることです。クライアントである設計事務所さんから見て、カーテンは意外と見落とされがちなところなんですね。建物の設計から家具、水回り、窓だけでも大変。そうするとカーテンはお手上げということが少なくないです。ときには、カーテンを設置するスペースが設計段階できちんと確保されていない、なんてこともあるんです(笑)。」

「ただ、最終的に決めるのは僕らではなく設計主さんであり、お施主さんですよね。こちらがぐいぐいと引っ張っていくよりも『どんなイメージですか?』『それなら、こういったものがありますよ』と、きちんと要望をうかがい、それに合わせた提案をすることが大切だと思います。」

一緒に働く人も増えて、今後バウマンはどんな姿を目指していくのだろう。

「自分たちが大切にしていること、ものづくりに対する姿勢をもっと人に伝えていきたいんです。『バウマンってこういう考え方だよね、ブレないよね』。そのように共感してくれる人を増やしていきたい。具体的には、設計事務所やインテリアコーディネーターの方といったクライアントであり、実際に家でカーテンを使ってくださる方のことです。」

ここで高橋さんがこんな話をしてくれた。

「受注には至らなかった物件だったんですが、担当のインテリアコーディネーターさんが自宅で使ってくださったんです。その方からは『とても気に入っています』という言葉もいただきました。そのときに魅力や思いは伝わるんだと実感できたんです。」

「バウマンのカーテンを扱うことができてよかったです。私自身、仕事を通して好きになっていきました。けれど『バウマンでカーテンをつくりたい』と言っていただけるようなブランドには、まだなれていません。魅力をいままで以上に発信していきたいと考えています。」

自分の生活を振り返ってみても、カーテンは予算ありきで「まぁこんな感じかな」と選んできた。けれど、つくり手の思いに触れる機会があれば、選び方は変わってくると思う。

魅力を伝えるために必要となるのは、取扱店の数を増やすことよりも、ショールームのような場で、お客さんと直接話す機会を大切にすること。現在は、オーダーの9割以上が法人からだが、今後はショールームで、エンドユーザーの方に伝えていく仕事も増えそうだ。

また、お客さんとの会話から色々なアイデアが浮かぶこともある。

「Atomic(アトミック)という、メッシュで伸びるファブリックがあります。あるデザイナーさんが面白いね、カーテンに使ってみたいと言ってくれたんです。実は、実際にカーテンに仕立てないことには、どんな風になるかわからなかったんですよ。もしかするとクレームになるかもしれない。だって、伸びるカーテンなんて聞いたことがないでしょう?(笑)それでも、デザイナーさんには一通りのことをお伝えして仕上げました。バウマンのファブリックには、触れた人の想像を膨らませたり、ときには感情を呼び覚ます力があるようです。そうした、お客さんのイメージを形にするお手伝いも私たちの仕事です。」

松下さんは、バウマンの生地からバッグをつくったお客さんを見て、社員が好きな生地のバッグを持ち歩いては、と考えた。

「ファブリックの魅力は、ショールームで実際に触れていただかないと、なかなか伝わりません。そこで、社員がそれぞれ好きな生地でつくったバッグで営業に出て、『どこのブランドですか?』『うちの生地なんですよ』。そんな会話が生まれたら楽しいと思うんですよ。その方にスタッフ用のバッグをオーダーしてつくってもらったんです。」

魅力の伝え方も、お客さんと直接やり取りするところから生まれるのかもしれない。

最後に、高橋さんがこんなことを話してくれた。

「入社6年目のいまでも、新しい案件を担当する度に、わからないことがたくさん出てくるんです。家の広さや、家具、床材の色といった環境、そして好みは人それぞれ。それまでの経験が全然通用せず『えっ?』と驚くようなことに出会うんです。カーテンって本当に奥が深いな、と日々感じています。」

(2014/10/6 大越はじめ)