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地域という言葉が目に飛び込む機会が増えました。雑誌での特集、地域系クラウドファンディング、地域で起業をするプログラム、はたまた地域の人に出会うフェア…流行ではなく、一つの分野として地域という言葉が定着したのでしょう。
なんとなく移住が気になっていたり、いつかはUターンをしたいと思っていたり。
気にはなっているけれど、はじめ方がよくわからない。今回は、地域と自分を見つめるプログラムの紹介です。

11月のオリエンテーションにはじまり、3回の講座と2度の現地フィールドワーク。そして来年3月には地域の方に向けたプレゼンテーション。
社会人は社会人。休日をいかして、仕事を続けながら取り組んでいけます。まずは気軽に読んでみてください。
地域イノベーター留学を運営するETIC.は、東京・渋谷にあります。
今年から本プログラムを担当している林春野(はるの)さんが、紹介してくれました。

参加者も地域も、お互いに変化していくことを目指しています。
これまでに220人が36の地域へ入りました。そのうち29人がUIターンをしています。
「修了後、地域とどう関わっていくかは個人に委ねています。UIターンが正しいゴールで、移住する人数を増やそう!とか、プログラムに参加することでこうなってほしい、とは思っていないんです。それよりも一人一人にとって、自分はどういう風に地域と関わっていくのか、その人なりのイメージをつかんでほしいんです。」

東京を拠点にしながら、地域の情報を発信するハブとなる人。いまの仕事は続けながら、地域に通う人。そして、移住する人。
けれど、人それぞれだという。
「ある方は、地方に行くことを決めた上で、いまの自分に足りないものを身につけるため、地域系のコンサルティング会社に転職。その後茨城県へと行きました。また三重県尾鷲市ではプログラムを経て、地域おこし協力隊として移り住んだ人もいます。東京に生まれ育った人が、やはり自分は東京に暮らし続けようと納得することもある。」
これまでの参加者は参考になりつつも、最後はその人次第のようです。
まずは真剣にプログラムに取り組んで、見えることがあるようです。
「いわゆる勉強とは少し違うかもしれません。もっと血が通っていて、自分の生活につながるものだと思います。」
これまでは参加者が4人一組で地域の抱える課題に取組み、プレゼンを行ってきました。

「提案に終わることなく、実行に移していくにはどうしたらよいのだろう。」
そこで今期は、2つの取組みをあらたに盛り込んでいる。
「一つは、地元の中小企業との連携です。一地域につき2、3社の中小企業とご一緒します。地域の可能性を知った上で企業の抱える課題への提案を行います。さらに今回は、地元の若手社会人も巻き込んでいきます。」
地域には、青年団や祭りへ積極的に参加している人。Uターンして家業を継いだ人。地域に何かしたいけれど、方法がわからずにいた人。地域を自分ごととして捉えている人たちがいます。
地元からも4人を募り、8人一組のチームで進めていきます。
林さんは、過去の受入地域で企業を巻き込んだ事例を紹介してくれました。
舞台は、高知県の土佐市。鰹節発祥の地でもある宇佐地区は、基幹産業である漁業の高齢化が進む。
そこで動いたのは、地元の吉永鰹節店。
消費量の減少している鰹節だけでなく、酒の魚に喜ばれる酒盗、鰹の角煮、鰹ご飯のもと。消費者の生活に合わせた商品開発を手がける海産ベンチャー企業。
交流人口を増やすことから、地域の持続可能性を実現していきたいと考えた。
そこで都市部に住む若者がプログラムに参加。
地域にある暮らし・仕事の魅力を発信する宇佐の応援団として、体験型の交流プログラムを立案していきました。

実際にプログラムに参加すると、どうなっていくのだろう。
林さんは前期を事例に、一連の流れを紹介してくれた。
まずは東京で講師の方を招き、地域に入る前の心構えから、ロジカルな思考法までを学びます。
講師となるのは、ビズデザイン株式会社代表取締役木村乃さんや、尼崎市顧問で高知大学の客員教授船木成記さん、株式会社知識創発研究所代表取締役CRO松﨑光弘さんなど。
どの方もビジョンとスキルを持ち、地域活性に取り組まれている方。学ぶことは多いという。

「参加者のなかには、全国的に過疎化が進むなかで『地域を何としても残そう』とか『移住人口を増やすのがよいこと』と思い込んでいる場合もあります。たとえば、ゆるやかに人が亡くなっていき、気づくと消滅する村は不幸なんでしょうか?地域にとって何がよいことなんだろう。前提を見つめた上で、地域の今後を考えていきます。」
その後は2度のフィールドを行います。
受入先は北海道から沖縄まで、複数の地域にわたります。
前期の受入先の一つ、群馬県みなかみ町藤原地区。
約450人が暮らす地域です。
現地に入ると、地域コーディネーターと呼ばれる方が構成したプログラムを元に、まずは地域を回ります。

地域にある資源をつなげていくための考え方が大切になるという。
「最初は目についたものを、漠然とつなげたくなるかもしれません。たとえば面白い人がいて、いい感じの古民家に住んでいるから、カフェをやってもらおう。けれど、それでは提案が浅いんです。」
「地域はこれからどうなっていきたいのか。そのためには、どの資源をどんな風につなげて活かすのか。プログラムでは、修了後も自分のフィールドで活かすことのできるロジカルな考え方を身につけます。」
みなかみでは、外から人が訪れることが必要という結論に。
一口に外の人と言っても、UIターン者、観光客、移住潜在層まで幅広い。そこからが大変だったという。
「フィールドとなった藤原地区は、過去に合併しているんです。行政上は同じ町でも、旧水上町から見た藤原地区は“滅多に訪れることのない山奥”でした。まずは旧水上町の人に来てもらおうという意見も出ました。」

「最終プレゼンの直前は、毎日仕事終わりに集まって、前日は徹夜のまま、プレゼンを迎えて… そうした話も耳にします。日常生活で、そこまで真剣になって考えごとをしたり、ときには人とぶつかりつつ話し合って。そういう機会はなかなかないと思います。そこで見えてくるものはたしかにあります。」
林さん自身が地域に関わったことがきっかけとなり、3年前からいまの仕事に就いた方。
芸大では映像・舞台を専攻。卒業後、静岡県の旧三ヶ日町に映画製作のため、一週間滞在しました。
「地域の人に喜んでもらえたら。そう思い映像をつくったんです。エンドロールに一人ひとりの名前を入れると、喜んでくれて。同時にわたし自身、こんなに多くの人に関わってもらえたんだ、と有り難みを感じたんです。」
現在も三ヶ日に通っている林さん。
自分一人がいくつもの地域を回って映像を撮るよりも、地域で活動する人を増やしたいと話す。

地域には居場所があるのでしょうか。
「それもあると思います。でも、寄りかかるような感じじゃないと思いますね。人は求められることで、力を伸ばそうとするもの。地域をきっかけに、自分自身が変わっていけることもあると思うんです。」
現在進行しているチームで、こんなことがあったという。
4人編成のチームには、社会人になって2年目の女性がいた。他のメンバーに比べて、社会人経験が乏しいことを引け目に感じていたそうだ。
「でも、魅力に気づける力がありました。すごい感動できる人なんです。おいしい、面白い、うれしい、たのしい。聞いている地域の人たちが引き出されたり、気づくこともあったようです。同じチームの仲間にも影響したと思いますよ。」

「移住も、その結果の一つだと思うんです。」
地域をきっかけに、自分自身の今後を考える機会とも言えます。
今期の受入先は、北海道小樽市、新潟県長岡市、秋田県の大舘市・横手市、長野県の塩尻市・上田市、静岡県浜松市三ヶ日町、三重県尾鷲市、鳥取県八頭町。
プログラムがはじまれば、あとは自分次第。
もちろん「すぐ起業しよう」と思う人に応えられるフィールドでもあります。
積極的に動くと、自ずと地域からも求められるもの。
過去には、プログラム修了時のUIターン・起業を見込み、会社を退職して参加した人もいます。
特に今年は、企業の方に向けた提案を行います。地域で働き暮らす人の顔が、従来以上によりはっきり見えるからこそ、参加者自身のやる気が引き出されやすい環境かもしれません。
林さんはこう補足します。
「5年目を迎える地域イノベーター留学も、年々変化しています。もし、名前を知っていて、いつかやろうと思っていた人には、ぜひ今期参加してほしいです。特に今回は、地元の若者と一緒に活動できる珍しい機会でもあります。」

全国の地域コーディネーターが一同に会し、各地域の話を聞くことができます。過去のプログラムに参加したOBや、ETIC.の方も出席します。まずは下記「問い合わせ・応募する」より、気軽に申込ください。
興味はあるけれど予定が合わない場合の問い合わせも、下記よりどうぞ。
(2014/10/11 大越はじめ)