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一人ひとりに向き合う

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

神奈川・小田急線の柿生駅から徒歩7分ほど。坂を上がったところに障がい者就労移行支援事業所「働くしあわせJINEN-DO」があります。

「働くしあわせJINEN-DO」では、うつ病など精神疾患の方の再就職を支援しています。

ここへやってくる利用者の方が目指しているのは、単に就職することではなく、その先にある“働くしあわせ”の実現。

「働く人が誰かの役に立ち、必要とされる喜びを感じながら働いて、『この会社で働けてしあわせだ』と思える。企業は安心して雇用することができ、『この人を採用してよかった』と思える。そんな企業と働く人にとって当たり前の関係を、障がい者雇用の世界でも当たり前にしていくことに取り組んでいます。」

そう話すのは、「働くしあわせJINEN-DO」を運営している一般社団法人働くしあわせプロジェクトの代表理事、石田さん。

精神疾患のある利用者一人ひとりに向き合い、障がい者雇用を取りまく問題の解決に石田さんたちと一緒に取り組んでいく人を募集します。

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石田さんが会社を立ち上げたのは2年前のこと。

以前は、経営コンサルタント会社で中小企業を中心にコンサルティングをしていたそうだ。

「もともと障がい者のことをよく知りませんでした。子どもが生まれて、3歳のときに知的障がいがあるってわかったんです。彼はもう働けないっていう思い込みがあって、将来に対する不安からそのときは受け止めきれずにいました。」

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あるとき、障がい者が多数雇用されている会社のことを知る。それと同じような会社を増やしていけば、子どもが就職する際の選択肢が増えるんじゃないかと石田さんは考えた。

「ただ、障がい者の働く場が広がっていくために、法律で障がい者雇用を義務づけ、企業側に努力を促すだけでは片手落ちなんです。」

「いま精神障がい者の雇用が広まりつつあります。しかしその一方で、本人に合わない働き方をして早期に離職するケースが後を絶ちません。この問題をそのままにしておけば、『安定就労は無理なんだ』という精神障がい者の雇用に対しての誤った認識が広まってしまいます。」

精神疾患のある人がセルフケアのスキルを身につければ、無理なく本来の力を発揮できるという。さらに企業が必要な配慮を提供すれば、安定就労を実現できる。

「本人に障がいがあっても職場に貢献できる人材になること。企業が多様性を活かせる職場をつくること。お互いの努力があってこそ、理想の関係がつくれるんですね。」

そんな企業と働く人の理想の関係をつくるため、障がい者就労移行支援事業所「働くしあわせJINEN-DO」を2012年にオープンさせた。

「働くしあわせJINEN-DO」では、パソコンの操作方法など、単に手先のことだけを教えることはしない。気力・体力・コミュニケーション能力・配慮要求力・習慣形成力、この5つを利用者が身につけられるように様々なプログラムの提供と個別の相談援助を行っている。

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5つの力は、人が働くために必要なこと。障がい者に限らず、どんな人にも当てはまる。

「精神障がいがあるということは、何年間も社会ブランクが発生していることが多いんですね。不規則な生活を送っていたり、人とまったく接していなかったり。引きこもりのような生活の中でいつの間にか身についた悪習慣が沢山あるものです。それらを疾患と分けて整理し、丁寧に取り除くと、本人が見違えるように輝き出すんですよ。」

そう話すのは、理事の北村さん。

北村さんは一般社団法人働くしあわせプロジェクトの立ち上げメンバーで石田さんと同い年。

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北村さんは、セルフケアの訓練にもっとも力を注いでいるという。

「精神疾患は周囲から見ていても、その時々の状態が分かりにくいものです。元気なのか、状態が悪いのか、一緒に働く上司にはわからない。人によっても必要な配慮は違うから、どんな配慮を提供したらいいのか理解できないんです。」

「では、誰がその人の状態を把握し、必要な配慮を伝えられるか。これは本人だけなんです。精神疾患のある人が安定就労するためには、こうしたセルフケアのスキルが必要です。」

大切なのは早く復帰することではなく、自分自身をセーブできたり、必要な体力をつけたりすること。

プログラムは3つの段階に分かれ、利用者はトレーニングステージから実習ステージ、そして就職ステージへと、じっくりと時間をかけて次のステップへ進んでいく。

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北村さんは、これまで人事のコンサルタントや企業経営をしていた。

「僕は自分の仕事が福祉だと思ってやってないんですよ。ここは、利用者さんが世の中で普通に生きていけるようになるためにトレーニングする場所だと思っています。社会に馴染むように、そのステップをつくる場所。だから、ときには利用者さんが嫌がるだろうなってことも、僕は恐れずに話します。」

それは障がい者というくくりにせず、利用者一人ひとりに向き合っているから。

「いまでは先輩利用者たちが僕たちの考えをとても深く理解してくれています。『仕事とは他人に貢献すること』と伝えているので、成長した彼らは新しい利用者に丁寧に関わって、僕らと同じように大切なことを伝えてくれるんです。みんながお互いに支援し合って、価値観が自然と継承される文化ができているのが誇りですね。」

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仕事の難しいところはどんなところですか?

「いろんな難しさがあります。利用者の多くは自分のことが嫌いなんです。というのも、精神疾患は後天的なもの。それまで普通に過ごしてきたのに、何か大きな出来事があって発症すると、いままで当たり前にできていたことができなくなる。だから、うまくできなくなった自分にダメ出しをして生きている。そのことを理解した上で関わることが必要です。」

働くしあわせプロジェクトでは障がい者の就労移行支援に加え、障がい者を受け入れる企業側への働きかけも行っている。企業にマネジメントのノウハウを提供したり、社内の精神疾患の方の復職に関するアドバイスをしたり。

また、行政や地域の関係機関に自社独自のセルフケアのノウハウを広く公開して、連携を図っている。

そういった取り組みを行っているのは、障がい者だけでなく、広く社会全体を見通してのこと。

「正直、法律があるから障がい者が雇われているという現状がある。だけど、そこに違和感があります。彼らは健常者と何ら変わらない価値を持っているんです。僕たちは、あらゆる人たちに価値があることを証明しようと考えて、実行しています。」

「いまは価値がないと思われている人たちも含めて、あらゆる人の資産価値が最大化されていく。日本は世界の中でもっとも人が価値を発揮できる国なんだと。それが実現すれば、これほど社会貢献できることってないんじゃないかなって思います。」

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ここでは、「やりたい」と手を挙げた人に仕事がどんどん任される。「まずは自分たちが働くしあわせを手に入れる」という共通の考え方がある。

一つひとつの仕事は社会へ広く働きかけていくために必要なこと。ここで働く人には社会的な広い視点や、働くしあわせプロジェクトをどうしていくかといった組織的な視点を持つことが大切なんだと思う。

石田さんと北村さんに聞いてみた。どんな人と一緒に働きたいですか?

「ここは人を育てるというより一緒に育っていく感覚があります。人や組織の成長に貢献できることを素直に喜べる人がいいですね。」と石田さん。

「『自分が源泉の人』ってよく言うんですけど、自分で自分自身も周りもしあわせにできる人。自分で考えて決断して行動できる人かな。」と北村さん。

 

もうひとり、立ち上げメンバーである古川さんにも話を聞きました。

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以前は高齢者向けの訪問介護や、就労支援会社でジョブコーチとして働いていたという古川さん。

ここでは講師としてプログラムの運営を担当している。

「障がいについて基本的なことは知っていたほうがいいですけど、もっと大切なことは、目の前の人と向き合うこと。この疾患にはこんな症状が出る、という症例だけにとらわれず、その人がどうなのかを見ることが大事です。これって障がいあるなし関係なく、人との関わり方なんじゃないかなって思います。」

そうして関わっていると、小さな変化にも気づくことができる。

「利用者のみなさんの成長が見えるんです。自分が必要なくなってるって。」

必要なくなる?

「これまで支援の仕事をしてきて気づいたのが、自分が必要とされなくなったときが、相手の成長のときなんです。私が段取りを組み、介入しなくても、利用者さんたちが自主的に動いてくれるようになるんです。」

「うちで一番自慢できるのは文化です」という北村さんの言葉を思い出した。

毎週金曜日に行われている一週間の振り返りプログラムでは、利用者同士で相手のよいところを指摘し合ったり、励ましたり、改善アドバイスを伝えたりしているという。

「先輩利用者の多くは、私たちと同じくらい大切なポイントを掴み、自分だけでなくほかの利用者の価値観を認め合って、その人の価値を見出だしているんです。」

「『私もはじめはできなかったけど、こんなことからはじめたら、いつの間にかできるようになってたよ』って。それがほかの利用者さんの勇気になって、やってみようと思える。それで自分でも実践して、自分のことを好きになって、自分を輝かせ、やがて外へ出ていく。そういう人が増えていくのが嬉しいですね。」

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日々利用者の人と関わる仕事に加え、少ない人数だから、様々な仕事も任される。そのなかで、何をやっていくか、自分の仕事を自分で探すことが大切だと古川さんは話していた。

はじめのうちは、社内での自分の立ち位置を探すことになると思います。福祉というより、就職支援の仕事だから、社会で働いたどんな経験でも活かせるはず。

利用者との関わり方は、じっくり時間をかけることでだんだんと分かってくると思います。

最後に、石田さんがこう話してくれました。

「人生の中で働くことが占める割合って大きいと思うんです。私はいつでも自分の人生これでいいと思いたいし、半分くらいはすでにそう思えてる。新しく加わる方にもそう思ってもらえるように、これからも職場をつくっていきます。関わった人の人生が輝くように応援することで、自分の人生も輝く。そんな仕事に関われてよかったと感じてほしいです。」

一人ひとりと丁寧に向き合っていく。そうやって働くことで、自然に自分も働くしあわせが感じられる職場だと思います。

(2014/10/27 森田曜光)