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いつ、どこで、誰と、どんな風に。人は、出会いによって変わっていくものだと思う。
今回はそんな場面を演出する仕事です。
一日限りのイベントから、6年目を迎えるプロジェクトまで。
様々な場面を、企画立案から実施運営、フォローアップまでトータルプロデュースするのが、株式会社サンプラックスです。
ここで働く仲間を募集します。
東京・神田淡路町。
かつての淡路小学校を整備したWATERRAS COMMON(ワテラスコモン)で話をうかがいました。
まちの魅力を発信しつつ、新旧の住民が交流できる場として誕生。サンプラックスは、管理運営を委託されています。
サンプラックスは、代表の齊藤さんが2008年に立ち上げた会社。
齊藤さんは、ディスプレイや舞台をつくる仕事をした後に制作会社へ入社。そこで「朝EXPO in Marunouchi」に出会ったことがきっかけとなり、起業。
その後、朝EXPOは、丸の内朝大学へと展開していきます。
丸の内朝大学は、大手町・丸の内・有楽町エリアをキャンパスに見立て、朝7時台から開校する市民大学です。
ソーシャルビジネスから、地域、食、からだまで幅広い学部で、約30のテーマでクラスが催されています。
たとえば、心体学部のZEN呼吸法クラスでは、公園の一角を借りて、からだと心を整えたり。
あるいは環境学部の地域プロデューサークラスでは、教室での座学を経て現地のフィールドワークへ。地域の課題を解決する企画のプレゼンを行いました。
参加するのは、東京23区で働く20〜40代が中心。
年間で延べ3,000人以上が受講するまでに広がった理由の一つは、コミュニティにあるようです。
「ただ時間を有効に使うための“朝活”ではないんです。受講生同士はもちろんのこと、運営、講師、会場。職場と自宅の往復だけではなかったような出会いが生まれ、コミュニティが育まれていきます。」
様々な関係者の間に立ち、調整を行うのがサンプラックスの役割。
「一言でいえば僕らは事務局です。色々なものを繋げて、丸くして、全体が回る潤滑油になっていきます。」
そう話すのは、朝大学を担当する山本さん。
「朝大学は、3ヶ月間を1学期として、春夏秋に開校しています。年間の企画会議を行い、各コマへと落とし込んでいきます。プログラムづくり、WEBでの募集、入金管理、当日の受付まで。幅広く手がけています。外部と連携して、制作物をつくることもあります。」
山本さんは前職で、元プロ野球選手を全国の少年野球教室へ派遣するマネジメントの仕事に就いていた。
「僕は高校球児だったんですよ。会社を退職後、ワーキングホリデーでオーストラリアに行きました。帰国して、これからどうしようかと考えているときに、仕事百貨でサンプラックスの求人を見つけました。前職で人と人をつなげた経験を、あらたな分野で活かしたいと思ったんです。」
山本さんは、入社して3年目を迎える。
朝大学は、受講生とともにつくっていくもの。
各クラスには、受講生を代表するクラス委員が置かれる。その生の意見を聞いて、運営に反映することもある。
日々調整のくり返しだという。
右が山本さん
6年目を迎え事務局として心がけているのは、質の充実。
「やみくもにクラス数や受講生を増やすことは考えていません。それよりも、一つひとつのコンテンツの満足度を高めたい。そして、よりよいコミュニティが生まれる場にしていきたいんです。」
この2年間ほどで、受講生からの発信が増えているそうだ。
丸の内チアダンスクラスからは、チーム「モーニングダイアモンド」が誕生。テレビクラスの卒業生有志は、インターネット放送局「朝大学テレビ」を立ち上げた。
さらにこの秋には、元受講生のユニット「Theatre at Dawn(シアターアットドーン)」がミュージカル観劇クラスを立ち上げることに。
Theatre at Dawnは朝のカフェを劇場に変えて、落語やミュージカルを公演してきた。
山本さんは、思いの実現に向けたサポートも行っていきます。
「受講生たちがとても熱心なので、僕ら事務局も応えたくなるんです。さらに、その熱がまちに伝わることで、会場を快く貸してくれることもあります。」
「一方、会場を提供してくれる飲食店では、スタッフの手配も必要になります。売上げ貢献や集客増加といった目に見えるメリットも伝えていきます。」
まちづくりの一環として誕生した朝大学は、丸の内に根づきつつあります。
「アクションの先に、あたらしいことがはじまる予感があります。だから、前向きになれる。そして、関わる人たちの熱のやりとりが、どんどん伝播していく。6年目を迎えて、そうしたプロジェクトに育ってきたと思います。」
サンプラックスでは一つの事業から、別の事業へと派生することが珍しくないという。
朝大学の事務局運営からのつながりで携わることになった「まるのうち保健室」を紹介します。
このプロジェクトの立ち上げから担当したのは石川さんです。
「これから、ますます女性の活躍の場は広がり、働く女性は更に増えていくでしょう。一方で、日本の少子化問題は多く取り上げられており、これからの女性はキャリアを積みながら、妊娠・出産・育児といった大きなライフイベントを両立できる環境と健康なからだが必要になるはずです。」
「女性が、自分のからだについて知る機会をつくりたい。そこで、毎月第4金曜日に、女性専用の健康診断を行うまるのうち保健室がはじまりました。」
保健室というネーミングには、こんな思いがある。
「男性と女性のからだは違います。けれど、健康診断では女性のからだに合った検診が受けにくいのが現状です。かと言って、産婦人科はちょっとハードルが高いという人も多いです。そういった女性が気軽に訪ねられる場を目指しているんです。」
この保健室は、ワンコインで体組成計・ヘモグロビン・骨密度を測定、食事調査票を用いて食生活の現状を把握し、女性管理栄養士のカウンセリングを受けられるという内容。
募集を開始したところ申し込みが相次ぎ、3ヶ月先まで埋まっているという。
「女性の働き盛りは、妊娠適齢期とも重なります。一生懸命働く人たちが、自分のからだを知り、生活を考えるきっかけとなる。そんな気づきのプロジェクトになっていけばと思います。」
今後は、丸の内の飲食店とメニュー開発などのコラボレーションも検討している。
ビジネスの中心地である丸の内から、まちぐるみの取組みを展開・発信していきたいと話す。
サンプラックスでは、プロジェクトの事務局だけではなく、イベント運営も行っています。
続けて話を聞いたのは、玉田さん。
大学院の建築学科で、まちづくりを専攻。仕事百貨経由でサンプラックスへとやってきました。
現在はイベントのプロデュースを担当しています。
イベントの内容は、株主総会から住宅の展示会、周年イベントまで幅広い。
玉田さんは、この日の取材場所であるワテラスの一周年イベント「WATERRAS BLOSSOM」を例に挙げてくれました。
「最初の打ち合わせで施設側は、一周年を迎えるにあたり、イベントを行いたいということでした。ジャズライブ、広場でのマルシェ、子ども向けアトラクションというコンテンツも固まっていました。けれど、そもそも『なんのために行うのか?』という目標設定があいまいだったんです。」
「施設のコンセプトは何か。一言に集客と言っても、外から人を呼びたいのか、地域の人に何かを還元したいのか。クライアントさんと一緒に、まずはコンセプトを組み立てていきました。」
すると、地域の人に来てほしいという思いが浮かんできた。
そこで玉田さんは、こんな提案をもとに、話し合いを進めていった。
ライブステージは期間に関係なく、設営・撤去に多く費用がかかるもの。それならば、一週間設置してみてはどうか。
地域に住む高齢者に来てもらうには、ジャズライブ以外にも企画が考えられないか。
そこにマルシェや子ども向けの企画を組み合わせることで、多様な人が交流できる場を目指してはどうか。
「僕自身はマルシェに出展したり、ステージでパフォーマンスを行い、お客さんと直接やりとりするわけではありません。けれど、舞台裏から見ている方向は同じです。一緒に一つの舞台をつくっていると思います。」
玉田さんは、プロジェクトの事務局も、イベント運営も共通することがあるという。
「人の思いを形にしていく。それがサンプラックスの仕事だと思います。そのための日々の仕事は調整、調整を繰り返す地道なもの。立場が違えば、意見も人それぞれ。その間に立ち、ちょうどよい落としどころを見つけていきます。」
限られた時間の中で、まずはプロジェクトやイベントの形に落とし込むことが必須となる。
「人の意見は聞きつつも、全ての人が完全に納得した上で進めることは難しいです。最後は自分で方向性を判断していくことも必要なんですね。その上で、どれだけクオリティを高めていけるのかが大事です。」
最後に代表の齊藤さんが、スタッフ一人ひとりの補足をしてくれました。
「野球経験者の山本は、朝大学でスポーツジムさんなどと新しい関係をつくっています。建築出身の玉田は図面を用いることで、より深いイベント企画を行っています。それから、丸の内の金融会社から転職。前回の記事にも登場したのが藤原です。彼女は出産を経て、現在は子どもを連れて出社することもあるんですよ。サンプラックスは、一人ひとりのカラーを出して働ける場だと思います。」
とはいえまだまだ小さな会社。
「環境は人に与えてもらうのではなく、一緒につくっていきたいですね。自分で考えて動いていける人がよいと思います。」
デザインなどは外部とも連携しつつ、編集や制作に携わることもある。WEB制作の経験があればどんどん活かしていける。ない場合でも、仕事の領域を広げていくことは歓迎。
丸の内朝大学、まるのうち保健室、そして多様なイベント。はなやかな舞台の裏は地道なことも多いでしょう。
同時にその人の色がいきる仕事です。人と人を結ぶ。気づけば、いなくてはならない、人に頼られる存在になっていくと思います。
(2014/10/4 大越はじめ)