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枠を超えて

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「デザイン会社が自社商品をつくりお店を開店する。さらにコンサルティング会社も目指していく。いろんなことをやっているのは、クライアントに必要とされるパートナーになるための基盤づくりなんです。」

大阪市・京町堀にCEMENT PRODUCE DESIGN(以下CEMENT)という会社があります。

デザインを請けるだけでなく、全国の地場産業と協業した自社商品の開発・販売から、イタリア料理店の運営まで。デザイン会社の枠を超えて、あらゆるかたちの仕事にチャレンジしている会社です。

今回は、CEMENTの東京支社で働くデザイナーを募集します。

WEB、プロダクト、広告、ブランディングなど、さまざまなデザインでクライアントの課題を解決していく仕事です。

 
表参道駅から歩くこと5分。

東京・南青山にあるCEMENTの東京支社を訪ねた。

cement01 代表の金谷さんは、もともとデザイン出身ではなく、独立する前は営業職として企画制作会社と広告制作会社で働いていたという。

どうして、いまの仕事をはじめたのだろう。

「前職では、ひとつの会社の広告媒体だけを扱っていて、同じ会社の仕事しかできなかったんですね。それなら、クライアントさんと直接仕事ができる、サービス業をやろうと。持っているアイディアやクリエイションを自分たちから発信したいという気持ちもあってデザインという事業の他に、自社商品の開発から販売まで、自分たちでやってみようとはじめたんです。」

ひとりで会社を設立。当時は、営業と企画を金谷さんが、デザインは外注で仕事を進めていた。

翌年から徐々にスタッフを増やし、仕事の幅も広がっていく。そして商品づくりをはじめた。

「はじめたんだけど、やったことないから何もわからず、やっぱり苦戦しました。うまく商品がつくれなかったりして。」

「最終的に行き着いたのが、金属を加工したクリップ。形が複雑で特殊な金型が必要なので、『100万円かかる』って言われたんですよ。僕はそのとき自己資金3000円くらいしかなかったですからね(笑)。やっとの思いで生産をスタートさせて。これが最初の自社商品ですね。」

cement02 自社商品を売ることで、取引先のお店からマーケット情報が得られるという。

「これが売れて、あれが売れてないのかと。僕らの企画やデザインは、資本主義社会の商流の上に成り立つものですから、デザインを裏付ける情報は重要です。」

さらに、自社商品は次の仕事につながる“きっかけ”にもなる。

「事務所にとじこもって商売していても、仕事をくれる人なんていないですよね。自分たちの商品を売りに行くことで、取扱先のお店に必要なデザインを提案することもできるんです。」

たとえば、お店の封筒やショップカード。グラフィックの仕事を頼まれていたクライアントに、キャンペーン商品としてCEMENTの商品を使ってもらうこともあるそうだ。

「自社商品を1個でも上陸させたら、1クライアント。1000件となれば、1000クライアントです。そこにまた必要なデザインが求められれば、次の仕事にもつながる。」

cement03 はじめての自社商品をつくってから15年。約500社ほどの販路を自分たちで開拓してきた。いまも変わらず、自社商品から仕事が展開していくことがある。

だけど、パソコンの性能向上とともに、デザインの仕事が変わりはじめているという。

「簡単なデザインの仕事は、クライアントさんがパソコンをつかって自分でやってしまうんですよね。デザイン会社にはカタチ以上のこと望んでらっしゃるお客さんが増えています。いままではデザインとサービス業だったけど、これからはコンサルタント的な立場でお手伝いさせていただく必要性があると。」

それは、クライアントの現状課題を考察し、商品開発から販売、PRまでを一貫して行うということ。

そういった仕事は既にいくつも手掛けているという。

たとえば、福井県にあるメガネ素材加工メーカーの案件。

はじめは「メガネ関連の仕事が減ってきているなか、いまある素材と技術を使って何かできないだろうか」という相談だった。

金谷さんたちは、現状の設備で加工が可能であり、メガネの製造技術を活かせる“耳かき”を提案。競合リサーチからパッケージデザイン、展示場の演出まで、一貫して企画を行った。

cement05 「Sabae mimikaki」というこの商品は大ヒットし、メーカーの新規事業の売上は5年で10倍にもなったそうだ。

「単にデザインしてお金をいただくだけでなく、自分たちでマーケットをつくり、クライアントにお金が流れるようにしていきたい。我々のような会社が灯台になって広がっていく。そんなポジションに早く立ちたいなと思っています。」

そのためにも、今回はデザインチームのリーダー候補になるような人に来てもらいたい。

金谷さんは、どんな人と働きたいですか?

「自分で考えて動く、“考動”できる人。こんな企画やりたいって言う前に、やったらええと思うんです。資金も出すけど、かっこ悪いものは出すなよって。人っていつ伸びるか分からないので、いまある勢いを消したくないんですよね。」

 
デザインチームにはどんな人がいるのだろう。東京支社のデザインチームリーダーである綱川さんにも話を聞いてみた。

まずは、どんな経緯でCEMENTに入社することになったのか。

cement06 右が綱川さん
主にエンタメ系のグラフィックを扱う会社で、TVや舞台のパンフレット、それに屋外広告のデザインを担当していたそうだ。

「当然ですが、その会社ではエンタメ系の仕事しかできなくて。これから飽和状態になるデザイナーの世界で生き残っていくためには、もっと広い視野で動いていかなきゃと思いました。」

「それで新しい仕事を探しているときにCEMENTを見つけて、すごく面白そうだなと。」

どんなところにですか?

「ひとつの世界に縛られないアプローチの仕方ですね。ひとつのことしかできないデザイナーではなくて、クライアントの問題を解決するにあたり、ベストな方法を考えられるクリエイター。いまでこそ、いろんな業種に幅を広げるデザイン会社が増えましたけど、当時は新しかったですね。」

cement07 WEBや広告、プロダクト、ブランディング、コーポレートアイデンティティなど。CEMENTのデザイナーはさまざまなデザインを手掛けることになる。

「本当にいろいろやりますよ。結局、やるかやらないかの差というか。」

とある案件では、モデルのスタイリングや撮影スタジオのコーディネートを綱川さんが担当したという。

「予算があまりないけど、『いいものをつくりたい』というクライアントの熱量を感じると応えたくて。それなら足りない役割を自分たちが補おうと。ノウハウを本で調べたり、服を買いに店を回ったりして。」

「時間はかかりますけど、1回でもやってしまうと、やり方がある程度で分かる。次の仕事でプロのスタイリストさんとお話する際、コンセンサスの取り方がまったく変わってくると思うんです。」

cement08 やったことのないことでも、やりたいと思ったなら若手でもチャレンジできる。そんな風土があるという。

「一般的なデザイナーの仕事は、ADが決めた方針に従ってデザインを詰めていく形だと思う。CEMENTの場合は、チーム内で隔たりなく、ベテランも新人も全員でブレストをするんです。新人のアイディアが採用されれば、その人を軸に仕事がはじまる。若かろうが、任せる。すごくチャンスがあると思いますよ。」

綱川さんも、やってみたいと思ったことにチャレンジしているそうだ。

以前担当した、大手デパートの案件の話をしてくれた。

「新しく立ち上がるブランドの広告の仕事をいただいたんですよ。交通広告とか雑誌広告とか。そのうちの一つとして、CMをつくりませんかとこちらから提案して。」

どうしてCMをやろうと?

「単純に、面白そうだからです。渋谷の大型TVにスポットでCMを打つことで、新しい試みをしているというクライアントの意志が伝えられるんじゃないかと。動画をつくれるスタッフはひとりもいないけど、面白そうだからやってみたんです。」

cement09 ただ、やりたいと思えばどんなことにもチャレンジできるわけではない。綱川さんは、やりたいことがクライアントの幸せに向いていることが大切だと話す。

「いつも意識しているのは、長い目で見ること。企業はすぐに変わらないと思っています。いまは目の前の課題を解決するためのデザインだけど、1年後、10年後、クライアントがどうありたいかを見据える。」

「たとえば、ブランディングなら、ロゴをつくる前にまずは企業カラーを提案して、こういう色で統一していきましょうと。ひとつの会社の未来を一緒につくっていく感覚を常に持っています。」

そんな姿勢で相手と向き合いつづけると、いつしか頼られる存在になる。

クライアントの担当者から、社内で提案する企画を見てほしいと、相談されたことがあったそう。

「『綱川さん、聞いてくれますか?』って。まったくお金にならないことですけど、そういう相談をしてくれたことが、すごく嬉しくて。仕事の付き合いじゃなくて、困ったときに僕を頼ろうとしてくれたんですよね。」

cement10 どんな立場の人でもチャレンジするチャンスがあって、デザインの領域を広げていける。自分で考えて動ける人にとっては、またとない環境だと思う。

仕事で大変なところはありますか?

「なんでもやる、ということは膨大な時間が必要です。プラスの提案は、まずは依頼されている仕事をきっちりこなした上でやる必要がある。ということは、必然的にすごく時間がかかるので、体力的にとてもつらいときがあります。」

帰りが遅くなることは少なくないという。みんなでその状況をよくしようと、毎週水曜日を早めに切り上げる日にする動きも出ている。

「なかなか大変だけど楽しいですよ。クライアントとお話して、いろんな問題点を吸い上げたりすると、自分の仕事だっていう意識がすごく強くなる。責任があるからこそ、楽しいと思うんです。ぜひ一緒に働きましょう。」

cement11 会社も、ここで働く人たちも、枠組に縛られず、新しいことに取り組んでいる。

これまでも、これからもずっとそのスタンスは変わらず、CEMENTは成長していく。

新たに加わる人も、はじめてのことにチャレンジしながら成長していける職場だと思います。

今回はデザイナーに加え、営業や企画を担当するプロデュース部のスタッフも募集します。CEMENTの仕事に惹かれたら、ぜひ応募してみてください。

(2014/12/2 森田曜光)