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やったらええんちゃう

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

何かがはじまる場所には、すでにはじめている人がいるように思う。

世の中には誰かを行動させようと、せっせとがんばる人がいたり、ときにはいろんな思惑がうずまいている。でも行動させようとして、仕組みや場所をつくってもなかなかうまくいかないもの。まずは自分が率先するしかない。

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「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々」

踊っている人がいるから、自分も踊ろうと思う。音楽がかかっていても、会場が用意されていても、すぐに何かがはじまるわけじゃない。

そんな阿波踊りの徳島より、久しぶりに神山塾の募集です。

これは地域の担い手を育成するため、神山に滞在しながら学ぶ場所です。ただ、今までのように半年間という長期間ではなく、一週間という短い期間になりました。

自分も行動したいけれども、どこからはじめたらいいか分からない人は、ぜひ読んでみてください。ここにははじめている人たちがたくさんいます。読むだけでも何かのきっかけになったらうれしいです。

東京から飛行機に乗って1時間ほどで徳島阿波おどり空港へ。

そこから車で吉野川を渡り、徳島の街を通り過ぎていく。川沿いに車を走らせると、次第に山がせまってくる。川底には青い石が輝いていて、気持ちが落ち着いていく。

空港から1時間ほどで神山町に到着した。

まず迎えてくれたのが神山塾の担当者である祁答院さん。早速、café ELEVENへ。

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ここはもともと焼肉屋さんだった場所で、神山塾の3期生である神先くんが週3日、シェフとしてイタリアンをつくっている。

まずは過去6回行われていた神山塾について、あらためて祁答院さんに振り返ってもらった。

「ここ数年は神山にサテライトオフィスもできたし、2011年には人口が社会増に転じたというセンセーショナルなことが起きて、神山が全国区になった。神山塾をはじめたときにくらべたら、とりまく環境は変わったよね。」

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「そうなってくると、はじめは『何か自由にできる』という人が多かったけど、だんだん『何か与えてもらえる』ということになったかもしれない。」

たしかに結果がついていくると、そこに行けば「自分も恩恵に預かれる」と考える人が増えていくのだろうな。だからこそ、神山塾もまた少しずつ変わろうとしている。

祁答院さんと話していると、神先くんができたてのパスタが届けてくれた。手があいているときに、神先くんにも話を聞いてみる。

神先くんはシェフのほかにも、いろいろな仕事をつくって、それらを組み合わせながら生きている。

「2012年の4月に神山に来て、半年間神山塾生として過ごしました。3期生は19人。そのうち徳島に残ったのは10人。神山は6人くらいかな。」

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はじめて神山に来たときに、今もここに住んでいるって思いました?

「いや、もう全然。ぼくは終わったら京都に働く場があったので。」

なぜ残ったんでしょう。

「最後の1ヶ月くらい迷って。だんだん神山に残ろうと思う割合が増えていったんです。なんで変わったのかなあ… ケンタさんにも相談していましたよね。」

「…うーん、なんかもったいないっていうのがあって。」

もったいない?

「ここでつくったネットワークとか、自分がやってきたことがそれなりに評価されて、まだまだ継続できそうだとか。やっていけばもっとおっきいことができるな、っていう手ごたえがあったんじゃないですかね。」

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神山塾が終わったあとに、すぐに何かをはじめたわけじゃないという。悩みながらも、週3日のイタリアンレストランをはじめて、屋台を出したり、特産品の委託販売、そして出張カフェなどにつなげてきた。

話を聞いていると、いろんな人と出会い、それが縁になって今の形になっていったように感じた。

場所を移して、今度は粟カフェへ。

ここには神山塾の6期生である五味さんがいた。仕事の手を休めてもらって、神山塾に入る前のことから話してもらった。

「私ここに来る前までは、名古屋のフランス料理のレストランで料理人として働いてたんです。けれどすごい忙しくて大変だった。忙しすぎて自分がよくわからなくなったというか。そんなときに日本仕事百貨を見て応募したんです。」

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知らない土地ですよね。不安はありませんでしたか?

「ほんとうにやっていけるのかなとは思いました。あと行っても何も見つからなかったらどうしようかなとか。」

それでも神山に来た。第1印象はどうでしたか。

「はじめは不安だったんですけど、初日に飲みにさそってもらって、みんないい人たちで。」

「はじめの1ヶ月はみんなスキーランドホテルで暮らすんですけど、そのときも私が料理することが多くて。気づいたら毎日していて。みんなが美味しいって言ってくれたり、地域の方につくる機会もあったりして、いろいろつくっているうちに、やっぱり料理は楽しいし好きだなと思ったんです。」

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そんなときに粟カフェのリュウジさんに誘ってもらった。週2日、土日に朝食の提供をはじめる。

「フランス料理をやっていたので、関係あるものがいいなと思って。そば粉もとれるので、ガレットをつくりはじめたんです。そしたら反響もあって、新聞にも載せていただいたんです。徳島市内からいらっしゃったり、リピーターも増えて、うれしいですね。」

なるほど。不安はなかったですか?

「なにもないですね(笑)ここに住んでいると、心地よくて、なんでもできる気がするんです。」

なんでもできる気がする。

「やろうと思ったときに、それをおもしろがって協力してくれる人が確実にいるというか。ははは(笑)いる気がするんです。粟カフェのリュウジさんとかイッコさん、必要なものを用意いただいたり、野菜をいただいたり。助けてくれる人がいるんです。」

次に訪れたのは、少し奥にある寄居という場所。ここで靴屋さんをはじめようとしている金沢さんにお会いした。もちろん、彼も神山塾出身。

通りに面したバス停のベンチに座って話を伺った。まずは世間話から。

「向かいのキタイクリーニングのキタイさんと一緒に阿波踊りやっているんです。いろいろ教えてくれて。心強いですよ。肩肘張らずに助けてもらいながらやれています。」

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金沢さんは既婚者。結婚したときは名古屋に住んでいたそうで、奥さんの実家が徳島だったこともあり、次第に徳島に惹かれていったそうだ。

「障がいのある人の靴をつくる仕事をしていたんですけど、仕事に限界を感じていて。そろそろ独立したいなあ、と考えていたときに、徳島でやりたいな、と思ったんです。」

「そしたら日本仕事百貨も知って、いろいろなところで神山塾が紹介されていることが目に入ってきて。ちょっと縁を感じたので来てみました。」

神山の印象ってどうですか?

「冬に訪れたんですけど、すっごく寒くて、暗くて。でも食事は抜群に美味しかった。野菜とか、季節になると出回るんですね。いや、おすそわけか。旬のものを旬にいただける。季節によって桜が咲いて、あじさいが咲いて。そういう季節の移ろいを感じられんです。」

「あとは本当にいろんな人と知り合える。田舎なんですけどね。受け入れてくれるし、真剣にやれば教えてくれる。」

それまでの人間関係とは、何か違ったんですかね。

「固まった環境で固まった考えの人たちといたんで。そこから一歩踏み出して、違う考え方の人と出会えたのは、自分にとってはすごくプラスになったなあと思います。」

違う考え方。

「そうですね。今までは周りに相談しても、独立なんて難しいとか、そういうタイプが多くて。実際に独立している人もあまりいないし。でもここでは、自分でがんばっている人とか、いろいろな働き方があって、自分もいいんじゃないかって、プラスに思えるようになったんです。」

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金沢さんはオーダーメイドの革靴をつくろうとしているそうだ。とても前向きにいろんなことを考えていて、話を聞いているぼくも元気になるようだった。

最後に神山塾を運営しているNPOグリーンバレーのオフィスを訪れる。代表の大南さんに、今日聞いてきた話を共有しながら、なぜこんなにもみんなが行動し、地域に残るようになったのか尋ねてみた。

「みんな取り越し苦労をしているわけやな。起こりえんことを、さも起こるような気持ちで予測する。それで自分で自分を苦しめる。勉強熱心なんよな。勉強熱心やけん、本を読んでとか、人の話を聞いて、そこをイメージして問題を解決しようとするわけよね。やけど、人間ってそれほど予測する力って持ってないんで。」

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たしかに、やってみないとわからないですよね。

「大きな一歩踏み出さんくても、小さな一歩でいいと思うよな。そしたら、徐々にものごとが見えてくるけん。あとは反復運動やな。そしたらどんどん見えてくる。」

そんな小さな一歩を、なぜ神山では踏み出しやすいんでしょう?

「最近同じようなことを聞かれたときに『グリーンバレーはベンチャーだから』って答えてるんよな。」

たしかにまず覚悟をもってはじめている人がいるから信頼できる。

「だんだんと行動する人間の場ができあがっとると思うんよ。しかも人が少ないから、そういう人と出会いやすい。東京やったら1000万分の1が、こっちは1000分の1くらい。確率が高い。これは過疎のプラスよ。」

「マイナスなことは、みんなが感じていること。ほやけど、普通の人はそのうらっかわを見ない。いろんなもんが眠っとるんやけどな。掘り起こされていないわけよ。そして何かやりたいことがあっても、うちは否定せずに『やったらええんちゃう』って話す。」

ここにはベンチャー企業のように、誰に言われることもなくはじめている人たちがいる。そして、そんな人たちと関わる機会が多いから、自分もやってみようと思えて、小さな一歩を踏みはじめる。しかも支えてくれる人たちが多い。

こういった感覚は、神山塾というものが単なる座学ではなく、地域での暮らしも含めて経験するからこそ実感できることなんだと思います。

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そして、一週間の神山塾になっても、この軸は変わらない。

話を聞いたり、見学したり、暮らし体験をしたり、具体的なカリキュラムがあるけれども、1週間を通して神山の人と関わり、何か縁ができれば、次につながっていくと思います。

もし何かはじめたい、という強い気持ちがあれば、ぜひ参加してください。二泊三日のコースもあるそうですよ。

(2014/12/15 ナカムラケンタ)