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田舎のおばあちゃんが育てた野菜。親しい友だちがつくる手料理。口にすると、いつもより「おいしい」の言葉が漏れる。
きっと丁寧につくってくれているからだと思う。そしてそれ以上に、人とのつながりに安心や嬉しさを感じて、「おいしい」につながっているのだと思います。

有機農業を支える一役を担い、安全な食や環境の大切さといった価値観への共感の輪を広げることも目的のひとつにあります。
ここで、生産者と販売先を結び、流通をコーディネートする営業スタッフを募集します。
商品を紹介するときに必ず伝えるのは、背景にある生産者の想いや物語。そのことが共感を呼び、根強い関係が生まれます。
人と人をつなげることが、本当の役割かもしれません。
食や環境のことに興味がある人はもちろん、そうでない人にもこの仕事を知ってほしいです。
東京・八丁堀駅の出口からすぐの場所。8階建てビルの7階にFTPSのオフィスがあります。
エレベーターで上がり、扉を開けると待っていてくれたのは代表取締役会長の徳江さん。
大地を守る会の創業メンバーであり、これまで有機農産物宅配サービス“らでぃっしゅぼーや”やオーガニックスーパー“マザーズ”などを手掛け、食の安全に関わる第一線で活躍してきました。

公害問題から環境問題へと世の中の認識が変わっていくなかで、自然を相手にする農業に関心を抱くようになった。
「当時は学生運動も盛んでね。すんなり就職する気にもなれず、仲間と有機農業や豚の放し飼いをやろうという話になって。」
とある有機農産物フェアで、大地を守る会の初代会長藤本敏夫氏と出会ったのをきっかけに、大地を守る会で週の半分を働き、もう半分を山梨で農場づくりをしていた。
そこで徳江さんが気づいたのは、有機農業はまだまだリスクが高く、買ってくれる消費者が先にいないと成り立たないということ。
大地を守る会で販売の仕組みをつくることを優先すべきと、農場運営は仲間に任せ、大地を守る会の仕事に専念した。
また、事業とは別に、全国の様々なテーマで活動する市民団体のネットワークをつくり、新しい市民事業を興そうと、1万tの大型客船を借りた6日間の洋上サミット“ばななぼうと”を企画。
日本初のフェアトレード事業など、そこからいくつもの市民事業が生まれた。
それをきっかけに、さらに有機農業を広げようと、日本リサイクル運動市民の会とタイアップし、日本初の有機農産物宅配サービス“らでぃっしゅぼーや”を設立。
その急成長は、マーケットが有機農産物に関心を持つきっかけとなった。
「農薬が危ないと百万遍叫ぶより、1本の有機大根を売る。運動と事業を両輪にして進む大地を守る会のスタイルが自分にフィットしていました。批判だけでは世の中変わらない。有機野菜が売れなきゃ有機農業は広がらない。代案提示が世の中を変えるのだと。」
徳江さんは、現在、一般社団法人フードトラストプロジェクト(以下FTP)の代表でもある。
FTPは、生産者と消費者の信頼を通じて、安全や環境に配慮した取り組みや産地を応援し、広く普及することを目的としたプロジェクト。一般のマーケットで、有機農産物やこだわりの加工品を広げるための活動だ。
活動をFTPが行い、事業をFTPSが展開している。
「有機農業の畑が広がることが環境を守ることにつながる。でも継続していくために農産物が売れないといけない。活動と事業の両輪を揃えるため、流通の裏方となる会社をつくりました。」
主な事業は、生産者と販売先のニーズに合わせた商品企画や、売り場の企画、流通のコンサルティングなど。
生産と販売の間で、卸会社として多角的に取り組んでいる。
震災を機に落ち込んだ有機農産物市場に、昨年から再び注目度が高まっているという。
それに伴い、FTPSでも新たな挑戦をはじめようとしている。
それについて説明してくれたのは、取締役社長の天内さん。
徳江さんとは大地を守る会時代からの長い縁で、FTPSを一緒に立ち上げた。

「そのなかでFTPSは、特色のある地域農産物を一緒に開発したり、加工品開発のノウハウを提供したり。店づくりまで提案していこうと思っています。」
これまでも、売り場の企画をいくつも手掛けてきた。ただそれは、クライアントの意向ありきの売り場だった。
「FTPの考え方や有機農産物の価値観をフルに発揮できる売場を、共感してくれた店と協力してつくっていく。そして、これからもいろんな人たちとのネットワークを広げ、事業の幅も広げていきたいと思っています。」
「食品の小売業界が変わろうとしている時代だと思うんです。そこに対応できるような商品を自分たちは扱っているので、FTPSの役割がますます大きくなる。いまやっていることが、何かしらいいかたちで次の時代に伝わっていくと思います。」

ふたりは、どんな人に来てもらいたいですか?
「うちの会社は、仕事=自分の価値観、というか。次の世代まで安定して供給できる農法でつくる、安全な農産物。それが人々の幸福につながる。そういったことに共感できる人にはぴったりだと思います。自己実現をやってもらいたいですね。」と天内さん。
一方、徳江さんは「俺はその人の価値観はなんでもいい。どこかで一致する部分が、少しずつ大きくなっていけばいいので。そもそも食の安全ってことで大きく価値観が違うことってあまりないと思う。一緒に仕事できると思えれば、それでいいです。」
営業を担当する岡田さんは、自分の関心と仕事が合致している方だと思う。
ここに来る前は、食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証制度JGAPを管理するNPO団体で働いていた。

意外とスタッフの人数は少なく、7名だという。そんな環境だから、徳江さんや天内さんが新人をしっかり教育してくれるそうだ。
「ふたりとも大ベテラン。トップダウンな部分はあるけど、わたしが提案すると、それ面白いねって受け入れてくれるんです。」
最近、岡田さんが提案したのは、生産者と売り先の担当者を集めた商談会の企画。
場所が遠方だったりして、両者が揃うことはなかなか難しい。それを独自のネットワークで一堂に集めることで、関係を密にし、取引につながることも期待しているそうだ。

「北海道から沖縄まで日本全国にある生産地に赴いて、どんなふうにつくっているのか、自分の眼で確かめて生産者の想いも聞きます。」
「トマトひとつでもいろんなつくり方があるし、生産者の背景もさまざま。そのなかから、売り場のニーズに合う商品をマッチングさせることが多いですね。」
マッチングのあとは、売り場の企画。生産者から汲み取った想いや情報を店頭で表現できるように、担当者と共有して一緒に売り場をつくりあげていく。
ある量販店では、商品一つひとつのポップづくりを岡田さんが手がけているという。
心がけているのは、消費者に伝わりやすいようにデザインして、売上アップにつなげること。
商品を売ることが、生産者や活動を支えることに直結する。
生産者からのニーズを吸い上げ、販売につなげることもある。
「鹿児島でカブを育てている生産者から相談をいただいて。暖かい時期が続いて、虫がわいてしまったと。虫がカブの表面を這うと、跡がついて商品にならないんです。加工して売ろうと、加工業者さんと販売先を紹介しました。」

FTPの活動にマッチする商品を日本全国から発掘し、それを商品化して販売することにも取り組んでいる。
その第1号がニホンミツバチのハチミツ。
この商品を販売することは、その地域の環境保全につながる。そして、それに共感する販売先を広めていくことが、より多くの環境保全につながる。
単純な営利企業というより、社会的課題の解決を目的とするNPOのような側面を持つFTPSならではの仕事だと思う。
「広めるには、いかに共感を得るかが大切ですね。でも想いだけでなく、ひとつポリシーを置くことがビジネスにもつながるということをきっちり伝えています。」

販売先のミーテングに参加し、会社のあり方について話すことがあったそうだ。
「将来の社会を考えて、その会社で何ができるかとか。有機農業が抱えている問題をどう解決していけるのかとか。これは特殊事例ですけど、でもこんな人間関係がつくれることってなかなかないと思うんですよね。」
「社会的な役割をやればやるほど感じるようになってきましたね。単なる卸や商社とは違うというか。違う分、大変なことも多いですけどね。」
仕入れから営業、ポップづくりまで。営業職とだけ聞いて想像するような仕事よりも、きっとボリュームは多いと思う。
「慣れるまでは仕事をこなすことで一生懸命になってしまうと思います。大変になっても、ひとりで抱え込まないで、わたしや天内や柳澤に聞いてほしい。社内でのコミュニケーションを大切にしてほしいです。」
岡田さんは、どんな人と一緒に働きたいですか?
「FTPSの価値観に共感してくれる人ですね。けど、いきなり気持ちがすごく強くある必要はなくて。会社としてはマンパワー不足なところがあるので、即戦力として営業ができる人に来てくれるといいですね。」

商品と会話を通じて、人と人の信頼を結ぶ仕事だと思います。
食や環境はどの人にも関係すること。どんな人でも、どこかにやりがいや面白さを見出して働けると思います。
ちょっとでも気になることがあったら、ぜひ応募してほしいです。
(2015/1/9 森田曜光)