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人が店をつくる

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お店をかたちづくるのは、質のよい商品だけではないと思う。

心地よい気遣いだったり、生き生きと働く様子だったり。そんなことを感じて、またこの店へ来たいと思う。

今回は、働く人たちをひとつのチームとしてまとめあげ、お店を運営する仕事です。

islandvintage01 2013年の夏。ハワイ生まれのアイランドヴィンテージコーヒーが日本にやってきました。

1号店は青山に、今年の1月には2号店が表参道にオープン。本場ハワイの味をそのままに、これからも店舗展開を続けていきます。

そんな創業期に、これから新たに店長として加わる人を募集します。

 
 
まだまだ風が冷たい、冬の青空。この日は青山にある1号店を訪ねた。

青山学院大学の向かい側、駅から歩いて3分ほどの場所にある。

islandvintage02 扉を開けて店内を眺めると、若い女性客が多い。外国人のお客さんもちらほら。

多くのハワイ好きの人にとっては待望の日本上陸だったそう。口コミでどんどん広がり、数々のメディアに取り上げられたことも後押しとなった。

この日は12時を回ると、あっという間に全ての席が埋まっていた。

店の奥へ進むと、取締役の柄澤さんがコーヒーを淹れて迎えてくれた。

islandvintage03 柄澤さんは、アイランドヴィンテージコーヒーの日本出店を実現させた立役者。

もともとは不動産会社オーヴァルの新規事業として、アイランドヴィンテージコーヒージャパンを立ち上げた。

オーヴァルは自社物件を使って、自営で事業展開もする会社。たとえば、横浜の中華街にある“横浜大世界”や“横浜博覧館”など。不動産をオーヴァルが所有し、営業を関連会社が行なっている。

「とても事業力のある会社だと思います。さらにこれから、どんな商売をやっていくべきかと考えたときに、飲食業界にも入っていきたいねと。ただ、いきなりやるにしても武器が必要。じゃあ海外のブランドと手を組んで、日本での営業権をもらってはじめようということになったんです。」

そこで柄澤さんが注目したのはハワイ。いずれハワイに関わる仕事をしたいと思っていた。

「実はハワイが大好きで、ただそれだけなんです(笑)。若いころはそうでもなかったんだけど、30歳を超えたぐらいから好きになって。多いときは年に4回行っています。」

まだ日本に来ていなかったアイランドヴィンテージコーヒー。そのオーナーのポールさんとつながりのある友人に紹介してもらい、ポールさんと直接交渉をはじめた。

当時、ハワイ本店はデザートメニュー“アサイーボウル”で大ブレイク。いくつもの日本企業が営業権獲得に乗り出していた。

islandvintage04 「はじめてポールさんにお会いしたときに言われましたよ。『なんで不動産屋が来るんだ?』って。彼は本当にコーヒーが好きで、真面目な職人さんみたいな人なんです。話を聞くと、日本にお店を出したいという気持ちはあるものの、味や運営方法が日本流に変わってしまうのではないかとか、かなり心配していて。」

柄澤さんはハワイでやっていることを忠実に再現することを約束。営業権を得て、青山店をオープンした。

アイランドヴィンテージコーヒーの一番の売りは、ハワイの希少な豆を100%使用したハワイアンコーヒー。

一般的なお店では800円するものだけれど、企業努力を重ね、ここでは390円で提供している。

またドリップにもこだわり、ハワイの味をそのまま届けるために機械を日本の気候に都度合わせている。

「味は本当に再現できていると思います。サンドイッチのサイズとかもハワイと同じにして。こんなの日本人は食べきれないよねっていうバカバカしさも含めて、ハワイの楽しさですから。ハワイ好きな人がここに来たとき、向こうと同じだねって言われるようにしようと。」

「これからも、我々の都合で何かするんじゃなくて。やはりポールさんの意思がちゃんと伝わるお店をつくっていかなきゃいけないなと思っています。」

islandvintage05 こだわりのコーヒー、そしてアサイーボウルが評判を呼び、客入りは順調に増えている。

「本当はもっとコーヒーを味わってもらいたいと思うんですけど、アサイーボウルのオーダー率が8割もあるんです。だから客単価が当初の予想よりずっと上になっていて。」

「はじめは大手コーヒーショップさんに続く形で300店舗くらいを目指していました。ところが客単価が高くなると、数の勝負じゃなくなってくるんです。」

いま柄澤さんが考えているのは、お客さんから愛されるお店を10年かけて50店舗つくること。

根を張ったブランディングや安定したお店の運営に重心が移った。

「だから何百店舗にも発展する会社の役員を目指すんだと来られても、たぶんそれには応えられないと思うんです。それよりも、店長としてお店づくりをしっかりやってくれる人に来てほしい。」

店長にはどんな人が向いているのだろう。

「根本的に人としての魅力がないと店を運営することは無理だなと思っていて。」

人としての魅力。

「シフト組みとか、アルバイトの子に無理を言ってお願いをすることもあるじゃないですか。そのときに、店長を信じて、快く受けてくれるのか。そうなるためにマナー講座に行けばいいかっていうと、やっぱり違うと思っていて。」

店長は20人ほどのスタッフの上に立つ存在。つまり店長を中心に人の関係が構築されていく。

大切なのは、スタッフ一人ひとりとどのようにコミュニケーションをとり、関わることができるか。

islandvintage06 オープン直後の人手が足りないとき、柄澤さんは洗い場で食器洗いをしていた。そこでアルバイトのスタッフとこんな話をしたという。

「『いま学生だっけ?そっか、来年は就職活動なんだな。どこで働きたいの?大手広告代理店か。自分の大学からその会社に何人行けるの?たったひとり?じゃあ諦めてうちで働いちゃいなよ』って(笑)。」

「人とどれだけ関われるかっていうことだと思っています。自分から見たら20人のアルバイトかもしれないですけど、20人のアルバイトからしたら自分は唯一の店長です。」

きっと、そういったコミュニケーションを手段や方法として使うのではなくて、自然とできるような人が合っているのだと思う。

人が好きで、何かあるとほっておけないような。

「飲食店の仕事ってすごく辛いと思うんですね。ルーティンの仕事だし、店に入ってしまえば毎日見る景色が同じ。あとやることといったら、アルバイトスタッフたちとの関係性を深めること。でも、そこに自分の変化や仲間の成長があると思うんです。」

「人によってコミュニケーションの仕方はバラバラなので、どれが正解ということはない。自分ができるやり方でコミュニケーションを図って、チームとしてお店の人たちをまとめあげられるかどうかの仕事なんだろうなと思います。」

islandvintage07 雑誌編集長や広報部長など、これまでさまざまな経歴を歩んできた柄澤さん。

飲食店の経営に携わってから、スタッフとよい人間関係を築くことを大切にしているという。

「そのとき一緒に働いていた仲間とは、いまでも年に1回は必ず食事に行くんです。自分が生きていく上で、またどこかで友達付き合いができるとか、お互いがお互いのために何かするとか。そういうことは普段の仕事の副次的なものなんですけど、むしろそこに一番情熱を持ってもらいたいです。」

「人の財産は、どんな人と出会えてどんな関係をつくれるか、だと思うんです。全然お金にならないけど、お金以上に価値のあることだと思っています。」

 
 
ちょうどコーヒーを飲み終えたころ。「そろそろ表参道の店へ移りましょう」と、1週間後にオープンを控えた2号店へ向かう。

表参道に面したガラス張りが特徴の建物。ここではマネージャーの金龍国さんが、取引先と打ち合わせをしていた。

合間を見て時間をいただき、話をうかがう。

islandvintage09 スタッフのみんなからは「リュウさん」の愛称で呼ばれている。

13年前、サービス業のスキルを磨こうと中国から日本へ渡った。

「私はサービス業にすごく魅力を感じていて。日本の一流のホテルやレストランで働いてきました。ゆくゆくは独立しようと、仲間たちとレストランをはじめようとしたんですけど上手くいかなくて。」

しばらくはそのまま仕事をしながら、求人情報でオーヴァルグループを見つける。2年前、3月にオープンした商業施設“横浜博覧館”の立ち上げに責任者として携わった。

「そのときの上司が柄澤で、今度はアイランドヴィンテージコーヒーを一緒にやろうよと声をかけてもらって。彼は自分の求めていた上司像なので、すごくありがたかったです。」

柄澤さんはどんな人ですか?

「部下とかアルバイトとか、どんなスタッフに対しても気配りをするというか。私は大きな会社をいろいろ経験してきたけれど、ここまで現場にちゃんと足を運んでくれて、現場の一人ひとりに関わる上司にいままで出会ったことがなくて。」

「お店が忙しいときに差し入れを持ってきてくれて、『じゃあ、よろしくな〜』って。お父さんが来たみたいな感じ。」

お父さん。家族のような。

「一つ屋根の下でこれだけ長く一緒にいるんでしたら家族みたいなものですよね。だから、たとえプライベートでも誰かが困っていたら何かできないのかなって、私は思うんです。店長もその心構えを持っていてほしいです。」

その人の長所を伸ばしたり、短所をほかのスタッフで補ったり。ときには相談にも乗ったり。

いろんな人がさまざまな理由でアルバイトとして働いている。無理にひとつの方向へまとめあげるのではなく、一人ひとりに対応して、結果的に店全体の歯車を回すようにする。

「それでも歯車が噛み合わなくなることがあると思う。そんなときにどれだけスタッフに信頼されて、その人たちをうまく動かせるかだと思うんです。信頼関係が一番大事。」

「もちろんビジネスなので、いい人間関係をつくったとしても数字がついてこないと。それを理解しながらも、柄澤や私の考え方に共感してくれる人なら、すぐにチームに溶けこんで、もっといい店をつくっていけるんじゃないかなと思います。」

islandvintage10 店長を数年経験していくと、こんどはいくつかの店舗を担当するマネージャーになる。

段階的に上がっていく道がある一方で、オーヴァルグループの別事業に飛び込む機会もあるそうです。

「そのうちコーヒー店以外のことをやりたいという人がいれば、別のフィールドに行ってもらっても構いません。オーヴァルが鎌倉に商業施設を持っていて、空きテナントが出たら自営で何かやろうかっていうような話が実際にあるので。そんなことも考えられる人がいれば、ぜひ来てほしいなと思います。」

そんな将来を描きながらも、まずはひとつのお店づくりから。

気になった方は、青山と表参道のお店を訪ねてみてください。

(2015/2/27 森田曜光)