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文明の否定じゃなくて

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「エネルギーの面でも、経済的・人間的な観点からも、持続可能なヴィレッジをつくっていきたいんです。」

そう話してくれたのは、ナチュラルヴィレッジ株式会社の浅井(あさい)さん。

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今回募集するのは、地域でヴィレッジや、それに関連する事業を立ち上げていくプロデューサー、プランナー、アシスタントと多岐に渡る。勤務地は東京の霞が関だが、これから北海道から沖縄まで合計で7つのヴィレッジをつくる計画だ。

また、ナチュラルヴィレッジ株式会社では、ヴィレッジで暮らす人の仕事をつくるために、メディカル事業、アグリファーム事業、フォレスト事業、ウェルネス事業なども同時に立ち上げようとしている。

気になった方はぜひ読んでみてください。

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オフィスがあるのは、東京・霞が関。

「エコヴィレッジを立ち上げようとしている」と聞いたときは、緑が豊かな場所に会社があるのかなとイメージしたけれど、首相官邸をのぞむことができる都会的なビルだ。ここのシェアオフィスの一角に入居している。

まずお話をうかがったのは、代表取締役社長の浅井さん。いわゆるビジネスマンとは違う、独特な空気をまとった方だ。これまでどんな経験をしてきたのか興味が湧いて、ご自身の生い立ちについて、たずねてみた。

「高校を出てからはフランスに行き、パリの美術学校に進学して、ずっと絵を描いて暮らしていたんです。社会人になったのは30過ぎでした。」

アーティストだったんですね。

「子供のころから絵を描くこと以外考えていなくて。パリで画商もついてそれなりに暮らしていました。でも、母が倒れたことをきっかけに日本に帰国して、会社勤めを始めました。1年半くらいデザイン事務所で働いて、そのあとは自分で会社をつくりましたね。いろんなことがやりたくて今まで十社くらい立ち上げたんじゃないかな。」

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なんとなく、アーティストは経営が苦手そうなイメージがあったけれど、浅井さんはそれにはあてはまらないようだ。手掛けてきている分野も、アプリ開発などのIT系の事業や、メディア事業、農業など、多岐にわたる。

いくつも会社を立ち上げるのは大変だろうと思うけど、「絵を描くのと同じような感じですよ」とさらりと言う。

そんなふうに、様々なビジネスを経営してきた浅井さんが、新しい会社を立ち上げることになったきっかけは、なんだろう。

「これからの人間や人類は、どんな新しい価値観を持って、どんなふうに生活していくんだろうと、三木さんや相根さんと話していたんです。ひとりひとりが本来の自分に目覚め、自由にのびのびと暮らしていく。それを具体的に実現するモデルをつくろうということで、エコヴィレッジをやっていくんです」

三木さんや相根さんは、会社を一緒に立ち上げる仲間たちだ。3人はたまたまインドで出会って、エコヴィレッジをつくろうと意気投合。他にも賛同してくれる仲間たちが集まり、みんなから出資を受けて、会社を設立したのが昨年の11月だった。

「人種や宗教、思想信条の枠をこえて、1つのものとしてつながり、笑い、愛し、育て、生きる。人間が誕生して老いて亡くなるまでを、喜びの中で過ごせるようなヴィレッジをつくっていく。それが我々のビジョンです。」

現在はウェブもオープンしているけれど、取材した日は、まだウェブサイトやパンフレットをつくっている途中。見せてもらった原稿には、「共生の楽園へ」というコピーがかかげられていた。

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そもそもエコヴィレッジとは、自然と調和した環境負荷の少ない暮らし方を目指すコミュニティや、その地域のことだ。

1998年には、国連の選ぶ持続可能なライフスタイルの100のベストプラクティスのひとつにも選ばれている。世界中に約15000のエコヴィレッジがあると言われており、日本にもいくつかの拠点があるそうだ。

パーマカルチャーや自給自足を行いながら、自然の中で暮らす。そんな暮らしは素敵だなあと思う反面、すこし特別な世界のような気もしていた。

「わかりやすく説明するために、エコヴィレッジと言ったけれど、その言葉はあまり適切じゃなくて。僕たちがこれからつくるのは、スーパーヴィレッジなんです。」

今あるようなエコヴィレッジとは、なにが違うんでしょうか。

「これまでのエコヴィレッジは、経済的にはかつかつの状況だけれど、好きだから頑張るという感じでした。物好きな人たちじゃないと、なかなかできないことだった部分もあります。僕たちは、エネルギーの面でも持続可能だけれど、経済的にも持続可能じゃなくてはと思っている。だから、ヴィレッジに住む人たちの経済的安定をはかるための仕事や事業もあわせてつくっていくんです。」

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なんでも、ヴィレッジを立ち上げる事業も含めて、5つの事業を行うのだそう。

たとえば大根の写真は、アグリファーム事業の参考に、自然農法の畑を愛知県に見学に行ったときのもの。抗酸化力が3~4倍高い大根なのだそうだ。

「今は非常にすぐれた農法があるので、そういうのをヴィレッジでやりながら雇用をつくっていきたいと思っています。農地の有効活用を手掛けているマイファームさんとの連携の話もありますし、近くの農園で働いてもらいながらヴィレッジの住宅で暮らしていくような人も出るかもしれません」

考えている事業は、農業や食に関わるものだけではない。

「他にも、予防医療の研究や滞在型療養施設の運営などを行うメディカル事業、近隣の山の間伐材を利用してバイオマスエネルギーなどをつくっていくフォレスト事業、セラピーや薬膳などを行うウェルネス事業を考えています。」

今後は、北海道から沖縄まで7つのヴィレッジをつくっていく予定で、いろいろな場所で候補地も上がってきている段階だそうだ。地域に移住する可能性もあるんだろうか。

「将来的にはそういうスタッフもいるかもしれませんが、今の立ち上げていく段階では東京勤務ですね。必要に応じて北海道や各地に視察にいくという形です」

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そんな話に隣でうなずきながら、楽しそうに合いの手を入れてくれるのは、三木(みき)さん。現在は株主だが、今の会社を今年の春には辞めて、この事業に参画するそうだ。

「今の地球の暮らし方は、地球が1.5個ないと成立していかない。46億年ストックされてきた資源を食いつぶしているのが、今の暮らし方ですよね」

三木さんは、大手出版社に34年間勤めて、雑誌や電子書籍の編集などを担当してきた。バブル期に有名だった「ホットドッグ・プレス」などにも関わっていたそうだ。

「自然と調和しながら生きていける、もっと平和で自由な新しい文明をつくらないと。そういう考えは多くの人が持っていると思う。僕も考えてきたけど、具体的にどうやってそこに到達するかはずっと見えていなかった。だけど浅井さんや相根さんに出会って、抽象的な思いがカタチになってきたんです。実際にやってみないとと思って。」

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そして、この会社で、ヴィレッジの住宅や施設の建築を担当するのが建築士の相根(さがね)さん。これまで建築の仕事に25年ほど関わり、持続可能なエコ建築を手がけてきた。

「日本は、食料自給率もエネルギー自給率も低くて、砂上の楼閣みたいな状況だけど。そんな中で、そうしたものを自給できるヴィレッジは、暮らす上での安心があると思いますね。私自身、循環型社会の実現やエコヴィレッジへの取り組みの実績を積み重ねてきましたが、その答えをこのナチュラルヴィレッジで出せると思います」

浅井さんと同様に、経済的に持続可能であるという点を、相根さんも大切にしている。

「社会的意義はもちろんあるけど、お金もちゃんと回していきたいと思っています。ビジネスとしてやっていくことが大事ですね。ビジネスとして実務をこなしていける仲間を探しています」

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立ち上げたばかりで今はまだ社員がいないナチュラルヴィレッジ株式会社。今はみんなであちこちを視察し、ヴィレッジの立ち上げ準備を進めている。先日は、ひとつめのヴィレッジとなる予定の土地にみんなで視察に行った。

「会社の設立と並行して、ヴィレッジの構想について話したら、ある町が賛同してくれました。最初のヴィレッジは、そこで立ち上げることになるかもしれません」と浅井さんが教えてくれた。

ヴィレッジは、いつオープンするんですか。

「今年の秋くらいからヴィレッジに住みたい人の募集を始める予定です。30軒ほどのコーポラティブハウスや、滞在型施設などを建てていくプランをつくっている最中です。住みたい人が集まってから住宅を建てていくので、リスクも少ないんです。」

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いまは北海道、静岡、愛知、沖縄などに視察に行っているそうで、どこがいつはじまるのか今後が楽しみだ。

いろいろな事業を展開していく、この会社。大変な部分も多いと思うけど、どういう人と働いていきたいんだろう。まずは浅井さんにたずねてみた。

「僕も、これまでいろいろやった中で、一番社会に寄与できる事業だと思ってるので。自分が世界を変えてやる位の人がいいですね。普通の会社で通用する程度のスピード感だと、難しいかもしれません。それなりの力が求められます。」

事業はまだまだ、土から芽が出始めた段階なので、それをちゃんと育てなきゃいけない時期。だから速度を求めているそうだ。事業のプロデュースやマネジメント、代表のアシスタント的なことまで、担う範囲も幅広い。

「コンセプトに共感して、長く続けてくれる人がいいな。もちろん独立志望・起業志望も歓迎です。たとえばエネルギー分野とか、農業分野とか、ナチュラルヴィレッジでやっていく事業の中に得意なことがあるなら、それの責任者として独立していくのもいいしね。」

そう話してくれたのは相根さん。実際に、浅井さんの会社や相根さんの建築事務所で働いてきたスタッフは、力をつけて独立していく人も多いそうだ。

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これまで会社を経営してきたけど、スピードについてこれる人がなかなかいなかった。浅井さんは、そう話していた。だけれど、そのスピードについていって、頭の中を覗けたら、違う光景が広がっていきそうな気もする。

新しい価値を創っていくことって、簡単な仕事じゃない。想像していないこともたくさん起きると思う。そんな環境もポジティブに楽しめる人におすすめです。

(2015/2/26 田村真菜)