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陰を照らす

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「地域通貨が浸透すれば地元が元気になって、地域から日本を変えていける。世の中の構造が変わると思います。この会社がやっているのは、夢のような壮大なプロジェクトなんですよ。」

そう話すアルテミスビュースカイの渡部さんの目は、少年のようにキラキラしていました。

地域通貨事業は夢でなく、現実としてかたちになりつつあります。

artemis01 地域情報サイト“まいぷれ”の運営を主軸に、地域資源を活かしたブライダルや産品開発などの事業を展開し、山陰の地域課題を解決する株式会社アルテミスビュースカイ

これから地域通貨“まいポ”の流通に力を入れ、さらに地域活性を加速させていきます。

求めるのは、山陰を元気にしたいという強い想いや行動力のある人。

地元の一人ひとりと向き合いながら、地域全体を支える仕事です。

 
 
島根・出雲市にあるオフィスで、渡部さんに話をうかがいます。

いまの仕事をはじめた経緯を聞くと、もともと地域のために役立つことをしたいと思っていたという。そのきっかけは、渡部さんが福井の大学に進学したときの出来事にあった。

「ゼミの自己紹介のときに、自分は島根出身で、島根はすごくいいところなんだと話したんです。そしたら、隣に座っていた人が『ところで島根ってどこ?』と聞いてきて。」

「すごくショックを受けまして。将来的に自分を育てた地元を元気にして全国的に有名になれるような、そんな仕事に携わりたいという気持ちを潜在的に埋め込まれた瞬間だったと思います。」

社名のアルテミスはギリシャ神話に登場する月の女神。

「山陰の陰を照らすのは、太陽じゃなくてお月さんだと思って。アルテミスを会社の名前に入れて、地域を明るく輝かせてやろうと意気込みました。」

artemis02 最初にはじめたのは地域情報サイト“まいぷれ”の運営。

出雲・松江・米子の3地域それぞれの地域情報サイトを開き、イベントやお店の情報などを地域に届けている。

地域住民やお店とのつながりが生まれるなかで、サイト運営のほかにもさまざまな取り組みを行なってきた。

「情報サイトを運営していると、当然ながらいろんな地域の情報が入ってきます。すると、こんなことで困っているという話がたくさん聞こえてくるんです。我々が持っている発信力を使って、何かしら解決できることはないかなと。」

公共施設の有効活用としてはじめたのが、“出雲祝言”というブライダル事業。

まいぷれを通じてお世話になった方やブライダル関係の方と縁結びネットという団体をつくり、市が維持費で頭を抱えていた豪農屋敷を、結婚式の披露宴会場として利用させた。

この事業は、全日本ブライダル協会主催の“ふるさとウェディングコンクール”で審査員特別賞を受賞し、申し込み数は毎年右肩上がりだという。

また、農家さんと触れ合うなかで“まるいち”という地域産品開発事業をはじめた。

「せっかく農家さんが手塩にかけて農作物を育てても、傷物が必ず出てしまう。一銭にもならないということだったので、僕らが商品企画をして、引き取った果物を加工して、旅行者に販売しています。」

そのひとつが“いちごおり”。凍らせた実をそのまま削ったかき氷のようなデザートは夏の大ヒット商品になったという。

「いまは売上も伸びて、農家さんも喜んでくれる。みんながWin-Winになる商品がつくれています。」

artemis03 生産者のアプローチから食材加工、メニュー開発まで。すべてアルテミスビュースカイのスタッフが行なっている。

聞いてみると、特に経験のあるスタッフがいるわけでもない。

「先入観や業界のしがらみがないからこそ、思い切って挑戦できる。結果的にいいものができていると思います。失敗はたくさんしましたよ。」

はじめは凍らせたいちごをそのまま売ってみたり、トライ&エラーを何度も繰り返すことでヒット商品にたどり着いた。
たとえ経験のないことにでも立ち向かうことが、この会社では当たり前なのかもしれない。その姿勢と行動力が地域課題の解決に結びついている。

 
 
まいぷれに次いで核となる事業として、新たに地域通貨“まいポ”をはじめた。

いまは、まいポの流通に力を注いでいる。

「これまでは地域情報サイトと、そこから見えてくる地域課題の解決をやってきました。地域通貨というもうひとつの柱ができると、解決できる種類がどんどん広がっていくと思っています。」

地域通貨はなんとなくイメージできるけど、具体的にはどんなものなのだろう。

そう聞くと、渡部さんは「地域通貨未来予想図」と書かれた紙を渡してくれた。

artemis04 「仕組み自体は大手の共通ポイントカードと変わりません。だけど、それとは対極にあるものだと思っていて。」

「地域通貨には2つの目的があります。ひとつは、地元でしか使えないお金として、お金を域外に出さずに地域内で回しましょうと。もうひとつは、助け合いやつながり。それによって郷土愛が育まれていくだろうと。」

どんなときにまいポは使われるようになるのか。

たとえば、誰かにパソコンの使え方を教えてもらう際に、ありがとうの気持ちとしてまいポを渡す。清掃活動などのボランティアをしてまいポを貯める。いいことをして集まったまいポを使って、地元のお店で商品を購入できる。

よいことをすればお金と同じ対価を得て、それを地元で使うことができるということだ。

ほかにも地元企業間の取引や従業員の給与の一部にまいポを使用することが可能だという。

「さらに行政を交えるともっと面白い展開になります。たとえば行政の入札時にまいポを1万ポイント以上保有している企業に限定すれば、企業が眼の色を変えて地域のために何かいいことをするようになる。」

「一言でいうと『いいことポイント』みたいなものです。個人ベースでいいことをし合うというのもいいけれど、企業や行政が加わってくるともっと大きな力になると思います。」

artemis05 いまはまだ広く流通していないけれど、250の地元のお店で使えたり、企業間の取引で利用されたり、だんだんと浸透しはじめている。

「いままさに、地域創生の目玉として行政に提案している最中です。人と人が助け合い、なおかつ地域の中でお金を回していくような社会の仕組みを、この地域からつくっていきましょうと。」

まいポが広まっていくと、どんな世の中になるのだろう。話を聞きながら、とてもワクワクしていた。

きっと地道で細かい作業をすることもあると思うけど、日々の積重ねによって地域を大きく変えていける仕事だと思う。

「創業してから愚直一途に10年の月日が流れました。ここから先の10年間は一人前の企業に成長できるか、その真価を問われる非常に重要な時期だと思っています。通貨というインフラをおさえることで、もっともっと地域に入り込んでいくことができる。」

「そこで、僕らが社会をつくっていくパイオニアなんだという志に賛同してくれる戦友を求めているんですね。」

戦友。

「そうです。僕は、社員は家族ではなくて一緒にたたかう戦友だと思っています。これからもっと社会のお役に立ち、大きくなっていくためには、僕が考えること以上のことをやってくれるような力。なにくそ根性で、粘り強くやっていける突破力のある人に来てもらいたいと思っています。」

 
 
実際にどんな仕事をすることになるのだろう。地域営業部の竹下さんに話をうかがいます。

もともとは広島出身で、ご結婚を機に出雲で暮らしています。

artemis06 「こっちに来て地域のことを何も知らなかったときに、近所に住んでいる方にまいぷれを教えていただいたんです。地域のいろんな情報を見るのが楽しみのひとつになって、毎日のように見ていました。そんなときに、この会社の求人を目にして。」

まいぷれの人気は高く、月間200万PVものアクセスがある。求人をすると、多くの方から応募があったという。

竹下さんを採用したのは「素直で元気な人だから」。地域を明るくする仕事には必須条件なのかもしれない。

とくに竹下さんは、地域の方と顔を合わせるアフターサポートの仕事も担当している。

「まいぷれに載せるお店の新規開拓をしたり、既存のお店さまを回って、まいぷれを利用する上で何か困っていることはないかうかがったり、まいポの加盟を勧めさせていただいたりしています。」

artemis07 そういった通常業務のほかにも、ひとつの案件に深く入り込んで提案するようなことがある。

「とある食品卸問屋さんの3代目が、先代が築いてきた顧客以外に自分のお客さんをつくっていかなければと悩まれていて。同時に地域貢献をしたいとお話しなさっていたんですね。そこで、まいポを使った基金の設立を提案して。」

「取引先の地域飲食店がその問屋さんから商品を仕入れるとまいポが発行されます。その発行されたまいポの10%を、地元の職人さんを応援するための元気プロジェクト基金として寄付するようにしたんです。すると高い安いの話ではなくて、共感でつながっていくことができるんですね。同じような提案を、ほかのお店にもさせていただいたりしていて。」

渡部さんは「コンサルティングと一緒です」と話す。

一つひとつのお店のビジョンと課題をヒアリングし、地域情報サイトや地域通貨を上手く使った方法で解決する。

基金はその解決方法のひとつであって、これから新たなまいポの使い方、もっといえば新しい事業が生まれるかもしれない。

「情報サイトだけだったら解決策はそんなになかったかもしれないんです。通貨を持つことによって、解決できる幅がどんどん増えていて、よりお客さんのお役に立てる。モノをつくりだすのではなく、コトをつくりだす仕事だと思います。」

ほんとうはすべてのクライアントにきめ細やかに対応していきたいけれど、加盟店の数は1500にもなる。

これから加わる人に期待している役割だという。

artemis08 竹下さんはこの仕事に就いてもうすぐ3年。

はじめて移り住んできたときはまったく知らない土地だったけれど、この仕事でつながりが広がっているという。

「お店にうかがったときは『ひさしぶり!元気だった?』って言っていただいたり、休みの日も外でお声掛けいただいたり。よくもわるくも、人とのつながりは広がりますね。」

それと、やっぱり地域には様々な人がいる。期待されている分、風当たりが強くなる場面があるという。

「いろんなことを言われることもあります。でも、自分たちがそのお店の方のために何が出来るのかをしっかり考えないとなって」

artemis09 竹下さんはどんな人に来てもらいたいですか?

「人と接するのが好きであったり、積極性があったり。あとは自分でこういうことをしていこうってどんどんアイデアを出せる人。私はそこがなかなか苦手なんですけれど。」

アルテミスビュースカイでは様々なイベントを開催している。もちろん企画から準備、運営まで行なうのは竹下さんらスタッフの方々。

渡部さんはこう話します。

「ひとつのイベントを開催するにも、とにかく僕は誰もやったことのないことをするのが好きなので。アイデア勝負みたいなところもありますから、そんな無理難題を楽しめる人がいいでしょうね。」

artemis10 経験やスキル以上に、どのように目の前のことと向き合い、どう行動していくかが問われると思います。

地域に根づく新しい仕組みをつくる仕事。

失敗続きでも落ち込まず、むしろそれを糧にできるような人がこれからのアルテミスビュースカイには必要なのかもしれません。

「そんな簡単に上手くいかないですよ。でも、そんな生みの苦しみからやりがいを一緒に感じて、世の中を変えるような仕組みを僕らとつくっていける戦友をお待ちしています。」

(2015/3/24 森田曜光)