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表参道に、化学調味料や旨味調味料などを一切使わない薬膳中華料理店があります。しかも、ワインと楽しめる中華料理店。名前は『Essence』(エッセンス) 。
中華料理を極めてきたシェフの薮崎さんがつくる身体も心も元気になる、そんな薬膳中華に魅せられ、毎日人が集まってきます。
今回はEssenceで働く、ホールスタッフ、キッチンスタッフを募集します。
表参道駅を降りて青山通りを歩く。しばらくしたら細い通りを曲がると、すぐにあるのが『Essence』。
緑色の看板に、植物に覆われた外観。一目見るだけでは、“中華料理店”と気づかない人も多いだろう。
「わざとなんです。あえて中華っぽくせず、健康に意識のあるかたや女性が入りやすい店にしました。」
笑顔で向かえてくれたのは、Essenceのオーナーシェフである薮崎さん。毎月さまざまなメディアに登場しているので、見かけたことのある人もいると思う。
「美味しく身体にいいものは、日々食べられないと意味がないですよね。値段が高くて月に1度しか来れないと薬膳の意味がありません。なので、ランチなどは1000円に設定しています。」
どの料理にも化学調味料は使わず、ソースなども手作り。薬膳といっても、化学調味料などをつかうお店がほとんどだそうだけれど、妥協は一切せずに日々本物の薬膳をつくり続けている。
化学調味料を使わないからこそ、珍しい発酵調味料をつかっていたり、ワインと楽しむ中華だからこそワインの勉強をしている人が多い職場。
食べる物に興味のある人や、知識を身につけながら働きたい人には、これ以上いい場所はないんじゃないかな。
まずは、シェフの薮崎さんにお話を伺いました。
薬膳を取り入れたり、ワインと楽しむ中華料理店『Essence』をはじめたのはどうしてなんですか。
「実家が料理屋だったんですね。その食堂を継ぐために、高校から『食物科』に進学して、料理の勉強をはじめました。そして、高校生のときに調理師免許もとったんです。」
卒業後は、高校の先生の紹介で、横浜中華街で働きはじめる。
「最初は下っ端なので料理をつくらせてもらえませんでした。まずは皿洗いだったり、野菜を洗ったり。でも早く料理がつくりたくて、仕事が終わってから料理屋でバイトしてましたね。」
当時は9時30分から22時30分まで働いて、23時から翌2時頃までアルバイトをする生活を送っていたそう。
「けれど、遊びたい時期だったので、よく遊んでましたよ。仕事してめちゃくちゃ遊んで、寝る時間は毎日2、3時間でしたね。」
薬膳を意識したのは、その中華料理店の影響ですか?
「中華料理って行き着くところは『医食同源』なんです。どんなに高級なものをつくっても、最終的にはバランスがよくて美味しい、それが健康につながるという考え方なんです。」
中華料理店で修行を積むことで、自然と知識もついてきた。
「それと、修行1年目のとき母親が糖尿病だったんですけど、鬱病も併発して亡くなってしまったんです。」
糖尿病は食べ物も関係するし、体も悪くなる。それが原因で精神的にもおかしくなってしまうこともあるそうだ。
「『食べるものと健康って直接リンクしてるんだ。』ということをすごく感じました。そこが僕のターニングポイントですね。それまでは、修行を何年かして、最後は実家に帰ろうかくらいの気持ちでやっていたんですけど。気持ちが切り替わって、めちゃくちゃ料理の勉強をしだしました。」
薮崎さんが働いていたのは、従業員数も多く、500人近く人が入る大きなお店だった。料理人は、ひとつの店に行ってまたべつの店に移ることで、料理を覚えていく方が多いそうだ。けれど薮崎さんが働いていた店はもともと料理のレパートリーが膨大にある店だったから、勉強するには十分だった。
そして26歳のときには、立川での新店舗のオープンに合わせ、立川店の料理長に最年少で抜擢された。
「グループでお店は4店舗ありました。どの店もみんな中国人の料理長。立川だけ日本人の僕で。でも中華って、本場の味を追求すると中国の人に勝てないんですよね。やっぱり日本人のつくるみそ汁が一番おいしいって感じるように。」
それを機に、本場の味を極める、というところから日本人の感覚があるからこそつくれる中華を追求していった。
自分にしか追求できない中華をつくる。
そのために今度は和食の割烹屋に仕事後、修行にいき、ふぐ調理師の免許の取得や、国際薬膳調理師の資格をとっていった。
「けれど、ある日会社から管理能力がないとか、料理ばっかりじゃだめと言われはじめました。」
最年少で料理長になったから、まわりは同年代か年上。いままで仲良くやっていたけれど、いろいろ言わないといけないし、気に食わないことがあると辞められてしまうこともあったそうだ。
「料理ばかりやってきたからマネジメントがわからない。誰に教えてもらっていいかもわかりませんでした。なので、今度は大手の居酒屋で働いたんです。」
料理長が居酒屋でアルバイト。驚かれませんでしたか?
「面接ではサラリーマンって言って嘘をついてました。けれど、皿洗いとかが早すぎて、ちょっと働いたらすぐばれてしまいました。」
マネジメントの勉強をしたいという事情を話したら、協力してくれた。いまでもいい関係が続いているそう。
常に、勉強し、動き続けている薮崎さん。そこから『Essence』として独立するきっかけはなんだったのでしょうか。
「やっぱり中華料理ってたくさんの化学調味料を使うんです。身体にいいものをつくりたいから、まずはそこから抜け出したい。いくら薬膳といって提供しても、根本のところがダメだったらね。」
大きな店だったので1人でメニューを変えることは難しかった。そこで、本物の薬膳をだすお店をつくることに。
化学調味料を使わないお店を開くのなら、健康への意識の高い青山しかないと決めていたそう。ここで成功しなければほかでも無理だろうという意気込みだった。
そして2007年。料理人となって15年目に『Essence』をオープンさせた。
化学調味料を使わないことはもちろん、料理につかう素材もなるべく国産のもの、野菜などは無農薬のものをつかっており、2012年からは栃木に自家農園を持ち、自らの手で野菜を作っている。
そんなEssenceに、オープンとほぼ同時に店長として働きはじめたのが、須藤さん。
ソムリエでもある須藤さんにもお話を伺いました。
どういう経緯でこのお店で働くことになったのですか?
(写真左:ホールスタッフ大橋さん 右:店長の須藤さん)
「前職でも飲食店で働いていました。Essenceの立ち上げに関わった方が知り合いで、面接に来ないかと誘っていただいたんです。仕事もありましたし、とりあえず面接だけ受けようと思ったのですが、気づけばここで店長8年目ですね。」
なにかきっかけがあったのですか?
「面接のときにシェフが来たんです。僕のイメージしていた料理長とはまったく違ってたんです。こちらが恐縮してしまうくらい、すごく丁寧。人として素晴らしいと思ったんです。」
そして前の仕事を辞め、ここで働きだした。
Essenceはどんなお客さまが多いのですか?
「お客さまは女性が多く、健康志向だったり美意識の高い方が多いです。夜は遠方からいらっしゃる方も多いですが、ランチはご近隣の方に来ていただいています」。
具体的に、ホールスタッフ、キッチンスタッフはどんなことをしていくのだろう。
「ホールスタッフは、ランチの際はテーブルをセットして、ドリンクがあるので、お茶を仕込んだり。お客さまがいらっしゃってからは、順次お通しして、オーダーをとり、ドリンクをだして、レジ打ちなどもしていきます。」
ランチはお客さまも多く忙しいそうだ。ディナータイムになると、照明も落ち、お店の雰囲気もぐっと大人っぽくなる。
キッチンスタッフはどうでしょう。
「料理だけで入りたい人は、料理の経験が10年以上の人。それとメインではホールをやるけれど、キッチンにも興味があるという人も歓迎です。仕込みなどを手伝っていただこうかなと思っています。」
実際にここで働いているホールスタッフの大橋さんにもお話を伺いました。
大橋さんは以前スパで働いていたそう。もともと健康や食事に興味があり、友人の紹介で働くことになった。
Essenceで働きだして、なにか大変なことはありましたか?
「普段生活しているだけだと、出会わないことや覚えることがたくさんあります。ここのお店は薬膳だったり、つかっている素材、ワインなどたくさん特徴があるので、それに慣れるのに最初は少し苦労しました。」
たとえばどんなところですか?
「珍しい調味料などをつかうのですが、最初はその調味料の味がわからなくて、お客さまに味の説明ができないこともありました。そういうときはまかないで同じ調味料で味付けしたものを食べたりして、少しずつ覚えていきました。」
その他にも『この料理にあうワインは?』と聞かれることもあるそう。わからないときは、店長の須藤さんに相談しながら覚えていっているとのこと。
「接客に関しても、マニュアルに頼らないんですよね。わたしは大きな会社でしか働いたことがなかったので、そこは新鮮でした。」
挨拶をする、などの基本的なことは当たり前にやるけれど、こうしないといけないという決まりにしばられない。むしろ「こうしたらいい」と思ったことは、どんどん取り入れようという考えのようだ。
大橋さんはここで働きだして、自分の身体にこんな変化があったそう。
「風邪を惹かなくなりましたね。食べ物の影響かはわからないですけど。免疫力はあがったのかなって思います。」
どんな人と一緒に働きたいですか?
「料理がいくら美味しくても、サービスが良くなかったらおいしさが半減してしまいますよね。なので、お客さまがお料理以外でも喜んでもらえることを意識しながら働ける人かな。」
店長の須藤さんはどんな人がいいですか?
「ホールは未経験でも大丈夫です。サーブがうまいとか、ワインの注ぎ方がうまいというような、接客のスキルは最初から求めないです。それよりは、素直で、いつも笑顔でいる人がいいですね。」
「それと、お店にいるメンバーは健康管理もちゃんとできていて、みんな遅刻などもしないんです。少ない人数で小さなお店をやっているので、責任感がある人がいいですね。」
キッチンスタッフに関しては、基本ができて、より専門的な料理を勉強したい人や、ワインとの相性を勉強したい人がいいと思う。
身体が喜ぶEssenceの薬膳中華。ここでお客さまをもてなす人をお待ちしています。
(2015/03/02 吉尾萌実)