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皇居西側に位置する、番町・麹町。江戸時代には旗本屋敷が立ち並び、明治以降は文学者や芸術家たちが住んでいました。その歴史を受け継いで、いまは文化施設や進学校の多い文教地域になっています。
今回紹介するのは、そんな番町・麹町にエリア特化した不動産会社です。

この会社が最も大切にしているのは、スタッフ全員で会社をつくっていくこと。会社の経営に関わることも、みんなで議論して決めています。
立場や経験に関係なく、どんな人でも自由に意見できる職場です。
そんな環境で働きたいと思っている人や、不動産の仕事に就きたいと思っている人は、ぜひ続けて読んでみてください。
四ッ谷駅を下車。改札を出ると、商業施設をはじめ、教会や学校など大きな建物がいくつも立ち並んでいる。
外濠公園とニコラバレ修道院の間を進み、歩いて5分ほど。
協永ソフトエンジニアリングのオフィスがある、赤レンガ調のマンションに到着した。

扉を開けると、社長の橋本さんが迎えてくれました。
橋本さんは生粋の“番町っ子”。
靖国神社で蝉を採ったり、弁慶堀でザリガニ釣りをしたり。幼い頃からこのまちで暮らしてきた。

「社会に出たら、人の役に立つような人間になりたいと思っていました。大学へ進学するときに都市計画の分野があると知り、建築学科に入って学ぶうちに、人が生活する場所を幸せな空間にしたいという考えを持つようになりました。」
もともと橋本さんのお父さまは不動産会社“協永不動産”を経営していた。そこで学園建設など、都市計画に直結するような事業も進めていた。
大学を卒業後、まちづくりを学ぶために協永不動産で10年ほど働く。そして2001年に協永ソフトエンジニアリングを立ち上げた。
その際、不動産の仕事とはなんなのだろうと、あらためて考えたという。
「設計士は図面を描き、施工業者は建物を建設し、家具屋は家具を売る。では一体、不動産業者はなにをお客さまに提供しているんだろうと。そう考えたとき、その不動産を取得するうえで人の心の中に安心感や幸せ、豊かさなどをつくりあげることなんだ、と私は理解したんですね。」
「お客さまの将来の夢や希望、喜びや幸せをつくるために、確かな情報をもとに物件を紹介することで、その人が不安にならないようにサポートする。そして、お客様が決断しやすいように心の中を整理することが、私どもの商品だなって。」

それを橋本さんは千代田区の番町で実現したいと考えた。
「私は番町に愛着や誇りがあるんです。自分が生まれ育った地域なので、この地域に貢献したい。ここでまちづくりを実現したいと思ったんです。」
「そのために、既存のものよりもっと深い情報提供を目指そうと。」
どんな情報ですか?
「ここに住むと、どんなに楽しく、どんなに自分の家族を幸せにできるかという、夢や希望や楽しみ方。不動産を斡旋するなかで、そういった情報を提供していくことにしました。」
まちの特性やイベントなどの情報をホームページに載せるのはもちろん、地域の専門学校の学生と協力して地域情報冊子「Bene(ベーネ)」を作成した。
Beneに書かれているのは、親子連れでも楽しめるレストランやおすすめのお店などの情報。さらに、入居者の奥様に協力いただいたお弁当レシピまで載っている。

「この地域のすてきな暮らし方を情報提供して、この地域のニーズを模索する。そして、オーナーさんやデベロッパーにその情報を提供していきながら実現していく。それがまちづくりの手法のひとつだと思っているんですね。」
橋本さんが目指すのは大きな再開発ではなく、人と人が横でつながるようなまちづくり。
それは小さな会社でもできること。そして、地域への想いがある橋本さんだからこそできること。
「地域の豊かさに、私たちの仕事が大きく影響する。そんなふうにやっていけることが夢ですね。」
人とのつながりが大切な不動産業。だんだんオーナーとの関わりが増え、業態は仲介業から管理業へとつながっていった。
「今後は、管理を中心とした対応の中から賃貸・売買・開発へとつなげていく方向性でいきたいと。いままでは単に賃貸業を中心に進めてきましたが、これからは管理から発展する年だと思っています。」
実際に、管理の仕事はどんなことをするのだろう。
会社設立当初から勤めている榎本さんに話を聞きました。
いまは営業を担当する榎本さんと、事務を担当する近藤さんが分担して管理の仕事を行なっている。
これから加わる方は、ふたりの管理業務を引き継ぎ、管理専門のスタッフになる。

具体的な仕事内容を聞いてみた。
「家賃管理は、前月の月末までに翌月の家賃を入居者にご入金いただき、滞納がないかどうか確認して、オーナーさんに送金をします。そのために月々の収支明細、オーナーさんへの報告書、請求書などの書類をつくることになります。」
「物件管理は、1棟のマンションを丸ごと管理している場合もあれば、分譲マンションの1室だけを管理している場合もあります。」
1棟全体の管理は日常的な清掃やエレベーターの管理、消防の設備点検など、さまざまな業務を業者に発注して、棟全体の維持管理を取りまとめる。
「修理依頼の電話をいただいたときは詳しい内容を確認して、簡単な修理で済みそうな場合は私が現場に向かって直すこともあるんです。エアコンの故障や漏水などのケースは、さいしょから専門業者に工事を依頼しています。」
「なかなか経験がないと難しい部分かもしれないですね。建物の構造や設備など、はじめの1年くらいは知らないことばかりだと思うんです。でも、デスクの後ろを振り向いて『これなんですか?』って聞いてくれれば、すぐに答えてくれるような環境がありますから、安心してほしいです。」

「即戦力でなくてもいいですが、常にオーナーさんと入居者の気持ちになって動ける人がいいです。それと、うちの特徴として、みんなでひとつのことを考えようという社風があるので、みんなとコミュニケーションがとれる人ですね。」
この記事では紹介しきれませんでしたが、取材ではスタッフ全員のお話を伺いました。
人事も経営も、話し合うときは必ず全員が参加する。
事務を担当している近藤さんは、こう話していました。
「わたしのような立場の人間でも、経営会議に参加できて、必ず意見を聞いてくれる。一般的な会社だと入らないような場にも、下の人が発言できる環境のある会社です。」

榎本さんが、一棟管理を請け負った時の話をしてくれた。
「荒木町にある10戸くらいのマンションの管理を、ほとんど入居者がいない状況から受けたんです。全室満室にするためにはどうしたらいいか、営業だけではなく事務も含めて、スタッフ全員で現地を見に行ったんです。自分が住むなら、あれは嫌だこれは良いってメモして。その後、みんなで共有して。」
空室の部屋を綺麗にリフォームした。あとはなるべく予算を抑えようと、床の張り替えや外壁の塗装などの専門的な部分は業者に依頼し、できる限りのことは自分たちで手掛けた。
「お金をかけなくてもキレイにできるし、一部分だけ真新しいものを入れても建物に合わないと思ったんです。じゃあ自分たちでできることをやろうって。」
「ボコボコだった共用部の郵便受けは、シールを剥がして、ピカピカに磨いて。劣化していたプラスチックの表札は、大きいプラスチック板を買って切ったものに替えました。それだけでもキレイになるんですよね。」
さらに、マンション1階に入っていた焼肉店が隠れ家風のフレンチレストランに変わったことで、雰囲気のよい建物になった。
リニューアル後、入居者はすぐにいっぱいになり、一度入るとなかなか出ないほど人気だという。

田口さんは地域情報冊子「Bene」の編集を担当した方。ほかにも、ホームページリニューアルの担当も務めた。
こういった仕事は普段の事務仕事にプラスして行なうため、なかなか忙しそうだ。
「大変だなって思いますけどね。だけど事務でも、広報とか人事のことも経験できるのはおトクだなって思うんです。」
「前職では大手企業に勤めていて、歯車の一部でしかなかった。事務をやっていて、効率が悪いなと思っても声を上げる場所がないし、あげたところで誰も吸い取ってくれない。この先ずっと新人と同じような仕事をやることが、わたしの人生において楽しいことなのかなって思って、飛び出してみたんです。」
田口さんが協永ソフトエンジニアリングを選んだのは、あらゆることが経験できそうだったから。
今回入る人も、自分の仕事範囲を限定せずに、自由に経験できることを楽しめる人が合っているのかもしれない。
「一匹狼でやりたい人にとってはもの足りないかもしれませんけど、自分ひとりですべての責任を負うわけではなく、社員全員のサポートを受けながら提案できるので、新しいことにチャレンジしたい人に来ていただきたいですね。」

「うちの社員は少数精鋭のプロフェショナルの集まりだと思っています。しかし、ありがたいことに今は仕事量が増えてしまったので、たとえ未経験でも管理業務を専任してくれる方に是非とも仲間になっていただきたいと思っています。」
今後は、提案型の管理をより積極的に行なっていくという。
入居者が気持ちよく過ごせる空間を提供することはもちろん、長期的な修繕計画を立ててオーナーさんと一緒に進めていったり、物件の価値を高める提案をしていく。
「管理に限らず、いろんな提案ができると新たな仕事が広がっていくと思うので、積極的にアイデアを出してもらえると、楽しめるのではないかなと思いますよ。」
全員で参加し、みんなでするまちづくり。
不動産業を超えて、これから新しいことをする可能性があるかもしれないと、橋本さんは話していました。
そんな橋本さんたちと一緒に働きたいと思ってくれた人は、ぜひ応募してみてください。
(2015/3/2 森田曜光)