求人 NEW

はたらく女性のうつくしさ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

やさしくて、きれいで、そして強い。
そんな女性たちに出会いました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 株式会社ディーフィットは「まかないこすめ」という「和」コスメのブランドを展開しています。

商品は無添加のナチュラルコスメ。金沢の金箔屋ではたらく女性たちの知恵から生まれた和コスメは、神楽坂から日本全国、そして世界中にファンを増やしています。東京のお店に立って商品のことを伝えていく人と、海外に向けて発信をしていく人を募集します。


飯田橋の駅前にある大きな歩道橋を渡ってすぐのビルに、まかないこすめの本社がある。20名ほどのスタッフが働いている広い部屋。打ち合わせスペースに、代表の立川さんが凛とした着物姿であらわれた。

「美」に関わる仕事を取材にいくときには、自分の肌から私生活を見透かされてしまうのではと、少し緊張する。

「みんなてきぱき仕事をしています。私たちも肌のことを気にしていますが、早く寝るとか、ちゃんとご飯を食べるとか、十分にはできていない日もあったりしますよ。」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 立川さんの出身は石川県金沢市。ご実家は明治から続く金箔屋だった。

金の延べ板を溶かして、叩いて、金箔にする。男性は男性の仕事、女性は女性ならではの仕事をしていた。品質を保つために、作業場は行程によって高熱、高温、乾燥、無風など、厳しい労働環境だった。

「金箔の仕事の大変さを見ながら育ちました。家業を継ぐということはなく、東京でPRの仕事していました。けれど金箔製造の業界が低迷していくのは、さびしく感じていて。」

金箔をのばすとき、和紙の間にはさんでたたく。和紙の繊維ものびて、あぶらをよく吸うので、あぶらとり紙として売る金箔屋もあったほど。

立川さんも実家の助けになればと、あぶらとり紙を商品化。都内で販売をはじめることにした。けれど流通のことはなにも知らなかったので、まずはバラエティショップなどをまわるところからはじまった。取扱ってくれる場所は、少しずつ増えていった。

「商品はどんどん新しいものをつくっていかないと続かないことを学びました。自分たちの手の届かない場所だと、安売りをされてしまうこともあった。だからアイテムを増やし、ブランド化して自分たちで売ろうと決めたんです。」

dfit14 金箔づくりの厳しい環境の中、女性たちは身近にある材料を使って肌のお手入れをしていたそうだ。100年にわたり、いろいろなものを足したり、減らしたり。独自の「レシピ」ができていた。それを商品化したのが「まかないこすめ」。

「金箔づくりで使っているものや、お台所にある材料を使っていました。自分たちを実験台にしながら代々つくってきた、手づくりコスメの先駆けです。」

商品として売るためには、家でつくっているレシピをそのまま、というわけにもいかないけれど。できるだけ同じレシピでできるよう、天然の素材を使いたい。動物実験もしたくない。パートナーとなる工場探しには時間がかかった。

「本当に受け入れられるのかどうか、わかりませんでした。けれどお客さまを目の前にして、感動を間近で感じるようになりました。」

イベントへの出展からはじめて、3年ほどで店舗をかまえた。少しずつ“まかないこすめらしさ”が生まれ、スタッフをはじめ、お客さまに伝わっていくようになった。なにもないところからはじまったブランドづくりが、ようやくカタチになってきた。それは、商品に対する自信にもつながっていく。

「日本古来の素材を使っています。日本にこんなにいいものがあるのに、もったいない。身近なところにこんなにお肌にフィットするものがあることを広めていきたいという想いが強くなっていきました。」

dfit03 ここで、本社から5分ほど歩いたところにある神楽坂本店へ。最初にできたお店で、2月で9周年をむかえた。

店長を任されているのは、浦越さん。とてもやさしい雰囲気と話し方をする。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 「お客さまは30代から40代を中心に、幅広い世代のかたがたです。肌になやみがあるのをきっかけに知っていただいたり、街を歩いていてふらっと入っていただいたり。外国の方がお土産として選んでくださることも増えました。」

スタッフも、自分の肌になやんでいた人が多いそう。使ってみて、よさを実感したからこそ今の仕事をしている。

肌のトラブルはプライベートなことと感じる人もいると思う。来てくれた人に、どう接していくんだろう。

「私たちもお医者さんではないので、答えられないこともあります。お話いただける部分をうかがって、試していただく。実際に使わないとわからないことも多いので。」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 「お店の雰囲気をくずさないよう、言葉づかいや手の動きなどの所作に気をつけています。」

ブランドのイメージは、こうやってお客さまに伝わっていく。


浦越さん自身、もともと美容に興味が強かったわけではなかったそうだ。

「和とか、オーガニックとか。からだに優しいものには関心がありました。お客さんとしてお店にきたときに、とても心地よかったんです。だからファンからさらに進んでみようと思って。」

話しかけるタイミングや言いかたで失敗して落ち込むこともあった。けれど常連のお客さまができたり、1度うれしいことがあると、何倍もの自信につながっていく。一緒に働くスタッフにも、たのしく働いてほしい。

「コミュニケーションの時間はなるべくとるよう心がけています。スタッフの気持ちが下がらないように努力するのが、私の仕事かなと思っているので。」

店長という立場に、プレッシャーはないのだろうか。

「なにかあったときに頼りにされる要員だと思っています。プレッシャーはありますが、思ったらきりがないので、気にしていないです。」

笑いながら話しているけれど、なんだか心強い。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 神楽坂店では20代から50代まで、幅広いスタッフが働いている。

「お客さまの年齢層も広いので、説得力のある接客ができると思っています。」

女性が多い職場だけれど、みなさんどんな風に働いているんだろう。立川さんに聞いてみる。

「シフトの組み方を工夫したり、スタッフのステップアップのかたちをいろいろ用意したり。まだ課題が多いので、これから考えていきたいですね。」

人間関係はどうですか。

「本社をみていると、仕事に対しての意見を交わすことはありますが、人間関係のごたごたは見かけません。仕事に前向きなスタッフが多いので、それどころじゃないようです。逆にぼーっとして時間がすぎるのを待ちたい、という人には向かない職場かもしれません。」


そんな職場で働く人をもう1人ご紹介します。新卒で入社して、今はグローバルコミュニケーション部に抜擢された渡邊さんです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「もともと実家がお寺で、人が集まる場所でした。学んできた英語も活かしながら、人に関わる仕事がしたいと思って、販売スタッフとして入社しました。」

はじめに立ったのは、ソラマチ店。スカイツリーがオープンするタイミングだったから、国内外問わず、波のように人が押し寄せた。いそがしさに疲弊してしまうような日もあったけれど、店頭ではいつでも笑顔を見せる渡邊さんのタフさをみて、立川さんが声をかけた。

「海外進出するプロジェクトがあって、やってみないって。まずは週1回、朝7時に集って、貿易のことなどを学ぶところからはじまりました。」

「勉強会をしていく中で、フランスに焦点あてていくことに決めました。コスメ大国でもあるフランスで認められたら、ブランドイメージも高まっていくと思っています。」

勉強会は、いつの間にか実践に入っていったそうだ。最初はパリのボンマルシェ百貨店で行われる、日本のものを集めたイベントへの出展から。全員海外との仕事はは未経験だったけれど、自分たちで一からつくっていくのがまかないこすめ流。

dfit02 「EUの化粧品の基準が世界一厳しいので、輸出するのがとても大変だったんです。」と立川さん。すると渡邊さんが「それ、大変すぎて記憶からなくなっていました!」と話してくれた。

思うように海外の担当者とコミュニケーションがとれない中で、金額の交渉、調査の依頼などすべてを担当していたそうだ。

「いろいろな人のアドバイスを聞きながら、ようやく検査をクリアできました。だいぶ勉強になりましたね、本当に。」

イベントは大盛況のうちに終わり、ファンやリピーターになってくれる方もいた。今はせっかくできた縁を広げていくため、取扱いたいという小売店をパリやロンドンなどでも選定しているところ。企業からのオファーもたくさん舞い込んできていて、さまざまなチャネルとの商談も進んでいるそうだ。

あたらしく入る人には、渡邊さんと一緒にさらに海外との縁を広げていってほしい。まだまだ手探り状態は続くから、たくさんのハードルが待っていると思う。あわせて国内の広報やPRも、協力しながら担当することになる。

「経験や知識よりも、好奇心や粘り強さと根性を持っている人と一緒に働きたいです。思い通りにならないこともたくさんあるけれど、自分であたらしいチャレンジをしていけるブランドなので、とてもやりがいはありますよ。」

頑固、というのではなくて、素直に前を向いている人が似合うと思う。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 仕事の厳しさや責任感の必要性ばかりをお伝えしているようですが、仕事の話をたのしそうにしているまかないこすめのみなさんは、とても芯の強い女性だと感じました。こんな心強い仲間たちと一緒に切磋琢磨して働くことは、仕事をがんばってみたい人にとっては心地よいと思います。

最後に浦越さんに、立川さんのことを聞いてみました。

「店舗にいらっしゃるときがありますが、背筋がピンと伸びる感じがします。率先して一生懸命に取り組む姿は、女性として尊敬しています。」

どんな人たちが働いているのか、まずは店舗に会いにいってみてください。日本の女性の、やさしさと強さが感じられるかもしれません。

(2015/2/9 中嶋希実)