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考えるカフェ

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

仕事をしていて「もっとこうしたらいいのに」と思ってもできないことがある。

たとえば、上司に「それはダメだ」と言われてあきらめたり、けっきょく楽なほうを選んでしまったり。

カフエマメヒコは「もっとこうしたらいいのに」を積み上げてできたカフェだと思います。それは日々の小さなことから、映画をつくったり、自分たちで畑をはじめるような大きなプロジェクトまで。

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働いている一人ひとりが「こうしたらいいのに」を考えている。それは大変なことでもあるけど、面白いことなんだと思う。

三軒茶屋と渋谷の宇田川町、それに公園通り。電車で行けば15分くらいで行き来できるお店で働く人を募集します。

三軒茶屋駅を降りて、すぐのところにカフエマメヒコの本店がある。となりにはテイクアウト専門のお店Covivu(コーヴァイヴ)。こちらは今年できたばかり。

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まずはカフェのほうを訪ねてみた。開業して10年を迎える。

迎えてくれたのはマネージャーの日野さん。ハキハキとしていて、急かされているような感じもしない、笑顔が素敵な人。

ちょうどお昼前。店内はお客さんでいっぱいだった。スタッフのみなさんはテキパキと仕事をしている。

コーヒーをいただきながら日野さんにお話を伺った。

「今はアルバイトやパートの方も含めて、スタッフは30人くらい。4店舗になり、ちょっと人数的に厳しくなってきたんです。」

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なぜマメヒコで働きはじめたのか聞いてみる。

「飲食店のなかでもカフェが好きで、いろんなお店にお客として訪れていました。でも、しっくりくるお店がなくて。マメヒコは、たまたま求人募集を見かけて、面接を受け、よくわからないままアルバイトとして入社しました。半年くらいはアルバイトをかけもちしながら続けていたんですけど、『マメヒコ一本でやってみませんか』と声をかけてもらい、それからはずっとマメヒコですね。」

どうして続いたんでしょう。

「なんか楽しかったんです。」

楽しかった?

「お店の仕事って、まあ、単調なことの繰り返しではあるんですけど、それが楽しくて。あとオーナーの考え方が面白くて。とにかく斬新で。なんだろう、ブレないというか。一貫しているというか。」

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「オーナーの井川はいつも『カフェはメディアである』と言っているんです。もともとはテレビ番組の制作会社をやっていて、ひょんなことからカフェをはじめて、今ではハタケマメヒコとして畑を運営したり、映画製作や演劇上演、それにフリーペーパーもつくったりしています。どの活動も根本の考え方は一緒で、カフェという場を通じて、表現するということができるんだ、と思いました。」

ほかにも飲食の仕事の経験はあるんですか?

「学校を卒業してからは、ずっと飲食業で働いています。だいたいの仕事はほかのお店も同じだと思うんですけど、考え方がちがっていた。真摯でブレないんです。」

マニュアルとかないんですか。

「接客なんてマニュアルはないし、レシピくらいですかね。あるとすれば、オーナーの考えにもとづいて動く感じ。それを自分たちで考えながら働くんです。」

となりのCovivuで働いていた高橋さんにも話を聞いてみる。ここで働く前は外壁などの塗装の営業をしていた方。

「1年半くらい前に、はじめてお客として来たんです。なんて言えばいいか分からないけど、共感して。」

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「前職の営業では、売っているものに自信がもてなかったんです。でもここならすべて自分たちで豆や野菜を栽培して、それで料理をつくっているし、おいしいものが提供できている。そういう一貫しているところに魅力がありました。」

入ってからギャップとかありませんでしたか?

「ありましたよ。体育会系で、とても意識が高いところとか。たとえば店内を、細かなところまでしっかりきれいにしなきゃいけないとか。甘えがないんですよね。外から見たらゆったりしているかもしれないけど、裏側ではアヒルが水面下でバタバタと水かきしているように必死です。」

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「大変なときもあるけれど、お客さまに直接『ありがとう』と言葉をいただける。会話が弾んでいくとうれしい。そういうところがいいです。」

おふたりの「なんか楽しい」「嘘がない」という話を聞いていると「たしかにそうだな」と共感できるのだけれども、なぜそうなのかがよくわからない。

翌日、公園通りのお店にオーナーの井川さんを訪ねた。

こちらもお店はお客さんでいっぱい。コーヒーを飲みながら、まずはなぜカフェをはじめたのか聞いてみる。

「たぶん、日本仕事百貨も一緒だと思うんだけれども、お金をもうけるためじゃないんですよね。もちろん、お金が必要なものであることはわかっているわけで。平たく言えば、閉塞感っていうのかな。もうちょっとよくできるかもしれない、っていう想いがあった。」

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「テレビの仕事も自分のオリジナリティーに対してオファーがあったらいいけど、会社が大きいとか、安く仕上がるとか、そういうことに注文が殺到することに嫌気がさしたのかな。やっぱり表現したい、役割を担いたい、と思っていたんです。つまり社会に対して役立っている実感がほしかった。」

たしかに右から左へ仕事が流れているところに加わっても、自分の代わりはいくらでもいるように感じられるかもしれない。

そのために井川さんは「楽をせずに、あえて面倒なことを仕事にする」という選択をした。

「アンチテーゼみたいなところがあって、みんな同じことをしても意味ないだろうと、小さなときから思っていて。なぜみんな同じことをするのか考えたら、楽しようと思っているんじゃないかと考えたんです。楽をしないために一番面倒な仕事をしよう、って思ったらカフェだったんだよね。」

素人だからこそ先入観なしに考えることができる、ということもあるかもしれない。

実際にいろんなお店を見てみると、人気店でも「もっとこうしたらいいのに」と思うところがある。

たとえば、ミルクひとつとっても植物性だったり。ほかにも砂糖だって、テーブルだって、照明だって「なんでこんなことになっているんだろう」と思うことが見えてきたそうだ。

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「とにかく微に入り細に入り。ディテールについてもキチッと決めようと。でもそうするとものすごいお金がかかる。つまりそこで初めて『え、これって数千万かかるんだ』って現実に気付くわけなんですよね。で、そこでやめるという決断もあったわけなんだけど。とにかく引き返すのが嫌なんだよね。来た道を絶対に戻りたくない。」

絶対に。

「そう。来た道を戻りたくないから、バス停がちょっと遠くても、手前のバス停で降りて歩くし。」

なぜなんでしょう。

「それはやっぱり、常に新しいものを見たいんだね。つまり目的地に着くってことが目的なんじゃなくて、常に新しいものを見て歩くことが目的だから。親が転勤族で、昔から引っ越しが多かったからかもしれない。引っ越しのときは、不安を感じるよりも、行った先でなんとかやるしかないだろうっていう気持ちが強くあった。」

自分がやりたいお店をやるには、とても大きなお金が必要だったけれども、テレビの制作会社がうまくいっていたので、銀行の借り入れもできたそうだ。

「今思えば、すごい高い金利だったけど、間違ってはじめちゃったんだよね。」

間違って?

「つまり、今なら『もう少し考えたほうがいいんじゃない』って思うから。」

やってみてから考えるんですね。もちろん、失敗するかもしれないことも考えているのでしょうけど、絶対に成功しなきゃいけないとも思っていない。

「そう。間違っていたなら間違っていてもいいと思ってる。なんていうか、呑気なんですよ。『なんとかなる』っていう自信と『失敗したら失敗したでそれも人生だ』っていうことを真に受けてやっているからかな。」

話を聞いていると、目の前のことに向き合って考える、というスタンスのようなんですが、イエスかノーかを決めるモノサシのようなものはないんですか?

「イエスかノーか、最後は決めるんだけれど、明確にイエスかノーかではないんですよね。」

白か黒かではなくて、グレーもある、ということですか。

「うん、イエスかノーかのどっちでもないところに答えがあるって明確に信じてる。それは世代的なこともあるんだろうけどね。ぼくらのときは、みんないい大学に入って、いい会社に就職して、結婚して、みたいなものをまだ信じていた時代だったんだよね。」

わかりやすい答えがある時代だった。

「そう。けれどもぼくは受験に失敗して、大学に3日くらいしか行かないで辞めてるんだけど『こんなことしていてもしょうがないや』ってすごい思っちゃった。そのあと苦労するんだけどね。でもやっぱりいろんなことを考えなくちゃいけないっていうのは、そのとき思った。」

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「考えることが何よりだってことですよね。楽をするということは考えるなってことだと思っているから。だから僕にとってマメヒコっていうのは、店の名前というより一つのプロジェクトなんです。そういうことを考えるきっかけにしたいっていう気持ちではじめた。最初に言った『何かを表現したい』の何かも『みんな、もっと考えたほうがいいんじゃないか』ってことを表現したいんだよね。」

日野さんや高橋さんの「なんか楽しい」「嘘がない」という話が抽象的だった理由が、井川さんの話を聞いてよくわかった。

マメヒコは考えるカフェだから。答えがあるわけじゃない。

ルールはあえて決めない。計画も立てない。その都度、考える。だからこそ、今のマメヒコがある。

たとえば、映画もお客さんから「カフェで上映すればいいじゃない」と言われてはじめることになったし、たまたま豆を取引しているところから土地を紹介されたので畑をやることになった。

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お店で働くことも同じ。毎日の仕事のなかで、どうしたらいいか考える。「これだけやっていればいいですよ」という働き方じゃない。

これは大変なことだけれども、一方で「面白い」と思える方もいると思います。井川さんも「面白いと思えないかぎり、こんなもん続けられない」とのこと。

人気のお店だから、たとえばミルクティーを鍋から煮出しつつ、コーヒーを淹れながら、クリームを泡立ててケーキをつくる、なんてこともあるかもしれない。

そんなときも、井川さんの考え方に共感して自分の頭で考えられる人なら、きっと楽しく続けられると思います。

もし興味があれば、まずはお店を訪ねてみてください。いいな、と思ったら応募していただけたらうれしいです。

(2015/4/10 ナカムラケンタ)