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「生活の中で使って、よかったと思うか。長い年月が経っても、いいものであり続けるか。『あぁ、これいいもんや』と思う瞬間は、買ったときじゃなくて、その後の生活にあるかどうかしか僕は見ていないんです。」スコープの「シャチョウ」こと、平井さんの話を聞いて、たくさんの人たちがここで商品を選ぶ理由がわかった気がした。
お皿、グラス、フラワーベースやテーブル。
どれも自分の生活に仲間入りさせて、ずっと大切に使いたいと思うものばかり。

“売れるもの”ではなく“生活にとっていいもの”をとことん追求しているのがスコープという会社です。
ひとつひとつ、丁寧につくられた商品たち。それらを伝えるために書かれた正直な文章と、生活の息づかいが聞こえる写真。
見ていると、思わず使っているときの生活を想像してしまう。そんな楽しいECサイトを運営しています。
今回は、スコープで商品管理を担当してくれる人を募集します。
ただ担当といっても、スタッフそれぞれの役割はとてもゆるやか。どんな人でも出荷作業をするし、やりたいことや適性があれば新しい仕事が任され、自分の役割は変化していきます。
自由で明快。そのぶん、しっかりした行動と結果が求められる職場です。
どんな人たちが働いているのか、話をうかがいに行ってきました。
到着したのは、名古屋駅のふたつ隣にある春田駅。
ここから車で5分ほどの場所に、カフェだった建物を利用したスコープのスタジオがある。
扉を開けると、シャチョウこと平井さんをはじめ、スタッフの方々が迎えてくれた。平井さんのことは、スタッフもみんな「シャチョウ」と呼んでいる。

テーブルに座ると、キッチンで準備していたスタッフの方がコーヒーとノンアルコールのシードルを持ってきてくれた。
使っているカップやグラスはスコープで扱う商品と同じもの。キッチンには、これから商品としてラインナップされるというお皿も並んでいる。
「スコープではこういう場所やマンションの一室を借りて、そこで実際に使って試して、撮影をしたり商品開発をしています。年に数回は1週間単位で泊まりこみの撮影合宿もして。みんなで生活をして、商品を使って『これめっちゃいいね』とか、逆に『ここ癖あるなぁ』とか。生の体験からスコープ独自のラインナップを形成しているんですね。」
そう話すシャチョウがECサイトをはじめたのは、いまから15年前。当時はいまのようなかたちではなく、おしゃれなネットショップを目指していたという。
いまのスコープはそれとは別路線。どうして方向性が変わったのだろう。
「そもそも僕はゴミが嫌いなんです。『消費』って言葉なんかはもう大嫌い。誰が何を消したんだっていう話です。お皿やテーブルをずっと使い続けられるほうがいいじゃんと。買ったものがゴミになっていかないっていうのが、すごくキーにあったんですね。」
「いまのスコープでは、ものを売るっていうことがどうでもよくなっていて。その先にある生活がどう変わっていくかってところを一番の目的にしているんです。」

ゴミにならずに、長くずっと使えるもの。そして、日々の生活の中で使ったときにいいものであり、愛着がわくもの。
そう思えるものたちを世界中のブランドから集めたり、ビンテージしかないのなら復刻させたり。そもそも世の中にないのなら自分たちで企画し、メーカーや職人さんと協力してつくってきた。

でも、聞いて驚いたのだけど、スコープでは顧客情報から販売戦略を考えるようなことを一切していないそうだ。
「囲い込みはしないし、データに合わせて売れるものを考えることなんて絶対しない。フェイスブックなどでお客さんからアイディアをいただきつつ、でもアイディア商品ではなく、価値のあるものになるようにつくっていく。それは、生活の経験を積んだ人がいろんなものを買って試さないと、いいものとして形になっていかないんです。」
「だから僕は、自分の興味があって得意分野じゃないとやらない。それは生活っていう、家の内側のこと。たまたま北欧がとっかかりにあっただけで垣根はまったくなくて。ベトナムやアフリカ、いろんな国にまだまだいい生活道具がいっぱいあるんです。」
ブランドや国境、時代を越えて集まる名品。セレクトというより、コレクションのようなものをつくりたいとシャチョウは話す。
「僕は海外との交渉が得意なので、現地で買うのと同じ値段に合わせつつ、生活の中で『これいいやん』って認めたものをどんどんコレクションして、まずは日本で販売する。次に海外展開して、世界中の人によしと認められるのが、いまの目標です。」

もしそういったことができたり得意な人がいれば、出荷業務の合間にどんどんやってもらいたいそうだ。それがゆくゆくはその人の仕事になり、メイン業務へと移り変わっていくという。
「やりたいこととか、必要だと思ったことを話してくれたら『いいじゃん、ナイスアイディア!じゃあやってね!』って。」
「なんていうか、枠組みありきの考え方が好きじゃないんですよ。だから『私はこの仕事しかできません』みたいな人は、スコープでは絶対にやっていけない。クマちゃんは物流とか倉庫の管理をしながら、企画のほうに寄ってきているよね。勝手に。」
そう振られて「勝手に?」と、すかさずツッコミを入れた熊澤さん。
今年で入社4年目を迎えた、スコープ一番の若手の方です。

海外からやってくる商品の管理や出荷など、お客さまの手に渡るまでの一連の商品の流れをまとめている。
熊澤さんは、もともと商品管理の仕事をするために入社したわけではなく、現場で商品を知ってから会社のことを知るために、入社してしばらくは検品や出荷作業をしていた。
当時は、商品の物量が日に日に増えていった時期。「自分でなんとかしなきゃ」と考えているうちに、物流がメインの仕事になっていったという。
今回募集する人も、まずは商品管理の仕事から。商品を実際に手に取ることで、もののよさを体験でき、スコープの目指す方向性が見えてくるそうだ。
また、現場の倉庫にいる人がスコープのなかで一番商品に近い存在になる。日々検品や出荷作業を行なうなかで、気づいたことを企画側に伝えることが必要だという。
「たとえば、ハンドメイドのグラスだと、ものによっては底に気泡が入っていたりする。買ったあとになってから気づいたってことがないように、そういった情報をWEBページに反映してもらったり。」
「そうすることでお客さんが安心して買うことができる。縁の下の力持ちのような、大事な役割かなと思います。」

「わたしはもともと生活にものすごく興味があって。スコープをはじめて知ったときはすごく生活に密着したインテリアショップだなって思ったし、入社してからはもっと肌身で感じて。それでスコープで売っているものを、自分の生活に取り入れて使っていたりしているんです。」
シャチョウはそんな熊澤さんを見て、撮影合宿のメンバーに抜擢。同じように生活をていねいに送っている人なら、そんな仕事の広がり方もあるかもしれない。
「ひとつの仕事から広がることもあるし、シャチョウがこれやろうってなればみんなで一斉に動く。常に変化のある会社なので、そんな状況も楽しめる人だといいなと思います。それと体力がある人。重い物を持つし、忙しくなるときはほんとうに大変なので。」

ふたりとも経験があったわけではないけど、自ら動き、一から勉強することで、いまの役割を掴んだ。
熊澤さんや石川さん、鈴木さんたちのように自発的に動ける人がこの会社にはあっているのだと思う。
それができる人なら、できる仕事の幅がどんどん広がっていって、スコープで働く面白さが増してくはず。
10年以上スコープに勤めている石川さんや鈴木さんは、そんなスコープの仕事が好きで、この会社でずっと働き続けていると話してくれた。

実は、今回の募集はスコープにとって4年ぶりの求人。
退職する人はほとんどいなく、パートの主婦の方でも10年以上続けて働いている人が多いそうだ。
社員のスタッフは何人いるのだろう。
「どうでしたっけ。たしか12人。酒井さん、平沢さん、福井さん、平山さん….」
「いや、平山くんは役員だよ。」とシャチョウ。
思わず吹き出してしまったけど、役員も社員もパートも、とくに意識しないほど垣根のない職場のようだ。
「そう、ほんとうにフラット。僕らの発想はぜんぶフラットなの。たとえば、インターネットはフラットなツールじゃないですか。だからネットをベースにして、どこでも買えるようにした。離島に住んでいる人だけが送料高いのはあかんやろって、全国一律の料金にした。」
フラットなのはお客さんに対しても。お客さまは神様という発想はなく、できないことはできないと伝える。
取引先ともフラットで、発注側のスコープが偉くなることもない。つくっている人にもそうで、こんなに頑張ってつくってくれているのかと思えば、仕入れ値を上げて、その分現場に回してほしいと伝えるそうだ。
「常に何もかもがフラット。まあ、それが一番スコープらしいかな。」

だけど決して、みんなで仲良くワイワイしているような会社ではないそうだ。
「仲間って感じじゃない。学園祭の実行委員みたいな。責任持ってみんなで一緒に『おし、じゃあこれクリアするか!』って。なんとなく僕が決めているスコープの方向が好きだから、みんな居る感じですかね。」
まずは商品たちと向き合いながら、働く人とはいい距離感で。
自分次第で、いろんな広がり方がある仕事だと思います。
(2015/4/21 森田曜光)