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つなぐ香川

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全国で一番小さな県だけど、「うどん県」や「瀬戸内国際芸術祭」で広く知られている香川県。

今回は香川県の地域おこし協力隊員を募集します。

kagawa01 さまざまな活動が盛んな香川県。けれども、県内で活動する地域おこし協力隊員の数は意外と少なく、2015年5月現在9名のみ。

今回加わる人は市町村の壁を越えた県の協力隊員として、香川県内で活動する人々を支援します。

まずはどんな人がいるのかを調査し、香川で活動する人同士をつなげるハブのような役割になることを目指します。

実際に話をうかがいに、香川県庁を訪ねました。

 
 
県庁に到着すると、迎えてくれたのは地域活力推進課の澁谷さん(写真左)と廣瀬さん(写真右)。

今回募集する協力隊員の活動をサポートしてくれる方々です。

kagawa02 はじめに、香川県が地域おこし協力隊員を募集することになった経緯を聞いてみる。

「人口減少などいろんな問題があるなかで、県では魅力ある地域づくりに取り組んでいます。だけど、県職員は現場で活動することがなかなかできない。そこで地域おこし協力隊を募集して、来てくださった方々に地域で活動していただこうと思っています。」

どんな活動ですか?

「まずは香川県中で活動されている方々の話を聞き、どんなことをしているのか情報収集していただこうと。次に県内外にそういった情報をどんどん発信してほしいと思っています。」

「そして情報収集していくなかで、何か困っていたり手助けが必要な方がいらっしゃると思うんです。たとえば、ものすごくおいしい産品があるけれど売り方がわからないとか。そんなときに、地域おこし協力隊員の方が専門家を招いた研修会を企画したり、ほかの地域で得意な人がいたら紹介してつなげたりして。あとは我々も使っていただいて、行政の施策に反映することもできるかと思います。」

場を企画運営したり、活動する人同士をつなげることで、持続的に地域を盛り上げるコミュニティをつくることを目指しているという。

さらに香川県内で活躍する協力隊員同士のネットワークづくりも計画している。

「現在、香川県では4市町で9名の協力隊員がそれぞれに活動しています。そこのつながりができることによって、もっと可能性が広がるんじゃないかと。やっぱり協力隊の方々は悩んだり苦しくなることがあると思うんですけど、同じ立場の人の話を聞くことによって心の助けになったり、活動のヒントになったりすると思うんです。」

「県の協力隊だったら市町村の壁を飛び越えて、各地域の取り組みをつなぐことができる。香川で活動している人たちのハブになるようなことを、協力隊の方々にやっていただきたいと思っています。」

 
 
実際、香川にはどんな活動をしている人たちがいるのだろう。澁谷さんと廣瀬さんと一緒に、県内をいくつか回ってみた。

最初に到着したのは、さぬき市。

ここで2013年の夏からさぬき市の地域おこし協力隊員として活動をしている舟越さんに話しをうかがった。

kagawa03 舟越さんはさぬき市の魅力発信と生産者の応援のために、市内外のマルシェに出店して、さぬき市の産品を販売している。

ほかにも、市内の食材をつかったピザづくり「PIZZANUKI(ピッツァヌキ)」を通じて、地域間交流や生産者と消費者のコミュニケーションの機会を生み出している。

以前は、東京の銀座にあるギャラリーに勤めていた舟越さん。移住を目的に、協力隊の募集に応募したという。

「実は、四国に来ること自体がはじめてで。縁もゆかりもないところからのスタートだったので、最初は人脈づくりをしました。」

まずは道をおぼえるために市内を歩いたり、車で走り回ったり。そこで人と出会うたびに声をかけたという。

「『わたし東京から来て、地域おこし協力隊として地域の元気づくりをするんです。何も知らないから教えてください!』って(笑)。昼間に会う人って、ご高齢の方が多いんですけど、まあ話が止まらない。いろんなことを教えてくれるんですよね。そんなことを毎日やっていて。」

「あとは地域のお祭りがいっぱいあるので、そこに行って料理を手伝ったりして。自分の存在を認知してもらうのに、たぶん1年ぐらいかかったと思います。」

kagawa06 街中だけでなく海辺や山間の地域を訪ね回っているうちに、驚くほどおいしい産品があることに舟越さんは気づく。

だけど、そういった産品は認知されていなく、さぬき市内の人でさえも知る人は少なかったという。

「海にこんなおいしいものあるんだよって山の人に教えても、同じさぬき市なのに知らなかったりするんです。これはもったいないなと思って。いいものがあるなら発信していこうと思って、マルシェに参加して産品を販売しているんです。」

「それと、地元の人が地元の食材を食べていないということが話していて分かったので、一番簡単なコミュニケーションとして食べることをやってみようって。地域で知り合ったパンをつくるのが上手な人と一緒に、ピザづくりをはじめてみました。」

kagawa04 「なかなか横のつながりができにくいみたいなんです。同じ地域だと思っていても、昔の村とか町の区分けで『あっちのまちのことは知らない』って言われる。でもそんなの関係ないじゃんって、ぐるぐる回っている自分が媒介してつなげる。そういったことをできるのが協力隊なのかなと思っています。」

今回募集する人は、舟越さんのようにひとつの地域でハブとなっている人同士をさらにつなげるような、そんな役割も求められることになると思う。

舟越さんは、県の協力隊員にどんなことを期待しますか?

「協力隊の研修で、全国の協力隊の人と交流したりすることがあるんです。そのときに得るものって、本当にネットワークなんですね。外から来て感じるしんどい経験も、同じような境遇の人たちと話すことでガスを抜きあったり、活動から刺激をもらったりできる。ようは人とつながると視野が広がるんですね。でも香川県は協力隊が少ないから、今までそういう機会が少なかったんです。」

「香川県内の協力隊で集まって、『協力隊生活を一緒に楽しもう!』みたいな場づくりをやってもらえたら嬉しいな。香川県はコンパクトだから、地域の隔たりをなくせばもっといろんなことができると思っていて。どんどん人がつながって、フットワークの軽い地域になればいいなと思います。」

kagawa05 地域おこし協力隊員の任期は最大で3年間。任期後は香川に定住することを期待されている。

香川での暮らしについて、舟越さんに聞いてみた。

「瀬戸内海の景色はここにしかないので、すごく好き。それと、地方だけど都市とすぐつながれる距離感だし、コンパクトな県だから会いたい人にすぐ出会えるんです。香川県は暮らしやすいところだと思いますよ。協力隊は人とどんどん知り合える立場なので、移住の手段として協力隊を選ぶのはアリだと思います。」

「ただ、その人次第で見えてくる世界は全然違うかも。いろんな人と出会ったり、干渉されるのが苦手だときついだろうし。自分から動き出さなかったら3年間何も起こらないまま。必要なのはコミュニケーション能力だけかな。それさえあれば何とかなると思います。」

 
 
さぬき市をあとにして、次に向かったのは三豊市。

宮の下港で船に乗り換え、海を渡って志々島へ。

kagawa07 志々島は瀬戸内海に浮かぶ周囲3.8kmの小さな島。

島のシンボルである樹齢約1200年の大楠を訪ねようと、毎年500人ほどの観光客やボランティアがやってくるそう。

一方で過疎化は進んでいて、かつて1000人いたといわれる住民の数はたった19人までに減少している。

そんな志々島を存続させようと、この島に住む山地さんはさまざまな活動を行なっているという。

奥さまと一緒に切り盛りしているという休憩所「楠々(くすくす)」で話をうかがった。

kagawa08 島の人たちが集っておしゃべりをしたり、志々島を訪ねた人が帰りの船までの時間を過ごしたり。楠々では、いつもゆったりとした時間が流れているそうだ。

山地さんはもともと志々島出身。幼くして神戸へ移り、2007年に志々島へ帰ってくるまでずっと神戸で暮らしていたという。

廃れゆく志々島をなんとか存続させようと、2011年から山地さんら住民が主体となっていくつかのプロジェクトを進めてきた。

ひとつは、住民とニホンミツバチとヤギ農法のコラボによって、かつて花が咲き誇っていた昔の志々島の風景を復活するというプロジェクト。

もうひとつは、大楠を訪れる人々を迎えるための周辺設備を整えるプロジェクト。山地さんは住民の方と合同会社を立ち上げて宿泊施設の運営を予定しているという。

「不思議と縁が重なって、いろいろとやるようになりました。ただ、島をガラっと変えたいとは思わないです。この島を訪ねる方は『昭和30年代くらいで時間がとまったようなところですね』って言ってくださっていて。」

「そんな雰囲気を残しながら、みなさんがそこそこ楽しめたらいいかな。若い人が外に働き行かなくてもここで生活できるようになって、30人から50人くらいが島に住むようになったらいいですね。」

kagawa09 これからの展開も控え、山地さんの活動を広報したり、プロジェクトへの資金援助を募ったりする人が必要だという。

協力隊の目的のひとつである任期後の定住について、たとえば、山地さんのプロジェクトをサポートしながら、任期後の志々島での暮らし方を模索することも可能だ。

場合によってはひとつの活動を支援したり、俯瞰した立ち位置から県内で活動する人同士をつなげたり。

香川県にとってもはじめての取り組みだから、いろんな可能性や広がりがあるだろうし、決まった道がないから大変なこともあるはず。

その人の経験や能力を自由に活かせる場が、香川にはあると思う。

kagawa10 舟越さんは先輩としていろんなアドバイスをしてくれるだろうし、志々島はずっと居たいと思うような素敵な場所です。

協力隊になった方は、ぜひさぬき市と志々島を訪ねてみてください。

(2015/5/20 森田曜光)