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アイデアを設計する

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自分の専門ではないことに手を出すのはとても不安なことです。

しかし、テラダモケイの話を聞いたとき、そういった積み重ねが会社の方向性をつくり上げていると思いました。

「道から外れてみんなで困ったほうが、時として良い場合もあると思っているんです。仕事プラスαで何か取り組むことってなかなか実現できないことばかりで。しかし、そこを増やしていきたいですし、そこから新たな仕事を一緒に生みだしていければなと思っています。」

そう話してくれたのは、テラダモケイの企画・デザインをするテラダデザイン一級建築士事務所の代表である平手健一さん。

terada01 今回は、「テラダモケイ」で働く専属デザイナーを募集します。

専属デザイナーといっても、ただアイデアを形にするだけではないのかもしれません。

テラダモケイを中心に、あらゆるアイデアを提案する。デザイン力や技術力以上に、柔軟さが一番大事かもしれません。

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下北沢駅南口から歩いて5分。「シアター711」や「ザ・スズナリ」という劇場がある空間「鈴なり横丁」の手前の道を曲がると、テラダデザイン一級建築士事務所が見えてきます。

事務所をのぞいてまず目にはいったのが、テラダモケイシリーズが壁に貼られたディスプレイ。繊細な技術がちりばめられた商品の質と量に思わず惹きつけられます。

terada03 そのほかにも、数多くの商品と受賞トロフィーが飾られていました。

飾られていた商品を見ていると、奥からテラダデザインのデザイナーである平手健一さんと、事務所に併設された寺田模型店の店長である足立睦さんが迎えてくれました。

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平手さんは2004年にテラダデザインに入社。現在は代表としてテラダモケイをはじめ、事務所全体を引っ張っています。

これまで「テラダモケイ」や「15.0%」など、数多くのプロダクトを生み出してきたテラダデザイン。しかし、ここまでの道のりは想像をこえる出来事の連続だったと平手さんは話してくれました。

terada05 「師匠でもある寺田尚樹に初めて出会ったのは、大学三年生の講義でした。建築というジャンルに縛られていた当時のぼくには、寺田との出会いが建築という可能性の幅を広げてくれた存在だったんです。その経験はかなり衝撃的で、それまで抱いていたイメージをすべて覆されたんですよ。」

それまでの自分の常識がすべて流された。

「そうなんです。彼に会ったことでデザインの一部の領域しか知らなかったことを思い知らされて。このまま単純に設計をやっていても、ろくな設計にならないと思ったんです。そのとき、はじめてデザインの面白さを認識しました。」

それからすぐに寺田さんの事務所へ入社したのですか?

「はじめは組織の設計事務所やアトリエに入ろうと思っていたんですが、心のどこかで寺田の存在が気になっていて。あれだけ自分の想いを覆してくれて、かつ厳しく指導してくれた方は、自分の可能性を確実に広げてくれる人だなと思っていました。」

そんななか、大学院の卒業間近のときに偶然、寺田さんと電車の中で出会う。

「当時、寺田は独立して、事務所ができたというタイミングで。まずはバイトからはじめて、大学院を卒業してから入社させていただきました。」

「独立した当初は、8畳ほどのスペースでとにかくいろんな仕事を引き受けてました。家具やサインデザイン、小さいプロダクトに至るまで、建築事務所ではやらないような不思議な依頼がたくさんきていましたね。」

しかし、そういった仕事は寺田さんの長い付き合いの中で生まれてきた可能性だと気付き、あらゆるものと形にしていった。

そして、数々の商品を生み出していくなか、「紙のプロダクトを一緒につくりましょう」という話が舞い込んできた。

「2007年頃に『かみの工作所』というプロジェクトが立ち上がって、いろんなデザイナーを集めて紙でいろんなプロダクトのブランドをつくろうということになったんです。」

寺田さんの悩む姿を見つつ、何をするのかなと思っていたら、あるラフスケッチが平手さんのもとに。

 
模型を使うデザイナーを助けるために生まれたデザイン。それが「テラダモケイ」でした。

terada06 「今までカッターを使って一人ずつ人形を切っては立てるということを繰り返していたので、効率的に作業ができるプロダクトができると思いましたね。」

「一般の人に向けてというよりは、建築事務所の人にとって良い商品だと思っていました。ただ実際に販売してみたら一般の方々のほうが反応してくれたんです。」

テラダモケイはジャンルにとらわれない、テラダデザインらしい展開をしていく。

「毎月1個を目安に制作しているのですが、6番目までは「建築模型」として関係者に売りたかったという願いがまだのこっていて。しかし100番までつくろうと決めたときに、建築事務所に向けてつくるだけではなく、反応のいい一般の方に向けてもつくったほうが良いと考えたんです。」

社内で議論を繰り返した結果、そのシーズンに合わせた商品展開をしていこうと切り替えた。

そして、当時はワールドカップが開催されていたということもあり、シリーズの7番目では「サッカー編」を制作。

結果、そのサッカー編は大反響となり、以降さまざまなテーマが展開されていく。

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そんなテラダモケイ、もうすぐ60番台にさしかかろうとしていて、次々と新しいデザインが制作されている。

「これまで寺田と10年間一緒にさまざまな仕事をやってきたんですが、昨年から事務所を任されることになり、仕事内容も建築からプロダクトまで幅広い仕事をしているのですが、この一年間は慌ただしく過ぎて行きました。」

ようやく一年が経過し、仕事のペースをつかむ。

そして、これからのことを考えたときに、テラダモケイはより成長できる可能性に気づく。

「テラダモケイはどんどん成長してきているんです。今までは同時進行で様々なプロダクトも取り組んでいたんです。しかし、専属スタッフという役割を決めた上で展開していければ、テラダモケイはより成長するだろうと思っています。」

 
より成長するために、ひとつひとつの仕事の密度を高めていく。そのための役割が今回募集するテラダモケイ専属デザイナー。

テラダモケイ08 ジャンルというものを気にせず、様々な仕事を積み重ねてきたからこそ生まれたスタイル。実はそれこそが、ひとつの新しいジャンルとして魅力を生み出していた。

「人と人とのつながりによって、可能性のある仕事がはじまる。そういう環境を生み出すことになるのかなと思いました。そして、可能性があるならそれにチャレンジするべきだと思ったんです。」

そういう意味では、あらゆる可能性に対して、提案ができたり、好きにやってくれる人がいいのかもしれない。デザインといっても、その領域は広い。軸があるかもしれないけど、場合によっては逸れることも選べる人。

「うちの事務所に期待されることって『普通』じゃないんです。それは結構プレッシャーでもあるんですが、普通のことをやるとテラダデザインっぽくないと言われることもあったりして。普通に染まっちゃダメだなということは心がけています。」

普通に染まらないデザイン。

「それこそ今まで手がけてきたことですし、これはテラダモケイでも同じことかなと。いままでこれだけ積み上がってきたんだから、この先も普通じゃないことを積み重ねていきたいと思っていますね。」

普通じゃないことを続けてきたからこそ、なんでも対応できる土壌ができたのかもしれない。

テラダモケイは100番まで作るのが当面の目標ということですが、これも可能性や広がりはあるんでしょうね。

terada09 「そうですね。様々な分野の方が興味を持っていただけているので、新しい企画で今までとは違う商品をもっとつくっていきたいなと思っています。」

「今までのように毎月1個を展開していくということは、寺田と今のスタッフで十分対応していけているんです。これからはそうじゃない世界にいきたいなと。」

その世界のイメージとは?

「この商品もずっとこのままではうまくいかないと思いますし、次なる展開っていうのも考えるべきだと思います。クライアントがいるわけではなく、自社で製品化している商品なので、自分で考えて企画できるような人に出会えれば良いなと思っています。」

「自ら生みだしたいと思っている人。単純にこれだけデザインしてねと言って動くのではなくて、デザインもやるし、自らもどんどん新しいことに挑戦したいという方を求めたいです。」

 
 
平手さんの話のあとに、テラダデザインで広報として働く足立さんにもお話を聞きました。

terada10 「私はデザインや建築の知識はまったくなくて、ここに来る前もぜんぜん違う仕事をやっていたんです。でも、テラダモケイをつくるワークショップに参加したときにスタッフとして働かないかと寺田に誘われまして。その場で決めちゃいました。」

決断は早かったんですね。

「ただ建築もデザインもできないので、広報だったり模型のサンプルの組立をしたり。あとは土日だけ事務所の一部が店舗になるので、その店長も務めています。」

テラダデザインの第一印象はどんな感じでしたか。

「スタッフも4人しかいないので、自分たちの専門だけやっていればいいわけじゃなくて。事務的な仕事からデザインまで幅広い作業がある場所だと思ったので、面白いなと思ったのが最初の印象です。」

terada11 そういった新しい環境で二年間続けられた一番の魅力ってなんですか。

「こんなに毎日新しい仕事がくる職場ってそんなにないだろうなと思っていて。いまだに2年経っていてもいろんな仕事が舞い込んできますし、とても楽しいんです。」

可能性はたくさんありますね。そういった環境で、今回求められる人ってどういった方が向いていると思いますか。

「一つのことだけをやりたいという人よりも、周りを見ていろんな仕事をやりたいと思える人がいいかなと思います。テラダモケイが好きで、デザインをはじめ、広報もやりたいし『こんな提案もできます!』という視野が広い人がいいなと思っています。」

 
テラダモケイが好きな一方で、軸から逸れることも好きな人。

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チームとしてのやり方も、テラダデザインの動き方を考えてみても、ひとつのことだけやりたいという人は厳しいかもしれない。

しかし、ジャンルにとらわれないデザイン思考を設計できる方であれば、きっと楽しく続けられると思います。

(2015/5/15 浦川彰太)