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山と川と人と

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「南日本と北日本の植生がまじり合う。ここの自然は“マンダラ”のようだな、と思います。色々な要素が、織り重なって共存しているんですね」

山で育った木から、木工をする人がいる。

山の鹿や猪を仕留めて、解体。全国へ卸す人がいる。

そんな人たちに触発された移住者は、トチの実からパンをつくりはじめた。

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奈良県吉野郡に位置する上北山(かみきたやま)村。

奈良県内の市町村では4番目に広く、人口密度の低さは全国3位。面積の97%が山林からなります。

都市部からのアクセスはけっしてよくありません。

けれど村の人たちに出会うと、山は宝とも感じられました。

「自然と共に生きる」というよりも、「自然の中に生きる」。そんな上北山村で、暮らし働く人を募集します。

ひとつは獣肉を活用して、道の駅レストランをオープンする人。

ホールとキッチンを2人で運営してもらえたらと思っています。夫婦での応募もぜひ考えてほしいところ。

そして、もうひとつは山を軸としたエコツーリズムを企画運営する人。

村民からは「日本一の自然」という声も聞こえるほど。けれど、村外では知る人ぞ知る存在。まずはツアーをとおして上北山村を訪れる人が増え、ゆくゆくは移住者も現れてくる。自然好きが集う村になっていけばと考えています。

 

上北山村は、大阪市内から車で約2時間半ほど。

最寄り駅である近鉄の大和上市(やまとかみいち)駅から、30分ほどで川上村。さらに30分車を走らせると、上北山村へと入った。

役場に勤める遠藤さんが、迎えてくれました。

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大阪市出身。奈良県中部の町から22年前に移住。昨年4月に娘さんが高校進学で村を離れ、現在は奥さんと13歳の娘さんといっしょに暮らしています。

実は、お会いするのは3度目。年下の僕が言うのもなんだけれど、人なつこくて、面倒見のよい方という印象。

「遠いところ、よう来てくれました」

上北山村には、580人が暮らしている。かつては主な産業であった林業も、この数十年間で衰退。自然を活かしたツーリズムに力を入れてきたところ。

「上北山村には、とにかく色々な山があるんです。吉野は林業で栄えたところですが、村内には手つかずの自然林も多く残っています」

「なかでも、日本百名山に認定されている大台ヶ原。そして修験道(山岳修行)の場である大峰山(おおみねさん)。ここを訪れる人は、少なくありません」

登山客は、60代以上の方が中心。より幅広い人に訪れてほしいと、毎年5月に大台ヶ原マラソン、9月には自転車のヒルクライム大台ヶ原を開催するように。

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そんな上北山村に求められているものがあるという。

「訪れてくれた人が、地の食材を楽しめる。そんなレストランを道の駅につくりたいんです」

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1991年に建てられた道の駅は、奈良県内第一号だという。

1階には山野草の苗や木工品、そしてこんにゃく、みそといった加工食品が並ぶ。

2階にあがると、レストランスペースが見えてきた。

キッチンとホールを合わせて約30坪ほどの広さ。

約30席の客席からは、窓越しに北山川を眺めます。

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キッチンは4口コンロ。業務用の冷蔵・冷凍庫、ストックヤードと、一通りの設備は揃っている様子。

「指定管理者制度により、村民の方が運営してきたんです。契約の関係で、おととしの3月にお店を閉めたんですね」

取材は平日の午後。この時間帯でも、駐車場には10台近い車が見える。

訪れる人はいるんですね。

「登山帰りに立ち寄る人もいます。夏になると、北山川の河原にはところ狭しとテントが並びます。近くの上北山温泉に入り、ゆっくり時間を過ごして。『地元の食材が食べられるお店はありますか?』ともよく聞かれます」

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レストランは、リノベーションを考えているそうだ。

「なんというか… いまの内装は古めかしいでしょう(笑)?照明を変えて、壁紙を見直して。予算との相談にはなりますが、椅子や机も地元の木をつかえたら、なおよいかもしれません」

「内装のテイストは、これから来る人にお任せしたいんです」

ここで、地の食材を活かした料理に取り組んでほしいとのこと。

「できれば、調理師免許がある方がよいです。ただ、経験ありきで考えるつもりはありません。料理が好きで、自分の店を持ちたいと思っていた方には、一度考えてほしいですね」

はじめの3年間は、村から月15万円ほどの報酬が支給されます。その間を準備期間と位置づけてほしいそう。

「ご夫婦ではじめるのも歓迎ですよ。先の話も一応しておくと、今後、建替えや大規模改修の計画が出てくる可能性もあります。また3年を過ぎてもこの場で店を切り盛りする方法もあるでしょう。近隣の空き家を改修して、自分の店をオープンするのも一つだと思います」

ところで、地元食材を活かしたレストランは、日本全国で増えつつありますよね。どんな人にきてほしいですか?

「水の合う人です。暮らしの中で色々な人や自然に出会うでしょう。食をとおして、上北山村を伝える仕事だと思います。面接のときにも一度訪れてもらう予定ですよ」

 

展開は色々と考えられるようです。

たとえば、上北山村の食材を宅配する事業。

また、村民から希望者を募っての“日替わりシェフ”も考えられるとのこと。

 

上北山村には、どんな食材があるのだろう。

次に向かったのは、上北山獣肉加工センターの原口さん。

猟友会のメンバーとして、自ら山に入り狩猟をおこなっては、解体から加工販売までを手がける方。

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冷蔵庫には、出荷を明日に控えた鹿の生肉。

最近では、食品加工業者と協力して、ウインナーやぎょうざといった2次加工品も展開しています。

「鹿や猪は雑食です。山に入り、葛(くず)や木の芽を食べる。土地の自然が味を決めるんですね」

現在の卸先は、周辺の旅館から東京のジビエ専門店まで。

「本音を言うと、上北山に来てほしい。『ここに来たら、こんなものが食べられるんだ』。そう思ってほしい」

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物産展に出展するたびに訪れるファンもいるそう。

「『上北山に行ったら、獣肉は食べられるんですか?』と聞かれることもあります。いまは日帰りで食べられる場所がないんですね」

「できることがあればぜひ一緒にやりたいですね。なんなら、猟や解体から手伝ってもらうのもいいんです」

 

もう一つの食は、川にあるようです。

次に話を聞いたのは、役場に勤める更谷(さらたに)さん。

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現在21歳。一度は大学に進学したものの、どうしても上北山村で生活したいと思い、1年で中退。村へ帰ってきました。

「上北山村の自然が好きなんです。奈良市内にも川はありますが、すぐ後ろにはビルが見える。ここには、見渡す限り自然という場所があるんです。」

空き時間を見つけては釣りに出るそうで、昼休みにも30分ほど川釣りをしてきたばかり。

これからは鮎の時期。

上北山村の鮎は、15㎝ほどと身は小ぶりだそう。けれど、源流に近いため水質はよく、県外の料亭から仕入れに訪れる人もいるそう。

「ウナギの群れも現れますよ。夏になると潜りでの鮎やアマゴ捕りです。」

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もう一人、役場で働く人に話を聞きました。

奈良県内から移住した市川さんです。

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「地域の資源から仕事をつくることで、地域の人を元気にしたい。そう思ったんです」

地域おこし協力隊として、上北山村に来たのは2012年のこと。

市川さんは、上北山村の魅力を「ひと」と話す。

「上北山村では、見返りを求めることなく贈りものをくれるひとに出会いました」

「ご飯食べにおいで」と食事に招いてくれるひと。役場に就職が決まると、シャンパンで祝ってくれたひと。

「そうした優しさは、訪れてはじめてわかるもの。上北山村を知ってもらおうと、任期中はスポーツイベント、トチの実をつかったあんぱんづくり… 色々な方法で情報発信に力を入れてきました」

今年3月に協力隊としての任期が終了。村のひとと関わり続けたいと思い、春から役場に就職しました。

自然も人も。それぞれに感じる魅力がありました。

 

また今回は、エコツーリズムの企画運営をする人も募集します。

登山ガイドの岩本さんに話をうかがいました。

山伏の家に生まれた岩本さん。奈良県職員として、大台ヶ原ビジターセンターに勤めつつ、登山ガイドもしてきました。

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現在は、村会議員と登山ガイドの2足のわらじ。

年の差をあまり感じることなく、気さくに話してくれる方でした。

「登山ガイドが食べていける道をつくりたい。そう思い、今年4月に“奈良山岳自然ガイド協会”を立ち上げたんです」

ガイドの仕事は個人のリピーターから、大手旅行会社とのバスツアーまでさまざま。

けれど、上北山にある山を活かしきれていないと話す。

「大台ヶ原は初心者から中級者、大峰山は、一通り登山を楽しんだベテランが訪れる場所というイメージがあるんですね。現に、訪れるのは大台ヶ原は独身の若い方から家族連れ、中高年と幅広い層が、大峰山の方は60代の方たちがメインです」

そこで、企画営業をする人にきてほしいと考えている。

「登山ガイドの経験はなくてもいいでしょ。むしろ新鮮な目線で、考えてもらえたら。実は、村内には大小合わせて100以上の山があります。山の数だけ、楽しみかたがあると思います」

自らが山を楽しみつつ、その魅力を企画という形にしていく。

可能性は色々と考えられるようです。

役場の遠藤さんはこう話してくれた。

「自然を楽しみたい20代、30代向けの企画も考えられます。まずは上北山村を訪れる人が増えたら。自然好きな人たちの居場所になるかもしれません」

ここで「上北山村の自然は日本一だと思うんです(笑)」と岩本さん。

「向こうに連なっている大峰山を見てください。山頂付近は、緑の濃さが違うのがわかりますか?山頂は亜高山帯の植生。下のほうの薄緑は、温帯の植生です。これほどわかりやすく、多様な植生が共存できるところは、そうありません。もちろん、虫や鳥の生態系も豊かです。」

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歴史的に見ても、特徴がある土地だという。

「大台ヶ原に登ると、三重県尾鷲の海が一望できます。ここは一見すると“山奥”ですが、古くから人の行き交う場所でした。上北山には、もう一つの視点があるように思います。面白いところですよ。」

選考プロセスでは現地を訪れ、記事に登場したみなさんと話す機会も設ける予定です。

自分の目で、たしかめてはどうでしょう。

(2015/6/18 大越元)