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じぶんが育つ、まちも育つ

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

まちの心地よさって、なんだろう? そこに暮らす人たちが、そのまちを好きだと思っているか、そうでないか。それによって、まちの空気は違ってくるなと感じます。

東京から新幹線に乗って2時間少し。小布施は、なごやかだけれど活気のあるまちでした。

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今回募集するのは、小布施町の地域おこし協力隊として、産業活性やまちに活気を生みだす仕組みづくりを担っていく人。

最近各地で募集されている地域おこし協力隊にも、地域によっていろいろな仕事やポジションがある。役場の中の業務を言われたとおりに手伝う形ではなく、自分で企画や場づくりを行っていくという自由度の高さが、小布施の特徴です。

駅から少し歩くと、小布施町役場につきます。

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地域おこし協力隊の人が所属することになるのは、この役場内にある、慶應SDM・小布施町ソーシャルデザインセンター。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科と、小布施町が協働して2014年より運営しています。

センターは、町長室の隣にありました。

まずは、小布施町長の市村(いちむら)さんに、小布施について伺います。

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「ずっとこの町で暮らしていて、田舎というか地方の持つ豊かさや可能性を、すごく感じるのです。地方は全然ダメと言う人もいるけれど、そんなことはないぞ、ってね。」

そう感じるのは、まちの人の気質にあるそう。

「この町は水が悪くて、昔はコメがあまり育たなかった。だから地質に合う果樹を育てて、加価値をつけて、高く売るといったようなことを古くからやってきました。今は有名な栗菓子も、その中でできたもののひとつ。町外の人とも積極的に協働するところやセンスのよさなどは、そうした商人的な部分からも来ていると思いますよ。」

実は市村さんの本家も、小布施堂というまちの中心部にある栗菓子屋さん。一度は小布施から出て電機メーカーで働いていたけれど、Uターンして、酒屋や栗菓子屋の経営に携わっていた。

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「経営をしているなかで、小布施の知名度を上げていくことと、自分たちの菓子屋や酒屋の調子がよくなっていくのが、並行していることに気づいたんですよ。自分たちが頑張ることによって小布施の知名度が上がる。小布施が頑張ることによって、それぞれの店もよくなる。一蓮托生なんだなあと思ったのです。」

その後、まわりから薦めや後押しもあり、町長になって、もう10年以上になる。

「町長をやるまで、自分の知っている小布施って、町の中心部だけだったんです。でも職業柄、町中の集落をまわらせていただいて。現在ある28の集落でそれぞれ文化や風土が違うんだけれど、どこも『うちが1番いい』と思っている。凄いと思うと同時に、さらに小布施が好きになったというか、今の仕事をしなかったらこの面白さは一生知らないままでした。」

「町おこしをやってやろうという人よりも、自分の自己実現が、結果として町おこしになっていくような人に、協力隊で来てくれると嬉しいですね。やっぱり、その人が育つこと、事業が育つこと、まちが育つことはつながっていると思うんです。」

 

役場内で、定住交流グループのリーダーとして働いている宮崎(みやざき)さんにもお話を聞いてみました。

「もともとは、地域間交流をやったり、イベントを企画してまちに来る人を増やしたりするのが主な仕事だったんですよ。でも、ただ交流するだけじゃなくて移住定住につなげていくことが大事だね、ということで、ここ1~2年は定住推進をやっていますね。」

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「同じ町にあっても、集落によって移住に対する考え方もそれぞれ違うんです。外から人をどんどん受け入れて活性化したい集落もあれば、今いる人たちでなんとかやっていければいいという集落もある。20年後どうなっているのがいいかを、集落ごとに一緒に考えていくというところからですね。」

高校が終わってすぐに役場に就職し、小布施から出たことがないという宮崎さん。近いからいいかなと軽い気持ちで役場に入ったけれど、まちづくりに携わる人たちと関わるなかで、少しずつまちづくりに対する意識が芽生えていったそう。

「小布施は、若い方々や優秀な方々が、外からどんどん来てくれるまちになってきている。でも町民から見ると、外から来る新しい人たちが何をやっているのかよくわからない部分もあると思うんです。そういう人たちをうまくつなげて、方向性を結びつけていくようなことをやっていくのが、僕の仕事ですね。」

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今回募集する地域おこし協力隊の人とは、どう関わっていくのですか。

「なにかを新しくはじめるときに、後ろ盾が必要な部分についてお手伝いする形になりますね。町の施設を借りたり、企画を動かすときに職員を確保したり。そういうバックアップ役なので、頼ってもらえたらと思います。」

 

そして、地域おこし協力隊の人が一緒に働くことになる、ソーシャルデザインセンターの主任研究員の大宮(おおみや)さん。このセンターでメインで働いているのは、今は大宮さんひとり。新しく入る地域おこし協力隊は、2人目・3人目のスタッフになります。

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東京の大学に通っていた大宮さんが、日本国内を巡る国際交流プログラムがきっかけで、小布施にはじめてやってきたのは6年前。

「ナス料理がぶわっと並んで、びっくりする位の歓待を受けて。食事は全部コンビニですませているような生活を送っていたので、天国に来たみたいでした。」

その後、3か月に1回は小布施をたずね、住民のお宅にホームステイしたりしているなかで、突然起きたのが311。大宮さんが復興支援にどっぷりと携わって1年ほどたったころ、立ち上げ期だった小布施若者会議の企画づくりを手伝ってくれないかと声がかかった。

「2ヵ月に1回位アドバイスをくれればいいよと言われたので、最初は軽く考えていたんですけど、結局はどっぷり関わることになってしまって。いつのまにか中心メンバーの一人になっていて、抜けづらくなってしまったんですよね(笑)」

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初回の若者会議はなんとか成功。移住を決めたのは、町長の家で2人で飲んでいるときに、一緒にやらないかと誘われたのがきっかけだった。

「やっぱり、町長の人柄や思いに魅かれたというのが大きいですね。遊び心を持って、まちづくりをずっと進めてきた人だし、学ぶべきことも多いと思って。『協働の枠組みをどんどんつくってくれ』と言われて、とりあえず飛び込んでいました。」

東京から移住してみて、ギャップとかはありませんでしたか。

「県や国の機関と協働でプロジェクトを実施したり、全国の民間企業と連携して事業をしかけたり、小布施町に留まらないプロジェクトもたくさんあって。それに、この町には面白い発想をもった人がとにかく多いんです。地方に来たからといって、かかわる人たちの幅や視野が狭くなってしまうことはないと思いますね。」

「あと、小布施はスポーツがすごく盛んな町なんです。体育館で毎日バドミントンをやっていたり、朝5時半から早起きして野球をやっていたり。いろいろな場に誘ってもらえるので、移住してきても孤立している感じは全然なかったですね。」

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ソーシャルデザインセンターでやっているのは、まちの外の人たちのいろいろなニーズと、町内にあるニーズを結びつけていくこと。現在は15~16のプロジェクトが動いている。

サマースクールなどの教育的なものから、町内の住民とおこなう未来づくり会議、地域コミュニティの実態調査など、プロジェクトはさまざま。午前に事務処理などを行って、午後は打ち合わせで、あちこちを回るというような毎日だそうだ。

「新しく来る人には、研究所のプロジェクトを一緒に推進したり、独自にやりたいことを見つけて、全国の地域にとってモデルとなるような取り組みを生みだしていってほしいなと思っています。週4はこのセンターで活動して、残った時間で好きなことをやってもらって、それがまちの産業活性やゆくゆくは独立につながるといいですね。」

市村さんが話していたように、「こういうことをやりたい」という想いも必要だし、町民のニーズをちゃんとヒアリングする力も必要になってくる。もちろんプロジェクトをマネジメントしていく力も必要だし、簡単な仕事ではないかもしれない。

「身分がそんなに保証されているわけでもないし、待っていたら仕事がふってくるわけでもない。全部、自分から提案してゼロから作っていかなきゃいけない。もちろん楽しいからやっているのですけど、これまでは1人でやってきていたので、大変なときもありましたよ。」

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そんな大宮さんは、新しい人が入ってきてくれて、できることが増えるのが本当に楽しみなのだそう。地域おこし協力隊を受け入れるのは今回がはじめてなので、お互いに手探りしながら、いいバランスを見つけていくことになると思う。

「今年は勝負の年なんです。若い人が小布施にかかわってもらえるような施策に力を入れだして、ようやく3年。やっと、そういう文化がなんとなくできて活気づいてきたところなんです。ただ、まだそれが継続していく形になっていないので、仕組みに落とし込んでいかないといけない。」

大宮さん自身は、ゼロからイチを生みだすのは得意だけれど、仕組み化はあまり得意じゃないそう。

「僕は、人やニーズをつなげて新しいものを生みだすのは好きだけれど、お金を生みだすとか、事業を成り立たせていく経験はあまりない。自分なりに一生懸命やってはいるけど、そこに精通した人がいれば、もっといろんなことがどんどん動くのにといつも思うんです。」

「まちづくりの先進事例を学ばせてほしいという人は、いっぱい来るんですよ。そうじゃなくて、対等に一緒にやってくれる人が必要だなと思ってて。僕らが教えられることもあるかもしれないけど、逆にたくさんのことを僕らに教えてほしい。そういう関係性でやっていけたらいいですよね。」

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難しさもあるけれど、自由度が高い今回の募集。継続するための仕組みをつくっていくというと、落ち着いた感じの人をイメージしてしまうけど、「小布施の町をフィールドに、めいいっぱい遊ぼう」というような人に、向いているのかもしれない。

まちに入るときに、大宮さんのような同世代の若手がいるのも、きっと動きやすいはず。住居や暮らし方などについても、相談にのってくれると思います。

協力隊に応募する人はもちろん、応募しない人も、ぜひ一度訪れてみてください。
(2015/6/1 田村真菜)