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話を聞く仕事

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

話を聞く。ふるまいを見る。どんなことを考えているのか感じとる。

そんなふうにして、どんな人が働いたらいいのか想像し、必要な言葉を考え抜く。

それが日本仕事百貨の仕事です。

shigoto10001 全国のいろいろな職場を訪ねて話を聞き、求人原稿にまとめる編集者を募集します。もうひとつは編集者を支えるコミュニケーションスタッフ。オフィスでクライアントや利用者からの問い合わせに対応したり、求人後についてもフォローしていく役割です。そしてインターンスタッフも募集します。

いずれの役割でも大切なことは、まず相手の話を聞くことです。


日本仕事百貨のナカムラケンタです。実は、ぼくは日本仕事百貨をはじめるまで、人の話を聞くのが苦手でした。できればずっと話していたい。ずっと発信していたい。社会人になって、まず指摘されたことはその部分です。

大学では建築学科に進学し、建築家になっていろんな建築をつくりたいと思っていましたし、社会人になってからはいろんなプロジェクトを実現したい、と思っていました。

とにかく自分から発信したいとばかり考えていました。

でも、それでは全然うまくいかない。発信していたら、いつか必要としている人に届く、とぼんやりと考えていたかもしれませんが、全然届かないし何も返ってこなかった。

社会人になって働きはじめた会社や、日本仕事百貨の仕事を通して、何かを生み出すにはアウトプットよりもインプットのほうが大切であることがだんだんとわかってきました。

shigoto10002 さらに聞くことはとても心地よいものになっていきました。相手の考えていることを無理に引き出すのではなく、お互いに自然と理解しあうことが面白い。そうやって人と関わっていくことは素敵なことです。


今回、一緒に働きたい人は、人の話を聞くことができる人です。

日本仕事百貨で働いていると、いろいろな話を聞きます。素直に聞いていると、いろいろな発見があります。少し紹介します。

まずは映画や舞台、ドラマなどの衣装を制作するブリュッケに取材したときのお話。

ブリュッケの仕事は、みなさんもご存知のものが多いかもしれません。たとえばNHKのドラマ『八重の桜』や『白州次郎』。TOYOTAのドラえもんのCM。ほかには映画『空気人形』だったり舞台『三人姉妹』など、CMのスタイリングから、映画、ドラマの衣裳制作までを手がけています。

ただ、デザイナーの伊藤佐智子さんはもともとグラフィックデザイナーを目指していたそうです。こんなことをおっしゃっていました。

「世の中に自分の着たい服がなかったから、つくって着ていたんです。それがある雑誌の編集長の目に留まり『どこの服?』『自作です』となった。私はグラフィックデザインを学びたかったんですが、なぜか服が素敵だと言われて。それでそういう川の流れに入ってしまったんです」

「私の周りも、みんななりたくてなったというわけでもないみたい。ミュージシャンも、歌いたい歌がなかったからつくって歌った、とか。私も同じ。非常にシンプルなスタートなんです。応える、ということにずっと全身全霊でやってきたと思います」

伊藤さんのお話を聞いていて「何かをつくるということは、まず応えること」なのだな、と実感したことを覚えています。

どこかの組織で働くということは、まず「応える」ということが大切だと思います。もちろん自分で独立して働くなら別ですが、雇われるって、そういうことです。

ただ、これは言われたことをそのまま右から左にしたらいい、というわけでもない。応えるには、しっかり聞くことが大切だと思います。そうやって聞いていると、相手が求めていることの輪郭がはっきりしてくる。贈り物をするように相手が必要としていることを届けることは楽しいことです。


東京の池尻にグラム・デザインというウェブ制作会社があります。ぼくはここで「贈り物をするように働く」ということが何なのか知りました。

この会社の仕事のスタンスをひとことで言えば「おせっかい」なのかもしれません。たとえば、ときにはクライアントの希望をそのまま形にするわけじゃない。もっと深いところまで探っていって、本当に必要としているものを提案する。

グラム・デザイン代表の赤池さんはこんなことをおっしゃっていました。

「仕事をするということが、世の中をよくするということにつながればいいですね。人のために働く人がいい」

「結果も大事だけど、プロセスも無駄も好き。許される限り仕事は丁寧にしたいし、好きなようにもしたい。だから、そこに同調できないとつらいかな」

こういうふうに働いていると、必ずまた依頼がやってくるそうです。しかも、今度はもっとプロジェクトのはじめのほうから相談に乗ることになったり。

これは日本仕事百貨の仕事も同じです。まずは相手が求めていることをしっかり聞く。まだそのときははっきりしていないこともあるかもしれません。でもしっかり聞いていくと、本当に相手が求めていることが浮かびあがってきます。

そうすると、当初予定した役割を募集するところから変わることもあるかもしれません。

相手の気持ちをくみながら、そんな話をすることもあります。大きな変化はあまりなくとも、小さな調整は結構あるのです。話を聞くことで、相手が気づいていないことを発見することにもつながります。

だから、単に相手が言ったことをそのまま書く仕事ではありません。乱暴に引き出すことでもない。その裏側にあることも必死に読み取りながら、一つひとつゆっくりと確認していく。

相手の立場になって考える。つまり当事者の気持ちになる、ということです。


日本仕事百貨では3つの当事者になることが求められます。

まずは「求人者」が本当に求めていることを、自分のことのように考えてみる。あとは、この仕事を求めているであろう「求職者」の気持ちを想像してみる。「こんなこと知りたいかな」「こんな不安があるのでは」と考えてみる。そして最後が「あなた」自身です。

shigoto10005 「求人者」と「求職者」の気持ちを想像しつつ、自分はどう考えているのか。何か違和感があれば、それをそのままにしないでいられるか。

そうやって3者の気持ちに寄り添いながら取材をして、原稿を書いていくと、本当に求められているものに近づいていくように思うのです。

これは求人原稿を書く、という仕事に限ったものではありません。何かを生み出す仕事には求められていることではないでしょうか。

しっかり聞くことができれば、自ずと自分がつくりだすもののクオリティは高まっていきます。文章を書くには技術的なことも必要ですが、ちゃんと相手の意を汲んで、しっかりと伝えることのほうが大切です。

そして何より日本仕事百貨で出会う人たちの話を聞くことは、いつもたくさんの発見があります。それは自分の生き方・働き方を見つめる時間にもつながります。

こういう仕事なので、話を聞くのが好きな人がいいです。ずっと話を聞いていられる人。相手が次の言葉を考えているときに辛抱強く待てる人。それは何人かで会話をしているときに、黙っていることのほうが多い、というわけではありません。ちゃんと話を聞いているからこそ、頭の中で一緒に思い描ける人なんだと思います。

その人のイメージの中に立つことで、より深い話ができたり、同じ感覚を共有できたり。ときには相手の言葉をわかりやすく噛み砕いてあげることもあるかもしれません。

shigoto10006 すると自分の引き出しも増えていきます。それが積み重なることで、より相手の仕事の感覚が鮮明に浮かぶようになるでしょうし、仕事の幅も広がっていくように思います。


仕事の具体的な話もしましょう。

まずは編集者。仕事はシンプルです。まずは求人者とメールなどで調整しながら、取材日や方法を確認します。そして職場を訪ねてじっくり話を聞いて、文章を書く、というのが大きな流れです。

shigoto10003 とはいえ、いきなりひとりで担当することはありません。はじめは二人三脚で進めていきます。一緒に取材をして、どんな求人原稿にしたらいいか考え、形にしていきます。そして少しずつ、一人でできることを増やしていきます。すべて一人でできるようになるには、だいたい半年はかかります。

いきなりかっこいい文章を書く必要はありません。というか、かっこいい文章は目指さなくていいです。もっと素直な文章がいいです。ぼくはその職場で働いたらどんな風景が見えてくるか、どんな大変なことがあるか、あるがままをわかりやすい言葉で書くように心がけています。

はじめは今までの日本仕事百貨の原稿を参考にしながら、スタイルをコピーするように進めてください。そうすると、だんだんと自分のスタイルが生まれていきます。


コミュニケーションスタッフはまずクライアントの最初の窓口になる人です。問い合わせに対応したり、編集者への引き継ぎも行います。また求人の募集終了後に、どのような結果だったかフィードバックをもらうのも大切な役割です。さらにtwitterやfacebookなどへの投稿や、さまざまなメディアの問い合わせもフォローします。

また日本仕事百貨のこともよく知っていただきたいので、量は少ないですが取材にも行っていただきたいです。

さらに今後は映像などのコンテンツや記事のバイリンガル化も進めていきたいので、映像やデザイン、そして外国語に堪能な方だとうれしいです。もちろん、そうじゃなくてもいいですよ。


インターンスタッフも基本的なスタンスは同じです。

ただ、2つのチームのうち、どちらかに入ることになります。

ひとつは「働き方を考える」というチーム。

今は、日本仕事百貨の原稿を読み返して、共通する働き方を抽出して、コラムにしています。今後、新しいこともはじめるかもしれません。

もうひとつは「新しいコラムや小冊子をつくる」チーム。

日本仕事百貨やシゴトヒト文庫の仕事を手伝ってもらいながら、編集やデザインを学び、形にしていくことになります。こちらは美大や文学部などで勉強している人がいいかもしれません。最後にリトルプレスや新しいコラムの形が生み出せたら面白いですね。今は「しごとバー」を取材してコラムにしようとしています。

どちらの役割にも求められていることが、月曜日に行われている週一回の定例に参加すること。ここで進捗の発表をしてもらいます。また日本仕事百貨の仕事を知ってもらうためにも、取材に同行したり、テープ起こしを手伝うことも必要なことです。

あとはアルバイトとして、ぼくらが運営している虎ノ門にある「リトルトーキョー」のカフェやバーで働いてもらうこともあります。こちらは希望する人だけでいいです。いろいろな人が集まる場所なので、いい刺激にはなっているようですよ。

shigoto10004 そして、インターンから日本仕事百貨で働きはじめる人も結構多いです。半分くらいはそういうスタッフじゃないでしょうか。もちろん、就職活動の相談にも乗ります。最近はひとり内定がでて喜んでいたところです。

あとはうちの会社は残業NGです。もし残業していたら、仕事を減らすことで対応します。


まずは下記よりエントリーしてください。

そのあと、履歴書経歴書を送付いただくのですが、課題もあります。「編集者」と「インターン」を志望される方は、友人知人などを取材して「昨日あったこと」を聞き、1000文字以内の文章にまとめることです。写真は3枚までいれても大丈夫です。まるで読み手もその場で聞いているようなものがいいですね。

「コミュニケーションスタッフ」については、求人掲載後のクライアントにヒアリングしたほうがいい項目を箇条書きでいいのでまとめてみてください。

それでは、みなさんの応募をお待ちしています。

(2015/6/18 ナカムラケンタ)