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モノを売る仕事は、実はモノを通して「思想」を売っていると思う。たとえば、これを使ってどんなふうに暮らしを楽しめるか、という未来の提案。それから、これは誰がどんな思いでつくったのか、という過去からの伝言。
そういうモノをとりまく思想をていねいに伝えている発信基地のような存在が、東京・青山にある「CIBONE」だと思う。
株式会社ウェルカムは「George’s」「TODAY’S SPECIAL」「DEAN&DELUCA」などを運営している、食や雑貨などを通してライフスタイルを提案する会社。
そんなウェルカムが今から14年前にはじめたお店が「CIBONE」。青山ベルコモンズの地下からはじまったお店は、青山という土地に新しい人の流れをつくり、街に変化をもたらした。
CIBONEは、ほかのお店に対して“ラボ”のような存在であり、定期的にデザイナーや作家を呼んでイベントを行ったり、ショップという枠にとらわれない取り組みをしている。
ここで、企業向けにCIBONEの商品を使った内装や空間を提案するデザイン企画スタッフを募集します。
家具、ファッション、雑貨だけではなく、かたちのない思想まで、幅広く自由な定義で「ライフスタイル」を扱っているお店なので、誰もが自分の生活とどこかで重なっているはずだと思います。
ここで働くスタッフは、それぞれ興味分野や特技があって、それが CIBONEと重なり合うところで活躍しているようでした。
自分だったらどんなところで活躍できそうか、いろいろな人に想像してみてほしいです。
外苑前駅を降り、青山通り沿いを歩いていく。ガラス張りの建物の2階に、CIBONEという大きな文字を見つけた。
去年の夏に店舗を移転リニューアルし、また新しい場所から発信しはじめたCIBONE。
お店の中は外光が奥まで届き、見渡す限りとても明るい。飾ってある照明やグラス、そしてグリーンが輝いている。
商品を見ていると、わたしが好きな本屋さんに入ったときと似た感覚をおぼえた。それは、並び方が商品のジャンルではなく、”事柄”ごとに編集されているからかもしれない。
たとえば、「コーヒー」が特集されているコーナーには、コーヒーミルやコーヒーカップ、そしてコーヒーの美味しい淹れ方について書かれた本が並んでいる。
CIBONEがインテリアショップでも雑貨屋さんでもなく「ライフエディトリアルストア」と言われている理由があらためて分かった気がした。
最初に、ちょうどCIBONEができたときに入社したデザイン企画室の池田さんに話を伺う。
池田さんは、主に企業向けのコンサルティングを担当したり、CIBONEの新しい展開を考えている。
「会社が赤ちゃんのときから働いているので、ずっと一緒に歩んできたような気がしています」
そんな池田さんに、まずはCIBONEというブランドについて聞いてみる。
「たとえば『パリといえばMerci』のように、『東京といえばCIBONE』と思ってもらえるようなブランドを目指しています。色々な業界の人たちが集まってくる青山というこの場所から、発信していけることがあると思うんです」
デザイン性のみではなく、つくり手の思いや使い方の楽しさだったり、背景のあるモノを扱うというこだわり。だから作家やデザイナーに真摯に向き合うし、お客さんとも距離が近い。
「CIBONEのイメージとして、気取っているとか冷たいと思われる方もいるかもしれません。でも僕たちは、お客さんとは積極的に話すようにしているんですよ。そうすると、なぜこの値段なのか、ちゃんと納得してもらえるんです。そのフレンドリーさをギャップに感じる人も多いかもしれません」
ものの背景をしっかり伝えること。そんな姿勢を続けていくうちに、デザイナーやアーティスト、そしてお客さんとの横のつながりが、だんだん広がってきた。
「他のお店にはできていないことを、CIBONEではできているのかな、と思っています。個人だけではなく、法人のお問い合わせも増えてきているんですよ。ウェブサイトからだったり、人の紹介だったり」
そんな法人からの問い合わせに、池田さんとともに一緒に応えているのが、デザイン企画の櫻井さん。
法人向けに家具の販売をしたり、希望があれば内装を手掛けたりしている。
インテリアショップって個人のお客さんに販売するイメージが強かったのだけれど、こういう仕事もあるんだな。
ゆくゆくは、インテリアの提案だけではなく、ショップを運営してきた知見やノウハウを生かした、お店やブランドづくりの仕事も増えてくるかもしれないそうだ。
かたちのない思想を売るための可能性を考えていく仕事だと思う。”ラボ”という要素を持ったCIBONEの性格を象徴している気がする。
「一般のお客様の相手をしながら法人向けの仕事もするというところが、ほかの会社とはちょっと違うかもしれません」と櫻井さん。
櫻井さんがふだん仕事をする場所は、お店の脇にあるデスクで、常にお店のほうを向いている。
だから、コーディネートの提案書を書いている途中に、一般のお客さんに話しかけられることもあるそうだ。
たまに個人のお客さんの対応で自分の仕事が終わらない日もあるけれど、そのぶん商品をすぐに確認できるというメリットがある。なにより常にお店の空気を感じられるのはいいことだそうだ。
「僕も最初は販売職として働いていたんですよ。もう少し自分が学んできたことを活かしたいと思って、この仕事をやらせてもらうようになりました」
やりたいと言ったら、やらせてもらえるんですか?
「そうですね。やりたいことをやせてくれる会社だと思います。むしろ、やりたいと思っている人に、チャンスが回ってきます」
櫻井さんは、もともと大学で建築や家具を勉強し、卒業後は設計施工の会社に勤めていた。
「でも、より自分の生活に近いものに興味があって、インテリアや家具の業界に行きたいなと思ったんですね。それで、ここで働きはじめました。ときどき仕事を家に持ち帰ることもありますが、好きだから苦にはならないんです」
自分の生活に近いものだから、まず自分自身が興味を持っている。だからこそ、人に提案するということを楽しめているのかもしれない。
櫻井さんと同じくらい、なにより自分自身が楽しんで働いている方に会いました。最後に、販売スタッフの熊谷さんを紹介します。
熊谷さんは、入社3年目。
「もともとCIBONEのファンだったんです。好きなものに囲まれながら、それを紹介することで喜んでもらえる、というのは、やっぱり嬉しいことです」
「それから、ここは色々な作家やデザイナーが来てイベントをするんですね。もちろん、お客さんも楽しみにしてくださっていると思うんですけど、実は、自分がいちばん楽しみなんです。デザイナーさんと近くで話ができるのは、ここで働いていないとできないことなので」
笑顔が輝いている。それに、思い切りのいい話し方をするので、きっと仕事もできる方なんだろうなと感じる。
「今日一日、どういう順番でやったら仕事が終わるかなって、常に頭の中で考えながら働いています」
そんなにやることがたくさんあるんですか?
「仕事としては接客がメインなのですが、在庫管理や発注業務やメーカーさんとのやりとりとか、接客だけではなくさまざまな業務があるんです。分からないことがあればそれぞれの担当の人にサポートしてもらいながら、自分たちで対応していきます」
お店には、法人担当もいればバイヤーもいる。分からないことは専門のスタッフに聞きながら。独立して自分でお店を開けるのではないかというほど、原価から店頭のディスプレイまで、ひとりひとりが全体をみる。
これは、当然のように初めから選んでいた、この会社のやり方なのだそうだ。
熊谷さんの話を隣で聞いていた池田さんが、こんな話をしてくれた。
「販売の仕事って、毎日がライブなんですよね。100人来たら100通りのお部屋を提案しないといけない。だから僕は、受け取ったボールをちゃんとキャッチして投げ返す、という経験を毎日積んでいる販売スタッフのことを、すごいと思います」
「一般のお客さんの接客をしている販売スタッフは、法人のお客さんの対応も絶対にできるんです。なぜかというと、個人のお客さんは、より商品に対する思い入れが強いんですね。ちょっとの傷も見逃さない。そういう対応は、販売スタッフを経験しないとできないことなんです」
CIBONEでは、どんな職種で採用されても、いちど販売を経験してもらうそうだ。一般のお客さんに向き合うことの大切さを知ってから、それぞれの業務に就く。
この仕事を楽しめるのは、どんな人だろう?
「これが好き、というものを持っている人のほうがいいなと思います。ひとつのことに夢中になれる人」と熊谷さん。
「話してみないと分からないかもしれませんが、この会社には、けっこうオタクな人が多いんですよ。DEAN&DELUCAのスタッフに、チョコレートが好きすぎて家にチョコレート専用の冷蔵庫を買ってしまった人がいます。CIBONEにも、かなりのこだわり派がいて、1冊の本が書けるんじゃないかというほど、デザイナーやインテリアに詳しいスタッフがいるんですよ」と、面白そうに話す池田さん。
池田さんは一緒に働く人のことをよく見ているし、好きなんだろうなぁ、と思う。
「あと、どんなにしんどくても挨拶ができる、礼儀正しくて元気のある子がいいですね。CIBONEには新規開拓の営業はないのですが、ひとりひとりが信頼関係を築いて『そういえば○○さんに相談してみよう』と思ってもらえたら、それがいちばんCIBONEらしい営業ですから」
ひとりひとりの日々の仕事の積み重ねが、これからのCIBONEをつくっていくのだと思う。
モノではなく思想を売る場所だからこそ、自分なりの関わり方を探して、次につなげてほしいです。
自分がここにいるイメージがわいたら、ぜひ応募してください。
(2015/7/24 笠原名々子)