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あたらしい世界を楽しむ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

変わることは、きっと楽しい。

お酒、料理、インテリア、ファッション… 身の回りのことを一つひとつ楽しんでみる。

すると視野が広がってくる。

もっと楽しいことがしたくなって、旅に出たり、地元に戻ったり、仕事をはじめたり。

この場ではそんな人が少しずつ生まれつつある。

週末の夜、da.bでパテをいただきながら、そんなことを考えていました。

1 千葉駅前にある小さなワインビストロda.b(ダ・ベー)。ここでホールを中心に働く方を募集します。

社会に出て数年。一通り仕事にも慣れたし、週末に出かけることもある。それなりに毎日は楽しい。

人と接することが好きだけれど、たまにふと、次をはじめてみたいとも思う。そんな方にこそ、da.bを知ってもらえたら。

というのも、この店、居心地がよいんです。お客さんたちが、なにかを共有しているようにも感じられる。

働く人の存在が大きいように思います。

千葉駅の西口を降りて、徒歩1分。

オープン前で仕込みを進めるda.bを訪ねました。

2 2012年の11月にオープンすると、たちまち人気店に。

オーナーであり料理をつくるのは、紅谷芳久さん。

da.bという店名にはどんな意味があるのだろう。

「千葉弁の『〜だべ』から来ているんですよ(笑)」

「はじめは全然違う名前を考えていたんです。けど、知り合いに『面白くない!da.bがいいんじゃない?』と言われて。最初は僕も『えっ?』(笑)。段々と気に入ってきました」

3 「うちは、料理と共にワインを楽しむ店です。そういう店って正直なところ、千葉にはまだ少ないし、暮らす人にもなじみが薄い。でも、ワインを飲みながらも、方言で話して恥ずかしくない、気どらない店があったらいいと思いました」

紅谷さんは、つねに楽しいことやあたらしいことにアンテナを張っている。

誤解をおそれずに言うと“遊び人”だと思う。

洋服も建築も音楽も料理も好き。これまでに色々な仕事をしてきた。

「服が好きで、アパレルのショップで働いたこともあれば、都内のカフェレストランで3年ほど料理の修業もして」

そして、千葉へと帰ってきた。

「これまで千葉って、人口のわりに、文化的に楽しめるものが育たなかった土地だと思うんです。ロケーションが大きいんでしょうね。面白い人やものは、東京へ勝負に出ていってしまう」

たとえば隣駅には千葉大学もあるけれど。

「飲食店一つをとっても、若い人が飲みに行くのはチェーンの居酒屋に限られていたんです」

紅谷さんの家業は、千葉駅周辺や稲毛海岸に土地を所有する不動産業。あるとき、千葉駅西口にビルを建てることとなった。

建物の顔であり、まちの顔ともなる1階のスペースに入る飲食店を募集。

けれど、「これだ」と思う店がなかなか現れてこない。

「それならば、自分ではじめようと思って」

どんな店があったらいいだろう?いまは千葉にないお店を考え、浮かんだのがワインビストロだった。

ビストロは、日本でいうところの“居酒屋”にあたる。

「僕はフランスが好きなんです。一見遠いイメージを持たれるかもしれないけれど、実は日本と共通することもたくさんあって」

「仕事終わりにふらっと寄れて。手ごろだけれど、ていねいにつくられた料理とおいしいビオワインが楽しめる。学生にも気軽に来てもらえる。そんなワインビストロにしようと思ったんです」

4 店舗の設計デザインも自ら手がけたそうだ。

「つくり手の味、人のにおいが感じられることで、味わいは変わる。そう思っています。それで、ビオワインを扱いたかったんです。料理も人の手でつくるプロセスを見てもらえたら。そう思い、オープンキッチンにしました」

da.bを訪れるのは、常連さんが多いという。

11月末に2周年を迎えると、店の入り口にはお客さんから贈られたお花やワインが並んだ。

場をつくってきたのは、店を営む人だけではない。日々訪れる人の存在が大きい。

5 満席の中、あらたなお客さんが外に見えると、さりげなく勘定をして席を空けてくれる方もいる。オーダーが続くと「こっちは手が空いてからでいいから」と声をかけてもらうこともある。

休日も見直した。

お客さんから「ちゃんと休んだほうがいいよ」という声をいただき、毎週月曜に加え第1、第3日曜も休みをとるように。

お客さんも一方的にサービスを受けるだけではなく、関わりたくなる。そして、大切にしたい場だからこそ、周りの人にも共有したくなるのだと思う。

お客さんと紅谷さんの中間に立つような存在が、今回募集するホールスタッフの方。

キッチンをつとめるのが、紅谷さん。ホールの方は料理の提供、そしてお客さんと話しながら、一緒にワインを選ぶのが主な仕事だ。

料理の仕込みの手伝いや、ワインの受発注に売上げ管理といった事務もあります。

ここで話をうかがったのは、ホールで1年ほど働く浜田さん。

6 「撮影、ちょっと緊張しますね(笑)」

笑顔につられて、こちらも笑ってしまう雰囲気の方。

出身は高知県。看護師として働いてきたそうだ。

「その後は一度退職をして、アメリカへ行きます。数ヶ月遊んできたんです(笑)」

帰国して半年ほどが経ち、da.bの求人を知った。

「飲食は未経験でしたが、人と接することは共通しているかな、って」

引越は迷わなかったんですか?

「まずは来てみようという感じでした。それまで縁はなかったんですけど、引っ越してみるとちょうどいいまちでした。東京ほど人がぎゅうぎゅうではなく、ほどよくすき間があって」

住まいは、紅谷さんの営む不動産会社で手ごろに借りられたという。

「それからね、千葉は人がいいんですよ。お客さんも含めて」

どんなお客さんが訪れるのだろう。

「定休日を除き週に6日、仕事帰りに訪れる男性の方がいます。ワインを2、3杯飲んで。da.bの時間が、生活の一部になっているようです」

また転勤で千葉にやってきた女性の方は、知り合いもなじみのお店もない。そうした中で、da.bを訪れた。

「ここで、お客さん同士が友だちになることもあります。意気投合して『もう一軒行ってきます』って。わたしも、ついていきたくなりますね(笑)」

お客さんにすすめられて、お酒を飲むこともあるという。

一方的に“もてなす”よりは、一緒に“時間を過ごす”。そんな関わり方だという。

浜田さんは飲食店の仕事は未経験。

お客さんへの関わりかた、ワインの選びかた。紅谷さんから教えてもらえたので安心できたという。

「お酒は好きだったんですけど、ワインはわからなくて。働きはじめてから飲むようになると、味の違いや自分の好みがわかるようになり、段々と楽しくなってきました」

da.bを訪れるお客さんも、はじめは選び方のわからない方が多い。お客さんと一緒に育ってきたような感覚だという。

お客さんと話すときに心がけていることがある。

「間(ま)ですね。同じ方でも、一人で静かに過ごしたいとき、話をしたいとき。その日によって人は変わると思います」

ここで、ワインの顔ぶれを見せてもらう。

店の棚には、価格の書きこまれたボトルが並ぶ。

3,000円代のお手頃なものから、1万円近くするものまで。

「最初に味の好みを聞いて、合うものをいくつかお出しします。楽しみ方も色々ありますよ」

「最後はラベルで選ぶ。それから、つくり手で選ぶ。da.bで働きはじめて、ワイナリーについて調べるようになったんです。『この人が、こんなふうにつくっているんだ』。大切にしていることを知り、伝えることで、楽しみ方も変わってきます」

7 ところで浜田さんは、今年の7月に働き方をフルタイムからパートタイムに変えた。いったんは離れる予定だったが、これからもda.bに関わり続けていくという。

そこで今回は、da.bのホールで働く方を募集する。

どんな人を求めるのか、紅谷さんが話してくれた。

「これから働く人も飲食の経験はなくてもいいと思っているんです。むしろいままで、考えていなかった人にこそ飛び込んでもらえたら。da.bは、食事とワインの提供だけでなく、雑貨やインテリア音楽も取り揃えています。トータルなんですね。アパレル、雑貨、音楽… どの分野もつながっているので、色々なことに興味を持って楽しんでもらえたら」

「服が好き、雑貨が好き。そして何よりも人と関わることが好き。そういう人がいいですね」

紅谷さん自身、アパレルの経験者。異業種で接客をしている人にもぜひ飛び込んでほしいという。

僕も取材後日、da.bへ行く機会がありました。

18時のオープンに入り、紅谷さんが、お客さんを紹介してくれたり、気づけばその方と一緒にグラスを交わして。お店を出たのは23時過ぎでした。

とにかく居心地がよかった。気さくなのに、この店を知っていることが、ちょっと誇りにも思えるような。

インテリアやBGMもよかった。けれど、最後は人だと思う。

その人の存在がごまかしようもなく、表れる仕事。

「まずは1年、あたらしい世界を知ってみようかな。それぐらいの気持ちで、気軽に応募してほしい。自分の幅が広がるきっかけになればと思います」

もちろん働きはじめて、長く店の顔を担っていくのも歓迎。

ちなみにda.bは、来年で3年目を迎え法人化を検討している。社員としての雇用も含め、お互いに気持ちのよい関わり方ができたらと話す。

8 仕込みの様子を眺めていると、紅谷さんがポツリ。

「実は今年から、不動産事業の社長に就いたんです。『350円のポテサラをつくらなくても、食べていけるだろ!』常連さんからも言われますよ(笑)」

人を雇い、店を経営することもできますよね。

「でも、そうじゃないんですよ。それをやりたいわけじゃないんです」

紅谷さんにはいま、考えていることがある。

「da.bを2年間営み、設計から運営までの蓄積も出てきました。今後は、千葉で店舗をはじめたいという人に、設計からインテリアまでプロデュースすることで、手伝いができたら」

すでに紅谷さんは、動きはじめている。

da.bの位置する弁天エリアでは、お店を紹介するエリアマップをつくった。

「近い思いを持った店も、集まりつつあります。訪れた人が消費するだけではなく、何かを経験して記憶に残るエリアになっていけばと思います」

車で10分ほどのところにある稲毛海岸では、SHI TSU RAIというオープンスペースも立ち上げた。

「クリエイターやアーティストをはじめ、千葉にも面白い人が集まりつつある。気軽に集まれるような場所がなかったので、つくったんです」

10 ここで17時の時報が鳴った。

この日も予約のお客さんでいっぱいだという。

千葉で何かをはじめたいと思っていた方。千葉には縁がなかったけれど、あたらしいきっかけを探していた方。変わり目に飛び込んでみたい方。

da.bは一つの選択肢だと思います。

もし、食べにいく際はできれば予約を!すっかり千葉駅前の人気店です。

(2015/10/27 大越はじめ)