求人 NEW

methodのメソッド

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

イメージをかたちにするには、センスや直感に頼るのではなく、経験や知識を積み重ねて、状況に応じてそれらを出し入れする『方法』が大事になります。

m01 株式会社メソッドは、デザイン、ファッション、アート、工芸、食など、ジャンルを問わずあらゆる分野で生み出されるモノをセレクトし、店づくりを中心に手がけている会社です。

国立新美術館内にあるミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー」のサポートディレクションをはじめ、「21_21 DESIGN SIGHT」のショップスペース監修、「燕三条 工場の祭典」の全体監修など、仕事の幅は多岐にわたります。

m02 (21_21 DESIGN SIGHT企画展「単位展 — あれくらい それくらい どれくらい?)

今回は、その中心を担うバイヤーを募集します。

話を聞くと、想像するようなバイヤーの姿とは異なった働き方がありました。

バイヤーの経験はもちろん、MD(マーチャンダイジング)・VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)といった複合的な経験が必要になるそうです。

「どれだけモノを知っているか。そして、店舗のコンセプトに応じてどういったセレクトをするのか。知識のストックから情報を瞬時に引き出し、すぐに商品をあげられ、イメージ化できる能力とスピード性が求められます」

そう話すのはバイヤーの佐藤由佳さん。

methodの担う仕事は、お店のかたちが生まれる前のプロセスからありました。
 
渋谷駅から歩いて9分ほどの場所に、オフィスはあります

m03n 白い壁にモルタルのグレーの床が特徴的な空間には、あらゆる場所から仕入れてきたモノと、methodが運営するギャラリースペース「( PLACE )by method」が併設されていました。
最初に話をうかがったのは、バイヤーの佐藤さん。

代表の山田遊さんと共にmethodのバイヤーを担っています。
まずは、バイヤーの「動き方」をはなしてくれました。

m04 「普通のお店でしたら、店舗にバイヤーさんがついていて、一つのコンセプトに沿って商品の仕入れを考えるんです。でも私たちは、クライアントさんごとにテイストが異なるので、それぞれの店舗に合ったバイイングをおこないます」

「だから常に同時進行で異なるコンセプトのお店と向き合い、複合的な視点で店舗の状況を見る視野が必要なんです」

一つの商品を選ぶまでの背景を建設的に組み立てられる「見方」と、それらを意識的に魅せる「見せ方」が、ここでは求められる。

また、どんなに良いモノであっても、売る場所のコンセプトがずれていると、商品は売れなくなるといいます。

「店舗が持つコンセプトによって、商品の陳列やセレクトは変わってくるんです。コンセプトを確実に理解することと、そのコンセプトに添った商品を選べる知識が求められます」

たとえば、クリスマスシーズン前にはクリスマス商品を用意する。

「でも、店舗によってコンセプトやテイスト、世界観、ターゲット層、客単価などは異なってくるので、各店舗に合った商品を選び、仕入れる必要があります」

m05 一つひとつの商品に、選んだ背景と意味が込められている。

そんな視点でふたたびオフィスを見渡してみると、見え方が変わってくる。

「methodの会社の在り方は、オフィスのデザインにおいても反映されています」
よく見ると、オフィス部分とギャラリー部分は仕切られながらも、1つの空間内で緩やかに繋がっている。

「出来るだけシンプルな方法で、この場所で行われる様々な用途に対応する機能を生み出す為に、元々、補修が必要だった床をモルタルで仕上げ、床からのレベルを操作することだけで、空間に必要な機能を全て成立させられています。例えば、ギャラリーとオフィスの境界、そして、ベンチやテーブル、サインといった機能です」

「また、空間の壁際には縁石のように立てられたモルタルの境界線があり、様々な素材、形状やサイズで構成されたパーツが立て掛けられています。これらのパーツは増えたり減ったりしながら、オフィスやギャラリーで、必要な機能を作り出すために、必要な時だけ使われます。境界線上には、機能的なパーツはもちろん、時には全く無機能なモノが混じっていたりもします」

一つの答えではなく、多様性を許容する柔軟な構えこそが、様々なプロジェクトに新たな価値観をもって解答する、methodのスタンスを表現していました。
m06n どこまで商品を掘り下げることができるか。

さらにそれに接する人がどういうふうに感じるか。

時間と空間を横断して、ものすごく深く考えられている。

具体的に手がけた店舗も聞いてみると、例として挙げてくれたのは、日本空港ビルデングが運営する「Tokyo’s Tokyo」というショップでした。

「羽田空港内に構えるショップです。従来のお土産屋とは一線を画した、わくわくするショップというのをテーマとしています。旅行に持っていきたい商品や、旅を彷彿とさせる商品、東京発の旅の道具や東京土産を揃えました」

また、もう一店舗は原宿にある。
「そうすると、客層やターゲットは異なるんです。羽田空港は『旅』をテーマに、原宿は漫画やアニメといった『カルチャー』をテーマに商品選びをしています。同じ商品もありますが、見せ方を変えるといった工夫を施しています」
m07 同じTokyo’s Tokyoという看板を掲げているが故に、難しい選定もあるといいます。

「まったく異なってしまうと問題もあって。同じ看板を掲げているのに、置かれている商品が全然違うと入りにくかったりするので、統一性も見られるような、微妙なディテールをかなり細かに設定しています」

2つのお店があることでどんなことが起きるか、とことん想像する。

それでもオープンしてから予想していなかった場合もあるそうで、半年間ほどは商品の流れをみたり、スタッフの教育をおこなったりする期間があるそうです。

m08 そこに至るまでに、どんなことが大切なんでしょう。

「信頼関係を築くことです。そのためにも、現場とのコミュニケーションは積極的におこなっています。常にお店の様子は見られないので、商品に込められた背景を販売スタッフが説明できるように教えています」

どういった人が向いていると思いますか。

「常にアンテナを張って、新しい情報を探す努力を惜しまない考え方をもった人ですかね」

たとえば、佐藤さんの朝の日課は様々なサイトをチェックすること。
なにか新しい商品がないかチェックすることから1日がはじまって、出勤してからも同じように仕事をする。帰りはパトロールと称して、街を歩きまわって新しいモノがないかチェックしているそうです。
世の中にどんな商品があるのか知ることは、仕事の基本となる。

接客経験があると感覚がつかみやすいとのこと。

「自分が選んだ商品を自分の言葉で販売スタッフに伝えられないと、いくら良い商品を選んでも意味がないので。お客さんがどういう商品を求めているかといったマーケティングにもつながっていたりするので、接客経験があるのは大きいですね」
 
モノを知り、お店に応じてセレクトし、伝えていく。

そんなバイヤーと二人三脚で働いているのが後藤さんです。

半年前から在任し、現在は各パートのサポートをしながら、社内のレジメント制作を担当しているとのこと。

m09 後藤さんがとくに驚いたのは、methodのメンバーは幅広いジャンルのモノやコトに対して熟知しているということ。
そして、もう一つの特徴は、イメージをかたちにしていく考え方とあらゆる方法を持ち合わせていること。

「バイヤーを担う代表の山田さんと佐藤さんは、最終的なかたちに収めていくイメージがとても強いと思います」

収めるイメージ。

「モノにしても見せ方にしても常に複合的なロジックで考えられているというか。バイヤーの仕事ってどこか一箇所だけを切り取っても成立しなくて、最終的な着地点をイメージする能力がとても重要だと思います」

m10n 「だからこそ、どういうものがつくりたいか、という着地点のイメージを共有できることが重要だと思います。」

個々のスキルや動き方、建設的な考え方が求められる環境で、どういった方がmethodの環境に合うのでしょうか。
「成功へとつなげるために、コミュニケーションがしっかり取れる方でしょうね。チームは6人しかいませんし、一人ひとりが立っている会社なので。外出が多い環境ですし、スタッフがいるときにどれだけ話せるかが、仕事を進めていく上で重要になりますね」

「あとは会社のために力になりつつ、自分のスキルアップのためと捉えられる人ですね。どちらかだけだと仕事は続かないのかなと思います。methodはフリーランスの集団といった感じなので、ここの自由度や、ほかでは得られない経験を有意義なものにしてほしいです」
 
あらためて佐藤さんに、methodのバイヤーとしてのイメージを聞きます。
「今回、私のアシスタントになるような方、私と同列に並んでバイイングなどをおこなう方を募集します。ただ、既存の店舗をリブランディングするといった仕事などもあり、そこが外部のバイヤーと大きく異なる点だと思います」

でも、何より大事にしてほしいことは『モノ=お金』で捉えてほしくないということです、と佐藤さん。

m11 「バイヤーになる前、接客を経験していたときは、売り上げに追われていく環境に嫌気がしました。売れない理由が商品にあるかのようにされていたんです」

「せっかくモノが生まれてきたのに、『モノ=お金』みたいに見られて売られていくのがとても嫌でした。ネットがあるから1円でも安く買おうとか、売れないからすぐ安売りしようとか。だからこそ、バイヤーとして働くなかで『モノ=お金』じゃないという想いは強くあります」

モノであふれた日々を過ごしながらも、その背景にある物語やメッセージまで意識して手にする機会は少ない。

だからこそ、モノに備わる本当の価値観を認識させるためにあらゆることに取り組むのが、methodのバイヤーなのかもしれません。
アイデアや世界観をつくりだせる、たしかなメソッドがここにはありました。

(2015/10/23 浦川彰太)