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「『夢をもちなさい』っていう言葉があるでしょ。その夢っていうのは、当然大きな夢であっていいと思うんだけれど、うちの場合はひとつひとつ積み重ねてきたんです。小さくても一段ずつ登ってきました」株式会社大登(だいと、以下「DAITO」)の社長を務める、原崎さんの言葉です。
DAITOは、戸建ての一般住宅から大型施設まで、塗り替えや防水、増改築や水回りなどの改修工事を幅広く手がける会社。
本社のある東京都あきる野市を中心に多摩地区で実績を積み重ね、今年で創業38年目を迎えます。
原崎さんは、目の前の夢をひとつひとつ叶えようと努力していたら、いつの間にかここまで続いていたといいます。
とはいえ、今や創業後3年以内に9割以上の企業が倒産すると言われる時代。
ここまで続いてきたのには、どうやら他にも理由があるようです。
今回は新規開拓の営業と、現場監督を募集します。
より会社のことを知るために、本社を訪ねてお話をうかがってきました。
新宿から電車に揺られること約1時間。東秋留(ひがしあきる)駅に到着した。
駅周辺に大きな施設はなく、住宅街が広がっているため、電車が通るとき以外はとても静かだ。
ここから南に向けて歩くことおよそ10分。突き当たった睦橋通りという通り沿いに、DAITOの本社は位置している。
なかに入ってまずお話をうかがったのが、社長である原崎さん。
種子島の農家に生まれた原崎さんは、若くして結婚したこともあり、少しでもお金を稼ぐためにペンキ屋ではたらきはじめた。しかし仕事は少なく、借金を背負ってしまう。
抱えた借金を返すため、25歳で東京へ。
当時は景気も上向きで、建売りの住宅が次々に建っていた時代。仕事は毎日のようにあったため、そのままの勢いで2年後に会社を立ち上げたそう。
それから38年。なぜここまで続けてこられたのだろうか。
「運がいいっていうのはひとつあるんでしょうね。40年近くもやってると、もうだめかなっていうことは2、3回あるんです。なかなか仕事がとれなくて、今まで蓄えてたものも全部はきだして、銀行からも借りたりして」
「そういうときになって、助けてくれる人がいるんですよ。突然、もう借りられないと思っていた融資の人から電話があって、500万円ぐらい融資してもらったこともあるしね」
人に助けられた経験があったので、「自分の社員を大事にするっていうところは、ほかのどこの社長にも負けない自信をもってますね」と原崎さんは話す。
「大事にする」やり方はいろいろと考えられるけれど、原崎さんは社員を信頼し、「任せる」人だと思う。
過去には、心底信用していた社員が売上金を使い込んでしまったり、サイドビジネスとして運営していたお店の店長に、お金を持ち逃げされたこともあった。
それでも、一度も社員をやめさせたことはないというから驚きだ。
「任せるっていうのは、ある意味デメリットもあるけれど、メリットもある。そのメリットとデメリットを足したら、結局はプラスかなって自分は考えているんですね」
「なかには自分ですべてやらないと気が済まない人っているじゃないですか。そうすると、なかなか人は育ってこないし、会社もそれ以上大きくならない。ひとりでできることって、やっぱり限度があると思うんです」
口では言えたとしても、簡単に真似できることではない。
それを実際にやってしまっているのだから、あまりに器が大きすぎるというか。言葉以上の「凄み」のようなものを感じる。
もちろん背景には、会社としての安定した実績があるのだろう。
「うちはリフォーム業界では特別大きい会社ではないけれど、けっこう元気ある会社ですね。5年に1回ぐらい税務署がくるんだけど、『いやあ、大登さんは優良企業だね』って。『優良企業だったらくるなよ!』って言うんだけどさ(笑)」
安定した実績を支えているのは、DAITO工法と呼ばれる技術面でのこだわりも大きい。
これは、もともと現場の職人であった原崎さんが、経験に基づいて編み出した塗装の方法だそう。
通常の塗り替え作業では、下地となるシーラーもしくはフィーラーを塗り、中塗り、そして上塗りを重ねる3回塗りが一般的。
ではDAITO工法はというと、シーラーの上からさらにフィーラーを塗り、中塗り、上塗りを重ねる4回塗りとなる。
こうして下地を1工程多くすることによって、塗料のノリがよくなり、紫外線や雨に対する耐久性が向上するそうだ。外壁の傷み具合を見ながら、必要に応じてこの工法を用いている。
材料費も時間も、1工程多い分だけ余計にかかる。
それでもこの工法にこだわり続けているのは、お客さんが納得できる形を目指しているから。
「お客さんの声はやっぱり大事です。施工から数年後にはがれてきたりして、電話があるわけですよ。それでもうちは必ずいって対応しますから。もちろん、場合によってはまったく無償ではなくて、材料代ぐらいはくださいっていうケースもありますけどね」
施工して終わり、ではなくて、その後の長い付き合いまで見据えている。
最近では「ダイトメンバーズクラブ」というものを立ち上げて、定期的な点検や快適なライフスタイルの提案など、より充実したアフターサービスを提供するための動きもあるという。
こうした原崎さんの姿勢に共感できるならば、今回入社する人もきっとここでのやりがいを見つけられると思う。
隣の部屋に移動して、今度は川崎さんと瀧島さんにお話をうかがう。
川崎さんは、今年の7月から開発事業部で営業の仕事をしている。開発事業部というのは、主に大型施設を担当している部署とのこと。
DAITOに入ったきっかけを聞くと、「金銭的な面で、やればやった分だけもらえますっていうのを見て入ってきたんですよ」と教えてくれた。
「けれど開発事業部に入ってきて、所長や課長にいろいろと教わるなかで、だいぶ意識は変わりましたね。礼儀にはじまり、社会的なマナーや、仕事には直接関係のないところまで教えていただいて」
営業の仕事をはじめて2ヶ月。教わったことがさっそく活きて、契約に結びついた物件もあるそう。
「5階建てのビルでした。オーナーさんのお話を聞いていったら、そのビルは建設から19年経っていたんです。19年間なにもお手入れしていないとのことだったので、『これは一回見てみましょう』ということで課長を呼んで、そこから一緒に進めていきました」
「挨拶をしっかりする、ということはいつも言われます。ちゃんと相手の目を見て、早口にならないように。基本的なことですが、しっかりと身につければちゃんと契約にもつながるんだということを実感しました」
うまく上司につなぐことができれば、その横で仕事の進め方を見られる体制も整っているため、全体観をもった人材として成長できる環境だと川崎さんは話す。
その話を横で聞いていたのが、国立支店長代理を務める瀧島さん。支店は異なるけれど、川崎さんの上司にあたる立場の方だ。
インテリアの職業訓練校を出た瀧島さんは、家に携わる仕事がしたいと思い、DAITOに入社。しかし、家というよりは人との関わりが多い営業の仕事に、当初は面白さを見いだせなかったという。
「そんな状況で孤独になっていたら、きっとどこかでこの仕事もやめていたでしょうね。わたしは、ある先輩の人としての魅力に惹かれてここにいるんだと思います」
人としての魅力?
「たとえば同意です。数字が上がらなくて大変なときに、『そうだよね。こういうときは一番つらいよね』って、常に同意してくれます」
「営業も、基本は同意なんです。お客様から『リフォームしたくてもお金がないのよねえ』と言われれば、『そうですよね、なんでもお金かかりますよね』というふうに、まず同意する。お金がかかることは事実ですから、まずお客様の気持ちになって考えてみることが大切です。『いやいや、リフォームしましょう!』なんて言ったら、お客様はそこで引いちゃうんですよ」
特別なテクニックを教えてもらったわけではない。普段からその先輩と過ごすうちに、自然と営業にのめり込んでいった。
同時に、お金を稼ぐということに対する価値観も変わってきた。
「気持ちに余裕をもつために、いいお給料がほしいと思うようになりました。余裕があれば、その分お客様のことを考えられるようになりますよね」
川崎さんも瀧島さんも、こういう遠慮されがちな話をさらりと素直に話してくれる。
耳ざわりのいい言葉を並べるよりも、そのほうが信用できるというか。「この人の話を聞いてみよう」と思える気がする。
「言われたことを『はいはい』と聞くだけの人は、腹のなかでなにを思っているかわからないじゃないですか。この仕事はペアで動くことも多いので、自分の考えていることを相手にはっきりと伝えられる素直な人がいいですね」
でも、お客さんに合わせて同意しつつ、自分の考えは素直に伝えるのって、なかなか難しそうですよね。
「そうですね。基本的に大変な仕事だと思っています。はじめてのお客様が最初から信用してくださるわけではありませんし、物件ごとにおすすめする内容も変わるので、一辺倒ではうまくいきません。断られることもたくさんありますよ」
「だからこそ、ちょっとでもうれしいことがあったときに喜びを感じます。きっとそのためにやっているんですよね」
どんなときがうれしいですか?
「時間をかけてじっくりとお話ししてきたお客様と契約ができて、工事がはじまる瞬間はものすごく感動します。じーんとしちゃいますね」
川崎さんも、施工されていく過程を目にすると、やはり込み上げてくる想いがあるという。
「工事がはじまると、DAITOっていう名前が大きく書かれたシートがビルにかかるんです。まだ全国に名が知れてるわけではないですが、それによって少しずつ名前を広げて、もっと会社を大きくしていきたいなっていう想いはありますね」
自ら契約をとった物件は工事の日程や段取りまで関わるため、やりがいも生まれるし、職人さんから直接学べることも多い。
現場監督は、そんな営業の想いを引き継いで形にしていくような仕事。職人さんだけでなく、お客さんとの関わりや営業の方からの引き継ぎも大事な仕事になりそうだ。
取材を終えてみて、心に残っていたのは「積み重ねる」という言葉でした。
決して派手ではないかもしれないけれど、着実に、ひとつひとつの喜びや夢を積み重ねてきた会社なのだと思います。
そんな姿勢に共感したという方は、ぜひ応募してみてください。
(2015/11/30 中川晃輔)