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ある企業のオフィスは氷の世界やジャングルになっていて、とあるスポーツバーはスタジアム型のデザインになっている。立体的で大胆なデザイン。かと思えば、グラフィックデザインも散りばめられている。
どれも一度見たら忘れられないような、すごく個性的な空間。

東京・神宮前にある、株式会社アンドロップ(以下、undrop)を訪ねました。
undropはもともと広告会社出身の方がはじめた会社です。
真にクライアントが求めることの実現を追求した結果、企業のビジネス戦略やお店のコンセプトづくりといった段階から提案し、ネーミングやCI、コミュニケーションツールから空間デザインまで、トータルで手掛けるようになりました。
その総合力と独自性が評判を呼び、ブランディングパートナーとしてデザイン全般に関わる仕事が増えてきています。
現在、各プロジェクトにおいて核となるのは空間デザインの仕事。
空間デザインの能力をさらに強化するため、undropがインテリアデザイナーを募集します。
もしかしたら、やり方や考え方の一つひとつから、これまでいたところでの常識が通じないかもしれません。でも、枠にとらわれないundropに、素直に共感できる人もいると思います。
渋谷駅を出て、明治通りを原宿方面へ進む。
歩道橋を越え、三角地に立ち並ぶビルのひとつにundropのオフィスがある。
扉を開けると、代表の澤さんが迎えてくれた。
さっそく名刺を交換しようとすると「どうぞ、好きな色を選んでください」と澤さん。
名刺一枚一枚にカラフルな輪ゴムが付いている。

渡されるものをただ受けとるしかない名刺が、自分で選べるって面白い。
「名刺ってたくさん交換しますけど、なかなか一つひとつを覚えられないですよね。紙の上のグラフィックデザインだけで差別化しようとしても難しいんです。けど、実は名刺ってコミュニケーションのスタート地点でもあって。コミュニケーションの仕方をちょっと変えるだけで、相手の記憶に残るんです」
「僕らの名刺は忘れられたことがないんですよ。ほかのスタッフが伺ったところに行けば『あ、知ってる!』って。そういう“オンリーワンであること”というのは、うちではすごく大事にしていて」

それはundropが一番に掲げているコンセプト。
たとえば、高性能オフィスチェアのセレクトショップ“ WORKAHOLIC ”は、いままでになかった独創的なサービスと空間の店として、オープン当初から話題になった。
企画からネーミング、ロゴデザイン、Webデザイン、さらにはMDから空間デザインまで。すべてをundropが手掛けた。
「クライアントはもともと文房具屋さんなんです。2代目がオフィスチェアの販売をはじめられて。主に個人をターゲットにECで売られていたんですけど、新たに実店舗を出したいと、人づてに紹介いただいて。それで赤坂に出店することに」
「赤坂にはすでにB to Bをメインにしたオフィス系のファニチャーメーカーのショールームが多かったので、競合するのではなく共存できるようメーカーの垣根を超えて、日本で一番品揃えの豊富なオフィスチェアのセレクトショップにしようということになったんです」

ニーズは十分にあったけれど、「ただ単にオフィスチェアをいっぱい揃えるじゃダメで」と澤さん。
真面目な雰囲気のショールームとは一線を画す、ちょっと遊びのある自由な空間に。“ WORKAHOLIC ”と印象に残る店名にした。
また、お店には「チェアコンシェルジュ」と呼ばれるオフィスチェアのプロを常駐させ、お客さま一人ひとりにぴったりな椅子を提案するサービスを提供。
平均滞在時間は約2時間。約8割の人が購入にいたるという。
「知り合いの建築家やデザイナーたちもここで選んで買っていて。海外オフィスオフィスメーカーの社長もわざわざここに来て『日本でここが一番クールだね』って」
「みんな自分たちのプロダクトを置きたいと思っているんです。オフィスチェアにおけるメディアショップにしてあげたいって、当初から想定していました」
この案件からはじまり、そのクライアントではオフィスやCI、コミュニケーションツールのデザインまで、すべてのクリエイティブを手掛けることに。
このクライアント以外にも、数社とクリエイティブコンサルティングの年間契約を結んでいるそうだ。

そんなundropな姿勢で、どんな仕事でもクライアントとディスカッションを重ねながら、クライアントの個性が出るように一緒になって企画していく。
「単にめずらしいから、かっこいいからってメディアに取りあげられるだけじゃいけない。ちゃんと本質を分かったうえで、クライアントの商売につながるデザインをしないと」
数年以上の継続的な関係が続いているクライアントがほとんど。
「リアルな店舗を立ち上げたい」「箱はあるんだけど何に使っていいかわからない」といった段階からの相談が多いという。
「デザインだけだったら、お客さんの商売にそこまでコミットできない。だから僕らは企画段階から入ります。デザインよりもっと手前ところからはじめるので、そのあともずっと続くんです」

空間デザインやWebデザイン単体の仕事を受けることもあるけれど、必ず今後のブランディングを踏まえた提案にすることを心がけているという。
「会社をはじめた最初のころは、いきなり全部をやってくれなんて仕事はなかなか来なかったです。ただ、そこが自分たちの強みだって思っていたので、たとえ小さい仕事でも、必ず全部を提案するようにしていたんですよ。そうすると『じゃあ次は』と声がかかる。それが、いまも続いているような感じです」
もともと澤さんは広告会社出身。コピーライターやCMプランナーをやっていた。
そのときの経験が、企画からすべてを手掛けるこだわりにつながっているという。
「広告って、どうしても商品やサービスありきで、そこからイメージをつくっていくことがほとんど。莫大なお金をかけるからこそ、その前から携わりたいし、もっと効果的な仕事ができるだろうと」
「で、もともとブランディングに興味があったので、もうちょっと手前をやりたいなと思っていたときに、たまたま老舗額縁メーカーさんとご縁があって」
バブル崩壊後、アートの衰退とともに下降していた業界。その会社も売上を落としていたそう。
ただ、ほかには負けない額縁の制作技術があった。社長と二人三脚で全体をディレクションしながら、澤さんは額縁の技術を生かしたインテリアブランドのトータルプロデュースに携わった。

もともと澤さんは広告の世界にいた。なぜ領域を大きく越えて、未経験の分野でも仕事ができるのだろう。
「僕にとって空間も広告も同じなんですよ。何をつくるにしても、情報が氾濫しているいまの世の中で覚えてもらうようにするためには、というところから考えているんです」
「僕は、マーケティングやリサーチをした上でデザインするのではなく、直感からクリエイティブをスタートし、同時に理由付けや差別化を考えていくタイプ。仕事が来てからだと遅いので、日頃からいろいろなクライアントを想定した妄想をしてます(笑)」
澤さんは早い段階からイメージを固め、打ち合わせの際はすでに具体的な提案ができる状態だという。
「たとえば空間デザインの場合、僕らはイメージと簡単な図面やレイアウトまではかなりのスピードで持っていけるんです。けど、スピードを保ちつつそこから10割にしていくためには、一番大変な設計や図面の部分のスピードとクオリティをもっとあげる必要がある」
「ビル一棟をまるごとプロデュースする仕事などの大型案件や、海外展開を見据えた案件が増えてきています。今後は、より空間デザインに強い仲間が必要なんです」
常識や既存の枠にとらわれないデザインをしてきたundrop。
これから建築やインテリアに強い仲間を迎えることで、よりクオリティの高いオンリーワンな空間デザインが可能になるという。
「『“型破り”って、型ができていないと破れないんだ』って。たしかに、ちゃんとしたことができていないのに変なことをやっても絶対評価されない。王道をしっかり分かったうえで、外さないと。新しい方が加わるとすごく面白いことになると思うので、ワクワク感があります」
そう話すのは、インターンを経て今年に新卒で入社した真庭さん。

真庭さんは専門学校でインテリアと建築を学んでいたそう。
「ここはめちゃくちゃ面白い会社だと思いました。デザインというグラフィカルなものだけじゃなくて、売り上げとか現実的な部分もデザインしている。そのへんのバランス感覚は、入社してからほんとうに勉強になっていますね」
入社してまだ数ヶ月ながら、企画やプロジェクトマネジメント、デザイン・図面作成まで、フレキシブルに動いている。
代表の澤さんは、今回新たに設計に強い人が加わることで、真庭さんが建築や設計についてさらに学べる環境を整えようとも考えているそうだ。
真庭さんは、どんな人がこの会社に向いていると思うだろう。
「コミュニケーションがしっかり取れる方じゃないと厳しいかもしれないですね。というのは仕事のスピードが速くて。常日頃コミュニケーションをとって、何か起これば早めに言わないと。僕もミスったらすぐに正直に言いますし、気さくに相談できる環境ですよ」
最後に話をうかがったのは、チーフデザイナーの杉内さん。
代表の澤さんいわく「天才肌のアーティストタイプ」だという。

「わたしは仲間意識を持ってみんなと働きたいなと思っているので、ファミリーじゃないですけど、あんまり上下関係とかも気にせず、自分たちの好きなことで会話できたらなって。そういうのがいいと言ってくれる人だとうれしいですね」
よくみんなでご飯を一緒に食べにいくのだとか。また、時間の使い方は個人に委ねられ、最終的なアウトプットさえ最高であれば自由に働ける職場だという。
とはいえ、常に20件ほどの案件がまわっているため、仕事量はとても多いそう。
「楽しいから時間を忘れてやれるような人じゃないと、難しいかもしれないですね」

まさに第2創業期。コアメンバーとしてオンリーワンをデザインしていける。
最後に代表の澤さんから。
「僕らの会社は、たぶんMAXで10人強の規模だと思うんです。それでゆくゆくは3分の1ぐらい海外の仕事をしながら、それぞれがグローバルな視点で考え、世界で勝負できる集団になりたいですね」
「たとえ、みんなが独立できるほどのプロフェッショナルになっても、『undropにいたほうが圧倒的に面白い仕事ができる』と思う会社にしたいなと思っています。いや、絶対にします(笑)」
(2015/11/9 森田曜光)