※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。
雑誌やTVドラマでも目にすることの増えたシェアという暮らし方。今日では一つのライフスタイルとして認知が広がったように思います。
今回は女性専用シェアハウス“Rシェア”を運営する株式会社Rバンクで働く人を募集します。
Rバンクの特徴は“管理”を起点とした事業展開にあります。
物件のオーナーさん、そして入居者たちと日々会話をする。顔が見える関係があるからこそ、人ありきの企画提案を行うことができる。
そんなRバンクは、今後の不動産業界においても“ちょっと面白い存在”かもしれません。
「不動産業界は、開発—販売・代理仲介—管理に分けられます。いままでは開発が花形だったんですね。でも今後は、管理が注目されつつあると思います。日々の管理・運営業務で蓄積された情報から、新たな企画を提案していけるんですね。」
今回募集するのは、現在40戸を管理運営するシェアハウスのコーディネーター。併せて、不動産を仲介から有効活用までトータルで手がけるコンサルタントも募集します。
東京・渋谷駅から歩いて5分ほどのところに、Rバンクのオフィスはあります。
迎えてくださったのは代表の藤田さん。
元ラグビー部という体育会のハキハキとした雰囲気もありつつ、細かいところに気配りをしてくださる方です。
藤田さんは大学卒業後、大手の倉庫会社に就職。Rバンクを立ち上げたのは2006年のこと。
「父親の影響が大きいです。横浜で小さな不動産会社をしていたんです。僕が小学校へあがったくらいには独立して。その背中を見てるので、物心つくころには起業したいっていうのが、なぜかあって。」
Rバンクの起業当初の事業内容は、不動産の仲介業とリノベーションの企画提案。
「老朽化した建物に対する選択肢には3種類あります。建て替え、売却そしてリノベーションです。けれど、既存の不動産会社が提案する選択肢は、建て替えと売却に限られていました。一言でいえば、そっちの方が儲かるんですよ。」
「一方で新築着工は減少してストックが増えていく時代において、リノベーションが求められると思ったんです。」
現在Rバンクの核となりつつある事業は、物件の管理(プロパティマネジメント)業務。
きっかけとなったのが2008年に手がけた、飯田橋の複合型ビル案件だった。
駅から徒歩3分の好立地にある5階建て。かつては印刷会社の社屋・寮として使用されてきた。
「他の不動産会社が、こぞって新築への建て替えを提案する中、Rバンクはいまの建物を活かすリノベーションを提案したんです。」
元駐車場・倉庫の1階は店舗を誘致。ベーカリー&カフェが入ることとなった。2階はシェアオフィス・セミナースペースに。
そしてエレベーターのない3〜5階は、建築家と相談の上、女性専用シェアハウスに生まれ変わった。
「僕らは企画で終わると思っていたんです。そのときですね、オーナーさんから『引き渡し後の管理もRバンクが責任を持ってやってほしい』と頼まれたのは。でもね、管理って手間がかかる割に利益が出にくい。当時は、しぶしぶはじめた面もあったんです。」
けれど、管理がRバンクの強みへとつながっていく。
「日々オーナーさんや入居者の方と話をします。そのなかで、入居者の方が住まいに求めることが見えてくるんです。たとえばデザインだけ洗練されても、手の届かない住まいでは借り手がいない。デザインも家賃もちょうどよく。地に足のついた企画ができるようになるんですね。」
シェアという暮らし方を選択する人が増えてきた背景もある。
Rバンクの管理するシェアハウスは、約40戸まで増えていった。
「僕らの仕事は、長い目で見たときに、オーナーさんに利益が生まれること。そのためには入居者同士のよいコミュニティができること。だから建てて終わりではなく、その後も管理を引き受けていきます。」
その姿勢に共感して依頼するオーナーさんも多いとか。
シェアハウスの企画・管理を引き受けたオーナーさんからは、別の所有不動産について色々な相談を受けることもある。
まず管理があり、そこから仲介や企画へ。今後日本の不動産では、そうしたサイクルが注目されていくのかもしれない。
ここで、藤田さんは不動産業界の構造について話してくれた。
「開発—売買—管理という区分けがありますが、アメリカでは管理と開発が一緒なんですよ。日頃から付き合いのある管理会社が、地主さんと一緒に建て替えの話を進めていくそうです。」
実は、日本でもその動きは起こりつつある。市場では管理会社のM&Aが盛んになっているそうだ。
「2060年には約50%が空き家になるという統計もあります。その中で、管理で得たデータを分析して企画にいかせる会社になりたい。そのためにも、管理物件の件数を増やしていきたいです。」
現在首都圏における物件数は、個人用アパートやワンルームが100万戸に対して、シェアハウスが1.5万戸程度といわれている。
藤田さんは今後もシェア物件数が増えるのでは、と話す。
「家を借りるときに、プライベートを重視したい人は、個人向けのアパートやマンション。友だちから刺激を受けたい人は、シェアハウスを選ぶ。価値観で住まいを選ぶ時代に入ってきたと思うんです。」
住まい選びは大きな転換期にあるのかもしれない。
ここからは、企画から管理までを手がけるみなさんに話をうかがいます。
右が金子さん
はじめに紹介するのが、シェアハウスの事業を統括する金子さん。シェアハウスのコンセプトを考え、空間やキッチン家具をデザインし、施工会社さんと設計を行い、インテリアの手配までを行う。キビキビしつつも懐の深い方だと思いました。
その後は、物件ごとにコーディネーター(担当者)が割り振られていきます。
これから入社する人も、シェアハウスのコーディネーターとして仕事をしていきます。
コーディネーターの亀田さんと永桶(ながおけ)さんに話をうかがいました。
亀田さんの前職は、リノベーションした飲食店のスタッフ。
「リノベーションの現場はどんな風につくられていくのか知りたくて、転職しました。Rバンクで働いて5年になります。」
亀田さんはコーディネーターの一連の仕事を紹介してくれた。
「金子がコンセプトをつくり、家具を選びます。コーディネーターはまず、家具の搬入や家電の用意を行います。次に募集です。金子と相談しつつ、賃料を設定して、自社サイトとシェア住居を紹介するサイト『ひつじ不動産』などで募集を行います。」
入居希望者から問い合わせをいただくと、内見のご案内。最寄り駅で待ち合わせをして、物件紹介を行う。
内見は1日に多くて4件程度。コーディネーターのみなさんは、日中管理物件を歩きまわることが多いという。
内見の際には、お客さんの人となりを見ることも大切な仕事。
「ドラマや雑誌の影響もあり、最近はシェアハウスの知名度がぐんと広がってきたように感じます。シェアハウスに漠然と興味のある方、憧れを持って問い合わせをくださる方も増えてきました。」
シェアハウスのコミュニティは、入居する人によって形を変えていくもの。
シェアハウスの現実を納得いただいた上で、入居してもらうことが大切。
「たとえば、毎晩リビングでパーティをしているイメージを持つ方もいます。けれど、実際には、自分の部屋で静かに過ごされる方も多かったりするんです。」
入居を決めた方に対してはシェアハウスになじめるよう、最初の入口をお手伝いする。
「新しい入居者さんは、輪の中に入っていけるか不安なもの。自分から挨拶することや、コミュニケーションノートに自己紹介を書くことを提案します。ちょっとしたことで、打ち解けるんですよ。」
シェアハウスにおいて一番大切なことは、入居者さん同士の人間関係だという。
たとえば、長年住むなかで、共用部に私物が置かれて散らかることもある。それが原因で、入居者同士のトラブルが生じることも。
「コーディネーターの役割は、間に入って解決することではありません。入居者さん同士で解決できるように、うながすことです。人間関係のよいところは、物件の使い方もきれいなんですよ。」
また内見時に、入居者さんがお茶を出してくれることで、内見に来た方が安心され、契約が円満に進むといったこともある。
ここで、働くのはどんな人がよいのだろう。
「とにかく人に関わる仕事です。第一に、人が好きな人がいいですね。」
「それから、経験のないことを前に『できません』よりは『わからないけれどやってみたい』。頭で考える前に体が動いちゃう人がいいです。空室が続けば新しい募集方法を考えたり、雪の日に業者さんの手配がつかず、水漏れの対処をすることもあるかもしれません。」
最後に話をうかがったのは、永桶さん。
前職は営業事務。日本仕事百貨を通して3年前に入社された。
「4年間ほどシェアハウスに住んでいたんです。入居前はあまり期待していなかったんですが… 思いのほか居心地がよくて。運営する側にまわってみたいと思いました。」
永桶さんには、WEBでの物件募集について1つの物件を例に話を聞かせていただく。
「実はこの物件、不動産屋としては、売買をした方が利益も大きかったです。けれど、オーナーさんが『いまの姿を残したい』という思いを持っていました。新築と同じくらいの金額をかけてリノベーションを行いました。」
そんな背景もあって、永桶さんは、物件の紹介ページにこんな一枚の写真を入れた。
「広い庭に、1年を通して色んなお花が咲くんです。夏になったら風鈴の音を楽しみながら、庭を眺めながら、縁側でビール。すごく気持ちいいじゃないですか。」
ページ上では物件に限らず、エリアの紹介も行っている。
「土地勘のない方にも暮らしを想像してほしい。最近はエリアマップをつくりました。入居者の方から、午前中に売り切れちゃう人気のパン屋さんを教えてもらったり。盆踊りなど地域の行事も紹介しています。」
シェアハウスをつくるところから関わることで物件に愛着が生まれ、入居者さんともやりとりができる。一連の流れに関われる仕事はきっと面白いと思う。
最後に永桶さんはこう話してくれました。
「物件は、子どものような存在かもしれません。汚れが目立ってきたら、入居者さん達と、大掃除大会を企画します。台風が近づくと大丈夫かな、と電話をしてみたり。自分らしさを出しつつ、仕事に取り組んでいけると思います。」
(2015/12/21 大越元)