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99.7%の可能性

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

取材で新しい仕事に出会うたび、ひとつとして同じ会社はないと感じます。

全国に約412万ある日本の企業。その99.7%が中小企業です。

中小企業を支援し、日本でもっとも成果を出しているといわれているのが、富士市産業支援センター「f-Biz」です。

f-Bizをモデルにして、2013年に愛知県で岡崎ビジネスサポートセンター「OKa-Biz」がオープン。続けて、今年に熊本県で天草市起業創業・中小企業支援センター「Ama-biZ」がオープンしました。

どちらも開始早々に予想を大きく上回る成果を上げ、f-Bizとともに国内外から注目されています。

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そして来年、新たに岐阜県関市で関市ビジネスサポートセンター「Seki-Biz(セキビズ)」がはじまります。

今回募集するのは、Seki-Bizのセンター長と副センター長です。

f-BizやOKa-Bizとともに、従来の日本の中小企業支援のあり方を変えていくことになります。

舞台となる関市のみならず、ここでの取り組みは全国へ波及し、多くを占める中小企業の未来に影響を与えていく。ゆくゆくは日本を変えていくことになる仕事です。

 

東京から新幹線に乗って名古屋へ。

列車に乗り換え1時間ほどで関市に到着する。途中、「刃物製作所」の看板を掲げた建物がいくつも見えていた。

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関市はかつて日本一の名刀の産地だった。いまでは「刃物のまち」と呼ばれ、世界でも有数の刃物の産地として知られている。

また、当時の刀匠たちは暑い作業のなかスタミナ源にウナギを食べていた。いまも市内には老舗の鰻屋が建ち並び、関市は「うな丼のメッカ」ともいわれている。

最近では、関市のPRムービー「もしものハナシ」や板取の「モネの池」、関善光寺の「五郎丸ポーズの仏像」が話題となり、関市の情報が全国に広がっている。

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そんな関市で製造業を営む事業所の数は、県内2番目に多い。一方で、一人当たりの所得は県内12番目だという。

ものづくりをする中小企業が多く、いい技術を持っているけれど、いまひとつ売上が上がっていない。

「つまり働いている人の給与も上がらない。これは関市の大きな課題なんです」

そう話すのは、関市長の尾関さん。ご自身が関市出身ということもあって、熱のこもった話をしていただいた。

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関市の現況を変えるため打ち出された策が「Seki-Biz」の設立。中小企業の売上アップがテーマのf-BizやOKa-Bizをモデルにしている。

「売上が上がって雇用の場ができれば、関市に住む人も増えてくる。その起点が中小企業支援だと。一丁目一番地の政策だと考えています」

とくにSeki-Bizのセンター長の年収は1200万円と、従来の公の産業支援にくらべても破格の金額。それだけ関市も本気だ。

地元の商工会議所・商工会や金融機関の協力も得て、まちぐるみで事業に取り組んでいくという。

「関市の将来はこの事業にかかっていると言っても過言ではないです。そのくらいの覚悟を持って進めていきたいと思っています」

 

「一緒にやらせていただくことになった決め手は、市長や市役所のみなさんの熱意と前向きさなんです。岐阜は僕の地元でもあるので、f-Bizの小出宗昭センター長と一緒にできる限りオープニングをお手伝いさせていただこうと思っています」

そう話すのは、OKa-Bizセンター長の秋元さん。

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秋元さんはNPO法人G-netの代表理事でもあり、中小企業と若者をインターンシップでつなげる取り組みを行なっている。

10年ほど前からf-Bizセンター長の小出さんに中小企業支援を師事し、f-BizをモデルにOKa-Bizを立ち上げた。今年で36歳と、この業界ではかなりの若手。

OKa-Bizはスタート当初から目標相談件数の2倍以上の成果を出し、現在の相談件数は月240件ほど。いつも予約でいっぱいで「行列のできる中小企業相談所」といわれている。

「新たに相談にやってくる人の8割が口コミなんです。『あそこいくといいよ、すごく満足できたよ』って。1回1時間の無料なんですけど、リピーターが8割を超えています」

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なぜそんなに人気があるのか。それはOKa-Bizが相談者の売上に直結した具体的な提案をしているからだという。

中小企業の経営者が一番に困っているのは、売上に関すること。ところが、これまで相談していたのは自社の経営陣や税理士など、身内の人だったそう。

「みんなは売上アップの相談をしたいのに、相談する相手がいなかった。そんななかで売上アップをテーマにやっているのが、f-BizやOKa-Bizなんです」
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たとえばOKa-Bizに、鋼材加工を手掛ける木村産業さんが相談にやってきたときのこと。

従業員4名の小さな会社。「このままなら会社を辞めようと思っていて」と、経営者の木村さんが両手いっぱいに決算書を抱えてきたという。

「でも僕らは決算書をほとんど見ない。なぜなら問題点の指摘はできても、売上の上げかたが分からないから。どんなお仕事をして、どんなことにこだわっているのか、そしてどんなふうにお客さんに評価されているのか。1時間のなかで、ずーっとお話を聞くんです」

木村さんが話してくれたのは「工場が古い」「スタッフが年寄りばかり」「サービスは決して安くない」など問題点ばかり。

それでも「お客さんがいるということは、何か理由があるんです」と秋元さん。

深く話を聞いていくと、急ぎで頼まれたものを即日で納品できる力があることが分かった。しかも、同じことをやっている同業他社はいない。

けれども、木村さんたちは自分たちの強みとして認識していなく、宣伝したこともなかったという。

「じゃあ木村さん、今日から一緒に新サービスをはじめましょうって」

木村さんはOKa-Bizにいるデザインの専門家と一緒になってチラシを作成。「超特急サービス、鋼材切断119番」のコピーをつけた。

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このチラシを過去の取引先にも配布。さらに工業新聞や産業新聞にプレスリリースを出し、木村さんは会社を伝えるブログをはじめた。

「こんなことができたんですか」と、既存の取引先から多くの反響が。以前契約が切れた取引先からも連絡が来たという。

「ご本人が気づいていない真のセールスポイントを活かして、ターゲットや利用シーンを絞る。そしてSNSやパブリシティで発信する。まさに売上のV字回復をお手伝いさせていただきました」

この件で木村さんが使った金額はチラシのプリント代とDMの送付代程度。

「OKa-Bizは知恵を出しながら、お金をできるだけ使わずに、継続的に利益が出るところまでサポートしていくということに取り組んでいるんですね」

ほかにも、薬品の問屋さんが新商品として花屋に売り込んだけれどまったく売れなかった染料キットを、子どもの自由研究に使えるキットに転換。大手教材メーカーからいきなり3万個を受注した。

ブラッシュアップを重ねて新たにつくった「切り花染色実験キット」は東急ハンズの新宿店や博多店で販売されるようになり、Amazonでも科学実験商品ランキング1位を飾ったという。

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「相談を受けるときにいつも意識しているのは、自分もその会社のチームメンバーのつもりでやるということ。そして相談がおわったときに、相談者のモチベーションが来たときよりも上がっているかどうか」

秋元さんがOKa-Bizの2年間で受けた相談件数は約1000件。自動車の部品メーカーや農家、新しくネイルサロンをはじめるママさんやNPOなど、とても幅広い。

大手コンサル会社の案件とは違い、相手のほとんどは小規模の会社。「人もない・お金もない・余裕もない」相手に確立した手法はなく、税理士や中小企業診断士のような資格があればできるものでもない。

必要なのは「コミュニケーション能力」「ビジネスセンス」「情熱」の3つだと、秋元さんは話す。

「どんなにいいアドバイスをしても、やるのはご本人ですから。ティーチングよりコーチング。目の前の人にリスペクトを持って、相手の意欲を引き出すコミュニケーションが大事です」

「ビジネスセンスは、世の中でどういうものが売れているのかとか、トレンドに対してアンテナが高いということ。と同時に、ただ情報を持っているだけじゃなくて、自分なりに調べたり考えたりして知識にできる。それが知恵になる。『情報→知識→知恵』をぐるぐる回せる人はビジネスセンスが高いですよ」

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「コミュニケーション能力」と「ビジネスセンス」、そして最後に必要なのは「情熱」。

秋元さんがOKa-BizやSeki-Bizに本気なのは「地域を元気にしたい」という想いがあるからだという。

「中山間地は問題が深刻で分かりやすいがゆえに、みんなが注目して飛び込んでいく。けれども強い地方都市がいないと、中山間地は成り立たないと思うんです。一見地味で、でも規模の大きい地方都市を変えていくことが、地方創生のど真ん中だと」

「どんなまちにでも通用する地域おこしのモデルっていうのは、〇〇-Bizで間違いないと思う。従来の日本の中小企業支援に一石を投じて、地域の経済や産業そのものを変えていく。これが広まれば、日本はよくなる」

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地域によって相談者の層は変わったりするけれど、「売上アップへの具体的な提案」をテーマにしたOKa-BizやSeki-Bizの取り組みに地域差は生まれない。

つまり、Seki-Bizで全国に通用する力が身についていく。

「2年間で1000件の中小企業の相談を受けられるのってやばくないですか。ドラゴンボールでいうと、精神と時の部屋に入っているみたいな。成果を出すのが楽しいだけじゃなく、トレーニングとしても自分自身の幅が広がっていくんです」

Seki-Bizを立ち上げてすぐはf-Bizの小出さんとOKa-Bizの秋元さんのサポートを受けながら、相談の受け方や施設運営の方法を学んでいける。

「でも、〇〇-Bizはまだ体系化されていないんです。Seki-Bizの方も僕らと同じフロントランナーとして、一緒につくっていけたらと思うんです」

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2014年から国の中小企業庁が「よろず支援拠点」という事業をはじめました。これは各都道府県にひとつ、f-BizやOKa-Bizをモデルにした産業支援拠点をつくろうというもの。

また「〇〇-Biz」も、これから全国展開していきます。来年には、北海道・静岡・広島・宮崎・長崎のそれぞれの地域で動きはじめるそうです。

新しい中小企業支援をできる人材が、全国各地で求められています。

日本の基盤ともいえる中小企業の可能性を引き出す、これまでになかった新しい仕事。

岐阜県関市ではじめる方をお待ちしています。

(2015/12/3 森田曜光)