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モノを所有することへの姿勢が変わり、みんなでシェア(共有)する社会へ。そんな時代には、これまでのビジネスが大きく変わっていきます。2015年に創業65年を迎えた寺田倉庫も、新しい業態へチャレンジしている会社。
今回の募集は、ファッションやアートといった分野で次々とWebサービスを立ちあげる「未来のCTO(チーフ・テクノロジー・オーガナイザー:最高技術責任者)」の候補者です。
天王洲は、倉庫街がおもしろい。久しぶりに訪れると、その発展ぶりに驚いてしまった。
以前からあった水辺のブルワリーレストランは健在で、そのほかにもカフェやケーキショップ、画材ショップやアートギャラリーまでが立ちならんでいる。この一帯を中心的な存在で変えているのが、寺田倉庫だ。

創業は戦後まもない1950年。政府が買い上げた米を保管する倉庫として、この地に創業した。
倉庫業とは、どういった業態なんだろう。漠然と海運や空輸で運ばれてきた品物をストックして管理する物流業というイメージがある。
新規事業「minikura(ミニクラ)」を担当する執行役員が、月森正憲さんだ。
「いまでは想像つきませんが、入社してしばらくの仕事ではフォークリフトに乗って、重い貨物を運んでいました」

業界では中堅の寺田倉庫は、大量の受注や価格競争で大手と戦うのにも限界があった。
「業態を転換していくという話は、入社試験の面接でもありました。自分たちでコンシューマーに向けた新しいビジネスを立ちあげたい想いは、以前から強かったのです」
そもそも、月森さんが倉庫業を志望した理由とは。
「就活で、最初は旅行会社を志望していました。異空間や異文化に憧れがあったんですね。でもなかなか内定がもらえなくて、発想を切りかえました。ものを運ぶことで海外とネットワークをつなげる、それも異文化とのコミュニケーション方法だなと」
倉庫会社2社に内定をもらったうち、寺田倉庫を選んだ。
「いろんな展開や計画を浴びるように聞いたんです。天王洲をこういう風景に変えたいだとか、ただ単にものをお預かりするだけじゃなく、これからの倉庫会社はデータまで扱うだとか」

「ものを管理するだけでなく、空間やそこに集う人の生活や文化まで変えようとしている会社だったとわかった。だからここで働こうと決めたんです」
変化したビジネスの1つに、寺田倉庫がアナログの時代から取り組んでいたメディアセンター業務がある。
これはテレビ局や映画会社などの記録フィルムを保管するサービス。夜中にすぐ取り出したいという需要も多く、預けたものの内容をすぐに確認できるよう工夫した。
情報にタグを付けるようなこうした手法やモノにまつわる周辺サービスの拡充が、のちに富裕層に向けたワインやアート作品の保管ビジネスへとつながっていったようだ。

おりしも、他社に先がけて考案したコンシューマー向けの「トランクルーム」が、全国で供給過剰になりはじめた時期。保管だけではない、新しいトランクルームのあり方を探る必要があった。
1年間の事業調査をへてスタートしたのが、minikuraだった。
ここからは、minikuraチームリーダーの柴田可那子さんに解説してもらう。
「シンプルでわかりやすいのがminikura。場所や時間にしばられず、Webを通じてだれでも気軽に倉庫が持てるサービスなんですよ」

そうした「保管プラスアルファ」の価値を、より多くのユーザーに、手軽に使ってもらえるサービスとして生まれたのが、minikuraだ。
minikuraに申し込むと、専用のボックスが自宅に届く。そこに預けたい品物を入れて、宅配便がピックアップ。箱ごと倉庫に保管してくれる。
コースは2種類。箱を開封して30点までのアイテムを撮影してデータ管理してくれるサービスは、1箱あたり月額250円。撮影が不要なら200円だ。

預けられたアイテム数の割合でいうと、1位が衣類、2位が書籍・コミック、3位がフィギュアだという。たしかにオークション向きだと思える並びだ。
「現在お預かりしているのは、1,300万アイテムほどです。3年前のスタート時には撮影アリのコースは1割ほどでしたが、いまは6割のお客様が撮影とデータ管理を希望するようになりました」
しかし、1,300万という数はとほうもない。
急成長を促したのは、サービスの裏側にあるプラットフォーム(仕組み)自体を、他のWebサービス企業に売るというビジネスモデル。当初から考えていたのは、minikura単体のサービスだけではなかったのだ。
現在、minikuraを支えるAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)や倉庫管理のフレームを提供しているパートナー企業は20社ほどあるという。
そのうちの1つが、airCloset(エアークローゼット)。月額6800円の会員制レンタル事業で、プロのスタイリストが選ぶ洋服のコーディネートが宅配便で好きなだけ届けられるサービスだ。

こういったAPIを使った新サービスの企画、PR、マーケティングを担当するのが柴田さんの役割で、今回募集する職種が開発をサポートすることになる。
minikuraチームのスタッフは20名ほど。法務、運用管理といったメンバーに加えて、エンジニアも同じフロアに集まっている。

柴田さんは3年前に寺田倉庫へ転職してきた。前職は大手アパレル企業で現場の店長を5年つとめ、その後は本社のマーケティング部門で3年間すごした。
「出社時間が7時で業務量が多かったほかは、世の中にスピード感を持って影響を与えられる魅力的な職場でした。でも社員の数が多くて、自分のやった仕事の影響がどこまであるのかわからなかったんです」

いまの出社時間のは9時半くらい。10時〜15時のコアタイムフレックス制で、昼食は社員食堂を利用することも多い。
募集職種は “未来のCTO” だ。
「3年では少々難しいと思いますが、minikuraのCTOを名乗っていろんなイベントでスピーチできるくらいの気概がある人だとうれしいですね」
やはりテクノロジーに明るい人材が向いているのだろうか。
「すでにスキルのあるチームでプログラムをガリガリと書けるメンバーは揃っております。どちらかと言えば、そういったメンバーをまとめ、新規サービスや新しい案件をさばけるマネージャータイプに来てほしいです」
柴田さんは大げさではなく、転職で人生が変えられると思っている。
「私がそうでしたから。これまでの仕事で新規事業の営業なんてやったことなかったんですね。でも、そういうモチベーションを探していたと振り返ってみて思います。自分を変えたい、人生を変えたいという人は、飛びこんできてください」
寺田倉庫のビジネスは、目まぐるしく動いている。
この11月中旬に立ちあがったばかりのサービスが「ART STAND」。専門の合弁会社も設立された。

今回の募集と競合するような企業があるとすれば、それはITベンチャーになるのだろうか。ほかにはない魅力について、ふたたび月森さんに聞く。
「私たちがやるのはB to CのWebサービス開発ですから、それは他社と同じです。でも『モノ』にとことんこだわるんですね。写真を撮るにしても、より美しく。梱包して発送するときも、より丁寧に、と心がけています」
創業以来、リアルな品物を扱ってきた会社の伝統と自負が、たとえ新しい時代になっても受け継がれるようだ。
「ただ品物が入ってきて、すぐに出ていくという流通の仕組みは、この会社にあわないだろうと思います。そうではなく、モノが持っている付加価値をうまくサービスにつなげていきたいです」

「私たちはminikuraの仕組みを使って、トップランナーになりたいと本気で考えているんですよ。新しい事業やサービスを実現させるのは、ハッキリ言って本当に大変なことの連続です。でも、そこに携われるワクワク感を感じてもらえると思います」
海外とつながりたい志向の人も大歓迎だという。
「日本や世界におけるWebサービスのトップランナーになれる可能性がある環境です。ぜひチームの一員にジョインしてください」

これは経験の少ない人へのチャンスだと思います。
今回の募集は、IT企業ではないのが逆にいいと感じました。周りに埋もれず、頑張ったら頭角を現していける。
努力したぶんが報われる職場だという予感がします。
(2015/12/25 神吉弘邦)