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Whyに挑む

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ひとつの建物が建つまでの過程には、たくさんの人たちが関わっている。設計士や大工はもちろん各種職人、営業担当、不動産屋、銀行、司法書士、保険屋なども。

様々な分野のプロが集まることでできることはあるけれど、みんなの立場はそれぞれ。建物のことを建築家は「作品」と言ったり、不動産屋は「商品」として捉えていたりして、同じ目標にはなかなか向けなかったりする。

本当にお客さんが求めることに応えたり、いい建物を自由につくるためにはどうしたらいいのだろう?

ティンバーテックは業界の常識にとらわれず、一つひとつの疑問に挑み続けてきた会社です。

timbertech01 今回はティンバーテックが、設計及び監理業務と現場監督をそれぞれメインに据えて担当する人を募集します。

住宅建築のほかにも不動産投資や相続対策まで対応する会社なので、たとえ設計担当でも建物にまつわる様々な仕事に携わることになります。

正社員として働くのはもちろん、仕事の一部を業務委託で働きたいという方、アルバイトやインターンとして学びたいという方も、ぜひ続けて読んでみてください。

 
神奈川・横浜。小田急線鶴川駅から歩いて20分ほど。少し切り立った丘にたくさんの住宅が建ち並んでいる。

その奥のほうにある建物は、アメリカの飲食店のようで敷地は工事現場のような、なんだか不思議な場所。

timbertech02 ここがティンバーテックのオフィスなのだろうか。しばらくあたりをうろうろしていると、2階のバルコニーから代表の丸茂さんが声をかけてくれた。

中へ通されると待っていたのは、誰かの家にあがったときのようなアットホームな雰囲気の空間。

打ち合わせや会議に使ったり、お客さんやスタッフの家族を呼んでパーティーをすることもあるそうだ。

スタッフは全員で7名。長く勤める人がほとんどで、仲のいい職場だそう。

timbertech03 いい部屋だなあと眺めていると、「ここは僕が建てたんですよ」と丸茂さん。

「これまで何軒も建てていて。近くにある僕の家も自分で」

自分で建てた?

「そう。僕が墨出しして、リフォームしたときも柱がいらないからって1本抜いたりして。みんなこの部屋を見て『かっこいいですね』って言うけど、こんな適当につくった物件はほかにないですよ。図面なんかないんだから」

timbertech04 資産運用や相続対策もするコンサルティング会社の社長が、自ら墨出しをして建物を建てるって面白い。

「不動産投資のことで講演に呼ばれたりするんですけど、聞く人は結構面白いらしいですよ。僕は建築家でもあるけれど、大工でもある。ある人は『金融大工』って言うし」

そんな丸茂さんの人生を辿ると、大学時代は不真面目に経営学を学びながら、部活動ではアメフトに打ち込んでいたそう。卒業後は大手電気メーカーに就職。営業を担当していた。

「今とは全然関係のない電車の電気機器とかを売っていましたよ。だけど、お客さんの『壊れないの?』って質問に、自分でつくっていないからわ分からないやって思ってしまって。自分でつくったものを、自分で販売したいと思ってたんです」

「そこで何しようか考えていたときに、たまたま父親が実家の山梨の土地にログハウスを建てようかという話が出てきて。僕が施主代行になって建てたんです。それから、家を建てるのって楽しいなって」

その後、ログハウスをつくった会社に転職して、大工仕事を手伝うように。とはいえ、社会人経験といえば営業の仕事の経験しかなく、特別な技術があるわけでもなかった。

「でも8時間働いても全然つらくなかったんですよ」と丸茂さん。

「学生時代の練習がめちゃくちゃキツかったから、雨が降ったり炎天下のなか体を動かすだけでお金がもらえるんだって、そもそも発想がみんなと違っていて(笑)」

「で、あるとき気づいたんです。『なんだ、建築ってある程度の知識さえ身につければ自分にもできるんだ』って。重要なのは建物を組み上げていく順番だったり、職人さんとのコミュニケーションの仕方なんです」

その後、大工仕事の手伝いをしながら個人でも本格的な仕事を請けるように。

1999年にはティンバーテックを立ち上げ、巨大な無垢材を使用するティンバーフレーム工法を行なっていた。

timbertech05 「最初は、建築全体を請け負う仕事は分からないから、ティンバフレーム工法で組み立てだけやればいいやって思っていたんです。けど、お客さんの要望を聞いていると、『どうして?』って思うことがいっぱい出てくるんです」

たとえば「ロフトをつくりたい」というお客さんから依頼があったときのこと。

全体のプランにまで関わってみると、お客さんは南側にリビングを置くことにこだわっていたそう。

「どうして南側にこだわるのか聞いても『いや、普通は南側でしょ』って。南側信仰が日本だけなのって知っています?建築基準法の制限を考えると、北側リビングにしたほうがロフトの空間がたくさんとれたりするんですよ。不動産投資的な意味で考えればですけどね」

もっといえば、北側道路を選ぶといいそう。北側斜線が道路斜線と一緒になるため、より大きい家が建つという。

不動産屋的な視点を持つことで、同じ土地でもできることが大きく変わってくる。

「一般的な設計士がやることって建物の一部でしかないんですよ。建物の要素って不動産もあるし、金融もあるし、現場もある。すべてが分かってないと実はできないんです」

timbertech06 住宅施工に携わるうちに、不動産や金融についてもっと詳しくなろうと思い、自分の家を自分で建ててみることに。

一筋縄では行きそうもない土地で挑戦し、ローンの仕組みから法律のことまで、当事者として経験し学んだ。

その後も依頼があるたびに分からないことがあれば勉強を重ねて、お客さまの要望にできる限り応えていった。

すると口コミで評判が広がり、お客さんからは継続して依頼をもらえるように。

「家を買おうと思っているけれど、丸茂さんに税務的なことも含めて相談したい」

そんな家を建てる以前の話が舞い込んでくるようになったという。

住宅建築には、施主の家族間のトラブルが付きもの。そんなときは丸茂さんが施主の家族会議に参加して、相続問題などの解決方法を考えたりすることもあるという。

「みなさん、相続は弁護士や税理士に頼めばいいと思っているんですよね。たしかにお金の処理はできるけれど、どういう形が依頼人にとって最も得なやり方か、教えてくれない」

「建築が相続問題を解決することも多くて、そのためにはどんな建物を建てて、いくらのキャッシュフローを生み出せて、誰の名義で借入したほうが得なのか。本来はそういったことを知った上で、建築計画をしていかなければならないんです」

たしかに、誰に聞けば答えを教えてくれるのか、まったく想像できない。

「誰も分からないですよ。だってこういう分野をきちんと明解に答えてくれる人って、なかなかいないんです」

Exif_JPEG_PICTURE 「家を買いたい」という相談に乗っても、施主側でトラブルが解決しなかったり、どうしてもローンが組めなくなったりして、途中で打ち切りになってしまうケースは少なくないという。

相談に乗るのはお客さまのためになると思うけれど、時間もコストもかかるし、相続問題だって骨が折れそう。

「そんなことないですよ。契約を結んで設計までしたのに、いろんな揉め事があって終わりになってしまうのを経験した人はいると思うんですよね」

「具体的に家を建てたいという依頼でも、あとで起こりそうな問題を事前につぶして、建てられるところまで持っていってから設計をスタートするんです。そのほうがムダがないし、お客さんからは信頼していただけるんです」

timbertech08 営業、設計、施工、不動産、金融、法律など、建物を建てるために必要なことをすべて身に付けてきた。

それも業界に身を置くのではなく、実戦経験で。いい意味で素人だったから、その業界の一般常識に常に疑問を抱くことができ、うまいやり方を編み出していった。

「常識破りっていうか、僕からすればみんなのほうが常識ない。だから、デザインを重視しすぎて利回りの悪い建物ができたりするし、借入の仕方を間違えて予定通りに家が建てられないなんてことが起きてしまうんですよ」

 
すべてができるというのは、単に総合的なサービスを提供できるということではない。

不動産の知識が設計に活かされたり、営業の経験が現場で役立ったりする。

次にお話を聞いたのが、設計担当の平林さん。彼女も施工現場や不動産など、あらゆる観点から設計できるように少しずつ変わりはじめているという。

timbertech09 「自分たちでつくったほうが安いじゃんって、オフィスの下の工房で家具をつくったりもするんです。そういうのひとつとっても、現場を経験するからどうしたら安くできるのかが分かるし、搬入計画まで考えたデザインができる」

「無駄なく本当に必要な機能を満たした建物をつくりたいです。でも、せっかくつくるならかっこいいものを。そのちょうどいい独自のラインがティンバーテックにはあるのかなって思います」

早稲田大学で建築を学んだあと、店舗の設計施工を行なう会社で内装設計を担当。3年半の勤務を経て、丸茂さんのもとへやってきた。

「前の会社で一番モヤモヤしていたのは、結局コスト管理を自分でできないから、これくらいかかるかなっていうのは本当に想像でしかなくて。オーバースペックになったりして、そのうちに予算の都合でどんどん削られていって。結局できあがったものは、最初にイメージしていたものとだいぶ変わっちゃったりしたんです」

「ティンバーテックに入って、自分で設計した物件を自分で発注して、施工監理まですべてやった経験が一番大きな糧になっていて。今でもその形で建物をつくっていくのが一番ムダなく、やりがいがあって、理想だと思っています」

そう話す平林さんは、はじめはティンバーテックのやり方にかなり戸惑ったという。

なかには図面を描かずにスタートする案件もあるとか。書類提出のためだけに、図面は後づけになることもあるという。

やる仕事もドアのヒンジ調整ひとつの依頼から、土地の開発まで大小さまざま。まちの工務店でもあり、不動産屋でもデベロッパーでもある。

本質を突くティンバーテックの仕事に、お客さまからは何年経ってもよろこびの声が届くという。働く人も、ほかの会社にはない経験が積める。

ふたたび、丸茂さん。

「疑問があってこその、この会社だと思うんです。図面だけで表現することに限界を感じている設計士の人。間に挟まれて身動きも取れない仕事に嫌気がさしている現場監督の人。疑問を持っていたり、悩んでいる人がいるはずなんですよ」

「設計から施工まで、もっといえば不動産投資や税務対策まで、ぜんぶを経験したいという人に来ていただきたいと思っています」

timbertech10 この会社では、希望すれば本当にすべてに携わることができると思う。ただ、どんなにやりたいことや、経験があったとしても、まずはここでのやり方を受け入れることが大切。

「一度は仕事を全否定されないと先に進めないですよ。平林だって何回も泣いていますからね。まずは受け入れて、1〜2年くらい経ってやっと『あ、そっか』って思うようになる。そこからは成長が早いです」

仕事に対しての疑問や違和感を、いまだ解決できずに抱き続けている方。

ティンバーテックで思いっきり挑戦してみませんか?

(2015/12/15 森田曜光)