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街を歩いていると、耳慣れない言葉が聞こえてくる。振り返ると大きなリュックやスーツケース。そんな光景を目にした人もいると思います。
ここ数年、多くの外国人旅行者が日本を訪れています。
諸外国の上向きな経済状況はもちろん、2020年の東京オリンピックへ向けた国のインバウンドへの取り組みもひとつの要因といわれています。
そんな中、不足しているのは旅行者の宿泊するホテル。
エイムズ株式会社は、その需要に応え、自社でリノベーションした賃貸物件を旅行者のショートステイの場として提供していく会社です。
さらに、泊まってもらうだけでなく、旅行者に日本の文化や原風景も体感してもらえるような観光も考えているところ。
今回は、営業から設計、施工管理までトータルにリノベーションに携わる人と、それをかたちにしていく大工、日本を案内するツーリズムに携わる人を募集します。どの職種も未経験からでもよいそうです。
11月にできたばかりの、あたらしい会社。お会いしたみなさんからは、これから大きな波に乗ろうという気概が感じられました。
一緒に挑戦してみたいという方へ、ぜひおすすめしたい仕事です。
東京都渋谷駅。スクランブル交差点を写す外国人を横目に、道玄坂を登っていく。エイムズのオフィスは、交番の手前、坂を登ったところにあるマンションの一室。
扉の前に、”SHIBUYA Tourist Office”とかかれたボードを見つける。
呼び鈴を鳴らすと、迎えてくれたのは取締役の岡田さんです。
この日お会いしたのは、岡田さんのほかに、左から代表取締役の松島さんと共同代表の板坂さん。
実はエイムズの立ち上げメンバーのほとんどは、前は同じリノベーション会社に勤めていた方たち。
「ぼくがリノベーションをはじめたのは、もともと日本の空き家問題を解決したかったからなんです。日本は人口が減り始めていて、空き家も増えている。空き家が増えると治安が悪くなったり、『家』という資産が活用されず、その土地の元気がなくなってしまうんですね」
そう話すのは、松島さん。商社やコンサルの仕事を経て、前職のリノベーション会社の立ち上げから手伝い、4年ほど働いた。
「以前の会社では、空き賃貸物件をリノベーションすることでバリューアップし、再度賃貸物件として入居者探しをしていました。それもひとつの解決方法だと思うんですけど、一方で賃貸物件というのは法律上ほかの用途、たとえばオフィスなどに使い道を変えることは難しいんです」
空間の価値を高めても、多くは賃貸でしか使ってもらうことができない。
一方で、賃貸物件は家を持たない40代くらいまでの方がターゲット。日本は人口が減っていて、これから賃貸のニーズも減っていくことが考えられた。
「なにかあたらしい用途がないか考えたとき、インバウンドのホテルのニーズが増えていました」
「旅行者が入れ替わりに住めば、日本の仮想人口としてカウントできる。ショートステイの場として提供することで、空き家問題も解消できるし、日本経済も潤っていくんじゃないかと思ったんです」
そんなアイディアを持っていた4人のメンバーが集まり、今年の11月にエイムズを立ち上げる。いまでは8名の方が働いています。
「ただ泊まってもらうだけじゃなく、付加価値としてきちんとツーリズムを提供できたらより面白くなるんじゃないかなと思ったんです」
付加価値としてのツーリズム。
「日本にくる外国人の方がなにを求めているかというと、渋谷のような今の日本のポップカルチャーもそうだと思います。けれど、それって2日目には飽きるじゃないですか。着物を着たり、落語を見たり、地方に行ったり。日本には魅力的な風土や伝統があります」
すると、聞いていた板坂さんがこんな話をしてくれた。
「僕は60カ国旅をしてきました。旅慣れてくると、ガイドブックに載ってないようなその国そのものが見たいとか、文化が知りたくなる。そう思ったとき、日本ほど観光資源のある国ってないんですよ」
たしかに、日本は文化も風土も独特だし、治安もいい。
どうして他国ほど旅行客が増えなかったんでしょう?
「情報インフラや為替、ビザ等の問題があります。ですが今、国としても門戸を開き始めている。マーケット的にはチャンスがあるんです。僕たちは『泊まる場所』という接点から日本の情報を発信したり、地方に送客していくことを考えています」
今回募集する1つ目の仕事は、このツーリズムに携わる人。
担当している岡田さんにも話を伺います。
岡田さんは、コンサル会社に勤めた後、前職のリノベーション会社で働いてきた。観光業は初めてだから、手探りで進めているそう。
「日々外国人の方とお話していると、『日本の自然が見たい』という方もいらっしゃるんですね。そんなときに、たとえば富士山に登って、帰りにガイドブックに載っていないお店へ案内したり、短い時間でもちゃんと日本を知って楽しんでもらえたら」
今、東京から電車と車で2時間くらいの地方の町から「何かできないか」と相談もきている。郷土料理と温泉を活かしたツアーを考えているそう。
岡田さんたちは、こうも考えています。
「純粋に日本の魅力を伝えることで、インバウンドを増やしたい。ツアーなどで過疎化した町に送客できたら、町も潤って整備ができます。すると、旅行客も行きやすくなるから増える… そんないいサイクルができたら」
「日本を潤すことを観光からやっていくんだ、って気持ちでやっています」
外国人旅行者がくるから、英語でのコミュニケーションになる。
どのくらい英語ができるといいのでしょう?
「ぼくは、学校で勉強したくらいです。ゲストをもてなすのが第一なので、人と話すのが好きで明るくコミュニケーションが取れる方であれば大丈夫だと思いますよ。ゆくゆく通訳案内士をとろうと考えている人も大歓迎ですね」
「あたらしい事業をつくっていきたい!という人であれば、経験がなくても一緒に挑戦してほしいです」
それは、リノベーションや大工の仕事も同じだそう。
今回募集する2つ目の職種は、リノベーションに携わる人。
営業、図面製作、施工管理というお仕事です。
「会社が立ち上がったばかりなので、みんないろんなところをやっている感じなんです」
そう話す板坂さんも、もともとは大手製造会社で営業をしてきた方。前職のリノベーション会社でも営業をしていました。
「エイムズには『eims craft』というブランドがあります。キッチンや棚など既製品を使わず、自社の大工さんがつくっているのが特徴です」
エイムズのリノベーションは、素材を活かしたシンプルなデザイン。
「素材には流行り廃りもないですし、時間が経ったとき『味』になります。ひとつひとつ大工が造作するので明確な差別化になりますし、手触りや雰囲気が良いと喜ばれることも多いです。時代に左右されづらいので、空間としても長く価値が保てるんです」
不動産の価値を高めつつ、観光という切り口で広げていく。
そう考えるみなさんのお話しは、聞いていてずれるところがない。おなじキーワードでも、きちんと消化されてその人の言葉になっているように感じる。
よく話をされているのかな。
「そうですね。不動産の営業からリノベーション、運用まで一貫してやっているので、お互いにコミュニケーションをとって連携しながら動かないといけません」と松島さん。
「人数が少ないので、気心の知れるような、素直な人に来てほしいです。やりたいことがあれば、まずやってみるでいいんじゃないかな」
やってみたいことはどんどん試していける。逆に言うと、自分から動けないと難しいかもしれない。
「スタートアップだから整っていない部分もありますし、負荷のかかる時期もあると思います。新しく会社をつくっていくことや、観光的な不動産の広がりを楽しいと思える人がいたら、一緒にやりたいですね」
ここで事務所を後にし、大工さんのいる現場へお邪魔した。
今回募集する3つめの仕事は大工。
ビルの一室、10畳ほどの部屋で作業をしていたのは、大工の片山さんです。
以前は長い間解体工事の仕事をしていて、解体工事の会社も持っていたそう。
正反対だけれど、どうして大工になったんだろう。
「解体は、残らないじゃないですか。何か残したい、つくりたいっていう思いがあって。周りの人はみんなやりたい仕事だったり、趣味の延長線上だったり。そういう人に刺激を受けて、自分のやりたいことやろうと、35歳のとき前のリノベーション会社に入り、大工をしました」
入ってみて覚えることも多かったけど、一生懸命やって5ヶ月で現場を任されるように。その後、松島さんたちと一緒にエイムズを立ち上げます。
ここの仕事の進め方で、特別なところはありますか?
「ふつうの大工は図面通りにつくります。でもうちは、形も決まっていない。自社に大工がいるので、『こうしたらいいんじゃない』と現場からダイレクトに言えるんです」
「毎回毎回どうしたらいいかなって考えながらやるのは、楽しいですね。つくることが好きな人は楽しいと思います」
基本はひとりで一つの現場をつくるけれど、運用のフィードバックや施工でのやりとりなど、コミュニケーションも大事になりそうです。
「板坂さんが大変そうだから、今は資材の発注や工程の管理もしているんです。家に帰ってからも、『どの便器使おう』って考えてたり(笑)いずれは、図面もかけるようになろうと思って」
そう話す片山さんからは、みなさんと同じ方向を見て会社をつくっていこうとする気持ちが伝わってきました。
あたらしいことを始めることは、手探りの状態を楽しむことでもあると思います。
空き家問題から観光を通して日本を元気にする。ここには可能性を感じながら進んでいける環境があると思いました。
(2016/1/8 倉島友香)