求人 NEW

富山出身者ようこそ!

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

ふるさと、と聞いて思い浮かぶ地域はどこですか?

UターンやIターンなど、地域との出会いを支援するNPOが、東京有楽町の駅前にある「ふるさと回帰支援センター」です。

image001 約10年間の活動を経て、この春から、あらたな展開がはじまっています。

全国約30の県出身者の方、あるいは縁があって地域に関わってこられた方が一同に集い、相談窓口を開設するというもの。

今回は、富山県の窓口となる方を募集します。

専門的な知識は問いません。

相談に訪れる方の話を「聴く」ことからはじまる仕事です。

東京・有楽町駅。

この駅前にある東京交通会館5・6階に、ふるさと回帰支援センターのオフィスはあります。

迎えてくれたのは、副事務局長の嵩(かさみ)さん。

image003 ふるさと回帰支援センターがはじまったのは、2002年のこと。

2007〜2009年にかけて、約200万人の団塊の世代層が定年退職を迎える時代。

そうした背景もあり、生まれ育ったふるさとへのUターンや、セカンドライフとしてのいなか暮らしを考えている方を支援する目的で、ふるさと回帰支援センターは立ち上がった。

現在では、東京と大阪にセンターを設けている。

この場所には、全国の会員自治体のUIターンに関する冊子が並び、北は青森県から南は鹿児島県まで、全国27県1市の自治体専属の相談員が常駐。

具体的に地域を決めてUIターンの相談に来る人も、移住を考えはじめたばかりの人などいろいろな人が訪れる。

立ち上げから13年を経て、大きな変わり目を感じているという。

「相談件数が年々急増しています。面談と電話を合わせた相談は、2008年には2,900件。2014年には約13,000件となりました。2015年度は4月から6月までの3か月で既に5,000件を超えており、更なる伸びが見込まれています」

2015年度は月に20回以上、自治体による移住相談セミナーを実施。毎月1,000人以上が、面談やセミナーに訪れるという。

相談に訪れる世代も、変わってきたという。

「50、60代から、30、40代へと移ってきたんですね。20代の姿も目にするようになりましたよ」

5. 話を聞いていてイメージするのは「ここに来れば、日本全国の移住相談ができる」場になっていくこと。

「いまは東京に住んでおり、自分の生まれ育った地域に関わる仕事がしたい。そう思う方に来てほしいですね」

続けて、現在相談員として働く方に話をうかがう。

image005 野呂さんは、昨年6月から青森県の移住相談員として働いています。

出身は、青森県青森市。

働きはじめたきっかけをうかがいます。

「大学進学を機に東京へ。女性の実用書の編集をしてきました。一度青森に帰り、NPOで、廃校を利用した地域活性などの活動をしてきました。東京にも青森にもよさがあることに気づいて。ふたたび東京に来たタイミングで、ふるさと回帰支援センターで働きはじめたんです」

「編集の仕事が好きなんです。ふるさと回帰支援センターでは、今後の課題の一つに情報発信が挙げられていることもあり、経験も活かせるかなと思ったんです」

相談内容は、地域によって異なるそうだ。

たとえば島根県では、地縁のない若者たちがスキルを活かし起業する事例が目立つという。

いっぽう青森県は、Uターンが7、8割を占めている。

「『生まれ育ったから』『親がいるから』。地域のよいところだけでなく、むずかしさも知った上で、Uターンを考える方が多いですね。子どもが生まれたのを機に、生活環境を見直したい30、40代。また20代では、東京にこだわりがなく、タイミングさえ合えば帰りたいという声も聞きます」

「そのため相談内容は、『仕事はありますか?』『しばらく帰っていないけれど、最近どうでしょうか』といったものが多いですね」

image007 野呂さんが働きはじめて約1年間。この間にも、移住に至った方はいるという。

「あるご家族は、青森出身の奥さんが、先に実家へと移り住みました。その後、旦那さんは仕事を見つけたタイミングで移り住んだんです」

「また、地域おこし協力隊として2人がIターンしています。旅行がきっかけで、青森が好きになった方です。移り住みたいけれど、親族もいないということでした」

旅行がきっかけで、移住を考える方は多い。

「旅行だとよい面ばかりが目につきやすいもの。暮らしてわかる、大変なこともあります。特に青森は、Iターンについて自治体も住民もまだ不慣れで、受け入れ態勢の整っていないことが多いんです」

「一通り話をした上で、『暮らしてみたい』ということでした。そこで、地域おこし協力隊の募集を紹介して、移り住んだんです」

移り住んだあとに、連絡を取り合うこともある。

「実際に移住してみて感じる驚きや魅力など、今後の移住者を受け入れる上での参考として、意見を聞かせてもらいました」

相談員にとっては、移住を考える方の相談に乗ることにくわえて、大切な仕事があるという。

それが、県や自治体の受け入れ体制を整えていくこと。

「県としては移住推進に取り組みはじめたものの、各市町村はまだまだ受け入れ態勢が整っていませんでした。いっぽうで、ふるさと回帰支援センターとしては『せっかく相談窓口を設けたのだから、積極的に移住を進めていこう』と考えていた。はじめは、それぞれの足並みが違ったんですね」

ここで野呂さんは、相談員の仕事を農業にたとえた。

「県や自治体の人と一緒に、畑を耕していく。そんな感覚です。ペースの違いを歯がゆく感じたり、『なにが正しいんだろう?』と戸惑うこともありました。けれど、正解があるものではないんです。お互いにコミュニケーションをとり、最後は自分で考えていくことが大切だと気づきました」

「でも、少しずつ動きつつあります」

今夏、青森・秋田・岩手の北東北3県による合同移住セミナーを実施。来場者は100名を超え、青森県からは県を含め7自治体10ブースが参加したという。

野呂さんはいま、相談員として越えたい壁があるという。

「移住に関する情報は、インターネット上で色々手に入ります。そうした中で、相談員の役割は何だろうと考えたんです。訪れる人が言葉にはできていない、けれどほんとうに求めていることを引き出し、『こういうこと?』って差し出すことだと思います」

ここで野呂さんから、「引き出し上手」と紹介を受けたのが倉田さん。

フライトアテンダントの仕事に就いてきた方。出身である山梨県の相談員となり、今年6月で2年を迎えた。

image009 「“向き合う”よりも“寄り添う”といったほうがしっくりくると思います。目の前の方の『こうしたい』という気持ちに添っていくんです」

「技術やノウハウではないんですよ。その方に興味を持つこと。話を自分のこととして心を傾けると、気持ちが見えてくることがあるんです」

山梨県では、どんな相談が多いのでしょう。

「東京から近いこともあり、自ら足を運び『ここに住みたい!』というイメージまで明確に持つ方が少なくないんです。あとは、移住をどう実現していくか」

「ここで相談して、次のステップへ進み、迷ってふたたび訪れる。くり返すうちに、その方が地域になじみ、踏み出せるようになります。移住後に連絡をもらうこともありますよ。この間は、60代の方から『ケーブルTVの申込がわからない』と相談を受けて(笑)。でも、わたしはそういうのも平気で応えちゃうんです」

そんな倉田さんも、働きはじめた当初は戸惑いの連続だったそうだ。

「山梨は人気の移住先なんです。配属初日、センターのオープン前から相談の列ができていて。相談は押し寄せてくるけれど、こちらに提供できる情報はない。そんな状態でした」

「だから、まずは話を聴くことにしたんです。その場でこたえられない相談は、いったん預かることにしました。あとから自治体の担当者に相談してお返しします」

image011 これから働く方も、まずは聴くことからはじまるという。

「誰かに話すことで、自分の頭が整理された経験はありませんか?相談員の役割は、訪れた方の半歩先を歩きながら、話を聞くことです。移住したあとも戸惑ったり、うまくいかないことはきっとたくさんあるんです。だからこそ、その方が自分で決めることが、大切なんです」

半歩先を歩くには、生の情報が欠かせないという。一定の期間を経たのちは、地域への研修なども検討しているという。

「地元新聞やWEBはもちろんのこと。各自治体の担当者や地域の元気な方々とつながることで、聞き出せる情報があります。相談員の仕事は、聴くことにくわえて、自ら情報を取りにいくこともあります。そのことを実感しはじめると、楽しいですよ」

いっぽうで、心がけているのが適切な距離をとること。

「移住相談は、訪れた方の人生や家族にも関わることです。人生相談とは分けられない部分がどうしてもあります。20代から60代まで幅広い方々の相談を、一日に数組聞くことも。聞きつかれる日だってありますよ」

けっして楽ではないし、心身ともにエネルギーを使う仕事だと思う。

それでも、この仕事を続けたくなる魅力があるようです。

2008年から、相談員として働くのが宗像(むなかた)さん。

image013 この日は、出張の合間に訪れた自治体の担当者から、移住希望者の相談、メディアの取材対応まで。ひっきりなしに来客が続いていました。

宗像さんが見せてくれたのは、移住した方たちからの年賀状や手紙。

「『元気でやっています』と手紙や野菜をもらうこともあるんです。そういう報告はすごく嬉しいですね。移住された方たちと地域の方たちをつなぐ、そんな仕事なんです」

image015 今後のふるさと回帰支援センターを見据えて、伝えておきたいことがあるという。

「いいアイデアはシェアして、みんなで日本全国をよくしていく。お互いに話し合い、相談員同士の連携が大切になると思います」

「まずはこの場を訪れてくれた方を、気持ちよく迎え入れること。そうした場を育てることからはじまると思います。みんなで、つくっていきましょう」

(2016/01/27 大越元)