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人を活かす人になる

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「まちおこしや地域活性化は、思い入れや愛着だけでは解決しないんですよね。経済の連関を考えたときに、やっぱり地方都市のなかでも一定の規模のある中核市がどう元気になれるかが大きなポイントだと思っていて」

「すでにある産業のなかには、技術やポテンシャルがあるのに、必ずしも活きていない、光り輝いていないものもある。そこにどう光を当てて活かすのかっていうことが、一番成果につながることだと思っています」

これはOKa-Bizセンター長の秋元さんの言葉です。

愛知県岡崎市。

このまちで中小企業支援の拠点となっているのが、岡崎ビジネスサポートセンター「OKa-Biz」です。

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2013年、静岡県の富士市産業支援センター「f-Biz」をモデルに、行政主導の中小企業相談所として開設しました。

立ち上げ当初は月あたり50件の相談を目標にしていたものの、口コミを中心に評判が広がり、現在は月に250件弱の相談に対応、それでも1ヶ月半ほどの予約待ちになるほどの人気だといいます。

そんなOKa-Bizが今回、企画広報コーディネーターを募集します。

もし岡崎市にゆかりがなかったとしても、まちおこしや地域活性化に興味がある方にはぜひ知っておいてほしい仕事です。

これからの日本の中小企業のあり方、さらに社会のあり方まで変えていく可能性がここにはあるかもしれません。

東京から東海道新幹線に乗り、名古屋で乗り換えて名鉄東岡崎駅へ。

そこから15分ほど歩くと見えてくるのが図書館交流プラザ・りぶら。その一角に、OKa-Bizのオフィスがある。

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まずはじめにお話を伺ったのが、岡崎市役所の経済振興部長である宮本さん。

舞台となる岡崎市について教えてくれた。

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「これまで岡崎市を支えてきたのはモノづくり産業でした。三菱自動車工業をはじめとする自動車関連製造業、あとは花崗石の3大産地としても有名ですね。それから繊維産業。ガラ紡と呼ばれる紡績機を使ったのがはじまりだそうです」

「2016年で市制100周年を迎えます。徳川家康公生誕の地でもあり、2015年はその没後400年。市としては、このタイミングで観光産業を岡崎の経済を支える新たな柱のひとつにしようと取り組んでいます」

岡崎市内の田園地帯で生まれ育った宮本さん。まちの中心地に大型商業施設が立ち並び、エスカレーターにも並ぶ列ができるような時代を見てきた一方で、中小事業者の厳しい現実も目の当たりにしてきたという。

「八百屋さんや自転車屋さん、眼鏡屋さんに金物屋さん。今ではずいぶん店舗数が減っています。身近な自営業者もみなさん経営に苦しんでいたようで、半分以上は廃業してしまいました」

「現実を目の当たりにしたおかげで、そういう事業者さんを少しでも応援できないかと思うようになりましたね」

しかし、補助金の交付やセミナーの開催などに取り組んだものの、あまり効果は得られず。リーマンショックなども追いうちとなり、頭を悩ませていたところに、新たな経済振興策としてf-Bizをモデルにした中小企業相談所OKa-Biz立ち上げの話が持ち上がった。

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実際に2年ほどやってきて、ここまで支持されている理由はどこにあるのでしょうか。

「OKa-Bizのひとつのミッションは、話を聴くことなんです。よーく耳を傾けて、相談者が気づいていない、相談者自身のいいところを見つけるということ」

相談者自身の気づけていない、いいところ。

「私は現場で相談を受けるというより、報告書という形で見ることが大半なんですが、いつも目から鱗ですよ。よくこんなところに気がついたな、と」

「相談員の引き出しの多さや聴く姿勢、ビジネスセンスなんかがなければ見つけられませんから、現場のスタッフには感謝しています。そういった質の高さが、結果的に人気やリピート率につながっていると思いますね」

続いてお話を伺ったのは、OKa-Bizセンター長の秋元さん。

自ら相談員として現場に入り、これまでの2年間で1000件以上の相談に乗ってきた方だ。

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OKa-Bizにはいくつかの特徴的なポイントがあるそう。

「まず特徴のひとつとして、若いんですね。これまでは産業支援機関の相談員になるために経験と資格が必要とされてきましたが、ここでは必ずしも問われません。それ以上に、情熱とコミットメントを大事にしてきました」

「ふたつめは、多様な人と連携しながら柔軟に進めてきていること。市と商工会議所が推進している地方の相談所にもかかわらず、Yahoo!ショッピングや楽天、クラウドソーシングのランサーズやクラウドファンディングのFAAVOなどといった民間事業者ともしばしば提携をして、一緒にサービスを紹介したり、彼らのノウハウを活かしたサポートも行っています」

これまでの常識や慣習に縛られずにやってきたんですね。

「理由は大変シンプルで、そのほうが相談者のためになるからですよ。ぼくらの感覚からするとふつうなんですけど、行政のなかでは割と珍しいようで」

ネクタイやスーツを基本的に着ないのも、図書館の一角に相談所があるのも、気軽に相談にきてもらいたいから。すべて、ふつうに考えた結果だという。

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「決算書を見ながら課題点や問題点を指摘したところで、売上はあがりません。1時間じっくりとお話を聴かせていただいて、本人たちの気づいていない、いいところを一緒に見つけ、結果が出るまで継続的にサポートする。それがぼくたちの基本的なスタンスです」

相談者自身にとっては当たり前のことでも、はたから見たら強みとして活かせることが必ずあるはず。

それを一緒に見つけたら、単なる思いつきではなく、押さえのある具体的な提案として話すように心がけているそうだ。

たとえば、小野玉川堂という老舗和菓子屋さんの話。

昔からリピートしてくれるお客さんは多いものの、ひいきにしてくれていた人たちも高齢になり、だんだんと店舗まで足を運べなくなってきたという。

「でも一度買っていった人が離れないっていうことは、味はきっと美味しいんだなって、そのとき思うわけです」

「さらに聴くと、どうやらあんこを薪で炊いているらしい。そんな手間をかけているのだから、当然材料にもこだわっているだろうと類推できますよね」

そこで、 “どうやって知ってもらうか”が勝負だと考えた秋元さん。当時SNSを賑わせていた猫ネタに絡めて、肉球をかたどった「肉球羽二重餅」というコンセプトの商品を提案した。

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「完成後、犬猫ファンが集うWeb媒体を中心にプレスリリースをしたんです。そうしたら、こうなりました」

見せてくれたパソコンの検索結果画面には、さまざまなメディアやキュレーションサイトの名前がずらっと並んでいる。

こうして一気に広まった情報をもとに問い合わせが殺到し、徹夜してつくった150セットは翌日10時半には完売したという。

その後も、徳川家康公没後400年に合わせて、江戸時代のレシピを忠実に再現してつくった「400年饅頭」を発売。再び全国放送のテレビや地元の観光パンフレットなどに取り上げられることとなった。

「これをきっかけに『へえ、こんな面白い和菓子屋さんがあるんだ。お、こういう羊羹もある。じゃあこれもひとつもらおうか』ってなる人も、当然いますよね。課題だった若い層の来客も増え、今では全体の2割ほどが若いお客さんだそうです」

「使ったお金は?ゼロですよね。お金をかけずに、知恵を使って流れを変えていくんです」

今回募集する企画広報コーディネーターは、こうした相談員の活動をサポートする立場になるそう。

「たとえば新商品を売りたいという相談を受けたときに、これって本当に世のなかにないのかな?っていうリサーチをお願いしたり。背景として女性の外食に対するニーズが上がってきているという押さえになるデータを、ばーっとリサーチしてもらうようなこともあります」

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それ以外にも、相談者との予定調整やOKa-Bizそのものの情報発信、セミナーの企画運営など、仕事の幅は広い。

「バックオフィスの事務員ではなく、個別の経営相談をするチームの一員であるという意識を持てる人にきてもらいたいですね」

「OKa-Bizで勤務いただくということは、目の前の中小事業者をどうエンパワーメントするかであり、岡崎市をどう元気にするかであり、同時に日本の地域活性化のあり方そのものを変えるっていうことでもある。日本には2000ヶ所以上の産業支援機関がありますが、そのトップランナー、日本代表になりたい。ぼくは少なくともそこまでやりたいと思っています」

現在、唯一の企画広報コーディネーターとして働く堀部さん。

仕事内容について伺うと、「相談以外のことは全部やってます(笑)」と笑顔で答えてくれた。

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「リサーチもしますし、ブログなどSNSツールの使い方をアドバイスするために、補助で相談に入ることもあります。予約調整など日々の相談者とのやりとり、関係機関との調整やOKa-Biz自身の広報、セミナーの企画運営なども講師調整からチラシづくり、集客まで担当していますね」

内に外に、これだけ幅広い業務をひとりでこなしているというから驚きだ。

「ずっとトップギアでだーっと走り続けている感じです(笑)。たしかに大変かもしれないですが、業界のトップランナーと直にやりとりをしながら一緒に仕事ができるのは、自分のためにもなるし、楽しいことですよね」

「失敗することも日々たくさんありますけど、次はこうしてやる!ぐらいに楽しめるといいかなと」

連携機関とのやりとりでも、B to CとB to Bの違い、大手とベンチャーとの違い、業種ごとの違いなども見えるから、メールひとつのやりとりにしても、盗めることがあるという。

幅広い経験や知識は身につくかもしれない。けれども、ここに学びにくるというよりも、やはりチームの一員としての意識は忘れてはならないもの。

「自分の役割を見極めて、どんどん活かしていってほしいです。たとえばSNSを活用したPRにぐっと力を入れていただいたり、広報が得意であれば、プレスリリースもいっぱい書いて、記者さんとのやりとりもしてもらいたい」

「どうしても相談業務に注目されがちで、それ以外についてはひとりで感覚的にやっていた部分もあります。これから一緒に分担しながら、企画広報の土台を固めていきたいですね」

取材中、どの相談員の方に伺ってみても、堀部さんが常に全体を見てくれているから、相談だけに集中することができていると話していたのが印象的だった。

相談員と企画広報コーディネーターという役割の違いはあれど、OKa-Bizはひとつのチームなのだと思う。

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このチームを生き生きとさせることが、中小企業を、岡崎を、そして日本を生き生きとさせていく第一歩のような気がします。

(2016/01/06 中川晃輔)