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「こうしよう」のはじめ方

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自分の肩書きにしばられて働くことほど、創造性が失われた働き方はないのかもしれない。

elephant design(エレファントデザイン)株式会社はコミュニケーションツールやソフトウェアプログラムの企画から製作、開発をおこなっている会社。

今回は、ここで働くプロデューサーとデザイナー兼ディレクターの募集です。

どちらも、これまでの経験を応用し、様々な人を巻き込むことと柔軟さが求められます。

クライアントに対しても、一緒に制作する仲間に対しても、同じ目線でひとつのかたちをつくる。

そんな肩書きにしばられない働き方がここにはありました。

 
JR山手線五反田駅の東口へ出ると、左手に特徴的な建物が見えてくる。

e02 一際目立つ建物は東京デザインセンター。ここの5階にelephant designの事務所はあります。
はじめに迎えてくださったのは代表の枡本洋典さん。

e03 「私たちの会社は様々な案件を手がけています。なので『なにをしている会社ですか?』と言われても、一言で説明できないんですよね」

たしかにこれまでの案件を拝見しても、仕事内容は実に幅広い。

ビジュアルだけをつくる案件でなく、映像制作会社やプロダクトデザイン事務所がおこなうような仕事もうかがえる。

「すべての仕事に共通していることは『どうしようを、こうしよう』という考え方です」

「コンセプトデザインやUI、プロダクトデザイン、映像まで手がけますが、一緒に悩みながらひとつの答えを導きだします」

単に依頼されたものをデザインするだけではなく、「どうしよう」から一緒に考える。

ee04 こんな働き方は、創業当時からはじまっていたようです。

「18年前に取締役の西山と創業したのですが、映像やCGを使ったデジタルモックアップなどの仕事からスタートしました」

ただ、お客様から『こういうことできないの?』という相談に対して、できないと言いたくはなかった。

やったことのない依頼であっても、信頼や期待をして相談してくださる方々がいる以上、それに精一杯応えたいし裏切りたくない。

「下手くそでも自分達なりに最大限の答えを出す気持ちを大事にしています。その結果、今みたいに仕事の範囲が広がって。それはelephant designの特徴にもなっていると思っています」
今回の募集も肩書き通りのような仕事内容では収まらないと思います。

「撮影するだけだとか、編集するだけ、デザインだけっていう考え方ではなく、プロデューサーでもデザイナーでも、できることは自ら手を動かすという環境だと思います」

得意・不得意を見極めつつ、柔軟にそれぞれの役割を超えてチームみんなでプロジェクトを進めていく。

 
実際にどんな働き方なのか。プロデューサーとして働いている伊藤さんに話を聞いてみた。

e05 「お客さんとの交渉から、アウトプットを導くまでの一連の流れを構築するところまで、全てをおこなっていますね」

とはいえ、プロデューサーとしては結構特殊な動き方なんだそう。

「営業もしますし、案件の進行管理や調整、予算の管理などもおこないます。すごく複雑な環境でもあります」

この案件は誰がふさわしいのか。どういうふうに進めていくのか。ひとりでディレクターもプロデューサーも兼ねるような仕事になる。

「ただ、自分で行動すればやりたいことを実現できる環境ですので、とても充実しています」

「最近、そんな関わり方をしたプロジェクトは」と言って見せてくれたのはSHARPが開発した『RoBoHoN(ロボホン)』のコンセプトムービー。

「この案件に関しては、シナリオから最終的な映像のアウトプットまですべて企画し製作したんです」

どういうふうにユーザーとRoBoHoNが接していくのか。そこから一緒に考えていく。

「お客さんとインサイトを探り、半年かけて共感できるシーンや使い方を固めていきます。そこから映像制作のフェーズにうつるので、デザイナーの岡本をはじめ、チームで相談しながらいろんなシーンを決めていきました」

モデルさんを決め、ロケ地やシチュエーションまでも決める。そうしてひとつの映像が出来上がります。

e06 話だけ聞くと、意外にもスムーズに事が進むんだなと思いました。

「ただ、ちょうど撮影日に台風が上陸して。しかも、最後に夕日を映す撮影があったんです」

そんなときに出てきた答えは、雨の降る台風をぬって、晴れ間がのぞく場所をみつけて撮影する、というものでした。

「撮影チームのメンバーと立場を超えて言い合える関係だったからこそ、実現できた動き方だったと思っています」

「最終的な決断は私がしますが、最初に台風の合間をぬいませんかと提案してくれたのはカメラマンさんやスタイリストさんだったんです」

クライアントや制作スタッフという垣根をこえて、最高のものをつくるために自発的に提案をしあえる関係はなかなか実現できない。

e07 そういった関係こそ、プロデューサーとしてのやりがいにつながっていると話します。

「スタッフがみんな一丸になって考えられる楽しさがありますし、お客さんもクライアントっていう意識で考えていないんです」

「みんなが同じ目線で一緒になってつくっている感覚ですね」

e08 だからこそ、ときには大変なこともある。

「一歩でも間に入るのが遅いと案件の方向性を見失ってしまうこともあるので、スケジュールやお客さんからの要望に対しての調整などの舵取りは相当意識的におこないます」

一方で、盛り上がっているときにはあえて介入しないことも。その見極めは、経験していくなかで会得していく必要があるのかもしれません。

「しっかりと足場を固めつつ、案件を良い方向にまわすのがいちばん難しいというか、気を遣うところですかね」

「プロデューサーって偉そうに聞こえますが、やることって盛り上げ役だったりするんです。だからこそデザイナーやディレクター、メイクさんなどが働きやすい環境をつくることがなによりも大事なのかな」

そういう関係性の中で、どんな人が向いていると思いますか。

「どんな案件でも楽しめるかどうかですね。自分も楽しんで、スタッフにも楽しんでもらう。あとはどんなに辛くてもどこかに成長要素を見つけられる意識があるかどうかです。経験よりも、その意識を持っているかどうかが重要だと思うんです」

やったことはないけれど、過去の経験を組み合わせればこれができるかも、というように柔軟な発想と自分のスキルを応用して動いてくれる人だといいですね。

「失敗しても、そこから見えてくるものもあると思うので、何事にも興味をもって行動してもらえたらと思います。この仕事には正解のカタチは決まっていないので、自分なりのスタイルを働きながら作り上げていけばいいと思います」

 
デザイナーさんの岡本さんにも話を伺う。

e09 ある会社への転職を決めたあと、空いた期間でelephant designの手伝いをしていた岡本さん。
しかし、さまざまな業務を手伝うなかで、いろんな知識を会得していく自分がいることに気づく。

「外部パートナーと働くことが多いので、自分が今まで知らなかったことや関わらなかった職種と仕事のできる環境がたくさんありました」

仕事内容は多岐に渡るため、悩むことは多い。けれども、大勢のパートナーさんの存在によって支えられてきた。

「案件の状況によって得意なスキルを活かすのはもちろん、足りないスキルを補い合うことも多々あります。経験がないことでも一緒につくりあげていくので、新しいことにもチャレンジができます」

elephant designではお客さんに対して意見することもあるし、お客さんもそれに対してレスポンスをしてくれる。
それは大変なようでいて、やりがいもあるようです。

「コーディングの仕事でも、エンジニアさんがここに来て一緒に作業したりするんです。珍しいくらいコミュニケーションをとりあうので、顔を見て話せる環境は特徴的かもしれません」

実際に顔を会わせて話をするから、気づくことや本音で話しあえる環境が生まれるのかもしれない。

また、いろいろなパートナーとの関わりだけでなく、仕事に広がりがあることにはもう一つ理由があるそう。

「デザイナーといっても、なんでも屋さんになるんです。基本的にはクリエイティブな仕事がベースになりますが、映像のビジュアルも手がければ、そこで使用する小道具をつくることもあります」

e10 イメージ的にはアートディレクターのほうが近いのかもしれません。

「ときには私と伊藤のポジションが入れ替わることもあります。時と場合に応じて臨機応変に対応しているので、慣れるまでは難しいかもしれません。ただ、ひとつの方向性に向かってみんなで動いているので、達成感ややりがいはとても強いと思います」

「ほとんどの案件で、自分たちですべての手配や調整なども行うので責任も感じます。ただ、1からストーリーを考えているからこそ、このロケーションじゃないとダメだよね、もっとこういう演出いれたいねっていうのを自分の目で確認できる良さはあるのかな」

 
最後に再び枡本さん。

「お客さんが迷ったり困った時に「エレファントさん」「◯◯さん」と指名でご相談いただく機会が増えると、これまでやってきたことが蓄積されて次につながっているなと実感しますね」

お客さんとの信頼関係が出来上がっていくことは数値化できない。けれども、実感として得られる風景がそこにはあった。

そんな関係性を築く上で、どういった方が向いているのでしょうか。

「こうしましょうと強引にまとめるのではなくて、それがいいですよねってお客さんと合意しながら自然とまとめちゃうことができる人が来てくれたらいいですね」

「まとめる」ではなくて「まとめちゃう」人。

「あとは担当者の想いや情熱がこもったプロジェクトに私たちが参加させていただくので、請負ではなくて担当者の立場に立って、いろんな手段を一緒に考えていく働き方をしてもらえると楽しめるのかなと思います」

「私たちの仕事は、5年、10年先の未来をお客さんと一緒につくっていく仕事だと思うんです。まだ見ぬイメージを形にする業務や依頼がほとんどなので、ぼくらが提案することによって、その製品やサービスが魅力的に変わっていくことが醍醐味だと思います」

e11 デザインやサービスで、お客さんの「どうしよう」を、「こうしよう」にしていく。

肩書きにも働き方にもしばられない環境と関係があるからこそ、いい仕事ができるんだなと思いました。

(2016/2/1 浦川彰太)