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世界へ羽ばたく

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

約400年もの歴史があるといわれる富山・高岡市の金属工業。

江戸時代初期から鋳物の産地として栄え、いまでも主要産業として様々な金属加工技術が受け継がれています。

そんな高岡にある老舗の鋳造会社がブランドマネージャーを昨年から迎えて、新たなものづくりブランドが誕生しました。

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「NAGAE+(ナガエプリュス)」

高岡の金属加工技術を軸に、日本全国にある伝統技術や最先端技術を融合させてつくる、日本のものづくりのプラットフォームブランドです。

目指すは “世界ブランド” 。

今回はNAGAE+の営業・企画・広報・販売に携わる人を募集します。

求められていることは経験よりも、NAGAE+への共感やものづくりへの興味。まずはアシスタントとしてスタートするそうです。

 

NAGAE+の母体会社である株式会社ナガエは高岡の鋳造をメインとするものづくり総合メーカーです。仏像・節句兜・物干・ガスメーターなど、美術工芸品から工業部品までさまざまな製品をつくっています。

株式会社ナガエプリュスは親会社ナガエと協働しながら、NAGAE+ブランドの企画・販売を行なう、いわば別動部隊。東京・渋谷を拠点にしてブランディングを一任されています。

外苑前駅から歩いて5分ほどのオフィスを訪ねました。

はじめにお会いしたのは、取締役でもありブランドマネージャーでもある鶴本さん。

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お会いするや否や、棚にある製品を手にとって「これ見てください」と鶴本さん。

不思議な形をしたアルミニウムの塊。

聞けば「collinette(コリネット)」というマッサージツールなのだそう。

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「これは鋳造の技術でつくっているんですが、あるハリウッドセレブリティも使ってくださっていて。一般的なツボ押し器はみんな同じ様な形をしていて、肩を押しても力をいれて逆に腕とか手が疲れてしまう。これは気鋭のデザイナーの松山祥樹さんにより人間工学的にデザインされていて、傾けるだけでツボにしっかり入っていくんですよ。ほら、ね?」

たしかに気持ちいい。

たとえば、顎の骨の裏には老廃物が溜まりやすいそうなのだけれど、collinetteの曲線は身体の様々な部分にしっくりと沿うので、老廃物が流れていきやすいのだとか。

「もう私、いま喋りながら自分のマッサージをしているんですが。このマッサージツールの開発にはインターナショナル自然療法セラピストの長谷川和美さんが監修に入ってくださって、あらゆる使用方法を教えていただいたんです。私はもうこれで素晴らしい老後が迎えられる(笑)」

しばらく通販番組を見ているようなマッサージ教室は続き、最後に「おいくらなんですか?」とついつい聞いてしまった。

いろんな人に何度も話しているだろうに、なんでこんなに聞いていて楽しいのだろう。本当にものづくりが大好きな人なんだと思います。

鶴本さんは前職でもものづくりの世界にいた方です。

以前は新潟・燕三条のメーカーがつくる真空チタンカップのブランド「SUSgallery」のマネージング&クリエイティブディレクターとして活躍されていました。

ナガエとの出会いはニューヨークにあったといいます。

6年前にライフスタイルに向けた製品をつくりはじめていたナガエ。海外展開も視野に入れてニューヨークの展示会へ視察に行っていた際に、NY展示会出展2回目の前職の鶴本さんと出会ったそう。

「最初は『いやぁ、海外展開は地獄ですよ』って大げさな比喩で海外展開の苦労話をさせていただいたのが出会いで」

そのときにナガエは地域のリーディングカンパニーとして、世界ブランドをつくることで地域に貢献したい、と考えていた。

さらに自社だけの技術でつくり、自社だけに利益が出るのではなく、もっと広く日本の技術を世界に知ってもらうためのブランドをつくりたいと。

「私は前職では、単一産地において単一素材と自社技術でひとつのブランドを創り、世界ブランドを目指して努力し続けてきました。でも実は、もっと広く伝統技術や先端技術を駆使して、日本のものづくりのプラットフォームブランドをつくりたいっていう強い思いがライフワークとしてあって」

体調を崩し、前職を退職した後、ご縁あってナガエと仕事をすることになったそうです。

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また、鶴本さんは高岡という地に大きな魅力を感じていたといいます。

「燕三条の核にあったのは世界に誇る『技術』。高岡の核は唯一無二の『美』だと思ったんですね。400年の歴史の中で、前田家のお膝元として茶道や仏教の文化が脈々と受け継がれてきました。それを背景に金属加工技術が栄えたということもあって。高岡発のブランドということで、日本の美を魂に込められるところがすごく魅力だなと思って」

新たにナガエがつくっていた商品はデザイン性も高く、いいものがたくさんあったそう。けれど、ブランドとしてもっとマーケティングやブランディングすることで、世界ブランドをつくれるポテンシャルがあるのではないかと感じたそうです。

「売るところまでがブランドだと思うんです。つくるところから売るところまで、一貫して誰かが責任を持って見ないと。どんなにいい商品でも売り方を間違えてはブランドになれず、苦戦してしまうこともあるんです。ナガエもせっかく素晴らしい技術と商品があるのにって」

「けど、すごく可能性がある。形になりつつあるところに私がブランディングをさせていただくことで、プラットフォームブランドづくりができるんじゃないかなって」

高岡を象徴する「美」をキーワードに、素材を生かして、伝統の技にこだわりながら先端技術も取り入れる。シンプルでモダンなデザインで、いまのライフスタイルに活かせるもの。

コンセプトは「美という光で世界を輝かせるブランド」。

世界ブランドを目指してNAGAE+はスタートしました。

スタートからまだ1年足らずだけれど、鶴本さんの後ろの棚にはたくさんの商品が並んでいます。

たとえば、開発中のスズの酒器。

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聞いてみると、このゴブレットの仕上げは通常では失敗作なんだとか。

「この肌は工場では失敗とされる仕上がりなんです。けれど、フツフツと泡立つ様な表情があって、一つ一つに違う。本当に美しいと魅せられてしまって、職人さんに製品化できないか検証を続けてもらっています」

「未完にひそむ美を引き出したい」と話す鶴本さん。ただ、失敗作を安定してつくり続けるのは至難の技なのだそう。

まだまだ開発途上ながら、海外のバイヤーや日本の目利きが大きな期待を寄せているそうです。

次に紹介してもらったのは、きれいな色合いが独特の「SHIKICOLORS」

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「このSHIKICOLORSは色に秘密があって。スズって本来色が乗りにくい素材なんですけど、医療の先端技術を持つ町工場さんとの共同開発で成功して。熱血社長の粘り強い努力の賜物で、化学染料に京都の着物に使う天然染料を混ぜるとスズに色がついたという、本当に珍しいものなんです」

すごい。その町工場の技術はどうやって知ったんですか?

「私が『スズに色を付けたい!』ということを本社会議で発言したら、ナガエの常務がリサーチしてくれて。最初この町工場へ行ったとき、協働していただけるか、決裂するかのどっちかだなと思ったんですよ。そこの社長さん、技術一徹の一筋縄ではいかない感じの強面の方で。出会いのシーンを思い出すと本当にドラマの様で(笑)」

「開発したい内容を説明したら『いや、これ難しいよ』って。『その難しいことを実現して一緒に世界ブランドを目指しませんか』って言っていたら、だんだん『しょうがないな』って。『しょうがないな』って言葉を聞くと、一歩前進したぞ、扉が少し開いたぞ!という感じで(笑)」

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現場へ足を運び、話したり試作したり。職人さんたちとキャッチボールを続ける中で、良い偶然が次々と起こり、新たな物が誕生する。

極細の螺鈿を施した箸も、先端技術を持つ工場とのコラボで実現したものだそうです。

細ければ細いほど使い心地がいいと言われる箸。けど、あまりにも細いとどんな強い木材でも折れてしまうとか。

鶴本さんは、極薄の木材をミルフィーユ状に積層する先端技術を持った東北の会社を見つけ、若狭の塗りと高岡の螺鈿を施した細い箸を実現したといいます。

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「日本の技術の粋を尽くした製品で、人々の生活の毎日を彩っていきたいんです」

そう話しながら、まだ開発段階だというものもたくさん見させてもらいました。

ちょっと不思議なのが、どうしてみんなそんなに協力してくれるのかということ。まったく知らない人から新商品開発の話って、町工場側からすればリスクも少なくないわけだし。

「本気の気持ちが伝わるからでしょうか。本気で日本のものづくりで世界ブランドをつくります!っていう、その覚悟と決意が伝わることで『おぉ、やってやろうじゃないか』ってみなさん思ってくださっているのでしょうか。本当にありがたいことです」

「工場ではOEMの仕事だと、製品の一部をつくっていらっしゃったりするんです。一部品じゃなくて、自分たちがつくったものが主役になって、生活者の方に届く。もしかしたら海外のミシュランの星つきのレストランに使われたりするかもしれない。そういうことに対して職人さんたちは、普段の仕事とは違う価値を感じてくださったりしているのではと思うんです」

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伝統技術と先端技術を産地を越えてつなげて新しいものをつくるだけじゃなく、つくり手の方々たちの夢も紡いでいくことができる仕事。

知識・経験以上に、仕事への思いの強さと細やかさが問われると思います。

鶴本さんは「とにかく感謝」と話します。

「商品ができるのって奇跡なんですよ。仕事のすべてのところに感謝を。年齢・性別問わないですけど、絶妙な加減でうまくファシリテートしていくには女性がすごく向いているなって思います。男性でも、もちろんそんな方はいらっしゃると思いますが(笑)」

「あと、日本のものづくりの世界に興味を持てる人。そういう人のほうが、経験がなくても体験を通して成長できるのかなって」

 

2人いるスタッフのうちのひとり、企画・広報を担当する若林さんはこう話してくれました。

「知識と経験はもちろん大切ですが、それ以上にきちっと相手とコミュニケーションをとりつつ、自分で調べながら情報を得て、どうやったら解決できるかを考える。そういう力が求められていると思うんです」

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隣で話を聞いていた、鶴本さんも。

「そこだよね、いかにコミュニケーション取って解決策を探るか、その根性と感性。私も昔はど素人だったから、工場に一日何十回も電話して、工場長から嫌われる寸前までいって。それでも一緒にものづくりをしてくれるようになった時の感激は何よりも大切な経験。諦めるのは簡単なんだよね」

日本のものづくりを海外へ。一見華々しい仕事に見えるかもしれないけれど、そこに至るまでは地道なことや苦労も多いそうです。

「この1年とにかくブランディング・マーケティングにがむしゃらに走ってきて、ある程度の仕組みが徐々にできてきたところです。そこに入ってくださる方は、これからさらなる飛躍に向け、一緒につくりあげてくれる人に来てほしいですね」

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順調な国内展開はもとより、NAGAE+ブランドは早くも話題を呼び、海外からの問合せも多いそう。

今後もミラノサローネ2016などの海外出展が続き、ニューヨークのメトロポリタン美術館などにも展開されるそうです。

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すでに世界ブランドへ一歩足を踏み入れているNAGAE+。

さらに飛躍させてくれる仲間を募集します。

(2016/3/10 森田曜光)