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「一般的にごみと呼ばれるモノも、我々は資源だと思っています。いろいろと形を変えて点在している資源をすくい上げるのが仕事ですね」リサイクルという考え方は、今や一般的なものだと思います。人によって意識の差はあっても、言葉の意味を知っている方が大半ではないでしょうか。
けれども、100年以上も前からそれを続けてきた企業となると、世界を見渡してもなかなかないはずです。
株式会社リーテムは、1909年の創業以来、愚直に資源リサイクルを続けてきた会社。新素材の登場や環境問題への関心の高まりなどをうけ、少しずつ形を変えながらも、100年以上に渡って日本に眠る資源をすくい上げてきました。

今回はこの新しい事業の営業担当を募集します。
営業といっても、新規開拓ではなく、既存の提携事業者との関わりが多くなるそう。リサイクル品目の調整や打ち合わせのために各地の事業者のもとを訪ねたり、適切なリサイクル処理を行っているかを定期的に監査したりする管理業務が主だそうです。
あまり馴染みはないかもしれませんが、リサイクルや環境問題への興味がある方なら、事業と両立して学べることの多い仕事だと思います。
東京メトロの末広町駅から5分ほど歩いたところに、リーテムの本社はある。ビル一棟を本社事務所として利用していて、5分ほど歩いたところにはビルのワンフロアを使った別事務所がある。会社として、どっしりと構えている印象を受ける。

まずはPI事業推進部部長の山崎さんにお話を伺う。

「我々には100年以上の歴史がありますが、業界としてはここ数年で注目されてきた業界なので。同業他社出身の方は少ないんですよ」
1909年、茨城県水戸市に創業したリーテム。近隣の工場が排出する鉄のスクラップ処理からはじまり、時代が進むにつれて、アルミや銅、貴金属、プラスチックなどの新素材のリサイクルにも対応するようになる。
「素材としては、金属とプラスチックがメインです。ただ、一口に言ってもいろいろなものに姿を変えているんですね。携帯や電子レンジなどの小型電化製品もそうですし、工作機械だったり、自動販売機などもリサイクルの対象です」
「時代に合わせて少しずつ業態を変えながらも、愚直に資源リサイクルを続けてきました」
取り扱う品目の幅を広げるとともに、取引先のエリアも全国に広げていった。次第に、各地の運搬会社や処理工場とのネットワークができあがっていく。
しかし、従来のクライアントは一般企業がほとんど。一般廃棄物と呼ばれる個人のごみ処理に関しては、リサイクル不毛地帯と言われていたそうだ。
資源に乏しい日本においては、そこになんとか切り込んでいく必要があった。
「国のほうでもさまざまな法律が制定され、ようやく風穴が空いてきたところで、PI事業推進部は新しく立ち上がりました」
PIとは、パブリック・インタレストの略。「公共の利益となるような事業を推進していく部署」を意味するという。

「一般廃棄物のリサイクルを促進するためには、個人の意識改革が必要です。最近では、社内の各部門と協力しながら、市民向けの環境教育セミナーを企画したり、海外の先進事例をリサーチすることで、我々のリサイクルの仕組みづくりに活かしたりすることもしています」

PI事業推進部グループリーダーの飯田さんは、100年続く経営力と環境ビジネスへの関心が重なり、4年前にこの会社の門を叩いた。
普段は、主に民間の案件を担当しているという。

小売店に集まったリサイクル品を運び出す運搬会社や、地場のリサイクル会社のもとを訪ねて提携を結び、地域毎に資源循環スキームを構築していく。そうした準備が整ってはじめて、リサイクルが可能になるという。
全国各地にモノを生み出す場はあっても、リサイクルするための施設や仕組みが整っていないと、むやみに廃棄するしかなくなってしまう。リーテムは、提携先の事業者に対して独自の管理システムを導入したり、定期的に足を運んで監査したり、それに伴う国への報告業務を行ったりすることで、ソフト面で適切なリサイクルが行える環境をマネジメントしていると言える。
耳馴染みのない業務も多そうですが、大変なことはありますか。
「やはり法律などに関して覚えることは多いので、大変かもしれないですね。素直に吸収して、自分からも発信できる方がいいと思います」
「その分、研修は充実していますよ。座学で法律や各部門の取り組みについて理解してもらいつつ、現場に出ての研修もすぐにあります。デスクワークよりも少しフィールドワークのほうが多いぐらいですね」

「協力会社は百数十社にのぼります。同じベクトルを向いている会社ばかりではないので、ひとつのチームとしてベクトルを合わせるところは一番骨を折るところです。そのために何度も足しげく通って、お話をしたりします」
「最終的には信頼関係をどう築けるかが大きいですね。人と人の関わり合いですから。そこが一番のやりがいでもあります」
次第に形ができつつあるものの、まだまだPI推進事業部のやり方は変わっていく余地があるそうだ。まずはいろいろなことを素直にインプットした上で、新しいアイデアや仕組みが思い浮かんだなら、それを提案できる環境だと思う。
続いてお話を伺う池谷さんは、自治体向けの営業担当の方。
12年ほど宝飾品の販売をしていたものの、会社の営業所がなくなってしまったタイミングで、なにかはじめるなら最後のチャンスと思い、転職を決意したそう。

実際に働いてみて、やりがいに感じるのはどんなことでしょう。
「自治体さまとの契約となると、ひとつひとつの案件の金額も、製品の量も多くなりますし、時間もかかります。だからこそ、1年間かけてようやく形になったときには非常にやりがいを感じますね」
安く済むからという理由ではなく、継続して安定的なシステムを構築したいという理由で契約に至ることが多いそう。
会社の実績と歴史が信頼の後ろ盾になることはあると思うけれど、それ以上に池谷さんがひとつひとつの案件に向き合っていることが結果に結びついているような気がする。

「街中をトラックで回っている不良品回収車、あれって本当は免許を持っていないといけないんです。高齢者に対して高額な請求をする悪質な業者もありますが、なかには良かれと思ってやっているケースもあるんです」
どういうことですか?
「『おじいちゃん、おばあちゃんは自分たちで運べないから、代わりに運んであげよう』っていう、地域貢献の信念を持ってやっている方がいたんです。けれどもそれは行政の仕事ですので、免許を持っていない人が勝手にやってはいけないことですよね」
「その業者さんとの打ち合わせの際にあれ?と思い、まずは社内の法務部に確認をとり、担当の自治体や環境省の情報を調査しました。どこまでがよくて、どこからがだめなのか、すり合わせて改善していったんです」
衝突しつつも、具体的な資料を提示しながら根気強く説明し続けることで、最終的には納得してくれたという。
「『リーテムさんが言ってくださったから、わたしもしっかり調べようと思いました。これからはまた違う角度で住民サービスを考えていきたいです』とおっしゃって。そのときはうれしかったですね」
一見ベクトルが違っていても、実は「地域や社会に貢献したい」という想いでつながっていることもある。まずは相手をよく見て、耳を傾けることからはじまる仕事なのかもしれない。
最後にお話を伺うのは、総務部責任者の中塚さんだ。
みなさんの話を横で聞いていて、かゆいところに手が届くような補足をさっと差し出してくれる方だった。

以前は部署ごとにフロアで分かれていたけれど、3年前にフリーアドレス制をはじめたことで、風通しがよくなったという。飯田さんも「自ずと雑談のなかにヒントが出てくるんです」と言っていた。
フレックス制を取り入れていることもあって、働く環境としてはかなり自由度が高い会社だと思う。

「資源リサイクル分野を核として、環境全般に関して広範囲な企画提案のできる会社になっていきたいですね。たとえば、製造の段階からリサイクルを考えた工場をどうつくるか。自治体や企業の工場に対して、自分たちから仕組みを提案していきたいですね」
たしかに、そこから関わることができたら、より効果的なリサイクルが実現できるかもしれない。
歴史ある会社の、新しい部署で。
これから先の100年をつくっていける仕事だと感じました。
(2016/3/19 中川晃輔)