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日本橋から「とやま県」

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「とろろ昆布を巻いたおにぎりや、とびきり新鮮な海の幸… 富山の人にとっての当たり前って、他の県の方からするととても上質なものが多いんです」

日本橋とやま館 - 1 (5) 「富山へ来て、美味しいものを食べて、ゆっくり休んで。しばらくして『ああ、なんかいいところだったよねえ』『そのうち住みたいなぁ』って思ってもらえたら。ここでは、そんなきっかけになるような富山の魅力を発掘し、発信していこうと思っています」

今年6月、富山県のアンテナショップ「日本橋とやま館」がオープンします。場所は日本橋三越やCOREDO室町などが並ぶ日本橋。

日本橋とやま館 - 1 (6) コンセプトは、“富山の上質な日常”。

けれどこのアンテナショップ、単にモノを売るだけではありません。

お店に入るのは、セレクトされた物販ブースはもちろん、観光や定住の相談ができる観光交流サロン、地酒などを提供するバーラウンジ、そして富山の美味しい魚を味わえる和食レストラン「富山 はま作」。

どれも富山の魅力を知ってもらい、富山のファンをつくる場になりそうです。

「自分一人がUターンするよりも、東京でたくさんの人に富山のよさを伝えて、一人でも多く富山に住んでほしい」

ここで働く予定の方からは、そんな声も聞こえてきました。

今回は「日本橋とやま館」の和食レストラン「富山 はま作」の料理人とホールスタッフ、ショップフロアの販売スタッフを募集します。


東京・永田町にある富山県首都圏本部へ。

事前の取材の調整のときには、いつも富山のゆったりとした言葉を聞いていたのが印象的でした。そのせいか、この日は富山に行くような気持ち。

お会いしたのは館長の山下さん、「富山 はま作」の料理人の浜守さん、ショップフロアを担当する津留さんの3人。

はじめに、山下さんに「日本橋とやま館」について伺います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 山下さんは生まれも育ちも富山県。東京へは、お店の準備のために半年ほど前にやってきました。

「日本橋とやま館では、富山の日常の上質なライフスタイルを提供します。富山で普段食べられたり使われたりしているものって、高級という意味ではないんですけれど、上質なものがすごく多いんですよ」

お魚がすごく美味しかったり、加工品に余計な添加物が入っていなかったり。工芸品も、江戸時代から続く高岡銅器などの伝統工芸品があり、最近では伝統技術を活かしたテーブルウェアなどが人気で、ヨーロッパでも販売されているのだとか。

その質の良さは、とても真面目につくられているからだといいます。

「でも、富山の人はアピールするのが苦手なところもあるんですよね。ここでは、工芸品も一緒に展示販売していこうと思っています。単なるアンテナショップではなくて、富山のよさを伝える場所。富山に行ってみたい、ゆくゆくは住みたいと思うきっかけをつくる場所にしたいです」

展示スペースの他にも、観光交流スペースにはコンシェルジュがいたり、バーラウンジでは日本酒の試飲をしながらお話ができたりするそう。

全体として人との交流が生まれる場所づくりだけれど、メインはセレクトされた物販と富山の魚を出す和食レストラン「富山 はま作」。今回募集するのは、この2つのオープニングスタッフです。

「富山の一番の魅力は、魚が美味しいことかもしれないですね」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 熱をこめて言うのは「富山 はま作」の料理人、浜守さん。富山湾の4大漁港である新湊の生まれの方です。銀座で17年、富山の魚を出す割烹「新湊 はま作」を切り盛りしてきました。

「日本ってどこでも海と山がありますけど、富山にはちょっと特徴的があって。天然のいけすとよばれる富山湾があるんです」

富山県は、日本の真ん中から少し北上したところにある。日本海に面した富山湾は暖流と寒流が合わさり、500種類もの魚が泳いでいるそう。

日本橋とやま館 - 1 (3) 漁港から船で10分ほどいけば、深海は1000メートル。そこに定置網をしかけ魚をそっとすくい、水揚げをする。遠洋漁業と違って浜まで10分しかかからないから、魚は死後硬直前に市場やお店に並ぶという新鮮さだ。

「やっぱり美味しいんですよ。富山の魚に舌が慣れるとほかじゃ食べられなくなります」

日本橋とやま館でも、そんな美味しい富山の魚を使うそう。

今回募集する料理人の方は、まずは富山の魚を知ってもらうところから始まるそうです。

「うちで働いていたと言えば、ほかのお店でも『ある程度の力はあるな』と思ってもらえるようなお店を目指したいと思っています。将来独立したいという方にとっては、ノウハウや技術の習得ができるんじゃないかな」

だから、志の高い人に来てほしいですね、と続けた。浜守さん自身も、今年の春には銀座のお店を畳み、日本橋とやま館に集中する覚悟なのだとか。

日本橋とやま館 - 1 (8) もともと割烹料理を営んでいた方が切り盛りするお店だから、ホールスタッフに求められるクオリティも高いはず。ここで身についたものはどこへ行っても使えるものにしたいと浜守さんは話してくれました。

ここで、山下さん。

「新鮮な食材の良さは『富山 はま作』さんで、加工された商品は物販で。2つの方向から富山を伝えていってもらえればなと思います。たとえば、新鮮で美味しいお魚は加工品としても富山の人に親しまれているんですよ」

一番有名なのが、“細工かまぼこ”。

日本橋とやま館 - 1 (4) 「富山では、冠婚葬祭に引き出物として大きなかまぼこをもたせて帰るんです」

大きいものだと、50センチほどもあるのだとか。

「これを切ってご近所さんにお裾分けします。『誰々さんの結婚式でいただいたものなんですけれど』と言って配るので、かまぼこが町の回覧板のような役割なんです」

「そういった富山のライフスタイルも伝えていけたらいいですよね。浜守さんには、包丁を握りながら語っていただいたりしてね(笑)」

すると、浜守さん。

「富山のことはもちろんですけど、最近、自分はここで富山弁を語っていく立場なのかなと思っていて。そういう人も必要ですよね」

たしかに、言葉から伝わって来る土地の文化や雰囲気ってあると思います。

「たとえば、富山の人がよく使うのが『きのどくな』って言葉なんですけど」

残念、の意味ですか?

「いいえ。これは『気を遣ってもらって、どうもありがとう』という感じなんです。東京の人からするときつい言い回しに聞こえるかもしれないけど、相手への思いやりを含んだ、温かみのある言葉なんですよね」

「富山って、テーマパークのような通年観光があるわけではないんです。けど、一度行くとじわじわっと沁みてくるんですよ」

浜守さんが営んでいた銀座のお店には、単身赴任で富山に住み、戻ってきたら富山を好きになって通っていただいた常連さんが少なくないのだとか。

浜守さんのように「富山が大好きなんです」という人にとって、東京にいても富山を想える貴重な場所になるだろうな。


「とはいえ、富山の生まれじゃなくても大丈夫ですよ」と山下さん。

ショップフロアを担当している、東京生まれの津留さんを紹介してくれました。

「アンテナショップってとても面白いんですよ。ものを売るのではなくて、商品のストーリーを知ってもらう。そうやってはじめてお客さんが手にとって試してくださる。こちらの伝え方次第で、興味をもって買ってもらえる面白さがあるんです」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 津留さんは以前、コンピュータ関係の営業を30年してきた方。管理職に就きお客さんの顔が見えなくなると、もう一度お客さんの顔の見えるところで人と接したいと思うようになったそう。

日本橋とやま館の前は、和歌山のアンテナショップで店長をしていました。

「たとえば、和歌山でみなさん最初に思い浮かぶのは『南高梅』っていう梅干し。これ、山の斜面にブルーシートを敷いて、完熟して自然に落ちたやつを手で拾って加工しているんですよ。それだけ手間がかかるから、値段も相応なんですね」

そういったストーリーやつくり手の想いを伝えることで、まったく興味がなかった人でも「ちょっと食べてみようかな」と試してもらえる。

津留さんも、はじめは和歌山のことは何も知らなかったそうです。

「私が理屈っぽいからかなあ。商品について、なんでだろう、これじゃ納得しないなあって思ってるうちに調べていました。それに、私がそういう疑問もったのであればお客さんもそういう疑問もつでしょう。それに対してきちんと答えられるようにしたいですよね」

今は、富山のことについて猛勉強中なのだとか。

日本橋とやま館でセレクトされるものは「富山の日常の上質なもの」。かまぼこ、ほたるいか、昆布、地酒などの飲食品から、鋳物、木工、和紙などの伝統工芸品までさまざま。ひとつひとつに富山の背景を感じ、伝えたいと思える人だといいかもしれません。

日本橋とやま館 - 1 (9) 「お客さんと会話して、富山を知ってもらう。その人が『富山ってこんなところみたいだよ、今度行ってみよう』ってさらに広報してくれると思うんです」

「販売だけれど広報するような気持ちで、一緒に楽しくやってもらえるような人が欲しいですね

ショップフロアのスタッフは、現場で聞いたお客さまの声を直接富山の業者さんにフィードバックする役目もあるそう。

山下さんにも聞いてみたい。どんな人と働きたいですか?

「地方に興味があって、東京の方に自分の言葉でよさを伝えたり、地域を盛り上げたいって思いのある方だといいのかな」

「県としても、ここまで大きく出すのは初めてで力も入っています。ただ、運営はチームみんなでやるものなのでね。来てくれる方とも、これから一緒につくりあげていく仲間になれるといいなと思っています」


取材を終えて外へ出ると、やっぱり富山から帰ってきたような気持ちになりました。きっと富山を想って語る人がいるから、富山の雰囲気が伝わってくるのだと思います。

富山が好き、地域を盛り上げたい、と思う人へ。日本橋から富山を発信してみませんか。

(2016/4/22 倉島友香)