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「街を歩いていて、好ましい感じのする場所があります。それはきっと、誰かに大切にされている場所です。その場所をつくった人、住む人、利用している人、街の人、常に気にかけている人がいる場所なのです。街はたぶん、そんな場所がふえると、よい雰囲気になるのだろうと思います」これはタカギプランニングオフィス代表、高木さんの言葉です。
タカギプランニングオフィスは、一般的にデザイナーズ物件と呼ばれる、建築家の設計した賃貸物件を専門とする不動産会社の老舗です。
特徴は、賃貸物件が建つ前の企画設計から携わっていること。建物を建てる企画段階から設計、建築、そこに住む入居者の募集、建物の管理まで、一貫しておこなっています。
今年で設立20年目を迎えるタカギプランニングオフィスで、賃貸物件のアドバイザーと建物の管理をする人を募集しています。
大切にされている場所には、その影にかならず気にかける人がいる。
気にかけたくなる理由ってどこにあるのでしょう。
その答えがタカギプランニングオフィスにはあるように思いました。
東京・四ツ谷駅。
市ヶ谷のほうに緑があふれる外堀通りを少しだけ歩く。通りから入った閑静な
場所にタカギプランニングオフィスはありました。
近くには有名な建築家やデザイナーの事務所があったり、意外にもクリエイティブな香りのする場所です。
オフィスのなかにはいってお話をしてくれたのは市川さん。
入社してから15年になるという市川さんは建築を学んでいた大学院時代からアルバイトを経てこの会社に勤めている。
現在は建築企画部で、賃貸物件を建てたいというお客さんを相手に、建物を建てる企画の仕事をしているそうです。タカギプランニングオフィスの多くの賃貸物件はここから生まれるとのこと。
「たとえば他のハウスメーカーに設計案を出してもらったけれど、全然ちがう案も見てみたいというお客さんもいらっしゃいます。それから収支などの計算と合わせて、デザインの提案をして選んでいただきます」
「やっぱり中にはとにかく収益重視とか、安心安全のハウスメーカーがいいという方もいますね」
依頼が来たらタカギプランニングオフィスが建築家と協力して、デザイン案を提案する。
ある程度規格が決まっているハウスメーカーはコストも抑えられるし、なんとなく安心感がある。それでも建築家が設計したデザインを選ぶ人たちもいる。
そういう人たちはみんな建築やデザインに明るいのかと思ったらそうではないらしい。
「もともとお客さんは建築にすごく興味のあった人たちばかりではないんです。
ふつうのご年配の方も多くって」
「物件をつくる過程でこちらのことをすごく信頼してくれるから、出来上がった建物をすごく大事にしてくれます。建物の価値を長続きさせたいと考えてらっしゃる方が多いです」
低いコストで高い儲けを得るというよりも、信頼できる人たちと大事にできるものをつくりたい。
そんな気持ちでつくられた建物は、そこに住む人をしあわせな気分にしてくれそう。
担当したという中野の物件”ulula”のお話をしてくれた。
約300年前からululaの土地に先祖代々暮らしてきたオーナー一家は、50年ほどその土地で、アパート賃貸業をしてきた。新たにアパートを建て替えて、次の代にも引き継げる事業にしたいという想いから、タカギプランニングオフィスに依頼したという。
「この物件は、銀行の融資がいろいろな事情で簡単につかなかったり、工事費もけっこう高い時期だったので、それをおさえるのに設計も四苦八苦してました」
「知恵をかなり絞りましたね。いままでのつてを辿ったり、社長の高木の知り合いに協力してもらったり」
ほかのハウスメーカーが設計していればもっと簡単に建ったかもしれない。それでも自分たちの事業計画やデザインを気に入って頼ってくれるオーナーに応えようと、関わる人みんなで知恵を出しあった。
銀行の融資づけもうまくいき、設計者と建設会社も噛み合っていった。2、3年かけてようやく着工に至ったという。
そんなふうにして完成を迎えたululaのオーナーは、タカギプランニングオフィスのスタッフを非常に気に入ってくれていて、バーベキューに誘ってくれたり、メールを交わすいい関係が続いているそう。
「最初から何度も山場がありました。そのたびに工夫して乗り越えて。そんな経緯があってなんとか出来上がった建物だったので、信頼してくださってるんだと思います」
苦労して一緒につくったデザイナーズ物件だからこそ、信頼関係はつづいていく。オーナーはもちろん、設計事務所などほかの会社との関係もそう。タカギプランニングオフィスにくる依頼は紹介や口コミが多いのもうなづける。
なかでもオーナーとの関係は建ったあとにもいい影響を及ぼすという。
「私たちは物件を見ると、そのオーナーさんの顔が頭に浮かぶんですね。オーナーさんがふだん思っていることや気にすることはみんなわかっている。だからほかの会社が入居者を案内することとスタンスが違うはずなんです」
オーナーやたくさんの人たちと一緒につくった大切な物件。その物件の賃貸を任されるということは重圧でもあり、やりがいのあるものだと思います。
現在、賃貸アドバイザーをしている藤田さんにもお話をうかがった。
藤田さんは入社5年目。もともとインテリアに興味があったのでインテリアの小売業で働いていた。そのあとに不動産の世界に飛びこんだ。
藤田さんは不動産屋の営業マンのイメージとはかけ離れた柔らかな印象の方。淡々と話をしてくれる。
「新築から携わっている物件がほとんどなので、オーナーさんの気持ちを汲み取りたいです。建物のイメージにふさわしくないような営業はしませんね」
イメージにふさわしくない営業というと。
「無理して賃料交渉をして契約をしたりとか、そういうことです」
「申込みが入ったら、こちらから断ることはないですけど、もし気になることがあれば、オーナーさんには正直にお話しする。いろんな人がいるから、その判断は難しいんですけどね」
貸すだけではなく入居したあとの管理までおこなうので、無理して契約しても、あとで困るのはオーナーや自分たち。
目先の仲介手数料よりも大切なことがある。
藤田さんに一般的な不動産営業マンのイメージが重ならなかったのはこういうところがあるからかもしれない。そう思っていたら、となりで藤田さんの話を聞いていた市川さん。
「関係者が多いので下手な嘘一つでもつくと、あとで自分たちが困ることになるんですよ」
「設計者ももちろん、工事をする施工会社もオーナーさんも原状回復業者もすごく深い付き合いがあるんです。その間に立つので、嘘をついちゃうと誰かを裏切ることになっちゃう。それはしないです」
正直にやっているからこそ、信頼関係も生まれていくし、お客さんも安心してくれる。働く人も気持ちよくできると思う。
そんな素敵な仕事をしていて、一番うれしいことってなんだろう。
すると藤田さんが教えてくれた。
「自分の意見が反映された建物が建って、募集をしてうまく満室になったときはホッとします。一番それがモチベーションになっていますね」
タカギプランニングオフィスには、着工後もオーナーから間取りや設備などの相談がくるそう。そういうときには、現場を知っているスタッフの意見が活きる仕組みになっているそうです。
「お客さんを案内している現場の人間なので、リアルな意見をもらうんです。電源はこっちにしてください、テレビそこに置けないですとか。営業としても案内しやすくなりますし、つくるまえに意見を反映できたほうがいいですよね」
自分のアイディアを取り入れた部屋にお客さんが満足してくれるってすごくうれしいことなんだろうな。
募集をかけて入居が決まると、つぎは管理スタッフにバトンタッチされる。
管理の仕事は入居したあとの修理の依頼や、相談ごとの対応、退去の手続きまで。オーナーと入居者の間に入ってやりとりをすることになるようだ。
お話してくれたのは管理を担当している杉本さん。
「建物が汚れたり破損したりしたときに、同じものがもうなかったりするんです。そういうときに、似ている建材があったとしても、勝手に判断はできません。なぜならオーナーさんも気になるし、建てた設計者も気にしてるから」
「その場合、設計者と連絡を取って意見を伺います。その上でいつも頼んでいる原状回復業者に入ってもらったり、それで無理なら建てた施工会社に相談することも。建設時の設計者や施工担当者とやり取りすることも多いです」
こだわって建てたものだから、イレギュラーなことも多い。その都度、自分の頭で考えていく仕事が多いと思ったほうがいいかもしれません。
こうやっていろんな人と関わって、建物は維持されていく。
そういう思いはきっと入居者にも届いているんだと思う。みなさん、建物を気に入っていただいて、きれいに使っていただける方が多いそうです。
最後にどんな人に来てもらいたいか聞いてみました。
「バイタリティーがある人を求めているわけじゃないんです。人とのつながり、出会った人のことをちゃんと大切にできる人。それで成り立ってる仕事なので」
一つひとつの建物に関わる人も多いし、イレギュラーなことも多い。
でもその思いがきっと伝わるし、信頼関係も育っていく。
みんなの大事な赤ちゃんを大切に育てていくような、そんな家族的な雰囲気がタカギプランニングオフィスにはあるように思います。
家族の一員になるように働きたい人は、ぜひ応募してみてください。
(2016/5/10 遠藤沙紀)