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出会うカフェ&ゲストハウス

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

見たこともない景色に出会う。ここに来たから出会えた人と、普段はしないような話が夜遅くまで続く。

朝を迎えると、あらたな場所へと向かう。

旅は人を変えることがあると思います。

今回の舞台は、岡山県倉敷市。

白壁に蔵といった江戸のまちなみを残す美観地区。国指定の重要伝統的建造物群保存地区でもある。

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その中心に構えるのが、倉敷まちなか居住『くるま座』有鄰庵(ゆうりんあん)。

「人とつながり、自分の幸せに出会うこと」を軸にゲストハウスとカフェを運営しています。

有鄰庵は単なるゲストハウスではなく、地域と一体となって旅人たちに倉敷を楽しんでもらう宿になっているそうだ。

倉敷駅からアーケードの商店街を抜けて10分ほど歩くと、美観地区が見えてきた。

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樹齢900年のトチの木のテーブルがある土間。ここでプロデューサーの中村さんに話を聞きました。

倉敷出身の中村さんは以前、一部上場企業で働いた後、会社を経営。朝から晩まで働きづめの日々を過ごしていた。とはいえ、仕事は好きだし、楽しかったという。

「あるとき、旅に行ったんです。3泊の予定が、あまりに快適で2週間を過ごして。心の豊かさがあるなぁ、と。」

はじめの3日間は旅をしていた。後は滞在していた有鄰庵のモデルとなるような場所で時間を過ごしたそう。

「本を読んで、ゆっくりとした時間がありました。自分を振り返ると、仕事のために働いていました。せかせかした川を離れて、ゆっくりとした小川をつくりたいなぁと思ったんです。」

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それから7年を経て、有鄰庵をはじめた。

倉敷は地元というひいき目を抜きにしても、可能性のある場所だと感じたそう。

「美観地区を庭に見立てて、遊んでもらったらと思ったんです。有鄰庵に泊まって交流する。お風呂は銭湯のばあちゃんち。朝食はパン屋さん。まちじゅうのみんなでゲストを迎えるんですね。大原美術館もあります。こんなに面白いところはないだろう。有鄰庵はコンパスで円を引くと、その中心なんです。」

中村さんにはこんな思いがあった。

「美観地区のまちなみ保存は、いまから80年以上前に大原孫三郎さんが取組んだことなんです。ヨーロッパを訪れた際、倉敷をパリに並ぶ東洋一のまちにしようと考えたそうです。倉敷の若者たちは世界中に旅立って。建築に絵画に医療… 色んな知識を持ち帰りました。」

たとえばアート。大原美術館は、日本初のアートミュージアムだ。

「若者たちはパリのモンマルトルにある洗濯船というゲストハウスに滞在しました。そこで、モディリアーニやピカソと交流し、絵を収集したんです。面白いのは、当時彼らはいまほど有名ではなかったんですね。後に評価されるようになったんです。」

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世界を知り、文化を持ち帰ることで倉敷のまちをつくっていった。

中村さんはいま再び、自分たちの未来は自分たちでつくろうと考えた。

地域の人たちも中村さんの姿勢に共感し、2011年に有鄰庵を立ち上げることとなった。

「年間に世界52カ国以上から、4,000人が訪れます。その人たちが自分の国に戻り『倉敷はすごいよ』と伝えることで人がやってくる。いい循環が生まれることで優秀な人が集まり、10年先を見る若者が育っていけたらと思うんです。」

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そこで有鄰庵が大事にしているのは、出会い。

「土地の暮らしを感じたり。人と深く話し合うことで、自分に気づいたり。旅って出会いだと思います。だからこそどんな人が来るのか、気をつかっています。」

たとえば価格設定。

料金はドミトリーの素泊まりで一泊3,500円。

ゲストハウスの相場としては、決して安くないと思う。

「いい交流のためには、人とつながりたい人に来てほしい。そのためにあえて高く設定したんです。とにかく安く済ませたい人には、3,000円以下のビジネスホテルを紹介することもあります。」

スタッフの電話応対を聞くとこんなやりとりが。

「安いところがいいですか?交流があるところがいいですか?」

僕はゲストハウスには安かろう悪かろうとか、ワイワイと騒ぐようなイメージを持っていたのけれど、有鄰庵は違うようだ。

「ゲストハウスと一言に言っても、色々なところがあります。ただ、日本の特徴として、“人とのつながり”を大事にしているところが増えつつあります。有鄰庵で自分の幸せを見つけてもらえたら。大きく言えば、人生が変わるゲストハウスを目指しています。」

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旅がきっかけでスタッフになった人もいる。

2代目女将の山田さんは新潟県の出身。千葉の結婚式場で事務として働き、休暇に訪れた。

「もともと一人でフラフラしたり、旅は好きだったんです。趣味が美術館めぐりで、大原美術館を見ようと倉敷に寄ったんです。そうしたら倉敷と有鄰庵にハマっちゃって(笑)。」

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「飲んだ帰りに夜の倉敷川を散歩していたら、胸に来るものがあって。有鄰庵での出会いも大きかったな。ツリーハウス職人に建築家に画家さん。やりたいことをしている人たちと出会って、面白いな。自分も素直になっていいのかなと思いました。」

そうして、1年前に有鄰庵へやってきた。

現在は経理、採用、人事といった仕事をしている。

「経験を活かしつつ、ゼロから自分でつくっている感じがありますね。自由なところはありつつ、経営として抑える面もきちんと学んでいけるのがいいと思っています。」

「働きはじめて変わったことがたくさんあります。前は大学行って、就職して結婚して… 自分はこれぐらい、と枠にはめていたんです。けれど世界中から訪れるゲストと出会うなかで、開けてきたかな。」

もちろん以前の山田さんは知らないけれど、いまは居場所を見つけたというか。いきいきとしている姿が伝わってきた。

もう一人のスタッフである畑上(はたがみ)さん。美術大学でコミュニケーションに関するデザインを学んだ後、昨年9月に有鄰庵へやってきた。
現在は広報・集客をしつつ、お客さんの対応を行っている。

「ネットでの広報が中心になるので、『どんな人に、何を伝えたいのか』を具体的にイメージした上でfacebookやブログ、HPの更新、コミュニケーションに関するデザインを行っています。画面から伝わる情報だからこそ、文章の言葉づかいや写真の見せ方には気をつけて発信するようにしています。」

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この日は有鄰庵に泊まり、チェックインから一連の流れを見せてもらう。

夕方になるとカフェは店じまいをして、掃除。ゲストハウスへと切り替わる。

ゲストのチェックインの時間は18:30から20:00に限られている。

「通常ゲストハウスでは深夜まで受け入れることが多いですよね。うちは交流をしてほしいから、時間を決めているんです。」

はじめにゲストたちは長机に腰かけ、名前や出身地などを自己紹介していく。
アイスブレイクがあることで、お互いに話しやすい空気が生まれる。

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その後は気の合ったメンバーで銭湯に行ったり、ご飯に行ったり。

自分も山田さんから観光客の知らない地元の人が集うおすすめのおでんやを紹介してもらう。

のれんをくぐると、先客に有鄰庵のゲストが2人。

彼女たちはこの日出会ったそう。大学の卒業旅行で訪れ、偶然にも地元が同じだという。

有鄰庵から来たことを伝えると、店のご主人は色々と話をしてくれた。

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食事を終えて宿に戻ると、長机で話をしている姿が。

山田さんがこんなことを教えてくれた。

「お隣はふつうにおばあちゃんが暮らしています。古民家は音が響くこともあって、22時には消灯です。その後はわーっと飲むよりは、落ち着いて話せる雰囲気にしていきます。」

「それとね、隠れBARを紹介することもあります。実は倉敷って、BARの数が日本でも3本の指に入るそうです。」

そうした店も人に教わったり、自分で開拓していったそうだ。

これからやってくる人も、まずは倉敷を知ることからはじまる。近所の人と挨拶をしたり、休みの日にカフェ巡りをしたり。そうして、このまちと出会っていくのだろうな。

働くのはどんな人がよいだろう?

畑上さんはこう考えているようだ。

「『ひと』がすきな人。それから、日常の中に小さな幸せを見つけられる人。そんな人は自然とまわりも幸せにしてくれるんです。有鄰庵のみんなのおかげで私も幸せを感じながら仕事ができていると感じています。」

時計は12時を回ったけれど、まだまだ話は尽きない様子。先に休むことにした。

そして翌朝6時。目を覚まして長机へ。おどろくことに、コーヒー片手にまだ話は続いていた。

こんな場所、なかなかないかもな。

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チェックアウト前に、再びプロデューサーの中村さん。

有鄰庵のあらたな取組みがはじまりつつあるそうだ。

「働きかたもさまざまな可能性があります。興味がある人は遠慮なく、話して決めていきたいですね。」
日本のゲストハウスの特徴として、人との交流を大切にするところが増えつつあるそう。

有鄰庵には、自分たちの未来は自分たちでつくろうという人が働きはじめたり、地域に必要とされるゲストハウス開業合宿セミナーの依頼も増えてきた。
また、最近では他地域からプロジェクトを頼まれることも。

「一昨年には、県内の早島町にあらたなゲストハウス 「岡山ゲストハウスいぐさ」をオープンしました。タタミの原料となるいぐさの産地として栄え、かつては日本一の生産量を誇ったところ。けれどいまは生産が途絶えています。日本の伝統文化を残したいという想いで栽培を復活して、地域の魅力を発信していきたいんです。」

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「早島町にはもともと宿泊施設が一件も無く、宿泊観光客がゼロの町ですが、今では『岡山ゲストハウスいぐさ』に世界45ヶ国から多くの外国人が訪れています。外国人の方にも日本のタタミ文化を体験して頂き、私達が栽培している「いぐさ」の魅力を伝えていきたいです。」

その他、日本の地域の魅力を世界中の方に知って頂くインバウンドツアーも計画しているそう。

その根底には、どんな思いがあるのでしょう。

「やりたいことがあって可能性を持っていても、お金が理由であきらめざるを得ない人もいますよね。自分たちの未来を叶えられる可能性のある場所をつくっていきたいです。」

有鄰庵が目指しているのは人の居場所づくりなのかな。

「ここまでは都市をモデルにみんな頑張ってきたと思います。ここからは地方じゃないかな。都市ではできないことも、倉敷ならできる。日本には他にも、阿蘇や安曇野… すばらしい地域があります。発信しないと、みんな都市に流れちゃうじゃないですか。でも、実は地方にこそ宝ものがあると思います。」

働きかたは色々と考えられるようなので、何かが引っかかった人は、気軽に連絡をしてみてください。まずは泊まるだけでもいいし、さらに興味をもったら働くのもいい。
有鄰庵からはあたらしい、面白い予感がしてきました。

(2016/5/15 大越元)