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「働く理由って色々あると思うんです。たとえば自立するためとか、お金を稼ぐためとか、休みとか福利厚生とか。この仕事を楽しめるのは、仕事に求める一番の理由が、やりがいとか自分の成長なんじゃないかな。」「もし、自分の時間がいっぱいあるとか給料とか、そういうのが一番の理由なら、この仕事を選んでないと思います。わたしは、それより仕事を楽しいと思えるのが一番だなって。もし、そういう考え方ができる人なら、きっと3年間もあっという間に過ぎていくと思います。」
小学校のとき、遠足や運動会、修学旅行など行事のときにいつも同行していた、カメラを携えたお兄さん。ぼんやりと、そんな人がいたな、と思い出す人もいるかもしれない。
今回は、幼稚園から大学、専門学校まで、卒業アルバムを、企画、撮影、編集、そして営業まですべてやる人を募集します。
福岡に本社を置き、全国に10の営業所があるサンショウという会社は、1986年にはじまった卒業アルバム専門の会社。
創業者の武藤会長は、水産業を経て未経験からこの会社を立ち上げた。
そんなはじまりだったからか、スタッフにも未経験からはじめた人が多く、撮影や営業の経験の有無は問わないそうだ。
もともと持っているスキルよりも、「ぜんぶ自分たちでやる」というところを楽しんでいける人が、この仕事に向いているかもしれない。
一生かけられるような仕事を探している人に、ぜひ知ってほしい仕事です。
全国10拠点のうち、北大阪営業所を訪ねて話を聞いてきました。
大阪には、北と南に2つ営業所があり、北大阪営業所は豊中市にある。
訪ねると、「今日は暖かいですね!」とスタッフの方が笑顔で迎えてくれた。
階段をあがると、デスクや機材が並ぶオフィスがあり、その上の会議室で話を伺う。
最初に話を聞いたのは、営業所の所長として17人の社員をまとめている町田さん。
生まれは福岡で、呉服屋さんから転職してサンショウに勤めはじめたそうだ。勤めて29年になるけれど、今も現役で撮影に出ている。
「この仕事は、道具と被写体とつきあう時間がほとんどなので、写真や相手、それに相手との関係が好きになって、面白くなっていく。写真のクオリティーを上げるとか、子どもや先生との関係が面白くなるとか、そういう喜びや楽しみで、かけた時間や苦労が昇華されていけばいいですよね。」
「行事が続くと、拘束時間が長かったりするのですが、ここぞというときは撮り、ここぞというときは休む。メリハリが大事です。そうすれば、仕事と共に旅ができる。一挙両得の仕事ができると思いますよ。」
29年もこの仕事を続けてきた町田さんは、仕事を語る言葉を、完全に自分のものにしている気がする。
それは、伝統工芸に携わる職人さんに話を聞くときの感覚とすこし似ている。
町田さんに、撮影のコツを聞いてみた。
「全員の集合写真や個人写真は、基本の撮り方があるのですが、そのほかの写真は、カメラマンが自由に采配できるんです。いいリアクションを狙って撮る。ここは経験値が必要です。」
なるほど。たとえば、運動会とか、徒競走や組体操など一瞬のドラマがたくさんあって難しそうですね。
「だから、次はこれが来るな、という読みが大事。右脳で画をイメージして、それを撮るためにどう動いたらいいか考えるんです。」
マニュアルを覚えればいいというものではなく、自分で感覚を掴まないといけないんですね。
ここで、入社7年目の野田さんも、話に加わってくれた。
「教えてもらってできるようなものでもないんですよ。現場って生き物。動いているものなので、それに対して自分で予測して、自分で瞬間を捕らえていかないと。そこが難しいですけどね。」
運動会の場合は、ゴールやポーズを決めるところが決まっているので、場所取りが大きなポイント。それさえ間違えなければ大丈夫。
「修学旅行の撮影で、色々なところに行けるのも楽しいですよ。北海道とか沖縄とか。この前はグアムに行きました。ただ、自由な時間は全くないんですけどね。」
一生のうちにこんなに修学旅行に行ける仕事なんて、なかなか無いかもしれないですね。
「確かに!」と笑う野田さんは、飲食店などさまざまな仕事を経て、サンショウで働きはじめたそうだ。
「撮影も営業もぜんぶ自分でやらないといけないと聞いていたのですが、働く前から、変に自分に自信があったんですよね。負ける気がしなかった。周りを抜かすつもりでずっと続けてきました。で、気づいたら7年です。」
サンショウでは、担当する学校につき、ひとりの担当者が責任を持つ。
撮影のための打ち合わせや、スナップ写真の販売や集金で、一校につき年間20~50回くらい訪問するそうだ。
撮影に出たら、あとは基本ひとり。すべて自分の裁量でやる。
「自分でやりくりしながら、色々な仕事を平行して進めていかないといけない。だから、一人前になるまで時間がかかるかもしれません。」と町田さん。
きっと、自信と野心のある野田さんは、その「ぜんぶ自分でコントロールできる」というところを、入社当時も今も楽しめているのだと思う。
続いて、入社4年目の遠藤さんにも話を聞いてみた。
「修学旅行は、朝早く集合して、移動して、写真を撮って撮って。ホテルに着いて夜のレクリエーションがあって、みんなが寝た後にようやく、『あぁ、終わった』ってなります。すごくぎっしりで隙間がないんです。実際に働いてみると、やらないといけないことが、思った以上にたくさんありました。」
でも、遠藤さんも、仕事に慣れるまでは時間がかかるかもしれないということを、事前に説明されて覚悟はしていた。
「『3年続けないと仕事のやりがいは分からない』って面接で言われました。そのときに、わたしは、どうせやるなら1年で完璧に分かるようなゴールの見える仕事はしたくない、と言ったんです。最初から、3年経たないと何も分からない、というつもりで入ったので。」
実際に働いてみて、どうですか?
「周りの友人と話していると、仕事がつまらない、という話を聞いたりするのですが、わたしはそんなことないなって。楽しんでいます。」
「この仕事は、幼稚園から大学まで行くので、色々な年代の方と仕事ができるんですよね。生徒だけではなく、先生や保護者の方もいるので、幼稚園生からおじいちゃんまで、幅広い世代の方とお会いできるのはすごく楽しいですし、こんな仕事なかなかないんじゃないかな、と思います。」
ちょうど休み時間に学校を訪ねると、「遠藤さーん!」と話しかけてくれる子どももいるそうだ。
そんなふうに名前を覚えてもらえるんですね。
「そうなんですよ。そういう関わりが、うれしいなって。」
名前を覚えてもらえるのは、遠藤さんの人柄もあるんだろうな。
遠藤さんが、この仕事に就いたきっかけを話してくれた。
「この仕事を選んだ理由は、学校に関わりたい、という気持ちからでした。」
「わたしは埼玉県の出身で、地元に近い高校に進学したのですが、高校生のとき、すごく楽しかったんです。文化祭とか球技大会とか、『やるときはやるぞ!』という感じで、みんなで盛り上がって。」
「でも、大学に入ってから、なんか周りと温度差があると感じて、自分は何がやりたいんだろうって悩んでしまったんです。それで、楽しかった学校を思い出して、学校に関わる仕事がしたい!と思って。」
学校に関わる仕事を色々思い浮かべてみたとき、そういえば、写真屋さんって学校に出入りするな、と思い出した。そこから写真に興味を持ち、改めて写真を学べる大阪の芸術系の大学を受け直したそうだ。
学生のころって、あとから振り返れば、ほんの一瞬。だけど色々な出来事が凝縮されている。
そんなシーンに関わり続けられる仕事というのは、学校の職員か、この仕事くらいしかないかもしれない。
「わたしは4年目なので、ようやく入社当時から担当していた子たちが卒業しだしたんですね。やっと自分が手がけた、アルバムができたんです。あ、この子、あのとき文化祭で話した子だ!とか思いながらアルバムをつくりました。ここまできて、そういう喜びが感じられるようになりましたね。」
撮影して、写真を選んで、デザインを打ち合わせて。良いアルバムをつくれば、次もお願いしてもらえる。学校との関係は、信頼関係で続いていく。
サンショウの仕事は、継続契約が8割で、新規で獲得するのが2割ほどだそうだ。
その新規の営業も、自分たちでする。
相見積もりをとるところが多いから、値段勝負という面もある。その一方で、やっぱり最終的には人のつながりだから、その人自身の人柄も大事。
「僕たちの仕事のなかでは、営業が一番大事かもしれません。地域ごとに担当を分けて、その地域の学校を直接訪ねて、話を聞いてもらえる立場になるまで頑張ります。」と、野田さん。
「自分がつくっていないものを売るのではなく、自分がつくったものを自分で売る。それって最高に面白くないですか?自分で形にして、その評価がすぐに出て、みんなに喜んでもらえる。こんな仕事、ほかにないと思います。」
つくっているものに自信があれば、野田さんのように楽しめるんだろうな。嘘をついたり受け売りの言葉を使わずに済むのもいい。
「それに、担当だった学校の先生が、何年かして転勤で全国へ散らばると、その人たちが口コミで話してくれて、思わぬところからお問い合わせの連絡をいただくこともあるんですよ。」と、町田さん。
長く付き合ううちに、家族ぐるみの付き合いになる先生もいる。そういう人間関係の楽しさを味わえるようになる前に辞めてしまうのはもったいないと、町田さんは思う。
もちろん、やってみないと向いているかどうか分からない。
けれど、野田さんと遠藤さんのように、すぐにできるようになるような仕事ではない、というところに魅力を感じられる人なら、試してみる価値はあると思う。
最後に。
実はこの記事に使っている仕事風景の写真は、野田さんと遠藤さんが撮影してくれたものです。
「どんな写真がほしいですか?せっかくだから撮りますよ。」と、大きな望遠レンズの本格的なカメラで撮影してくれました。
お願いしたわけではないのだけれど、こうやって先回りして提案をいただいて、嬉しいしありがたいなと感じました。
きっと、日々の仕事も、先が用意されているわけではなく、自分でどんどん道をつくっていく仕事なんだと思います。
一生かけられるような仕事を探している人は、ぜひ応募してください。
(2016/7/4 笠原名々子)