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雑誌の切り抜きや写真、布など、性質の異なるものを重ねてひとつの作品をつくる。その表現技法はコラージュと呼ばれます。
一般的には絵画や造形作品に対して用いられることが多いですが、ファッションもコラージュのひとつといえるのかもしれません。
株式会社トランスタイルは、メンズアパレルのOEMとレディース向けファッション雑貨のECサイト「COLLAGE」を手がける会社です。

そこで今回、「COLLAGE」の製作・運営を担うスタッフを募集します。
商品の買い付けや撮影だけでなく、Webページのコーディングやオリジナル商品の企画、お客さんの対応まで。任される業務はかなり幅広いです。
さまざまなスキルを身につけて、自分自身もコラージュしていきたい人にはぴったりの会社だと思います。
訪ねたのは、東京・日暮里にある事務所。JR日暮里駅からロータリーを通り抜けて徒歩2分という好立地だ。
3階まで階段をのぼるとドアが開け放たれていて、代表の高添さんが迎えてくれた。

特に個性的な服装でもないのに、なぜわかったのだろう。
「いや、ぼくもそこの服を持っているので(笑)」
そうだったんですね(笑)。いきなり言い当てられて、びっくりしました。
「ファッションがめちゃくちゃ好きっていうわけでもないんですよ。でも長いことこういう仕事をしているから、一目見ればだいたいわかります。歩きながらでも、人の服装とかカバンとか、手元とかも見ていますね。それはもうクセみたいなものです」
もともと繊維専門の商社に18年間勤めていた高添さん。
大手アパレルブランドに向けて、生地調達から縫製までの一貫した製品ビジネスに携わっていた。
「さらにさかのぼれば、昔はひ弱な子どもだったんです。中学1年のころからずっと診てくれていた小児科の先生がいて、大きくなってからも一緒にご飯を食べたり、相談に乗ったりしてくれていました」
その先生に大学生のころからよく言われていたことがあったそう。
「『独立しなさい』と言うんですよ。その方は県立病院の院長を務めていて、小児喘息の権威でした。ただ、県立病院の先生は公務員ですし、周囲からの圧力を感じることもあったみたいです。ぼく自身会社に入ってからもずっと、その言葉が頭のなかをよぎっていました」
社員500名ほどの規模で、安定した収入もあり、充実していなかったわけではない。
けれども、「独立しなさい」という先生の言葉が常に頭の片隅にあった。
そうして迎えた18年目。高添さんはついに決心し、0からのスタートを決めたという。
「商社で養ったOEMのノウハウを活かして、新しくお客さまを探すことにしました。国内の工場をお客さまと一緒に回ってみたり、海外の生産ルートを開拓したり。今年で12年目ですけども、基盤にはそういった前職の経験があります」

しかし、だんだんとレディースのほうに無理が生じはじめる。メンズに比べて、商品の入れ替わりが圧倒的に激しいためだ。
「これでは続かないなと思い、レディースファッションのOEMは全てストップしました。その後スタッフと相談して、4年前にはじめたのがECサイトなんですね」
立ち上げたサイトの名前は「COLLAGE」。
“自分というキャンバスに、洋服やアクセサリーをコラージュするような買い物を楽しんでいただきたい”という想いが込められている。
サイトを見てみると、主力商品のバッグチャームをはじめ、アクセサリーやレイングッズ、財布やポーチなど、幅広い商品が揃う。
「最近はイニシャルチャームの人気が高いですね。ほかの商品と組み合わせてオリジナル感も出せますし、価格もお手ごろなので、プレゼント用に購入される方も多いです」

「韓国で買い付ける理由は、安さだけではありません。1000店舗以上が集まる“なんでもん市場”と呼ばれるエリアがあって、雑貨の種類が豊富なんです」

これに加えて、商品の撮影やWebページの製作と日々の更新、問い合わせへの対応業務などもある。
年に4回のセールの際は、高添さんの奥さんが責任者を務める伊丹の物流センターに赴き、スタッフ全員で検品や配送作業を行うそう。
ざっと聞いただけでも、たくさんの業務がありそうだ。
「パソコンに向かってする作業は多いですね。あまり雑談もしないですし、ぎゅっと凝縮して働く会社だと思います。残業はほとんどありません」
とはいえ、ビジネスライクな雰囲気を感じるわけでもない。
各自が真剣に仕事に向き合いながらも、できるだけ自由闊達な空気をつくっていきたいと話す高添さん。
「うちはオリジナルの商品やパッケージもつくっています。たとえばこの間、『こういう小さな革小物に刻印機で名前入れたら面白いんじゃない?』という話になったので、来週刻印機を買いに行きます(笑)。一人ひとりが発想して、なんでもまずやってみようと思えるのは小さい会社のいいところですよね」

ECサイトではなく、リアルな場としてのお店ですか。
「そうです。店頭にちょっと立つだけでも、お客さまの生の声が聞けたりするじゃないですか。売り上げを目指さなくても、その場があるということが大事だと思うんです。谷中もとてもいい町なので、これからが楽しみですね」
高添さんは隣町の谷中に住まいを構え、歩いて通っているそう。
銀座や有楽町方面に出るなら電車で15分程度。成田・羽田両空港ともに1時間以内でアクセスできるため、海外出張時や大阪のオフィスへも移動しやすい。
古く穏やかな町並みと利便性のよさが両立しているのも魅力のひとつかもしれない。

「会社の目標としては、EC事業をますます拡大させていきたいです。ただそれだけではなくて、その人自身も目標を持ちながら、会社とともに成長していってほしいと思っています」
その高添さんが120%信頼しているというスタッフの鈴木さん。
メンズアパレルのOEMは高添さんが担当し、「COLLAGE」に関わる業務を鈴木さんがほぼひとりで担っているというのだけれど、にわかには信じられないようなおだやかな雰囲気の方。

専門学校のデザイナーコースで4年間学び、アパレル会社の企画職として入るも、感覚が合わず退社。縁あってトランスタイルに入社した。
「もともとレディースファッションのOEMの生産管理を担当していたのですが、新しくECをはじめたいというお話が社長からあったので。商品の撮影やHTMLもよくわからない状態から、手探りでなんとか形にしてきました」
いろいろなことが、未経験からの挑戦だったと話す鈴木さん。
なぜここまで続けてこられたのだろうか。
「自分のいいと思ったものを仕入れられて、それが売れるか売れないかもはっきりとわかる。売れ行きから『世のなかの人はこういうものを求めているんだな』と思って仕入れたら、あまり売れなかったりもします。その微妙な差を感じながら、ダイレクトに答え合わせできる面白さがあると思うんです」
「あとは、仕入れから撮影、ページの製作まで。だいたいのことを自分の手の届く範囲でできるところも、わたしに合っているのかなと思います」

アパレルのデザイナーとはまた違った奥深さと面白さがある仕事なのだろう。
購入したお客さんからの声も返ってくるという。
「オリジナルの袋やラッピングで商品をお送りするのですが、『実店舗で買ったみたい』と言っていただけたときはとてもうれしいですね。ECサイトの限界はあるかもしれませんが、できるだけお客さまとのコミュニケーションが生まれるようなお店にしたいと思っています」

何か思い入れのある商品はありますか?
「思い入れはあるけれど、失敗してしまったモノでもいいですか?」と鈴木さん。
「わたしがはじめて企画したオリジナル商品で、パールのブレスレットとピアスがあります。メーカーさんに依頼して、思った通りのモノができあがったのでよし!と思っていたのですが、なかなか売れなくて」

その後もオリジナル商品を企画したものの、コストと品質のバランスや色の展開によって、どうしても売れないものが出てくる。
もうオリジナルはつくらないほうがいいんじゃないか、と慎重になる時期もあったそう。
けれども鈴木さんは、「失敗した思い出が多いですね(笑)」と笑いながら振り返る。
「そういう苦い経験を積み重ねてきたおかげで、少しずつ売れるモノと売れないモノが見えてくるようになります。それは必要なことだと思うんです。このECの事業を拡大していくなかで、新しく入る人と一緒にオリジナルの商品をもっと増やしていきたいですね」

おふたりに共通していることが2つあるように感じました。
ひとつは、とにかくすぐにはじめてしまうこと。
立ち止まりたくなるようなときでも、頭と体を動かし続けてきたからこそ、今のトランスタイルがあるのだと思います。
そしてもうひとつは、コラージュを楽しんでいるということ。
初期の「COLLAGE」で販売していたのは、少数のアクセサリーやバッグのみだったそうです。そこからバリエーションが広がり、数も増え、今の多様な姿になっていきました。
作家がひとつのコラージュをつくりあげていくように、おふたりもこのサイトにいろいろな性質や素材の商品を貼り合わせ、育てあげてきたと言えるかもしれません。
そんな働き方に興味がわいたなら、応募を考えてみてください。
(2016/7/12 中川晃輔)