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44年前、スーパーマーケットの一角で「ドラッグストア」を店名に掲げた小さな薬店が札幌に生まれました。そのドラッグストアは、現在では医薬品や化粧品・日用品・食品など多くの商品やサービスを取り揃え、生活に欠かせない存在に。
お店の名前はサッポロドラッグストアー。北海道では「サツドラ」という愛称で呼ばれ続けています。

今回は、そんなサツドラのブランディングをサポートするディレクターとデザイナーを募集します。
ディレクターは、ブランディングをおこなうにあたり協力していただいているエイトブランディングデザインと社内を繋ぐ存在となります。
また、デザイナーのデザインの領域はPOPやポスターといった平面から、パッケージやサインなど立体的なものまで多岐にわたります。
地域デザインに興味のある方や、トータルでデザインを考えたいというデザイナーの方は、またとない機会になると思います。
それにしても、ドラッグストアのブランディングとはどういうものなのだろう?
エイトブランディングデザインの事務所で話を聞くことになりました。
まず伺ったのはサツドラ代表の富山浩樹さん。

「以前からデザインやブランディングに軸を置いていきたいという意識はありました。しっかりやらないと、お客さんへ伝わるものも伝わらないと思っていたんです」
「街で見るさまざまなドラッグストアの中でも、ロゴや店舗の空間が統一された場所が多くないと思ったんです。より愛されるお店づくりを目指す上で、そこを一新したいと考えました」
そんな思いから、創業より40余年脈々と受け継がれてきたサツドラのリブランディングを決意し、より多くのお客様に使用されるためのお店づくりを目指すことに。
そこで、いろんなデザイン事務所を訪ねたそうです。
「それこそ大手の会社さんにも相談したのですが、どうもしっくりこなかったんです。そんなとき出会ったのがエイトブランディングデザインの西澤さんでした。経営的感覚がいちばん合ったんですよね」
デザインや手がけてきたものではなく経営的感覚、ですか。
「デザインって単純に形をつくるだけじゃないと思うんです。経営の構造を整理して、マネジネントやディレクションを考えられ、はじめて目に見える形へ落としこむといった過程があると思っていました」
「西澤さんの話を聞いていると、その流れが非常にクリアだったんです。西澤さんから宿題をもらって、それを社員みんなで考えて、自然と答えを導き出してくれる。そんなやりとりがとても建設的でした」
そうしてサッポロドラッグストアーのリブランディングがはじまった。

「しばらくはサツドラを中心としたブランディングデザインになりますが、今後はサツドラホールディングスの下に位置する事業5つのブランディングにも参画していくことになります」
「ドラッグストア事業に限らない仕事も出てきます。今後の展望としてサツドラ以外の仕事も出てくることは頭に入れておいてほしいですね」
さらに、社長直下でデザインを考えていくので、商品や店舗ができる場面に直接的に関わることになっていく。
社長の意見が聞けなかったり、自分の声が届かなかったり。声の届き方も、大企業とはまったく異なるように感じました。
「同じチームで一緒にやっていくので、形になるもののデザインだけじゃなく、会社の枠組みなども一緒に詰めていくことになると思います」

そこで、実際にデザインにまつわる業務や部署間をつなげている立谷さんにも話を伺うことに。
立谷さんは東京や仙台を経て札幌へ移住。さらに、仕事も設計や雑誌の編集、Webデザインなど多岐にわたってきました。

その後、サツドラを理想のお店にするためにエイトブランディングデザインと一緒に形をつくっていくことに。
「とはいえ、サツドラはお店と商品を展開しているので、単純に手数も多くなるんです。店舗は380坪ほどの広さですし、プライベートブランドの開発も行っています」
「パッケージや店舗のポスター、サインなどあらゆるものを表現するので、デザイナーがここまでトータルに設計できる環境はないと思います」

「たとえば、西澤さんから伺ったことを『現在進めていることは実際こういう効果を期待していて、今はここです。足りないことはこれです』って各部署へ伝えるといったことも仕事として出てきます」
「個人ごとではなく、会社ごととして社員に浸透させる翻訳作業みたいな役割を担うとなれば、コミュニケーション能力は大事なのかもしれません」
エイトブランディングデザインと社内を橋渡しする役割もあれば、社内と社会を橋渡しする役割も求められることになるのかもしれない。
大変だなと思ったことはありましたか?
「やっぱり社内コミュニケーションは重要だと思います。医薬品・化粧品・日用品・食品と、各部門にバイヤーが複数いるんですが、売場装飾にせよ商品パッケージの開発にせよ、彼らの『こういうのが作りたい』っていう要望をまとめて形にしないといけないんです。いろんな意見を組み込んだ上で自分のフィルターを通したデザインをやり切れる力がないと厳しいと思います」

「だからこそ、やりたいことに向かって統制できる、司会進行みたいなポジションになると思いますね。デザイナーさんも同じで、たとえばウェブは強いけど他が弱い人でも、教えながら一緒に伸びていければと考えています」
現在の状況や今回募集するポジションについて丁寧に説明してくれる立谷さんをみて、まさに好きなことで楽しむ姿勢があるように感じました。
ちなみに、北海道という場所について抵抗はなかったんですか?
「他の地域と圧倒的に違ったのは、オンとオフの時間が、どちらも100%充実していることでした。東京で仕事をしていたときは、オフの時間も仕事のことを常に考えて行動していたように思います」

最後に話を聞いたのは、ブランディングを担当しているエイトブランディングデザイン代表の西澤さん。

いわゆるパッケージや店舗設計だけでは問題解決につながらないため、サツドラというブランドをトータルで考える必要があった。
そこで、エイトブランディングデザインはマネジメントサイドまで踏み込んだといいます。
「大きいフレームワークのデザインを考えたり、重要な箇所を整理するようなポジションを担ったり。要は膨大な情報を交通整理するといった役ですね」
とはいえ、現状は立谷さん一人がやりとりやチェックバックをおこなっている状況。
そこで、ディレクター的に動いてくれる人や、内部で運用されるポップやウェブサイト、日々更新していく情報を更新できるデザイナーが増えることで、より精度の高いデザインができると考えたそう。

内部の商品をデザインできるポジションと、外部の方と一緒にデザインしていくポジションの両方を担うインハウスデザイナーとイメージすれば分かりやすいかもしれない。
「僕らも気持ち的には内部のデザイン部署というポジションで動いています。でも、僕らだけでは内部の意思決定など、細かい交通整理できません」
「だから、今回入ってくる方にはデザイナーと言っても、会社をデザインするってどういうことだろう、という思考力がある人のほうがうまくいくと思います。デザインを広く捉えたい人には、こういう環境は合っているんじゃないかな」
自分がサツドラのオーナーだったら、どこをデザインしたらもっと良くなるんだろう。そんな視点でお店づくりを考えられる人が向いているように思います。

「トータルデザインをやるとなると、やったことないことを山ほどやらないといけない状況も出てきます。そこで成長するのが楽しみで仕方がない人が来て欲しいですね」
さらに、今回お店づくりのパートナーとして建築家の谷尻誠さん、吉田愛さんにも関わってもらっているとのこと。

「そういう意味では『やりたがり』の人だといいですね。言われたことしかやらない人だと物足りないので、やりたがりと首突っ込みたがり。そして、仕事を楽しめる人ですね」
最後に、サツドラ代表の富山さんのことばを紹介します。
「ブランドコンセプトにもあるんですが、『楽しむ』っていうのは大事だと思います。僕らはドラッグストア、小売業としてまだだれもやっていないことをやりたい」
「北海道という場所から、より大きなことへ挑戦し続けたいと思っていますので、目標達成を楽しめる、やりたがりなマインドの方が来て欲しいですね」

そんなトータルデザインをやりたいと思えた方は、ぜひ応募してみてください。
(2016/9/27 浦川彰太)