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ほしい暮らしをつくる 

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

西千葉には、新しい暮らしのあり方をつくっている人たちがいます。

%e3%83%9e%e3%82%a4%e3%82%ad%e3%83%bc-1 たとえば、公園の横にある空き地を活用したプロジェクト「HELLO GARDEN」。小さな畑があって、お祭りをしたり週末の遊びづくりをしたりと、何でも自分たちでつくってみることのできる、まちの中の実験スペースになっています。

ほかにも「西千葉工作室」というものづくりができる場所があります。

ここには、3Dプリンターからノコギリまでものづくりのための様々な道具が揃っていて、子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで、手頃な料金で作業スペースを使うことができます。

%e3%83%9e%e3%82%a4%e3%82%ad%e3%83%bc-1-2 この2つを企画し、地域の人たちを巻き込みながら運営しているのが株式会社マイキー。

どちらも参加する人たちが自分たちで自分の暮らしをつくることのできる場所です。

「ほしいものもサービスも“買う”ってことに頼りきりじゃなくて、各々がクリエイティブな力を持つ。自分たちで楽しみを生み出せるようになったら、もっと生活が豊かになるんじゃないかと思うんです」

そう話すのは、生活実験家の西山芽衣さん。

どうしたら自分の暮らしをもっと楽しいものにできるだろう。その方法を探したり、きっかけを生むような場所をつくっています。

今回は、西山さんのように企画から考え、実際の現場をつくる人を募集します。

なにか惹かれるものがあったら、ぜひ読んでみてください。



京成千葉線にゆられ、みどり台駅に着く。

緑町は、ベットタウンとして住宅が人気のまち。

まちを歩くと昔ながらのパン屋や本屋がある一方で、空き地はどんどん宅地にや駐車場になってしまうそうだ。

踏切を越えて少し進んだ八百屋のとなりに、西千葉工作室が見えてきた。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 中には、新聞を片手にコーヒーを飲んでいる男性や「こんなのをつくりたいんだけど」とスタッフに相談しているおじいさんの姿も見える。

工作室の横には、通路を図書館にした“トンネル図書館”。そこを抜けて扉をあけるとマイキーのオフィスがありました。

庭の見える居心地のいい空間で、2匹の猫が自由に歩き回っている。

この日お会いしたのは、左から三瓶さんと西山さんです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA この二人に加えて、もうひとりのアルバイトを加えた3人でマイキーを運営しています。
  
はじめに西山さんに、なぜこの仕事をはじめたのが聞いてみました。

「わたしはもともと、このまちにある大学で建築を学んでいました。だんだんと、建築の先にある人の暮らしや、どう生きていくのかというところに思いが向くようになり、卒業後はまちづくりの仕事に就いたんです」

観光業や文化施設の立ち上げなど、日本各地のまちから相談を受け企画提案する仕事をしていたそう。

いろんなまちづくりを見ていて、気づいたことがあったといいます。

「外から来た人がまちづくりをしていくと、まちの人たちが受け身になってしまって、おもしろい企画でも継続させることがむずかしくなってしまうんです」

また、まちの人たちが主体的に動いたとしても継続できずに終わってしまうことも多かった。

「そんなふうに提供する人、消費する人という関係じゃなくて、生活している一人ひとりが自分で考えて、自分はこう生きたいからこれを選択する。こういうものがほしいから、自分でつくってしまう」

「一人ひとりがもう少しクリエイティブでいられたら、暮らしはもっと楽しくなるんじゃないかと考えるようになったんです」

一人ひとりが自分の暮らしをつくっていく。そんな暮らしをまずは自分自身が実践していきたい。

だんだんと、ひとつの場所に根付いて、地域と関わっていきたいと考えるようになった。

そんなとき、マイキーの前身となるプロジェクトが立ち上がったことがきっかけとなって、マイキーに入社することに。

「マイキーのオーナーは、千葉出身の方です。『このまちで面白いことをしたい』という想いから、プロジェクトを継続させるためマイキーを立ち上げました」

あたらしい価値観を生む試みが収益にとらわれないよう、最初はオーナーの個人資産でプロジェクトを進めています。

そこで、はじめにつくったのがHELLO GARDENでした。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA ここはもともと空き地だった場所。どうしてこういった場所をつくろうと思ったのでしょう。

「私は学生のころに震災を経験しているので、お金を稼ぐだけじゃ最終的には命は守れないかもしれないと思ったのもきっかけの一つです。人が生きていくために最低限必要なものはある程度自分でつくれるスキルを持っていたほうがいいし、モノやサービスなどすべてお金を介して手に入れるこれまでの暮らし方は、どうしてもお金によって選択肢が決まってしまうなと思って」

「食べ物やモノもそうだけれど、週末のレジャーやお祭りのようなイベントなど、このまちで暮らしていてほしいと思ったものを何でもつくってみることができたら、暮らしが豊かになるんじゃないかと思って。なんでもできる実験場としてつくりました」

同じような想いで、西千葉工作室も生まれた。

%e3%83%9e%e3%82%a4%e3%82%ad%e3%83%bc-1-7 どちらも聞いているだけでわくわくする場所だけれど、実際にはじめてみると理想と違うこともあったという。

「お店を開けば人はすぐに来ると思ったけど、はじめはまったく人が来ませんでした」

やっていくなかで、想定しなかったクレームも出てくる。

「たとえば、HELLO GARDENでは、子どもも大人も外国の方も、いろんな人が出入りするのが理想的な風景だと思っていたんですけど、見る人によっては、自分の家の近所の敷地に不特定多数の人が勝手に出入りしているのはいやだとか。でも、その人の気持ちになってみるとそうだよなあって」

現場で起きた問題には、どうやったら描いていたものが実現できるか考える。

「スタッフがいないときは人が入れないように柵をしようか、でも、柵で閉じちゃってまったく人が入れないようにするのはちょっと違う。じゃあどこが落としどころなんだろうとか」

このときはベンチとしても使えるデザインの柵をつくり、クローズ中は敷地の端並べ、ゆるやかな「今は入れません」というサインにした。

「一つひとつ、トライアルアンドエラーの繰り返しなんです。つねに次の一手を考えています」

試行錯誤しながら、HELLO GARDEN が立ちあがって2年半経った。

だんだんと地域の人に受け入れられ、西山さんたちが思い描いていた風景が広がるようになっていった。

その一つが、週末の遊び場をつくる「HELLO TABLE」という持ち寄りのピクニックイベント。

%e3%83%9e%e3%82%a4%e3%82%ad%e3%83%bc-1-4 主催する人をつくると、その人はもてなすことでつかれてしまうから、みんなでつくっていくために持ち寄り制にした。

持ってくるものは、飲食物や特技など、みんなと共有できるものなら何でもいい。

「最初はなかなか集まらなくて、私たちが持っていくものが多かったんですけど。根気強く持ってきてほしいって声かけをしていったら、食べ物を持ってくる人もいれば、楽器を持ってきて演奏する人も増えてきて」

参加者は持ち寄るだけでなく、準備も手伝うなど、それぞれが自分で役割を見つけてくれるようになった。

焚き火をする日は、燃えうつらないように机を端に寄せてくれたりとか、小さな子が火おこしを担当してくれたりとか。

サンドイッチのように火を使わずに食べられるようなときは、みんなで囲めるよう真ん中に机を配置したり。

「今では『やりますよ!』ってアナウンスをするだけで準備が整っちゃう。自分たちが動かなくていいことが増えました」

%e3%83%9e%e3%82%a4%e3%82%ad%e3%83%bc-1-6 参加者の人たちからも「自分たちで持ち寄ったり、工夫するだけで楽しめるんだね」という声が聞こえてきた。

「最近は、ほかの地域から『自分たちのまちでもやりたいからノウハウを教えてほしい』と言われるんです。ここでやっていることがほかのまちへ自然と広がっていく。それが一番うれしいです」

%e3%83%9e%e3%82%a4%e3%82%ad%e3%83%bc-1-5 こういったプロジェクトは、具体的にどんなふうにつくられていくんだろう。

ここで、一緒にはたらくことになる三瓶さんにもお話しを聞いてみます。

「主に、西山さんが企画やデザイン、運営を。ぼくが地域や会社の方との調整やお金まわりという、お互いに得意な分野を担当しています」

「はじめに西山さんから『こんなことできたら楽しそう』というアイディアをくれるので、ぼくが企画のリスクを考慮したり、相談した方がいい人などに見当つけながら一緒に企画を練っていきます」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 「予算が必要であれば情報や知識を集め、整理して、オーナーに提案。また、地域での許可が必要なときにはプレゼンや交渉へも出向きます」

許可が下りたら西山さんがフライヤーやロゴなどをデザインし、場所の運営方法を考え現場をつくっていく。

「プロジェクトの収益を放棄しているわけじゃないんです。けれど、採算を第一に考えなくていい組織だからこそつくれる価値があると思う。収益を増やすことは、やりながら考えていっています」

そう話す三瓶さんは、もともとサラリーマンだったそう。

通勤で満員電車に揺られながら、「もっと人が幸せになる仕組みづくりにアプローチしたい」と思ったことがきっかけで今の仕事に巡り合った。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 今回募集するのは、基本的には西山さんと同じように、企画から制作、運営まで行っていく人。

まずはHELLO GARDENや西千葉工作室に立って、まちの人と話したり、現場の問題や可能性を実感するところからはじまるそう。

そこで現場の運営やイベントの企画に慣れたら、ゆくゆくは西山さんたちと同じように、自分で考えて行動していくことになる。

どんな人に来てほしいですか。西山さんに聞いてみる。

「どんどんあたらしいことをやっていきたいので、変わりたい、成長したい、面白いことに興味がありますっていう、前のめりな姿勢の人に来てほしいです」

まず大切なことが気持ち。さらにスキルはあればうれしいとのこと。

「私ももともとグラフィックや写真などのスキルなどはありませんでした。でも、面白そうだからやりたい!って企画のアイディアが先に思いついちゃうんです。そのアイディアを実現していくためにいろんなスキルが必要でだんだん身についてきたという感じなんですよね」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA まずやってみる。それを大切にしている組織なんだと思う。

「生き方についていろんな可能性を探したい。自分たちで開拓して、試してみて、こっちにも行けるよ、って前例を示していくような役割になれればと思うんです」

ほしい暮らしは、自分でつくる。

気になったらまずは、休日西千葉へ出かけてみませんか。

(2016/11/17 倉島友香)