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やさしい宿にようこそ

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澄んだやさしい緑の香りに、湿った土の感触。 朝は太陽の光で目をさまして、夜は星を見ながら眠りにつく。 肌に触れるものや生活そのものが自然に近ければ近いほど、私たちの心と身体はほっとするように思います。 訪れたのは、長野県・池田町にある“カミツレの里”。 2016-05-31-010 カミツレというのはジャーマンカモミールの和名です。9000種ほどあると言われるハーブのなかでも、江戸時代から日本で薬として用いられてきた唯一の植物。 自然豊かなカミツレの里には、カミツレ畑とカミツレのエキスをつくる工場、そしてカミツレエキスたっぷりのお風呂が名物の宿“八寿恵荘(やすえそう)”があります。 今回募集するのは、この八寿恵荘で働く料理人と、宿の運営スタッフです。 自然に寄り添った環境で、訪れる人たちと共にすこやかな生き方を目指す。そんな働き方に興味がある方に読んでもらえたらと思います。 長野県にある明科駅から車で30分ほど。 雪をかぶった北アルプスと町をはさんで反対の山のなかに、カミツレの里はある。車窓から見える秋の山々は、紅と黄色に染まってグラデーションをつくっていた。はじめて来たというのになぜだか懐かしい気持ちになる。 img_4000 車を降りると、あたりはキンと澄んだ空気。昨年リニューアルしたばかりの八寿恵荘が迎えてくれました。軒先につるされた干し柿はスタッフたちが仕込んだものなのだそう。 無垢の木のよい香りに包まれながらダイニングで待っていてくれたのは、八寿恵荘を運営する株式会社相互代表の北條さん。相互はもともと北條さんのお父さまが経営されていた印刷会社です。 img_4102 まずはカミツレとの出会いから、教えてください。 「最初の出会いは、父がこう頭がんを患ったことでした。父のがんはありがたいことに漢方と放射線治療で手術をせず完治したんです。そのときお世話になった漢方の先生が、カミツレを研究されていて」 漢方治療の縁がきっかけで、先代であるお父さまが印刷工場の片隅でカミツレエキス抽出の研究をはじめたそう。そこで開発されたのがカミツレエキス100%の入浴剤。その後35年続く“華密恋”というスキンケアブランドのはじまりだった。 _68a2695_1 当時大学生だった北條さんは、自分の父親が急にはじめた研究を横で見ていた。ときには製品の販売を手伝うこともあったんだとか。 「友達に配ると『あなたのうちは印刷会社じゃなかったの?』って言われたりしていましたね(笑)」 大学卒業後は相互に入社して、カミツレの事業から生まれたカミツレ研究所の営業として働きはじめた。 「当時はアレルギーという言葉がちょうど広まり出したころでした」 カミツレ研究所の入浴剤は保存料や香料などの合成物を一切含まない。もともとのカミツレの持つ薬効とあいまって、アトピーなどのアレルギー性疾患を持つ患者さんに必要とされているのを感じた。 北條さんはアレルギー対策の認可をもらいたいと、小児アレルギー治療の権威・千葉友幸先生のもとに製品を持って通うようになる。 その千葉先生が行なっていた、アトピー患者のための自然体験教室が今の八寿恵荘をつくるきっかけだった。 「先生は体験教室ができる場所を探していて。だったらもともと相互の保養所だったこの施設を使ってくださいって言ったんです」 ここに来ればカミツレのお風呂にも入れるし、自然とたわむれることもできる。 「そうして千葉先生が連れてきた子たちを見たとき、正直言って目をそらしてしまいました」 目をそらす? 「だって、肌が黒くひどい状態で。かわいい小さな子供が『やっとついたー』って車から降りてくるでしょ、その声は子どもなんだけど、肌は本当にひどかったんです」 目の当たりにしたのは、その子どもたちだけじゃない。 妊娠中に食べていた食品や、化学繊維のものを着せてしまったことによる子どもたちへの影響を後悔するお母さんたち。職場の建て替えで使われた合成溶剤にアレルギーを起こし、食べたいものが食べられなくなってしまった人。 衣食住から受けるストレスが、人の身体を壊してしまうなんて。 そのときのショックを、北條さんは目に涙を浮かべながら話してくれる。 その後もいろいろな医療団体の集まりに顔をだすうちに、心のストレスも病気をつくってしまうことを耳にした。 「皆さんのそういう姿、話を全部聞いて。だったらここを、心も身体も本当に安心して過ごせるところにしようと思ったんです」 昨年の5月、ストレスフリーな宿にするため八寿恵荘はリニューアルしました。 建物は地元長野の木材をつかって、玄関には土を感じてほしいと土間を用意した。かまどはマッチで火をつけて、肌に触れるものはすべて自然素材。 そのこだわりは日本初のビオホテルとして海外にも認められている。 ひとまずストレスから離れよう。そのために、ここには時計もテレビも部屋には置いていない。 新しくなった八寿恵荘では、10年以上前から続くアトピーや乳がん患者のツアーを継続している。ほかにも障害児の親子羽休めの会の開催や、小学生のキャンプ受け入れもしているそうだ。 2016-10-20-102315 一人ひとりの心をリセットする宿だから、来る人に合わせて過ごし方の提案は何通りにも変化させてきた。 たとえば、自社農園での農業体験、薪割りや大声を出すセラピー、ぼんやりと何もしないときもある。 今回募集する運営スタッフには、日常の宿の業務以外にもカミツレの里の魅力を最大限アピールできる企画を考えてもらいたいそう。八寿恵荘を舞台に、自由に提案してほしい。 のんびり季節のお散歩マップをつくったり、町の人を呼んで天体観測の会を開いたりするのもいいかもしれない。カミツレの里全体をつかったツアープランは、考えるだけでわくわくしてきます。 「私は宿の知識もなくて何かの資格を持ってる訳ではないんですが、色々な人と出会って教えてもらってきたの。それで、今の自分ができてるのかなって思うんです」 よいアイディアを聞けばすぐに採用して、実践することの繰り返し。北條さんはそうして今まで宿の運営をしてきた。 「正直言ってここは“こういう宿”って決まった文句はないんです。みなさんそれぞれで感じ方は違うだろうし。でも、それでいいのかなって思ってます」 スタッフにも、医師の先生方やお客さんの言葉を柔軟に受けとめて、学んでいってほしいそう。だから自分の仕事は決め切らないほうがいい。 今は宿のスタッフは8名ほど。ひょっとすると料理担当でも、必要とされれば接客にまわることもあるかもしれません。 話している間に、時間はちょうどお昼どき。目の前には八寿恵荘で出されている食事が並べられた。 「どうぞ、今日はちょっと豪華版のお昼ですよ。食べてみてください」 img_4023 地元のお母さんがつくっているという料理は素朴で、どこか懐かしくてホッとする味。はじめて食べるカミツレの天ぷらはいい香りがした。 「野菜は朝採れたものを中心に。私たちの自社農園のものと地域の方からいただいたもの。有機野菜がほとんどです。みそ汁とご飯だけでも、十分美味しいんじゃないかな」 どこの食卓にもありそうなのに、一つひとつを口に入れるたびに心がほぐれるのは、丁寧につくられた食材だからなのかもしれない。ああ幸せです。 「都会にいると、毎日安全な食事をとるのは難しいでしょ? だからたまにここに来て、リセットしてもらいたいんです」 調理人には季節のものを使った、まるで田舎のおかあさんがつくるようなあたたかい料理を提供してもらいたいという。すでに働いている地元のおかあさんと協力して、献立を考えたりもできそうです。 img_4016 北條さんは、どんな人に来てほしいですか? 「うちに応募してくる人は、もしかしたら自分自身もリセットを求めてる人かもしれないですね。お客さんと一緒になって自分の心と身体を整えて、ここの良さを感じてもらって。そこで感じたすこやかさを、今度は周りにも広げようとしてくれる人に来てもらいたいな」 そう話しながら美味しそうにご飯をほおばる北條さんや、窓から見える秋の風景。すべてがやさしくて、ふわっとあたたかな気持ちになりました。 八寿恵荘の日常の話も聞いてみたい。 続いて、フロントと配膳などをするお客さま担当の落合さんにもお話を伺います。 img_4036 落合さんはとなり町の安曇野市出身。自然と人との共生に興味があったことから、それを実践しようとしているカミツレ研究所で働くことにした。 「ここには家族連れ、お一人さま、いろんな方がいらっしゃいます。やっぱり皆さん共通して『八寿恵荘に来て癒されました』っておっしゃるんですよね」 それは八寿恵荘のスタッフがストレスフリーな場づくりに心を砕いているから。 「今日のお客さまにはどういうふうに接したらいいだろう、それは毎回スタッフ同士で話すようにしています」 話し合いは誰がやろうと言い出したわけではなくて、とても自然にはじまったことなんだとか。 赤ちゃん連れなら先にお布団をしいておく、杖をつかうご老人は食事会場の出口近くに座ってもらおう。小さな気づかいを一人ひとりが大切にしている。 ときには心から疲れているお客さまも訪れる。 「表情も暗くて、大丈夫かなって心配になるような雰囲気の方もいらっしゃるんです。だからといって無理に元気出してください、なんて言えないし」 難しいですね。 「静かなほうがいいかもしれない、他の人とは席を離そうかなとか、みんなで考えます。ストーブの前で『火を見てると眠くなりますよね』なんて何気ない会話をして環境をつくっていく」 「かたちには残らないものですけど、元気をもらったって言葉をもらえたりするとよかったなって思います」 img_4123 大変なことはありますか。 「人によっては早朝から夜までの勤務がつらいかもしれませんね」 でも、宿の仕事ってそういうものだと思いました。 落合さんは、難しい仕事は多いけれど、つらいと思ったことは一度もないという。 「朝は雲海と日の出が見られて、夜は星や月がとてもきれいなんです。森のなかを散歩すれば自分自身の時間を取り戻せるというか」 「自然のなかで日々の営みを感じるって、小さいことかもしれないけど生きていることなのかなって思うんです。うまく言えないんですけどね」 “八寿恵”は北條さんのおばあちゃんの名前。まるでふるさとに帰ってきたようにリラックスしてほしいと、“八寿恵荘”と名づけられました。 まずは自分もすこやかに働くところから。自然につつまれた環境で、心と身体がよろこぶ豊かな生き方を提案してみませんか。 (2016/12/22 遠藤沙紀)
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