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戦後増え続けてきた日本の人口は、2008年をピークに坂道を転がるように減っていくと言われています。人口が減っていったその先の、日本のまちはどうなっていくのでしょう。
このまま何もしなければ、活気がなくなるところからはじまって、日本のよいところを残す人も減っていくかもしれない。それは都市部や地方に限らず、全国で言えることです。
そんな未来がくるとしたら、とてもさみしい。
この状況に待ったをかけようと、地域ブランディング研究所は2013年に立ち上がりました。

地域の人と一緒に、国内外から人を呼び続けられる魅力的なまちを目指します。
今回はこの3つの視点から会社を支える営業スタッフと、まちの魅力を掘り出して国内外向けの小さな雑誌やWEBで発信していく編集スタッフを募集します。
「まち」「インバウンド」「未来」「感動体験」と聞いてわくわくできた人は、きっと思いを持って働けるのではないかと思いました。
今や世界的な観光地になった東京・浅草。
にぎやかな浅草寺から歩いてすぐのビルの中に、地域ブランディング研究所のオフィスはありました。隅田川沿いに建っているので、花火大会を見るにはもってこいの場所です。

そう話してくれたのは、大のお祭り好きだという代表の吉田さん。

「もともといろんなまちを訪れるのが大好きでした。日本も海外もバックパック一つでまわったりしてましたね」
大学在学中に、友だちとヒッチハイクで日本をまわる旅に出たときのこと。
旅先にあったのは、田んぼの横をさらさらと小川が流れ、ひぐらしが鳴くなか夕日を浴びる静かな田舎のまち。それは故郷広島では当たり前の、懐かしくなる風景だった。
「自分にとっては当たり前の田舎の風景に、東京出身の友人はすごく感動していて。東京とくらべてコンプレックスにも感じていた自分の地元を、誇りに思いはじめるようになりましたね」
ヒッチハイクをすれば誰かしらが車に乗せてくれて、ときには一宿一飯の面倒をみてくれる人もいた。道ばたで野宿をしていて、トラクターに乗ったおじさんに起こされたこともあったんだとか。
お世話になったという思い出話は尽きません。
「『お兄ちゃんどこから来たんだ!』みたいに聞いてくれる、地域の人からの愛情も含めて、まちっていいなって思いましたね」
その一方で、地域の現実も目の当たりにした。
「シャッターを下ろした店だらけのまちや、爺ちゃん婆ちゃんしかいないまちもたくさん見ました。これから人口が減っていったら、私が感じた地域の良さがなくなってしまう。それってすごくもったいないなって思ったんです」
その想いから、吉田さんは息の長いまちづくりを目指しはじめました。
たくさんの人が集まることによって生まれるまちの活気を、日本にもつくれたら。
エリアマーケティングの仕事や、映像作品のロケ地として地域をブランディングする仕事を経験した後、吉田さんは独立する。

とはいえ、吉田さんの考える仕掛けってどういうことなんだろう。
「結局そのまちで心が揺さぶられたかどうかというのが大事だと思っていて。そのためには見るだけのまちでは駄目だと思うんです」
見るだけでは駄目。
「いくら美しい景色があっても、写真を撮って『はい次行きましょう』で終わっては意味がない。そこにプラスαがあってはじめてリピートしたいと思えると思う」
「まちの最大のポテンシャルは人だと思うんです。まちのファンをつくるためには『あの人に会いに行きたい。あの人のつくるものが食べたい』という気持ちが、とても大事な要素だと思っています」
その気持ちをつくるために、吉田さんはまちの施設や店を舞台にした体験プログラムを考えたり、まちにいる人を紹介する雑誌を企画したりと、さまざまな活動をしています。
「体験プログラムでは、レクチャーする人との交流も生まれるし、見るだけでは得られないワクワクやドキドキにつながったりするでしょう」
たとえば、まちのお寿司屋さんの大将と一緒にお寿司をにぎったり、お祭りに参加したり。

それって、吉田さんがいろんなまちで実感してきたことなんだと思います。
地域ブランディング研究所で、海外向けの仕事を担当しているのがインバウンド事業部です。
ここでお話をうかがったのは北澤さん。学生のころに代表の吉田さんに出会って、インターン生のころから海外出張にも同行していました。

「簡単に言うと海外の旅行業者さんに、日本にこんないい体験施設があるよ、いい和食屋さんがあるよという紹介をしています」
言ってみれば、国内のお店や施設と、海外のお客さまとの仲介役。
昨年からは、Attractive JAPANという外国人旅行者向けの日本文化体験予約サイトの運営をはじめました。
たとえば忍者のコスプレ体験をしたいと思う海外のお客さまが、まちの小さな写真館にクリック一つで予約ができる。
2、3ヶ月に一度は担当しているアジアの数カ国に出張に行き、旅行業者をまわってヒアリング。日本のさまざまなスポットを紹介しながら、各国の旅行者が今何を求めているのか、肌で感じる時間を大事にしています。
「商談の際の英語スキルは問いません。片言でも、ボディーランゲージをフル活用して、どれだけ『いい情報持ってきたよ!』って伝えられるかが大事です」

最近担当した、あるプログラムについて話してくれました。
「日本のゲームでマリオカートというのがありますけど、自分たちがそのゲームの中のキャラクターになりきれるお店があるんです。衣装まで着て、国際免許を持っていればマリオカート型の車で一般の公道を走れるんですよ」
品川駅から一駅の北品川駅のちかく、お世辞にも観光地とはいえない場所にあるお店だと言います。
そんなお店があったとは!おもしろそうです。
「僕はたまに見たことがあって、おもしろいなって思ってたんです」
おもしろそうだと思ったお店には直接おとずれてみる。社内メンバーに共有して、掲載したいと判断されれば施設に声をかけにいきます。
「お店に行ってみたら、すでに外国人のお客さんがコスプレをして順番を待っていて。観光案内にも載っていないところなのに、すごいですよね(笑)。これは日本じゃなきゃ体験できないことでしょう」
Attractive JAPANに掲載してみたところ、リオ五輪閉会式の安倍首相のパフォーマンスの影響もあって、今では相当な人気施設になっているそうだ。
日本人でも知らない人が多そうなのに、外国から来た方は知っていて。観光地じゃなくても人が集まってくる。なんだか不思議に感じます。
「日本には私たちが気づいていない魅力的なスポットが、まだまだ眠っていると思うんです」

ひとまずまちの商業施設から、ゆくゆくはまち全体に人が流れていく仕組みをつくりたいと考えているところ。
最近は富山の南砺市からの依頼で、かまくらを利用したバーを目玉に、地元の農家さんと一緒に田植えをしたり、イワナ捕りをしたり。通年で南砺市に人を呼び込めるプログラムを考えているのだそう。

働いていて大変なことも聞いてみます。
「僕たちの仕事って、正直答えがないんですよね」
答えがない?
「ニーズに応えるためには、海外や国内の情報を絶えず収集しつづけないといけない。かつそれをわかりやすく伝えつづけるということに“ここまででOK”という答えはないんです」
海外に住む友人とつながるSNS。プライベートで訪れた旅行先。ときには出勤した浅草のまちでも。
外国人が必要としていそうなコンテンツがないか、いつもアンテナを張っている。
まちのファンをつくるための方法はきっと一つじゃなくて、自分から考えて動きつづけないといけないのだと思う。
なんだか、まちに眠る魅力を見つける、宝探しのようだと感じました。
今回営業職とは別で募集している編集スタッフも、まちのお宝を掘り出して、わかりやすく伝えていってほしい。
MACHIBRAという小冊子は、スタッフが現地をとにかく歩いてリサーチしたスポットを、一つのまちごとに紹介しています。
清澄白河の回では、私たちがいるリトルトーキョーも紹介していただきました。

「地域の人たちが自分たちのまちに自信を持って、自ら外に向けて活動していけるようになればいいですよね。そんなスポットを全国につくっていけるように、仕掛けをどんどん考えていきたいな」
地域ブランディング研究所では、まちづくりに興味のある学生向けの、セミナーや職さがしのマッチングなどもしています。
自分たちでまちの魅力に気づいて、発信できる人も育成できたらと考えている。

いずれは自分の好きなまちで活躍できる人になってほしい。学びの場として、いろんなチャレンジができそうです。
今回募集する営業職は大きくわけて、国内、海外、人材育成という3事業部のどこかに配属されることになります。
各事業部がやっていることは違うけれど、目指している方向はおなじ。
人が集まるまちづくりで、日本の未来をまもりたい。
ここで、思いをもって働ける人をお待ちしています。
(2017/2/15 遠藤沙紀)