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「ここでバーベキューしたり昼寝していると、鳥の声が聞こえたり風が通り抜けるのを感じたりするんです」「東京でも鳥が鳴いているし、風も吹いているんだけど、心地よいと感じる余裕や感覚がなくなっていたりする。忘れかけている人間のセンサーみたいなものを、ここでもう一度呼び戻せたらと思っているんです」

自然に触れることで、ふっと自分の気持ちをリセットできたり、誰かと一緒にリラックスできることってありますよね。
理屈ではうまく説明できないけれど、暮らしや心を豊かにしてくれるもの。
そんな自然をもっと身近に感じられる機会をつくりたい、いろいろな人が出会い楽しく過ごせる場をつくりたいと考えているのが、株式会社ピカです。
富士山周辺を中心に宿泊施設やレジャー施設を運営するアウトドア事業と、地元の食材を使ったレストランや道の駅、お土産屋さんを運営する飲食物販事業の2つを軸に成り立っています。
今回はここでITの専任担当として、アウトドア事業全体をバックアップしていくエンジニアを募集します。
毎日机に向かうような感じではなく、自然や現場で働く人たちにもふれながら働くことになりそうです。
一見かけ離れてみえる、アウトドアとITの世界。2つを掛け合わせてどんなことができるのか、話を聞いてきました。
新宿から高速バスに揺られて1時間半。富士急ハイランドを過ぎたら、あっという間に河口湖駅についた。
新しく入る人は、富士急行線で2駅先の富士山駅にある事務所で働くことになる。ただ、今はあいにく拡張工事中とのこと。
今回はピカが運営する9つのアウトドア施設のうちの1つ、PICA富士西湖でお話を伺うことになりました。
敷地内を歩いていくと、コテージの前でアウトドアリゾート事業部の与茂(よも)さんと関口さんが待っていてくれた。

事業が立ち上がったのは1995年。親会社は富士急行という鉄道会社だ。
バブル崩壊後に円高が進み、輸入事業が盛り上がるなかキャンピングカーの輸入が増えはじめた。
「同時に、オートキャンプがブームになったんです。車でキャンプ場に乗りつけて、車の横でテントを張ってというスタイルですね」

「テント張ったり、ご飯つくったりするのが大変疲れると。休みにきているのに、疲れにきているみたいになってしまう。なんとかならないかという話が出たそうです」
「オートキャンプが流行するまでは、キャンプはレジャーではなく企業の研修とか、学校の体験学習でやるようなものでした。定着させるためには、家族連れだけでなく女性のグループとか若い人たちがやってくるような施設にならないといけない」
そんな想いから打ち出したのが「ハイヒールでもいけるキャンプ場」というコンセプト。
道を舗装し、宿泊施設もあえて家族向けではないデザインにした。今グランピングと呼ばれているようなことにも、キャンプ場をはじめた当初から取り組んでいたという。

与茂さんは前職でもアウトドア関連の会社に勤めていて、若い頃から約20年間アウトドア一筋なのだそう。
どうしてこの会社に入ろうと思ったんですか。
「子どものころからボーイスカウトをやったりして、外で遊ぶことって僕には特別なことじゃなかったんです。でもそれが、施設に来るお客さんにとっては『すごくいい』って言ってもらえることだったりする」
たとえば、コンビニで買ったおにぎりを河原で食べるだけでもリラックスできるし、一緒にいる仲間とも普段はしないような話ができたりする。
暮らし慣れた生活を抜け出すと、いつもとは違う環境やコミュニケーションが生まれる。
「人間って視野が狭くなるほど、バランスが取りにくくなる。だからいろんな部分で見方を変えられることって大切かなと思うんです。アウトドアではそういう体験ができる」

自分のことを話すのはあんまり得意じゃない、と少し照れくさそうに話してくれた。
今回、エンジニアを募集するのには理由があるといいます。
それは基幹システムやフロントの予約システムなどがかなり古くなって、使いにくいということ。
もともと外注でつくったシステムで、与茂さんが窓口になってメンテナンスなどを続けてきた。けれども専門的な知識がないので、いろいろと判断が難しいそうだ。
システムの入れ替えを考え、社内でIT戦略チームを発足。メンバーは4人で、与茂さん以外は前職での経験があったりITに詳しい人たち。
とはいえ、それぞれが宿泊施設の業務と兼任しているので、なかなか集中して進めることができないそう。
それなら、またシステムを外注すればいいような気もするのだけど。
率直な意見を口にすると、同じくIT戦略チームの関口さんが答えてくれた。
「もちろん新しいシステムの導入も急務ですが、それだけではなくて。ITで経営戦略をバックアップするというか。キャンプ場や物販がうまくまわって、働く人のモチベーションを上げるための仕組みを一緒に考えてほしいですね」
仕組みから考える。なるほど、だからしっかりと腰を据えて考えてくれる人が必要なんですね。
「話だけ聞くとすごい難しく感じるかもしれないけど、丸投げするつもりはないし、チームで考えていきます。知識を持ち寄って一緒にやってみましょうって感じですね」
具体的には、どんなパッケージを導入するのがいいか調べたり、効率よくデータを収集するためのツールなどもどんどん発信してほしいとのこと。
そのほか、いわゆる社内SEとして開発をマネジメントしたり、ヘルプデスクのような役割も担うことになる。
「でもまずは現行のシステムや運用の仕方を知るために、各拠点をまわって実際に現場で働いてみることになるかな。せっかくアウトドアの会社にいるんだし、そういうことも楽しみながら現場の人とコミュニケーションをとってくれるといいなと思います」
そう話してくれた関口さんは、実はITの世界にいた人。独学でプログラミングを勉強して、フリーランスのエンジニアとして働いた経験を持つ。

働いてみてどうですか。
「僕はずっと東京でしたけど、暮らしで不便なことはないです。お店が早く閉まっちゃうくらい。仕事はいろんな経歴の人がいるので面白い。生き物の生態に詳しい人や、飲食やってた人、自分みたいにITやってた人とか。新しい価値観や考え方を知れて楽しいです」

「うまくできないことやわからないことがあるときに、そこで止まるんじゃなくて、どうしたら解決できるのかを考えてほしいんです」
これは職種に関係なく、必要なことだそう。たとえば、関口さんがいるPICA秩父ではこんなことがあった。
「コテージが100棟あるんですけど、繁忙期になると自社の清掃担当だけでは毎日の掃除が追いつかなくて、宿泊できる部屋を減らしていたんです」

依頼するだけなら簡単だと思うかもしれないけれど、いざ40棟の清掃をお願いしてみると時間内に終わらないことがわかった。
「チェックインに間に合わなそうであれば、支配人や清掃担当以外のスタッフも清掃に入りました。やり方や仕組みをイノベーションして、今では自社の清掃担当と外注業者だけでまわせるようになりましたよ」
時間や人手が足りないことを言い訳にしない。新しく入る人も、関口さんのように自分にできることを考えながら、目の前の問題を一つずつ解決していけるといいんじゃないかな。
「あと大変なのは…与茂さんかな(笑)」
与茂さんですか?
「たとえば現場から新しいプランやアイデアを提案したときに、与茂さんのところで練り直しになることがある。突破するまでが大変かな」
与茂さんに、その真意を聞いてみる。
「考えが浅いなと思うときには戻すことが多いかもしれない。本当にこれやりたいと思ってるの?とか、やれって言われたからやってるだけ?とか感じたときかな」

お互いに思うことを正直に言い合える与茂さんと関口さんの関係は、なんだか見ていて気持ちがいい。
さまざまな角度から想像し、考えを巡らすことを楽しめる人がいいのかもしれません。
「そのぶん、クリエイティブな仕事ができると思いますよ」と関口さん。
「どんなコテージを建てるか、どういう料理をつくったら喜んでもらえるか。年齢や役割を問わず、どんどん現場から発信しています。ITの仕事でもスタンスは変わらないと思います」

「共働きで子育てをしているから、家で仕事したいっていう人もいるかもしれない。ちゃんと成果を出せるなら、働き方も一緒につくっていきたいと思います。中の人から言わないと変わらないから、そういう意味ではわがまま言ってください」
「アウトドアの仕事自体、ビジネスモデルとして出来上がったものがあるわけではないので、もっと多様性を持っていきたいですね。既成概念を一緒に崩していきたいです」

気になったら、まずはぜひ与茂さんや関口さんと話をしてみてほしいです。仕事も自分らしい働き方も、ここで実現してみませんか。
(2017/2/22 並木仁美)