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ふるさと探しのサポーター!

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

もし地方で暮らすとしたら、どうやって地域を決めますか?

自分の生まれ育った場所、観光で訪れて好きになった町、はたまた全く知らない遠く離れた地域。

ほかにも、家族の意向や自分の趣味、仕事や交通の便など。

「移住」したい理由や希望する条件は、人それぞれ異なると思います。

そんなひとりひとりの「想いを聞く」、そして、その人に合った地域を一緒に探して「人と地域をつなげる」、それがNPO法人ふるさと回帰支援センターの仕事です。

相談_静岡4 そこで活躍しているのが、無料で移住相談に乗ってくれる各県専属の相談員。

このふるさと回帰支援センターで、青森県、山形県、富山県、徳島県、静岡県の専属相談員、北海道移住相談員補助を募集します。


JR・地下鉄の有楽町駅を出たすぐ目の前にあるのが、東京交通会館。

オフィスビルとしてだけでなく、全国各地のアンテナショップや飲食店などが入っていて、いろんな空気が混ざり合っている場所だ。

NPO法人ふるさと回帰支援センターは、このビルの8階に事務所を構えている。

「現在、38府県1市の相談員が相談対応を行っています。地方での仕事探しや物件探しなど具体的な相談に対するアドバイスから、漠然とした移住のイメージをすこしずつ形にしていくお手伝いまで、幅広く対応しています」と紹介してくれたのは、相談員の主任を務める宗像さん。

P1060797 ここには全国各地の移住に関するパンフレットや雑誌、体験ツアーなどの情報が集まっていて、移住に関心のある人であれば誰でも気軽に立ち寄り、資料を手にとれるようになっている。

また、週末を中心に移住セミナーや相談会が頻繁に開催されているため、都心にいながらにして地域暮らしの具体的なイメージを膨らませることができる場所でもある。

セミナー和歌山県1 「相談員の間で、県をまたいだ横のつながりがちゃんとあり、とてもフレンドリーな環境です。知らないことや困ったことがあっても、みんなに聞くことができる。だからひとりで抱え込む必要はありません」

それに、相談にくる人はみんな、暮らし方も働き方も、やりたいことも様々だ。わからないことがあっても、必ずしもその場で答えを出さなくてもいい。

「まずは話を聞くこと。その情報をもとに他の相談員や各地域の自治体に問い合わせたり、自分で調べたりして、ひとつずつ答えを返していく。それが相談者さんたちへのアドバイスになり、わたしたちにとっても勉強になります。また、移住希望者を受け入れる地域側も、わたしたちが相談者の声を届けることで、一緒に考えて学んでいくことができます」

宗像 NPO法人ふるさと回帰支援センターがめざす、「想いを聞く」「人と地域をつなげる」とは、たとえばどういうことなのだろうか。静岡県、長野県、愛媛県、3名の県専属相談員の方々に話をうかがった。

静岡県の相談員である宮嶋さんは、ある相談者の話をしてくれた。

P1060822 「静岡県にUターンしたいけれど、生まれ育った町ではなく、観光が盛んなところに住んでみたいという相談でした。そこで一緒にいろいろと調べて、各地の移住セミナーにも出てもらいました」

「そうしたら、『わたし、静岡のことを全然知らなかったみたいです』っておっしゃったんです」

出身県でも、知らないことがたくさんあったんですね。

「そうなんです。静岡と言っても広いですし、今まで知らなかった地域のことを知れたことが嬉しかったみたいで、わたしも嬉しくて。その後、その相談者さんの移住が決まりました。受け入れ地域側のみなさんからも、『こんなにいい人を紹介してくれてありがとう!』と連絡をいただきました」

「そこはもともと、移住に対してそれほど熱心ではない自治体だったのですが、その方の移住をきっかけに、前向きな取り組みがはじまりました」

DSC_8735 そもそも相談員になるきっかけは、息子さんの卒業文集にあったという。

「息子が小学6年生のときに静岡から東京に引っ越してきました。都会の環境になじみ、楽しそうに暮らしていますが、中学校の卒業文集には『ぼくの夢はサッカー選手になることと、静岡に帰ること』と書いてあったんです」

「『川で毎日うなぎをとったりするのが大好きだった。だからぼくは、将来静岡に戻りたい』と。それを見たら、鳥肌が立ってしまって」

このことをきっかけに「静岡の良さを伝えたい」と思うようになったそうだ。

「とはいえ、地域愛が強くなりすぎるのもよくないと思います。地域にはいいところもあれば悪いところもあるので、そこはできるだけフラットに見れるほうがいいです」

その土地に暮らす人だからわかる風土や魅力もあるだろうけど、客観的な視点も欠かせない。

宮嶋さんのように、静岡県出身者で、かつ一度は別の土地で暮らしたことのある人は相談員に向いているのかもしれない。


三澤さんは、テレビ制作やNPOなどの仕事を経てふるさと回帰支援センターにやってきた方。日本仕事百貨の記事を見つけて、長野県の相談員になった。

P1060807 「前職で取材をする仕事もしていたので、人の話を聞き、まとめ、伝える、といった経験はあり、職歴を活かせると思いました」

「ただ、実際にやってみると、想像以上に大変でした。相談員の仕事は取材と違い、自分の聞きたいことだけを聞けばいいわけじゃないんですよね」

相談員にとっては毎日のように訪れるなかのひとりでも、相談者本人にとっての移住は大きな決断になる。熱い想いを受け止めると同時に、冷静なアドバイスも心がけなければならない。

そう前置きしたうえで、嬉しかった相談対応としてこんな話をしてくれた。

「ある夫婦の相談で、いずれ長野の田舎で子育てをしたい、登山が好き、交通の便は悪くないところがいいなど、熱心に伝えてくれて。私からは麻績村(おみむら)という小さな村を紹介しました」

「県外にはあまり知られていませんが、長野市と松本市のどちらにも1時間ほどで行けて、電車からは善光寺平がよく見える、眺めのいい場所です。さっそく村に連絡をとり、現地視察に訪れたふたりはとても気に入ってくれました。彼らは知らなかったけれど、実はぴったりの場所。そんな場所におふたりをつなぐことができたのは嬉しかったですね」

移住への関心の高まりに呼応して、移住希望者受け入れのために地域側も本気で試行錯誤している。

他の地域での成功事例を踏襲するだけではうまくいかないことが多く、規模や特性を考慮した、その地域ならではの打ち出しが必要になる。

そうした地域ごとの取り組みにおけるアドバイスも相談員の役目だ。

「実際のところ、相談対応業務のほかに、県や市町村の担当の方とやりとりする業務は約半分を占めています」と三澤さん。

「『どうやって移住の受け入れをしたらいいの?』『セミナーのチラシはどうやってつくろうか?』という地域からの相談に対して、他の地域の取り組みを紹介したり、アイデアを出したり、一緒に考えたりすることも大事な仕事です」

三澤さんのもとには、相談者の来訪はもちろん、長野県各地の自治体の方からの連絡や取材の依頼が絶えない。

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愛媛県の相談員である松岡さんは、もともと新聞記者をしていた方。

東日本大震災がきっかけで、両親が暮らす地元の愛媛に帰ろうと考えたそう。

P1060848 「取材で被災地に何度も足を運びました。故郷を追われた人たちに出会うたび、愛媛のことを強く想うようになりました。それで転職活動をはじめたんです」

しかし、当時は新聞記者のスキルをそのまま活かしたいと考えていたため、愛媛でできる仕事がなかなか見つからず、Uターンを断念してしまったという。

そんなとき、ふるさと回帰支援センターの存在を知った。

「Uターンで悩んでいるときに、アドバイスしてくれる人がいたら。自分みたいに迷っている人の力になれたらいいなと思ったんです」

移住相談員となった今、記者の経験を活かして、県や市町村・支援機関などに対して「コンシェルジュ通信」という新聞を隔週で発信している。

「愛媛は県自体の本格的な取り組みが始まったばかり。そんな中、伊予市が東京で開催した移住イベントの特集記事を載せたときに、宇和島市の人たちが『うちもやる!』と言ってくれて。“宇和島大作戦”というイベントが実現したんです。そうやって取り組みが伝播していくのはいいですよね」

P1060772 愛媛県の場合は、県内での事例がまだまだ少ないため、自治体から相談を受けて企画段階から関わることも多いそう。

「急遽、1ヶ月後にセミナーを開催することになり、現在大急ぎで企画しています。テーマは“空き家改修”についてです。実は、愛媛は空き家率が全国でも2番目に多いんですよ」

「ただ、空き家の改修にはお金がかかるので、DIYでうまくやられている方を1週間ぐらいで探して、すぐに出演依頼のお声がけをして。ついさっきご本人とお話しして、『やりましょう!』と快諾していただいたところです(笑)」

いろいろなエピソードを嬉しそうに話してくれた松岡さん。

相談員自身のふるさとへの強い想いが、こうして人と地域をつなげていくのかもしれない。


ふるさとへのUターンを考える人にとってはもちろん、出身とは別の地方に移り住むIターンを考える人たちにとっても、県専属の相談員がすぐそばでサポートしてくれるのは何より心強いことだろう。

センター受付 最後に、ふるさと回帰支援センターの相談員スタッフ全員から。

「相談者さんや地域の方々と、一緒に悩んで、笑って、地域づくりに携わることができる、やりがいのある仕事です。わたしたちと一緒に、盛り上げていきましょう!」

(2017/2/5 中川晃輔)