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新天地の味わい

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

どこまでも続く、のどかな丘の風景。

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どこかヨーロッパの町のような独特な風景を見られるのは、北海道にある美瑛町(びえいちょう)です。

麦、ジャガイモ、玉ねぎ、トマト、人参、アスパラ、ビート… さまざまな作物が育つ畑が色とりどりの「パッチワークの丘」の景色をつくりだしています。

この景色と美味しい食材を旅の目当てに毎年約150万もの観光客が国内外から訪れ、移住先としても人気の地域です。

今回は、そんな美瑛町で農家さんのお手伝いをする人を募集します。

環境を変えて新しいことをやってみたい、農業を学びたい、一度でいいから北海道で過ごしてみたい、お試し移住をしたい。応募するにはどんな理由でも構いません。

 

美瑛はどこにあるのかというと、北海道の真ん中よりやや北、旭川市の近くです。

旭川空港から車で約15分、旭川市の中心市街地からは車で約30分と、とてもアクセスのいい場所。

はじめての冬の北海道なので意気込んで行ったけれど、気温がマイナス12度でもちゃんと着込めば大丈夫なくらいでした。

美瑛に到着して最初に話をうかがったのは、写真左からJAびえいの山田さんと美瑛通運株式会社の山岸さん。

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今回募集する農作業ヘルパーは美瑛通運が雇用主となります。

どうして運送会社が?と思う人もいるはず。美瑛通運は昔から農家さんが出荷する農作物を運んだり、農協から肥料を運んだりと、農業とは昔からとても馴染みのある会社です。

ここからJAびえいの山田さんを中心に、美瑛の農業について話をうかがいます。

「美瑛ってもともと畑作地帯なんですね。1万1600ヘクタールの農地に芋があって、麦があって、ビートがあって、豆があって。水田もあるけど大半が畑です」

専業農家の人は1戸当たり平均35~40ヘクタールもの広い農地を持ち、ゆるやかな丘陵地形を活かした大規模な農業を営んでいるのだそう。

健全経営の農家さんが多いのは、おいしい農作物をたくさんの量つくることができるから。

「美瑛は寒暖の差があるから糖質が上がって、いいものができる。昔から美瑛のジャガイモは評判ですよ。カルビーのポテトチップスの原料になる芋も古くから作付しています。アスパラ畑の面積は北海道の中でも1番2番に多く、トマト栽培面積も北海道で上位です」

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ほかの北海道の産地に比べて、育てている作物の種類が多いのも美瑛の特徴です。

そんな美瑛の美味しいものをより広く伝えていこうと、JAびえいは全国でも珍しいアンテナショップ「美瑛選果」をオープン。

旬の野菜や加工品を販売するだけでなく、ミシュランで一星を獲得したフレンチレストラン「ASPERGES(アスペルジュ)」や地元の小麦粉でつくるパン工房も建物の中に入っています。

「美瑛は道内からの観光客も非常に多いので、そういった方々にも気軽に来ていただけるように、北海道を代表する三ツ星シェフの中道さんと共同でASPERGESを立ち上げました。町内でできる野菜を一流のシェフたちのコース料理で味わっていただいて、その野菜を買って帰っていただこうと」

「美瑛でとれる『ゆめちから』という小麦は渋谷VIRONの西川さんに大変気に入っていただいて、この小麦粉のポテンシャルを最大に引き出したパン工房をつくりました。ここのパンはわざわざ東京にまで送って売っているんです」

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新千歳空港で大人気のコーンパンも、美瑛選果空港店舗内でつくっています。

こうした美瑛選果の活躍おかげで、美瑛には全国各地から食材を扱いたいと問い合わせが増えているそう。さらに美瑛の美味しい食べ物を打ち出していこうと、JAびえいは他社数社と共同で東京に営業事務所を立ち上げる予定です。

 

ここまで広がりを見せているのは、実際に食べた人の「美味しい」という実感があるからこそ。

そして、そんな美味しい農作物を丹精込めてつくっているのは農家さんだけではありません。

美瑛では5年前から、全国から集まる農作業ヘルパーが活躍しています。

ヘルパーという名前が付いているけれど、実際はお手伝いというより大きな実戦力。農作業ヘルパーなしではやっていけない農家さんが数多く存在します。

「うちは大正2年に入植して、私で4代目。いまは農業の厳しい時代だし、もうそろそろと思う歳だけど、若い人が来られたら仕事も明るくなって、気持ちも若くなるから、まだしばらくやれるかなって。若い人と一緒に毎年楽しんでやっているんです」

そう話すのは農家の柴田さんです。

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柴田さんは25丁の畑でジャガイモやビートなどさまざまな野菜を育て、12棟の大きなビニールハウスでトマトを栽培しています。

数年前にはじめたハウス栽培でのトマトづくりはとても順調で、年々棟数も増やしているのだそう。それができるのも農作業ヘルパーが来てくれるから。

今年で65歳。畑の縮小を考えはじめる年齢だけれど、農作業ヘルパーが来てくれる限り1年でも多く続けたい気持ちだという。

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農作業ヘルパーの春から夏にかけての作業は、柴田さんのように主にトマトを育てる農家さんのお手伝いになります。

種から苗を育て、ポッドに土を詰めて植え直す作業を成長段階に沿って何回か繰り返す。しばらくして大きくなった苗を今度はハウスの中の畝に定植。しっかり上に伸びるように、垂らした紐で縛って成長を待ちます。

収穫するときはハサミでヘタの上部を切り取る。荒い切り口だと出荷するときにほかのトマトを傷つけてしまうから、丁寧に慎重に作業するのだそう。

一見、軽作業に思われがちだけど、実際は大変なことも。中腰での作業が続くし、真夏のハウスの中の気温は40度近くになる。

ただ、農作業がはじめての人でも問題なくやっていけるという。最初はキツさを感じても段々と体が慣れてくる。体力的にダメだったという人はこれまでいなかったそう。

「うちに来てくれるのは毎年2〜4人。2週間ほどしたら仕事はすぐ慣れるようです。はじめて受け入れるときは、都会から来てこんな百姓の仕事をよくしてくれるな、大丈夫かなって心配で見とったんだけどね。全然心配いらんかったですよ」

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農作業ヘルパーは同じ農家さんに半年や1年お世話になるから、自然と仲が深まっていくそう。柴田さんも毎年農作業ヘルパーがやってくる時期が楽しみだといいます。

「都会から若い人が来たら、たくさんおしゃべりしてね。ヘルパーさんはどこから来たとか、最初はそんな話をして気持ちを溶け合ってね。名前を呼び合って楽しく仕事したら、自分の気持ちも若返るし。結構楽しくやってるんですよ」

JAびえいの山田さんから聞いた話だと、柴田さんご夫婦は優しくて面倒見がよく、農作業ヘルパーからも人気の農家さんなのだそう。

柴田さんも「来てよかったなと心から思ってもらえるように」心がけているという。

単に労働力を提供してもらうような関係だと、つまらないですもんね。

「そうだね。もちろん忙しくなるときもあるけど、それでも冗談言いながら、笑いながらね」

「だから10月の暮れで帰られたらガッカリして寂しくなっちゃってね。そのあと1回くらい電話するんだけど、2回はうるさがれるかなって(笑)早く来年の春が来ないかなって、いまはもうそろそろの時期だから楽しみなんです」

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美瑛に農作業ヘルパーとしてやってくる大半の人は農業が未経験。みんな本当にさまざまな目的を持って、美瑛で充実した暮らしを送っているという。

たとえば札幌市出身の方はもともとオランダで15年間和食の料理をしてきたシェフで、自分のお店をオープンさせる前に野菜はどんな人がどんなふうに育てているのか勉強しようと、美瑛にやってきたのだそう。

ほかにも冬は山形の蔵王でスキーインストラクターとして働き、夏になると美瑛で農作業ヘルパーをする人や、小学生のころ5年間だけ住んでいたことから北海道でもう一度暮らしてみたかったという人も。

農作業ヘルパーの仕事を通じて地元の農業法人に就職する人や、前職の経験を生かして保育園で働きはじめる人など、仕事を見つけて定住を決めた人もいます。

お試しに半年間だけ来てもいいし、もっと美瑛に住みたいと思うなら1年ごとに契約を更新し続けることもできる。

今年の4月で4年目をむかえる長南(ちょうなん)さんは、この仕事にどんなことを感じているのだろう。

加工工場の仕事終わりに、町内のカフェで話をうかがいました。

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出身は石狩市。美瑛にやってくる前は富良野で2シーズン農作業ヘルパーを経験したのだそう。

もともと農業に興味があったわけでなく、以前は札幌でアパレルの販売員をしていたり、救急病棟で看護師の助手をしていたといいます。

「販売員の仕事って売上の数字に追われるばかりで、看護師の助手も資格があるわけじゃないから同じ仕事の繰り返しで。この仕事をずっとやって歳を取っていくのかなって、30歳のときに漠然と思ったんですよね。そうしたら自分の人生がつまらないなっていうか、もうちょっと違うことをしてみたいと考えて」

そんなときたまたま富良野の農作業ヘルパーの仕事を知った。病院という箱の中で時間も関係なく、季節も感じることもなく働いていた長南さんにとって、太陽の下で植物に触れながら働ける農業が新鮮だったという。

そして実際に働いてみると、トマトの収穫から草刈りまで何もかも新鮮で、農業にハマってしまった。長南さんは通年雇用をしてくれる美瑛に移り、1年目はさきほどの農家の柴田さんのもとで働きます。

「富良野では収穫地を転々としていく感じだったけど、美瑛は定植から収穫までの半年間ずっと成長を自分の目で見ることができる。はじめからおわりまで携わることができるっていうのは魅力的だなと思います」

冬の間は野菜の加工工場での作業が主な仕事です。この日は、機械で剥かれた玉ねぎの傷んだ部分を包丁でカットする作業を、8時間続けていたのだという。

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淡々としていて根気のいる仕事だと思うけれど、長南さんは少しでも工夫できる部分を探しながら楽しんでいる様子。

「ここは、できるようになると認めてもらえるというか。農家さんや職員さんが期待してくださっているんだなって感じることがあって、それで嬉しくなってまた頑張ろうって気持ちになる」

「いまはまだ仕事を覚えている最中なので、あと2〜3年は続けてできるようになりたいです。仕事場は本当にいい人ばかりだし、好きだからやっている感じです」

長南さんはどんな人がこの仕事に向いていると思いますか?

「人が好きとか、自然や土に触れることが好きとか、太陽の下で仕事がしてみたいとか、そういう人が向いているのかなって。飽きっぽくない人もいいと思います」

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長南さんは最後にこんな話をしてくれました。

「知らない土地に来て、知らない人同士で知り合って、一緒に仕事をしていく。それって普段の生活ではなかなか体験できないことだと思うんです。新しいことにチャレンジしたい、自分を変えたい、視野を広げたいという人にはいいと思います」

自分の知らない新しい世界へ飛び込むのって不安も多いけれど、行っちゃえば案外楽しいものです。

美瑛にはいろんな人がやってくるから、予期せぬ出会いや縁が生まれたり、それを起点に次の一歩へつながることもあると思う。

どんな理由やきっかけでも、きっといい経験になると思います。

(2017/3/10 森田曜光)