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めぐるいい感じ

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互いに刺激し合える。いい感覚をもたらしてくれる。そういう人に出会うと、これから先も長く関わっていきたいと、思うことがあります。

人とのつながりを大切にする映像制作会社がありました。

株式会社グッドフィーリング(以下GoodFeeling)。
book2 映像広告の仕事を手がけることに加え、『inspire』というドキュメンタリーサイトを立ち上げ、運営しています。
依頼をくれる相手の考えを汲みとりながら形にすることも、自分たちのやりたいことを形にすることも大切にする。どちらの軸ももっているから、いい仕事が生まれているように思いました。

今回は、ディレクター・プロデューサーと、デザイナーを募集します。



東日本橋駅近く。ほのぼのした空気漂う下町に、GoodFeelingのオフィスはあります。
外観正面 ストライプのテントが可愛らしい、雑貨屋さんのような外観。呉服店だった場所を、自分たちでもDIYしながらつくったそう。

2階で、代表の澤井健司さんに話を伺いました。

GoodFeelingの前身となったのは、イベントの企画・運営・施工会社の映像部門として立ち上がった会社でした。当時運営していたのは、澤井さんと会長の酒井さんの2人。
「そこでくすぶっている感じから抜け出したくて、映像制作会社として自立させようと思いました」

澤井さん 埼玉県にある、国や県がサポートするインキュベーションオフィスに拠点を移し、当時の最新かつ高性能なカメラや編集機材がある環境で、映像のノウハウを取得した。

3年後、東京に戻って再スタート。

「でも、あまりにもビジネスチックな仕事の仕方をして、僕をふくめ、スタッフが疲れきってしまったんです」

もう少し自分たちのペースで、好きなようにやろう。

7年前に親会社から独立し、5年前に現在のオフィスを構えた。同時に社名を変更。

GoodFeelingと名づけた。
「僕たち自身も楽しんで仕事をして、お客さんともスタッフ同士でも、いい関係性を結びたい。そういう想いを込めています」

内観社名-1 自分の力を発揮することで、相手をよろこばせる。そんなふうに働くことが、幸せな仕事のあり方だと考える澤井さん。

「仕事を通して刺激的な人に出会えることも多く、モチベーションをいただくんです。思い返せば、どんな仕事でも、この人のためだったら頑張ろうという気持ちがなんとなくあって」

「依頼されたことには、全力をもってお応えする。基本なんですけど。そういうことを大切にしているから、今の会社があるんだと思います」

20歳から映像制作の仕事を続けてきて、20年が経った。

若いころは、撮影したり編集したり、つくること自体が楽しかったそう。

「でも10年ぐらいすると、自分のスキルだけを磨くことにだんだん飽きてきて。クライアントさんがどういう想いで商材やサービスをつくっているのか。そのことをじっくり考えて共感できた場合は、自分の視野が広がる感じがします。そこに、楽しみがシフトしています」

「そんな心境の変化があるから、20年経っても、まだ楽しく仕事ができているんじゃないかな。10年後になるとまた違うフェーズに移っていると思います」

互いに影響し合えるような人とつながることで、自分自身も変化していく。ものをつくりだす力は、柔軟な構え方から来ているのかもしれません。

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GoodFeelingという社名に変更したときから、もう一つ大事にしてきたことがあります。
「スタッフには、会社として最低限必要な数字は示すけど、そのほかについては、基本的に好きにやろうよっていうスタンスなんです」

そのスタンスを表すように2年半前に立ち上げたのが、『inspire』というドキュメンタリーサイト。
「自分たちの好きなヒトや好きなコトを映像で表現したい。じゃあ、その表現手段は何かと考えたときに、ドキュメンタリーが1つの答えになりました」

ただ、好きなコトを形にするということには、大変さも付随する。

「採算って考えたら、絶対に合わないものです。だけど、自分が5年後10年後も好きな仕事をしたいって考えたときに、何もアクションを起こさないと、先につながらないじゃないですか」

映像広告の仕事で、経営は回っているから、資金はそこで補充すればいい。

「それよりも、みんな半年に1本ぐらいは、好きなヒトに会って好きなモノをつくるぐらい、会社として歓迎しようという感じでやりはじめたんです」

澤井さんがはじめて制作したinspireの作品では、ファッションブランドDEVILOCKの元プロデューサーで、現在はランニングでアメリカを一周するプロジェクトに取り組む遠藤憲昭さんを取材。単身で、アメリカ・モンタナ州に向かい、ひたすら走る風景を撮影した。
また、澤井さん自身もトライアスロンに取り組んでいることから、オープンウォータースイムという競技のオリンピック日本代表・平井康翔選手を訪ね、オーストラリアでの取材も行った。

平井選手 「当時37、38歳。そのくらいの年齢になると、身が固まってきちゃうものだけど、単身で海外に行って、自分一人でカメラを回して、会いたいヒトに会いに行くという経験ができた。若い人がバックパックで旅するような感覚に近いと思います」

今ではinspireからのつながりで、仕事の声をかけてもらうなど、いい循環も生まれている。
「スタートして1年ぐらいは自己満足に陥っている感じはありましたよ。ただ、自分たちの内的理由として、つくりたいものがつくれて、好きなヒトに会えるんだったら、お金にならなくても賞がもらえなくても、やり続ける価値はあるだろうと思っていました」

「そのほうが、働いているみんな、好きなコトができているという意識が持てるんじゃないかと思うんです」



2人からはじまった会社も、現在は13名。

仕事の幅が広がり、様々なジャンルの映像を手がけてきた。最近では、まちづくりや地域創生といったキーワードの仕事も増えているという。

鳥取県の移住定住促進プロジェクトの一環として制作した作品について、プロデューサーの小林倫さんが紹介してくれました。

小林さん 「東京に暮らすお父さんと鳥取に暮らすお父さんたちに撮影場所に集まってもらい、お子さんについていくつか質問をして、どれくらい答えられるか比較するという映像をつくりました」

お父さんたちには、自然体で質問に答えてもらいたい。準備は、綿密に行われました。

絶対にお父さんにバレないよう、お母さんにも協力してもらい、鳥取のご家族には手紙や電話、メールで質問を投げかけて、回答を送ってもらった。

撮影も仰々しくならないように、最低限かかわる人だけを撮影現場に集め、プライベートに近い空間をつくった。

TOTTORI test 「結果としては、鳥取のお父さんたちのほうが、仕事が終わってからお子さんと接する時間など、時間の使い道に余裕があるということが見えてきたものの、東京のお父さんも鳥取のお父さんも、家族の幸せのために頑張って生きているということが伝わってきました」

プロジェクトのなかでは、お子さんがお父さんのことをどう思っているかという話を聞くこともあって、お父さんたちに内容を伝えると、感極まって泣いてしまう場面もあったそう。

「子どもとの接し方を、あらためて知るきっかけとなった瞬間を垣間見ることができて、仕事としてはよかったなと思います」

一緒に仕事をする人たちとも、いい関係を築くことができた。

「広告代理店さんと僕らで、互いに意見を言い合いながら主体的につくっていけました。完成した映像をクライアントさんに見せたときには、『いいものをつくってもらってありがとうございます』とおっしゃってもらえて」

コミュニケーションをとることがいちばん大切だと、小林さんは続ける。

「コミュニケーションを少しでもおろそかにすると、お互いに齟齬が生まれて、方向性の違うものをつくってしまうかもしれない」

「相手のイメージにちかいもの、もしくは想像以上のものがつくれてやっと、次の仕事がもらえたり、話を振ってもらったりできる。その積み重ねが次につながる。いつも、勝負だと思います」

撮影1 以前も映像制作の会社に勤めていた小林さん。

「前の会社では、大きな案件はいっぱいあったんですけど。決まりきった流れで仕事をこなしていくような感じがあって。GoodFeelingの、映像に対する新しいことをやっていこう、という気構えに惹かれました」
働きはじめてからも、自分の責任をもとに、自由に挑戦できる環境があると感じている。

小林さんはどんな人と働きたいですか?

「映像のこと、ものをつくるということに対して敏感な人たちと働けたらいいですね。あとは、仕事で帰れない日も多いです。それでも責任をもってやり遂げる根性がないと難しいと思います」



もう一人、昨年新卒で入社した、アシスタントディレクターの原木健さんにもお話を伺います。

原木さんデスク 専門学校時代から、「パルクール」というフランス発祥のスポーツのドキュメンタリーを個人で撮影していた原木さん。inspireというプロジェクトの存在に、大きく影響されたといいます。
専門学校に通っていたとはいえ、はじめて経験することがたくさんあるという。なかには撮影が約2週間連続する大きな案件もあり、いまは目の前の壁をひたすら登っているような感覚なのだそう。

けれど、成長できる環境にいると話します。

「いろんな人生経験や価値観をもった人に出会って、その人の感情や考え方に触れながら映像をつくっていく。1日1日が濃いものになっています」

入社1年目、社員旅行の編集もはじめて手がけました。

GoodFeelingでは、旅行先の現地で面白い企画を行い、その過程を映像にしてしまうのです。
2014年は、瀬戸内の豊島で、勝手に観光ビデオをつくってみたり、2015年は、無人島で生活してみたんだとか。

2016年は台湾へ行って、サッカーと野球の大会をひらいた。

社員旅行 「一緒に大会に参加してくれる台湾の人を集めようと、旅行に行く前に、フライヤーや帽子、Tシャツを自分たちでつくって。大会前日に現地の人たちに配ったら、来てくれたのは4人ぐらい。でもその4人が最終日にご飯をご馳走してくれました。そんなストーリーもあって、楽しかったですね」



「ビジネスライクに仕事する関係より、せっかく一緒にやるんだから楽しくやれたほうがいい」と澤井さん。

謹賀新年 自分の外側に広がる人との関係にも、自分たちの内側にも、アンテナを張って目指したい方向に向かっていく。

ここでは柔軟に、いい循環が生まれていました。


(2017/03/31 後藤響子)