※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。
目の前に座る人が、どんなことを感じて、何を想っているか。じっくり話を聞いていると、自分の中にその人の目線が増えるように感じることがあります。
人に出会うことって、自分の世界を広げたり、気づきを得られることなのかもしれません。

今回は、日本仕事百貨のインターンを募集します。
人と出会って何を感じるかは、ほんとうに人それぞれだと思います。
だから今回は、学生はもちろん、主婦の方や定年された方、フリーター、サラリーマン、外国籍の方でも。いろんな方に応募してもらえたらうれしいです。
東京・清澄白河。
日本仕事百貨のオフィスは、駅から歩いて3分ほど。こげ茶色のタイルの5階建てのビル。

でも、ウェブだけでなく、じっさいに出会う場所もつくりたくてリトルトーキョーという場も運営しています。
1階のバーでやっている「しごとバー」というイベントは、いろんな生き方、働き方をしている方に1日バーテンダーとして立ってもらい、お酒を飲みながら気軽に話ができる場所です。なんと福利厚生でドリンクは飲み放題。これはインターンも同じです。
1階の昼の時間は「今日」という丁寧につくったごはん屋がはじまろうとしていて、2階と3階がフリースペースです。3階ではちょうど、改修中の東京現代美術館MOTのサテライト企画「往来往来」の展示会場として、画家のクサナギシンペイさんの作品を展示しています。
4階が編集者のいるオフィス。5階はまだ決まっていません。代表のケンタさんが仮住まいにしているけれど、どうなるかな。
お昼過ぎにケンタさんが打ち合わせから帰ってきました。

小学生になるまでは親が転勤族だったというケンタさん。転々と引越しを繰り返していたら「地元」と呼べる場所がないことに気づいたそう。そんなこともあって、学生のころから考えていたのは、人の「居場所」をつくること。
建築を学んだあとに不動産会社に就職するも、どこかしっくりこず。もやもやした気持ちで、行きつけのバーに毎晩通っていました。
「あるとき、ふと『どうしてぼくは毎晩通うんだろう?』と思ったのね。たしかにお店の内装も居心地がいいし、お酒もおいしい。でも、何よりそこにいるバーテンダーや常連のお客さんたち、つまり“人”に会うのが一番の目的だと気付いて」
「生き生きと働くバーテンダーがいれば居心地がいいし、お客さんも集まってくる。いい場所って、人がつくるんだ、と思ったんです」
人と場所をちゃんと結びつける仕事がしたい。
それで、日本仕事百貨をはじめます。
「これまで、取材やしごとバーを通して、たくさんの人に会いました。その中で思うのは、人って、いろんな人の話を聞いたり、誰かと関わったりすることで、その人自身のあり方みたいなものが形成されるんじゃないかということ」

「そう。たとえば、ぼくは取材で話を聞いたときは本を一冊読んだくらいの経験をする。そういう経験を増やしていけばいくほど、自分も何かできるんじゃないか、と思えてくるんだよね。勇気もわいてくるし。そうやって行動につながって、また自分の幅が広くなっていく気がする」
「そういう意味でいうと、取材で人の話を聞く、しごとバーで接客する、コラムを書くっていうことは、自分が次に行動を移すときの指針のひとつになると思うんだ」
インターンを経験することで、いろんな経験ができる。過去のインターン生も、それぞれ魅力的な進路に進んでいて、今でも訪ねてきてくれる人も多い。もうひとつの学校のような存在かもしれない。
だから、今回のインターンは、自分を育てるような気持ちで参加してほしいと思っています。
「ぼくらも、すごく深く関わっていきたいね。4階には机もあるから、気軽にきて作業することもできるし」

私たちとしても、いろんな生き方や働き方を、求人以外の切り口でも紹介できるのはわくわくすることです。
「まずは取材のやり方を覚えないとね。ぼくらの取材って、だいぶ変わっているんです」
「メモを取らないし、質問を用意してもそのまま聞くことはほとんどない。それは、相手が安心して話してくれる状況をつくることを大事にしているからです」
じっくり話を聞く、ふるまいを見る。
質問はその時々に合わせて柔軟に変わるし、何も言わずに相手の言葉を待つことも。
はじめは一緒に取材に行きましょう。
そして、取材の録音源を文字に起こしながら、取材の感覚をつかんでください。文字起こしは、インターンにやってもらいたいことのひとつでもあります。
取材と文字起こしが済んだら、文章を書いていきます。
「文章を書くときに大事なのは、3者の気持ちです」
3者の気持ち?
「これはよく言うんだけど、インタビューの最中の相手の気持ちはどうだろう、これを読む人はどう考えているだろう、その上で自分は素直に今何を感じているか。この3つの目線をぐるぐる行き来しているんです」

すると、間髪入れずにケンタさん。
「きっとできる。そう、これはね、僕が見てきた中で程度の差こそあれ、みんなできるんですよ。最初からすっとできる人もいるし、はじめはうまくいかなくても後からぐんと伸びるパターンもよく見てきた。だから最初できなかったとしても、あきらめないでほしい」
「ただ、慣れだからね。場数を踏むほど、3者の心のありようっていうのは、余裕をもって見ていられるようになると思う。そのとき大事なのは、言葉やふるまいから相手のすべての情報をインプットすること。それは取材同行や文字起こしをする中で、見つけられると思うよ」
コラムを書いた、インターンの野村さんにも話を聞いてみます。

ライジングプレナーは、アンティーク家具の仕入れから、修理、仕上げ、広報、販売までを一貫して手掛ける、茨城にあるものづくりの会社さん。
取材当日は、代表の岩間さんと、広報スタッフお二人に話を伺った。
「お話を聞いてみて、一人一人の『働く』の考え方よりも、会社がどんな『働く』を提供するかという、お互いの関わりかたが一番興味深かったです」
「たとえば、会社も働く人も、どちらもいないと成り立たない。ライジングプレナーさんでは、社長さんも働く人をリスペクトしているし、働く人も社長をリスペクトしている。それがいいなと思いました」

「でも、文章にするときは難しかったです」
「わたしは最初から最後まですべての話を聞いているから理解しているけれど、もし文字だけで、しかもカットされたその部分だけを読むとしたら、わたしが受け取った感覚は読み手に伝わるのかなって」
それは、どうしたの?
「『その後どうですか?』というテーマだったので、素直に、その後どうだったんですか?っていうのを紹介すること、ライジングプレナーさんがどんな場所なのかがわかることを意識しました」
今回のインターンも、野村さんのようにコラムを書いてもらいたいです。
はじめはこれまでのコラムの続きから、ゆくゆくは自分で企画することもできます。
ほかにも、毎週水曜日に行われる、編集や場づくりのミーティングに参加したり、しごとバーやイベントの手伝いをしたり。ここでできることを楽しんでもらえたらいいなと思います。

逆に、自分から動いていけば、いろんなことを吸収できる環境だと思います。
「わたしが日本仕事百貨にインターンへ来たのは、そもそも働くってなんだろうってことを、じっくり考えてみたかったからなんです」
野村さんは、多いときで月に3件くらい取材同行に行っていたよね。
「楽しかったんです(笑)ある取材に同行したとき、取材をうける方のひとりが、はじめすごく緊張して、わたしが心配になるくらいがちがちでした。でも、仕事の話になったらすごく生き生きとして『これからもっとこんなことをしたいんだ』って語りだして」
「日本仕事百貨を通してお会いする方のお話を聞いていると、働くことと、自分が生きていくうえでやっていきたいことが、より同じ道筋に置かれているような感じがします。わたしも、こういう『働く』がいいなって思いました」
野村さんは今、スウェーデンに留学中。海外の働き方も見ながら、これからどう進んでいくか考えているそう。
こんなふうに取材して、コラムを書くのはどうですか。あとはしごとバーでもアルバイトしてもらいたいです。
いろんな生き方・働き方に出会える仕事だと思います。

「いろんな取材を通して、自分の仕事をはじめている人には何か共通していることがあるんだよね」
「ひとつが、まずはじめてみるということ。あとは今、目の前にいる人に贈り物を贈るように働いていること。頭で考えてもわからないことは多い。まずはじめてみて、目の前の人に喜んでもらえるようにしていけば、自ずとうまくいくのだと思います」
ご応募お待ちしています。楽しみにしています。
(2017/3/7 倉島友香)