※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。
「たったひとつのワッフルで笑顔をつくりだす。それはお客さまだけじゃなくて、自分や一緒に働くスタッフも。ワッフルに携わるすべての人の笑顔を大切にしていきます」ミスターワッフルは東京や神奈川を中心に、帰り道に気軽に食べられるワッフルをつくり続けているお店です。
運営するのは株式会社キャンパスカンパニー。今回はミスターワッフルで一緒に働く仲間を募集します。
やる気があれば、経験は問いません。
自分の内面に向き合って、苦手なことにも挑戦することで、本当の自信がつく。ありがとうと言われると、誰かの役に立てた喜びで胸がいっぱいになる。
そんな喜びや自信を仲間と一緒に積み重ねて、誇りを持って働ける職場だと思います。
JR新宿駅、東南口を出てすぐ。ミスターワッフルルミネ新宿店を見つけた。
あたりにはバターの良い香りが漂っていて、食べたらほっと癒されそう。お土産に持って帰っても家族に喜ばれそうだな。
そんなことを考えていた私に、「こんにちは」と声をかけてくれたのが中島さんです。
前回の日本仕事百貨の記事がきっかけで入社した方。
さらに、キャンパスカンパニーを知るきっかけになったからと、記事を書いたスタッフ宛に丁寧なメールをくれた方でもある。メールからは、生き生きと働いている様子が伝わってきて、ぜひお話を聞いてみたいと思っていた。
「以前はADや、テレビ番組の編集の仕事をしていました。楽しいこともあったんですけど、できない人は見放されてしまったり、他を蹴落としてでも自分が昇進するという野心的な人が多かったり。気が滅入ってしまうことも結構あって」
転職活動中に、ふと日本仕事百貨で読んだミスターワッフルのことを思い出した。実際にお店にも足を運んだといいます。
「印象に残っているのは、今働いている新宿店です。パルフェっていうワッフルとソフトクリームを組み合わせたものを頼んで、イートインスペースがないので外で食べたんですけど」
「ゴミをどうしようかなと思っていたら、長蛇の列で接客をしているにもかかわらず『ゴミ捨てますよ』って声をかけてくれて。すごくいいお店だなって思ったのを覚えています」
現在入社して6ヶ月。実際に働いてみてどうですか。
「驚いたのは、本当に面倒見がいいことですね」
「入社してすぐに、教育係の先輩と交換ノートをはじめました。なんでも書いてくださいねって言われたけど、最初から弱音は書きづらいなと思っていたんです。でもある日、まわりの様子に配慮しながら仕事をこなせず悩んでいますって書いたら、すぐに先輩がLINEをくださって」
ほかにも、ワッフルを包むスピードが遅いことなど小さなつまずきにも目を向けて、相談に乗ってくれる先輩の存在はとても心強かったという。
月に1回は新入社員と社長と教育係の3人で行う面談があり、不安や疑問はそこでも解消できる。
「最近は教えてもらうばかりではなくて、締め作業の順番をこう変えたらいいんじゃないかと、自分なりの提案もノートに書くようにしています」
ノートも面談も、入社後6ヶ月のあいだ新入社員の誰もが経験すること。正直、飲食店でそこまでやってくれるんだ、と私も驚いた。
「もう一つ驚いたのは、アルバイトと社員の間に垣根がないことです」
「レジやワッフルの包み方は、全部アルバイトのリーダーさんに教わりました。すでに出来上がっている輪の中には入りにくいと思っていたんですけど、みなさんが温かく受け入れてくれたので、徐々にほぐれていきました」
中島さんが、お客さんから予約の電話を受けたときのこと。そばで聞いていたアルバイトのスタッフが、一緒に考え動いてくれた。
「ワッフルを焼く担当の人に、すぐこの個数を用意できるか相談して、金額も計算してくれたんです。そのときに、ひとりで働いているんじゃないんだなってすごく感じましたね」
もちろん、できないことがあれば注意を受けることも多い。ときには落ち込むこともあるけれど、一緒に頑張ろうという気概を感じるから諦めずにやってみようと思えるそうだ。
大変なこともあれば教えてください。
「覚悟はしていたんですけど、思っていたよりも体力は必要でしたね」
冬は風が吹き込み、夏は外気と調理器具の熱が重なって相当な高温になるそう。新宿店は場所柄、道を聞かれることも多いし、外国からのお客さんもとても多いという。
ただワッフルを焼いて、渡すだけの単純な仕事ではない。目の前の相手に常に思いを巡らせながら、自分にできることを考えて実践していくことが求められます。
「忙しいときは自分が笑顔を忘れがちになることもあります。でもワッフルを渡して『あったかい』とか『ありがとう』って言ってもらえて、お客さまも私も笑顔になれることが一番のやりがいですね」
「これまで何か思うことがあっても自分のなかに溜めこみがちだったのが、伝えられるようにもなってきて。いい変化が生まれているので、ここでなら働き続けていけると思っています」
ルミネ新宿店をあとにして、原宿にある本社へ。代表の平井さんにお話を伺います。
まず聞いてみたかったのは、どうして人を育てることに、こんなにも手間やコストをかけるのかということ。
「会社の成長に合わせて、中の社員も成長するとはまったく思っていないんです。中のスタッフが成長するから、それに押されて会社が大きくなっていく。お客さまを笑顔にするためには、まず社員を笑顔にしないと達成できないんですよね」
まずは、社員を笑顔にする。
「はい。お店をはじめたころは『食物販業』だと考えていたけれど、最近の僕の仕事は『人材育成業』じゃないか、と思っています。スタッフのモチベーションを上げて一生懸命やってくれることが、お客さまに伝わるんです」
平井さんの話は、とても聞きやすい。
こちらに押し付けるような感じは一切ないのだけれど、ひとつのゆるがない芯を持っていることが伝わってきた。
そこにたどり着くまでは、決して平坦な道のりではなかったそう。
学生時代はバックパッカーとして世界中を旅していたという平井さん。ベルギーで出合ったワッフルを、日本人向けにアレンジして販売しようと決めたのがミスターワッフルのはじまりだった。
現地で食べ歩いたワッフルの数は3カ月間で約500個。試行錯誤しながらオリジナルの配合を生み出した。
1997年に1号店を渋谷の駅ナカにオープン。ワッフルブームが追い風となり、すぐに計8店舗を展開する行列の絶えない人気店に。
20代はとにかくがむしゃらに働いたと振り返る平井さん。だけどブームの収束とともに、お店は再び渋谷店1店舗のみに縮小する。
このままでいいのだろうか?と迷って、ワッフル事業を続けながらカフェや寿司屋などいろいろな飲食事業を展開したこともあった。
再び転機を迎えたのは、第二創業期の2009年。会社としての姿勢やミッションを整え、仲間が働きやすい仕組みづくりをはじめる。
何かきっかけがあったんですか?
「それまで、先のことよりも今の状況から抜け出すためのスキルとかテクニックばかり考えて、何のためにやるのかっていうマインドをおろそかにしていたんです」
「だから将来に不安を感じて離れていったスタッフもいて。自分で振り返ってみても、トップが半年先のことしか考えてないんじゃ、ついてこようと思えないよね。先のことを考えて、そのためにどうやっていくかも示せないと、人はついてこないと思ったんです」
考えを伝えるために、平井さんは社内向けの本を書いた。ミッションをつくった背景や、会社の経営戦略、なぜ駅ナカに出店するのか、など。
どんな方向性で今後展開していくのかが一冊にぎゅっと凝縮されていて、内容は毎年更新されていく。
ほかにも、年初に立てた目標の進捗確認のために、平井さんと上司と一緒に毎月行う面談や、同じグレードのスタッフ同士が集まって取り組みを共有するグループミーティング。
結果だけでなく、プロセスも評価する人事評価制度もはじめた。
「僕らは、短期的に数字を上げても評価しません。人が育っていない状況で無理やり出した結果は長続きしないから。だから目標の数字を達成していないからといって怒ることもしない。でも、なぜ達成できないかを考えていないと怒ります」
ただ数字だけを見るのではなく、それぞれのスタッフに寄り添いながら、一丸となってお店をつくる仕組みを考えてきた。
けれども、「形にしていくのは、スタッフのみんな」だと平井さんは話します。
「受け身だと人は成長できないので。僕らは支えているだけなんです。自分たちには何ができるのかを考えながら、そこで頑張って一歩前に進むのはみんなそれぞれだから」
たとえば、さし飲みカードというユニークな制度。
カードが回ってきたスタッフは、回してきたスタッフとさしで飲みにいく。そのとき、会社から補助が出る。こんなふうにスタッフが考えて仕組み化されたこともたくさんある。
一方で、創業当初から変わらないこともあります。
「渋谷店しかなかったころ、ワッフルを焼く機械をもう一つ増やせば倍の売り上げになっていた。でもそれは絶対にやらなかったんです。むやみに規模を拡大して一度でも中途半端な物を売ってしまったら、二度ときてもらえない。その想いは、今も変わっていません」
ワッフルを買ってくれた方にアンケートハガキを渡し、いただいた内容には心を込めて手書きのお礼状を書く。これも、お客さんとのコミュニケーションを大切にしようと、ずっと続けてきたことだ。
「はがきは、今みんなが書いてるやつを見るとすごいレベルが上がってて。うわ、僕が書いていたやつはもう見せられへんわって思うよ」
そう笑う平井さんは、なんだかとてもうれしそう。
働く人たちが考えながら成長して、サービス自体も良くなると、それがお客さんにも伝わっていく。そうして愛されるお店になることが、また働く人のモチベーションにもつながっていく。
関わるすべての人たちに笑顔を生む、良い循環が生まれていました。
これまで無我夢中で人を育ててきたキャンパスカンパニーは、さらに新しいステージを迎えようとしています。
より長く働きやすい環境を目指して、スタッフが産休育休を使いこなせるようフォローするプロジェクトを発足したり、新たなデザインや商品開発も進めている真っ最中。
社員の得意分野を生かしながら、より一緒に会社をつくっていることを実感できるようになりそうです。
ここでワッフルをつくっていくことは、誰かを思いやりながら笑顔を循環させていくこと。
時給や効率ももちろん大切だけれど、まずは自分自身や関わる人たちと素直に向き合っていきたいと思う人に、来てほしいと思います。
(2017/5/12 並木仁美)